中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年08月26日 (水)
8月25日の参議院平和安全法制特別委員会において、政府の答弁姿勢について、安倍総理の認識を伺いました。政府の答弁ぶりは、評価できる部分もあるものの、「丁寧な説明」とはほど遠い部分もあると感じております。
8月4日の参議院平和安全法制特別委員会において、徴兵制と自衛隊の関係について、政府答弁の穴について質問しました。政府は、これまで徴兵制を「軍隊を前提とした制度」と捉える一方で、自衛隊については「軍隊と異なるもの」と捉えていたため、政府答弁には「自衛隊は軍隊ではないため、強制的に徴集されても徴兵制に反しない」という穴が存在しました。この点について、8月4日の委員会で質問したところ、政府統一見解によって以下の点が明らかとなりました。
①自衛隊は、軍隊そのものではないが、本人の意に反して自衛隊に要する人員を徴集し強制的にその役務に服させることは憲法上許容されない。
②役務の提供先となる組織が、軍隊と呼称されるものであるか否か、また、その役務が、兵役と呼称されるものであるか否かにかかわらない。
政府として、明瞭に見解を示され、後々の憂いを断たれた点については、大変評価しております。
しかし、その一方で、これまでの政府側の答弁には、政策論と法律論を混同しているものや、法律の細部についての理解の怪しいものが多々見受けられました。
そこで、安倍総理に、政府のこれまでの答弁が、質問に明確に答えているものと認識しているのかと尋ねました。
安倍総理からは、「我々は、この委員会において、ご質問に対して真摯に答えているつもりである。今後も委員会の審議を通じて、国民の理解が深まっていくよう引き続き努力を重ねていきたい。」との答弁をいただきました。
しかし、その後も不明確な答弁が相次ぎました。詳細は、8/25(火)参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 武力攻撃を受けた国の要請または同意をご覧ください。
2015年08月20日 (木)
8月19日の参議院平和安全法制特別委員会において、政府が集団的自衛権を導く根拠とする昭和47年政府見解について、質問しました。
1、昭和47年政府見解における基本的論理について
政府は、集団的自衛権の行使容認を導くに当たり、昭和47年政府見解を①の部分、②の部分、③の部分の3つに分け、③の部分の冒頭に「そうだとすれば」という結論を導く接続詞があることから、①②の部分は基本的論理であり維持しなければならないが、③の部分(集団的自衛権の行使を否定する部分)は帰結であり、あてはめにすぎないので、変更可能である、と説明しております。
しかし、③の部分をよくみると、「そうだとすれば」の後に「したがって」という結論を導く接続詞が認められます。そのため、基本的論理と帰結に分けるという政府の立場に沿って考えるとしても、③の前段(そうだとすれば~したがっての間)も基本的論理に含まれるのではないでしょうか。仮にそうであるとすれば、③の前段の「憲法上許容されるのは個別的自衛権に限られる」という部分が基本的論理に含まれることになり、集団的自衛権を導くことはできないと思われます。
そこで、横畠内閣法制局長官へ、昭和47年政府見解の基本的論理とは、①②の部分に加えて、③の前段まで含まれるのではないか、と尋ねました。
横畠内閣法制局長官の答弁は以下の通りです。
「③の前段部分は、『憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは』と『我が国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られる』という2つの部分で成り立っているが、『許される』と『限られる』の間に理由が必要である。その理由となるのが①②の部分である。その意味で、『そうだとすれば』という接続詞が用いられている。」
「③の部分の前段と後段の関係については、前段の部分で『わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、我が国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られる』といった以上は、これすなわち、③の後段部分は『集団的自衛権の行使は憲法上許されない』ということになる、という構造になっている。」
横畠長官は、③の「したがって」という接続詞を、「すなわち」と同義を導く関係で捉えていますが、「したがって」は結論を導く接続詞として読むのが通常の日本語の読み方ではないでしょうか。政府の解釈は「したがって」という接続詞の理解として、無理があるといわざるを得ません。
