中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年08月05日 (水)
8月4日 参議院平和安全法制特別委員会において、徴兵制について質問しました。
安保法案の審議の過程で、野党から「徴兵制の復活につながる。」という指摘がなされています。これに対して、政府・与党から、「徴兵制は憲法違反であり、憲法上認められない。徴兵制の復活というのはレッテル貼りだ。」という答弁がなされています。
私も、徴兵制は憲法違反であると考えますが、政府の答弁には穴があると考えています。
すなわち、野党側は、自衛隊に強制的に入隊する事態を危惧して「徴兵制の復活につながる。」と主張しているものと思われます。これに対して、政府は、徴兵制を「軍隊への兵員の徴集を目的とする制度」と捉えた上で憲法違反と説明していますが、自衛隊については「通常の観念で考えられる軍隊とは異なるもの」と説明しています。
そのため、現在の政府の説明では、後世において、「徴兵制は憲法違反であるが、自衛隊は徴兵制の前提となる軍隊には当たらないので、自衛隊に強制的に入隊させることは徴兵制に当たらない。」という解釈の余地を残すことになりかねません。
そこで、この論理の穴を埋めるべく、「自衛隊は、徴兵制でいうところの『軍隊』に当たるのか」と質問しました。
これに対する中谷防衛大臣の答弁は以下の通りです。
「徴兵制は、憲法18条が禁止する意に反する苦役であり、明確な憲法違反である。憲法18条は徴兵制に限らず広く本人の意思に反して役務を課すことを禁止している。」
「自衛隊は、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ないという制約があり、通常の観念で考えられる軍隊ではない。」
「徴兵制が憲法違反であることは、憲法第9条を根拠にするものではなく、自衛隊が軍隊に当たるか否かによって左右されるものではない。」
中谷防衛大臣は、「自衛隊が、徴兵制でいうところの『軍隊』に当たるか否か」という点については、答弁を避けています。
これでは、後世の政権が、論理に穴があることに目をつけて、「自衛隊への強制入隊は徴兵制ではなく、憲法違反に当たらない。」という論理を展開しかねません。そのため、政府に対して、自衛隊・軍隊・徴兵制の関係について見解を報告するように求めました。
安保法案の審議に当たっては、「丁寧な説明」はもちろんですが、「隙のない論理構成」も必要であると考えています。論理構成という面も含めて、安保法案を審議して参ります。
【平成27年8月18日追記】
平成27年8月4日の参議院平和安全法制特別委員会で採り上げた「徴兵制と軍隊、自衛隊の関係」について、平成27年8月18日付けで政府より統一見解が示されました。
政府は、徴兵制度、自衛隊、いずれも定義を改めることはありませんでしたが、「自衛隊は、『軍隊』そのものではないが、本人の意に反して自衛隊に要する人員を徴集し強制的にその役務にふくさせることは、憲法上許容されるものではない。」「このような考え方は、環境の変化によって変わる余地は一切ない。」との見解を示しました。
今後の委員会においても、ひきつづき政府答弁に穴がないかを注意深く吟味して参りたいと思います。