政府による昭和47年政府見解の変更は、集団的自衛権を導くための強引な読み替えであり、その無理が接続詞の解釈という部分に表れていると思われます。
2、昭和47年政府見解当時の事実認識について
政府は、安全保障環境の変化を理由に集団的自衛権の行使を導く前提として、「昭和47年政府見解の当時の事実認識として、我が国に対する直接の武力攻撃が生じない限りは、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるような事態には至らないという理解であった」と説明しております。
しかし、この事実認識と矛盾しかねない資料がありましたので、改めて、政府に対し当時の事実認識について質問しました。
政府は、集団的自衛権に関する昭和47年政府見解を出したのと同じ日に、同じ参議院決算委員会宛てに、同じ水口議員の質疑に対して、「自衛行動の範囲について」という政府見解を提出しております。
そのなかで、「憲法第9条が許容している自衛行動の範囲について…その時の国際情勢、武力攻撃の手段・態様により千差万別であり、限られた与件のみを仮設して論ずることは適当ではないと思われる。」という見解を示しています。
この見解のあらゆる事態を想定しており、限られた与件を仮設するべきではないという部分が、「我が国に対する武力攻撃が生じた場合に限られる」という限定的な事実認識と矛盾するのではないかと思われます。
そこで、この資料を出した防衛省(旧防衛庁)の中谷大臣へ、この資料とこれまでの政府の説明は矛盾しないのかを質問しました。
中谷大臣からは、以下のご答弁をいただきました。
「昭和47年政府見解と同時に提出した『自衛行動の範囲について』でありますが、海外派兵について記載されておりまして、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土・領海に派兵する海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないという認識をもっています。」
「私の考えではありますが、同時に自衛権の発動の3要件を満たすものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではないと解しておりまして、特に敵地攻撃について、従来の考え方は、法的な理屈について新三要件のもとでも変わらないという以前に答弁があるもの、そういうものを念頭に書かれたものではないかなと解釈をしています。」
中谷大臣のご答弁は質問と噛み合っていないように思えましたので、政府に対して改めて政府見解を示すように求めました。
政府見解が届きましたら、あらためてご報告させて頂きます。
2015年08月20日 (木)
8月19日の参議院平和安全法制特別委員会において、「国際法における集団的自衛権」の概念について、質問しました。
これまでの安保法案の審議において、集団的自衛権の合憲性(違憲性)についてはかなり採り上げられましたが、「国際法における集団的自衛権」に関する議論に乏しく、その概念自体も整理されていないように見受けられます。
他方で、政府は「国際法上違法な行為を支援することはない」と明言しているため、後方支援を行う前提として支援対象国の行為の国際法上の適法性を判断することが求められております。たとえば、アメリカの武力行使が「国際法における集団的自衛権」の行使として適法なものであれば日本も後方支援することができますが、そうでない違法な武力行使であった場合には、後方支援を控えなければなりません。
このように他国を支援する前提となる「国際法における集団的自衛権」の概念について、政府の見解を質しました。
資料①にお示ししておりますが、国際法における集団的自衛権の考え方は、①個別的自衛権共同行使説、②他国防衛説、③死活的利益防衛説の3つに大別されます。
このなかで、国際司法裁判所は、広く他国を防衛する権利と捉える②他国防衛説に近い考え方を採用したといわれております(ニカラグア事件判決)。すなわち、現在の世界標準の「国際法における集団的自衛権」の捉え方は、ニカラグア事件判決≒他国防衛説と考えられます。
他方、政府は、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が攻撃されていないにもかかわらず阻止する権利」と解しており(平成15年7月15日政府答弁書)、自国と密接な関係にある他国を防衛する権利と捉える③死活的利益防衛説に近い考え方といえます。
そのため、「自国と密接な関係にある他国」に限定するか否かを巡って、政府の捉え方と世界標準の考え方で差異が認められます。
そこで、岸田外務大臣へ、「国際法における集団的自衛権」について、政府の捉え方とニカラグア事件判決で示された概念は同じものなのか、違うものなのか、を尋ねました。
岸田外務大臣からは、以下のご答弁をいただきました。
「ニカラグア事件判決が他国防衛説に立っているのではないか、という指摘があることは知っているが、他方で、ニカラグア事件判決では他国の要請または同意が要件とされており、他国防衛説と完全に一致しているわけではない。」
「ニカラグア事件判決で示された『要請』は、密接な関係にあるからこそ要請が行われるのであり、ニカラグア事件判決はその意味における『密接な関係』を否定するものではない。」
「(国際法における集団的自衛権を巡る)我が国の考え方と国際社会一般の考え方は一致している。」
岸田大臣は「要請があるから、密接な関係が認められる。」と答弁されていますが、仮に政府の捉え方(フルスペックの集団的自衛権、③死活的利益防衛説)に立つとしても、「密接な関係」と「要請」という要件は分けて考えるべきではないでしょうか。
「要請があるから、密接な関係が認められる。」という岸田大臣の答弁は、ニカラグア事件判決における集団的自衛権の概念を、政府の捉え方に無理に合わせる強引な印象を受けました。
なお、「国際法における集団的自衛権」の捉え方を巡り、政府と国際社会一般において乖離が生じた理由について、私は、政府見解を作成した時期とニカラグア事件判決の時期の問題と考えております。
政府の集団的自衛権の捉え方は、昭和47年政府見解により明らかにされ、基本的にはその後も維持されています。実は、昭和47年当時、③死活的利益防衛説が通説的地位を占めており、おそらく当時の政府関係者は、この通説(③死活的利益防衛説)に沿って、政府見解を作成したと思われます。
しかし、昭和61年にニカラグア事件判決が出され、国際社会一般における通説は②他国防衛説となりました。本来であれば、この時点において、政府は集団的自衛権の定義を改めるべきであったと思われますが、これを怠ったため、いまのような乖離が生じていると思われます。
安保法案を整備するというのであれば、こういった問題点も整理するべきではないでしょうか。今後も、政府に対して整理しきれていない問題点を追及して参ります。
2015年08月05日 (水)
8月4日、参議院平和安全法制特別委員会において、邦人輸送中の米艦防護の事例について質問しました。
安倍総理は、集団的自衛権行使の説明として、ホルムズ海峡の機雷掃海とならんで、朝鮮半島有事の際に朝鮮半島に残された日本人を輸送する米艦船を防護する事例を挙げています。この事例に、ベトナムの艦船が日本人を輸送する事例を加えて、邦人保護の可否について質問いたしました。
そもそも、安倍総理は、衆議院の審議において、「多くの日本人が乗っている可能性が十分あるにもかかわらず、それを攻撃するということは、日本を攻撃する意図が十分に伺われる」ことを理由に、「邦人輸送中の米艦が攻撃される明白な危機という段階において、存立危機事態の認定が可能である」として、邦人輸送中の米艦の防護を認めています。
しかし、「多くの日本人が乗っている可能性が十分ある」という事情は、米艦船に限られません。たとえば、韓国は10年ほど前から外国人労働者を受け入れる政策をとっているため、韓国には、日本人よりも多くのベトナム人が滞在されています。そのため、朝鮮半島有事の際には、ベトナムが艦船を派遣し、自国民を一時的に日本に避難させることが考えられます。その過程で、日本人が乗り込むことも十分に考えられます。
そこで、ベトナム艦船に乗り込んだ日本人も防護の対象になるのか、と質問しました。
安倍総理からは、以下のようなご答弁をいただきました。
「日本人を守れるか否か、すなわち自衛の措置をとりうるか否かは、新三要件に当たるか否かがすべてだ。新三要件に当たるか否かをその時の状況で総合的に判断する。」
「日本の近隣で紛争が起こることを想定して、エバキュレーションの計画も立てられている。その際には、米国の艦船および米国がチャーターした艦船で多くの人を輸送することが一番考えられる。」
「外形的には、国際法上は、日本に対する武力攻撃がない。他方で、他国に対して武力攻撃があり、集団的自衛権の行使になる。個別的自衛権行使の範囲の拡大をしていくことは国際法上は非常識と考える。」
しかし、たまたま米国艦船に乗っている日本人は救われて、第三国の艦船に乗っている日本人は救われない、という結論は不条理ではないでしょうか。このような不条理が起こるのは、そもそも自国民の保護を、集団的自衛権で説明することに無理があるからではないかと考えます。
このような不条理を避けるためにも、自国民の保護は個別的自衛権で説明するべきではないかと考えます。この点については、今後も質してまいります。
2015年08月05日 (水)
8月4日 参議院平和安全法制特別委員会において、徴兵制について質問しました。
安保法案の審議の過程で、野党から「徴兵制の復活につながる。」という指摘がなされています。これに対して、政府・与党から、「徴兵制は憲法違反であり、憲法上認められない。徴兵制の復活というのはレッテル貼りだ。」という答弁がなされています。
私も、徴兵制は憲法違反であると考えますが、政府の答弁には穴があると考えています。
すなわち、野党側は、自衛隊に強制的に入隊する事態を危惧して「徴兵制の復活につながる。」と主張しているものと思われます。これに対して、政府は、徴兵制を「軍隊への兵員の徴集を目的とする制度」と捉えた上で憲法違反と説明していますが、自衛隊については「通常の観念で考えられる軍隊とは異なるもの」と説明しています。
そのため、現在の政府の説明では、後世において、「徴兵制は憲法違反であるが、自衛隊は徴兵制の前提となる軍隊には当たらないので、自衛隊に強制的に入隊させることは徴兵制に当たらない。」という解釈の余地を残すことになりかねません。
そこで、この論理の穴を埋めるべく、「自衛隊は、徴兵制でいうところの『軍隊』に当たるのか」と質問しました。
これに対する中谷防衛大臣の答弁は以下の通りです。
「徴兵制は、憲法18条が禁止する意に反する苦役であり、明確な憲法違反である。憲法18条は徴兵制に限らず広く本人の意思に反して役務を課すことを禁止している。」
「自衛隊は、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ないという制約があり、通常の観念で考えられる軍隊ではない。」
「徴兵制が憲法違反であることは、憲法第9条を根拠にするものではなく、自衛隊が軍隊に当たるか否かによって左右されるものではない。」
中谷防衛大臣は、「自衛隊が、徴兵制でいうところの『軍隊』に当たるか否か」という点については、答弁を避けています。
これでは、後世の政権が、論理に穴があることに目をつけて、「自衛隊への強制入隊は徴兵制ではなく、憲法違反に当たらない。」という論理を展開しかねません。そのため、政府に対して、自衛隊・軍隊・徴兵制の関係について見解を報告するように求めました。
安保法案の審議に当たっては、「丁寧な説明」はもちろんですが、「隙のない論理構成」も必要であると考えています。論理構成という面も含めて、安保法案を審議して参ります。
【平成27年8月18日追記】
平成27年8月4日の参議院平和安全法制特別委員会で採り上げた「徴兵制と軍隊、自衛隊の関係」について、平成27年8月18日付けで政府より統一見解が示されました。
政府は、徴兵制度、自衛隊、いずれも定義を改めることはありませんでしたが、「自衛隊は、『軍隊』そのものではないが、本人の意に反して自衛隊に要する人員を徴集し強制的にその役務にふくさせることは、憲法上許容されるものではない。」「このような考え方は、環境の変化によって変わる余地は一切ない。」との見解を示しました。
今後の委員会においても、ひきつづき政府答弁に穴がないかを注意深く吟味して参りたいと思います。
2015年08月05日 (水)
8月4日、参議院平和安全法制特別委員会において、ホルムズ海峡における機雷掃海の根拠について質問しました。
政府は、集団的自衛権行使による海外派兵の具体例(原則禁止における例外の例)として、ホルムズ海峡における機雷掃海を挙げています。
しかし、集団的自衛権を行使して機雷掃海を行うためには、集団的自衛権の要件(いわゆる新三要件)の1つである「他に適当な手段がないこと」を満たす必要があります。
そこで、ホルムズ海峡における機雷掃海が、「他に適当な手段がないこと」を満たすのか、政府の見解を質しました。
そもそも、政府は、ホルムズ海峡における機雷掃海の必要性について、「日本に輸入される原油の8割、LNGの3割がホルムズ海峡を経由している」と説明しています。
確かに、2014年度のエネルギー資源別発電実績に占めるLNGの割合は46.2%と最も高いのですが、他方でLNGは供給先の多角化も進んでおり、ホルムズ海峡依存度も24.7%と原油ほど高くはありません(資料参照)。
また、日本企業が関与するLNGプロジェクトが、米国、カナダ、ロシア、オーストラリア、モザンビークで進行中です。とりわけ、引取りの目途を付けたLNGの量(2560万トン=カナダ860万トン+米国1700万トン)は、ホルムズ海峡を通過するLNGの量(2185万トン)を凌駕しています。
そこで、これらのLNGプロジェクトの存在によって「他に適当な手段がないこと」を満たさないのではないか、と質問しました。
中谷防衛大臣からは、以下のご答弁をいただきました。
「仮にホルムズ海峡を通過する化石化燃料の途絶が長期化した場合、産業活動や国民生活への影響はもちろん、高齢者や病人の命にかかわる場合もあり得る。その場合、根本的な原因になっている機雷の除去の対応しかないことも考えられる。国民の命と平和な暮らしを守るため、万が一の備えとして、安保法案を整備しておく必要がある。」
「現実に我が国の輸入する原油の8割、LNGの3割がホルムズ海峡を通過している。あらゆる手段を講じるとしても、現状として中東に過度に依存している事実がある。それを前提に考えている。」
ホルムズ海峡の機雷掃海について、発電実績に占めるLNGの割合、LNGのホルムズ依存度、引取りにめどをつけたLNGの量といった数値を示しながら、集団的自衛権の行使の要件を満たすのかを質問しましたが、政府の説明は定性的な答弁にとどまり、定量的な根拠に基づく「丁寧な説明」はありませんでした。
安保法案の審議については、感情的なレッテル貼りではなく、きちんとした根拠に基づく冷静な議論がなされるべきと考えます。ホルムズ海峡の機雷掃海については、今後も引き続き質してまいります。
2015年08月05日 (水)
8月4日、参議院財政金融委員会において、東芝の不正会計問題について質問しました。
報道によりますと、東芝は2008年度から2014年度第3四半期まで、総額1518億円もの不適切な会計処理を行ったと報じられています。この点について、第三者委員会から報告書が出されており、その一部がPC部門の月別の売上高(青線)と営業利益(赤線)となります(下記資料参照)。
上の表(2005年6月~2015年3月)を見ますと、2008年3月頃から利益のブレが激しくなっていることが伺えます。
また、下の表(2011年3月~2015年3月)をみると、毎四半期末に利益が上がり(一部は売上高を上回る)、次の月に下がるということを何年も繰り返していたことが伺えます。
はたして監査法人がこれを見抜けないのか、疑問に思いました。
そこで、麻生金融担当大臣及び金融庁に対して、以下の点をお訪ねしました。
①資料を見た感想はいかがか。
②監査法人をローテーション制にするという議論はどうなっているか。
③これだけ大規模な事案を課徴金で済ませてよいのか。
これについて、以下の通りご答弁をいただきました。
①について
「商売をやった経験から、一番異常なのは売上高を利益が超えていること。これが一番ふざけている。これに気づかなくて監査人ができるかな、と思わないでもない。極端すぎると思う。」(麻生金融担当大臣)
②について
「監査法人のローテーション制については、カネボウの事件があった時、導入の是非が議論された。その際の議論では、監査法人が交代することによって新しい視点でのチェックができるという一方、その企業に対する監査法人の知見が途切れるため、監査法人のチェックが難しくなり、企業サイドでもコストが増えるという議論があって、なお論ずべき論点があったということであった。」(金融庁)
③について
「基本的には証券取引監視委員会で判断すべきものであり、コメントは差し控えたい。ただし、法令違反に該当する事実があると疑われる場合には厳正な調査が行われるべきと承知している。」(麻生金融担当大臣)
東芝は、他の企業に先駆けて委員会等設置会社に移行するなど、コーポレートガバナンスの先駆者と見られていました。その東芝がこのような不祥事を起こしたことに、今回の問題の根深さがあるように思います。今後も健全な企業の発展のために尽力して参りたいと思います。
2015年07月31日 (金)
本日は、平和安全法制特別委員会において、ホルムズ海峡の機雷掃海の根拠を質しました。
現在、参議院では、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案を審議しております。その中で、安倍総理は、集団的自衛権行使の具体例として、ホルムズ海峡の機雷掃海を挙げています。
ホルムズ海峡は、インド洋からペルシャ湾に入るところに位置しており、日本に輸入される原油の8割が通過する海上交通の要衝です。安倍総理は、「この海峡が機雷で封鎖されると、電力不足によるライフラインの途絶が起こる。病院への電力供給も滞る可能性がある。」としてホルムズ海峡での機雷掃海の必要性を説明しています。
確かに、「日本の原油の8割の供給が途絶する」と聞くと、「日本の電源の8割が喪失する」という印象を抱きがちです。しかし、2014年度のエネルギー資源別の発電実績(資料参照)を確認したところ、石油による発電実績は全体の9.3%に過ぎません。そのため、ホルムズ海峡経由の石油に由来する発電実績は、全体の7.6%程度にとどまることが伺えます。
そこで、安倍総理に対して、「発電実績全体の7.6%の電力の不足を持って、集団的自衛権行使の根拠となる、国民生活への死活的影響が生じる明白な危険があると考えているのか」と質問しました。
安倍総理からは、「我が国の原油の8割の輸入が途絶えると、生活の足である乗用車の使用に支障が生じる。救急車のガソリンも足りなくなる。また、物流自体が停滞し、相当大きなインパクトを与えることが想像に難くない。冬場に供給が途絶すると、灯油やLPガスが枯渇をして、寒冷地において国民の命にかかわりかねない。」とのご答弁をいただきました。
しかし、このご答弁は、国民生活への死活的影響が生じる「明白な危険」とまで言えるのでしょうか。
確かに、ガソリン不足や灯油の不足は生じるかもしれません。しかし、石油は半年分の備蓄があり、救急車など緊急車両を中心にガソリンを供給すれば、国民生活への死活的影響は避けられると思われます。また、暖房器具は灯油やLPガスにかぎらず、エアコンや炬燵、セラミックファンヒーターもあります。
なによりも、安倍総理は、「経済的理由だけで武力行使を行わない」と答弁していたにもかかわらず、本日の答弁では「物流自体が停滞し、(経済に)相当大きなインパクトを与える」として経済的理由を挙げております。救急車両や寒冷地での死活的影響は回避可能である以上、これは経済的理由だけで武力行使(機雷掃海)を行うケースに当たるのではないでしょうか。
政府の集団的自衛権の説明は、いたずらに不安感をあおっている印象が拭えません。他方で、野党は、「戦争法案」といったレッテルを貼り、こちらも感情論で議論しているように感じております。
確かに、東アジアを巡る安全保守環境は緊張の度合いを高めております。建設的な議論になるように、論理的な観点から安保法案の審議を進めてまいりたいと思います。
2015年07月31日 (金)
本日は、平和安全法制特別委員会において、ホルムズ海峡の機雷掃海は、集団安全保障を通じた国際貢献として行うべきではないか、と質問しました。
現在、参議院では、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案を審議しております。その中で、安倍総理は、ホルムズ海峡の機雷掃海を、原則禁止である海外派兵の例外の具体例として説明しています。
ホルムズ海峡は、インド洋からペルシャ湾に入るところに位置しており、日本に輸入される原油の8割が通過する海上交通の要衝です。この海峡が機雷で封鎖されると、日本の原油の輸入が滞るため、安倍総理は、集団的自衛権を行使して機雷掃海を行うべきである、と説明しています。
しかし、日本から1万1000キロ離れた海峡の機雷掃海を、自衛権で説明することに違和感を覚えます。
確かに、海上自衛隊の機雷掃海能力は、国際的に極めて高く評価されています。これは、周囲を海に囲まれた日本が、第二次世界大戦中に、米軍の機雷封鎖に悩まされ、機雷の掃海とともに戦後の復興を果たしたことに由来します。
しかし、機雷の敷設は、沿岸国に対する不法行為であるのみならず、その海域を通航する国際社会に対する迷惑行為であるといえます。
そのため、日本から遠く離れた海域での機雷の掃海は、自衛権の行使ではなく、国連を中心とした集団安全保障(加害行為を行う国に対して、他の国連加盟国が制裁を加え、被害を受けた国の主権を回復し、原状に復帰させる仕組み)として取り組む方がふさわしいのではないでしょうか。
そこで、以下の点を質問しました。
①機雷掃海を、国連を中心とした集団安全保障措置として捉えるべきではないか。
②機雷掃海を、海外派兵の例外として行うのであれば、集団的自衛権行使の一般要件(新三要件)に加えて、別の要件が必要になるのではないか。
安倍総理からは、以下のご答弁をいただきました。
①について
「ホルムズ海峡における機雷の敷設が(集団的自衛権を行使する要件となる)存立危機事態に該当する場合、我が国の行う機雷の掃海は、我が国の自衛の措置であり、国際法上の根拠が、集団的自衛権であっても集団安全保障であっても変わらないと考えている。」
②について
「我が国が高い機雷処理能力と実績を有している以上、存立危機事態に当たるような場合、我が国が各国と協力して機雷掃海に当たることは当然と考える。存立危機事態に該当する場合、国際法上の根拠が、集団的自衛権であれ、集団安全保障であれ、新三要件のもと機雷の掃海を行うことが必要であると考える。」
安倍総理としては、集団的自衛権も集団安全保障措置も区別することなく、機雷掃海を認める立場のようです。しかし、憲法上禁じられている海外派兵の例外として捉えるのであれば、より慎重な要件を求めるべきではないでしょうか。
今後も集団安全保障措置としての捉え方を検討して参ります。
2015年07月13日 (月)