中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2016年11月15日 (火)
11月10日の財政金融委員会の動画です。
米大統領選に関する質疑を皮切りに、「企業部門に蓄積されたままの現預金を、いかにして賃上げに結びつけるか」と言う問題に最も長い時間を割いています。
ちなみに、「(トランプ候補は)日本問題で突っ込まれた時、アイ・ラブ・ジャパンと4回繰り返して乗り切った。予算委員会もアイ・ラブ・ジャパンで通れば、、」と委員会室が笑いにつつまれた麻生財務大臣の答弁は11分05秒あたりからです。
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
2016年11月11日 (金)
11/10(木)の財政金融委員会では、「米大統領選挙後の日本経済・世界経済」、「消費税再引き上げへ向けての経済の好循環」、「相続税、賃貸ビジネス及び金融機関の健全性」について取り上げました。
米大統領選挙後の日本経済・世界経済
米大統領選挙直後の財政金融委員会ということで、まず麻生財務大臣にその影響についておうかがいしました。
新大統領の話題ばかりが報じられている中で、「上下両院とも共和党が多数となり、ホワイトハウスとのねじれ現象がなくなった」とのご指摘がありました。たしかに、これは大きなパワーバランスの変化です。今後のスタッフの陣容などについても注視していきたいと思います。
(1)保護主義的傾向について
米大統領選に限らず、先日のブレグジット(イギリスのEU離脱)などからも保護主義的なにおいが感じられました。そこで「国を閉ざそうとする誘惑に駆られる傾向が世界的に強まっている」ことへの懸念を表明したところ、麻生財務大臣から「日本は自由貿易を通じて弱小国、零細国でも極めて大きな経済力を有することになり得ることを証明した数少ない国の一つ。引き続き引っ張っていく見識なり矜持を持って臨むことが必要」との答弁がありました。
(2)通貨政策
大統領選の期間中に、両候補とも為替に関していわゆる「通貨戦争的な姿勢」を示していました。そこで、「我が国は、G7各国の共通認識である『為替の水準は、自由な市場において決定される』という原則を堅持する方針に変わりはないか?」という点をおうかがいしました。
麻生財務大臣からは、「通貨の競争的な切り下げは回避する」「競争力のために為替レートを目標とはしない」との大原則に加え、「政府は極力手を出すべきではない。過度の変動には各国が協調してあたらねばならない」との答弁がありました。この部分は、日本経済新聞(11月10日夕刊)に「為替介入は非常時のみ」として掲載されています。
(3)トランプ次期米大統領について
「直接的な言及は避ける」としながらも、麻生財務大臣は「日本に関する過去の発言について問われた時、サインをしながらアイ・ラブ・ジャパンと4回繰り返したらこの質問は消えた。予算委員会もアイ・ラブ・ジャパンで通れば、、」などと笑いを誘いながら、「候補者の時と大統領とではちがう」という認識を示していました。
消費税率再引き上げへ向けての経済の好循環について
(1)賃上げの滞り
消費が芳しくない状態で、消費税率を引き上げることが経済、特に内需に打撃を与えることは明らかです。従って、消費税率の再引き上げの環境を整える意味でも、個人消費を喚起するために賃上げが必要です。
しかし、有効求人倍率が全都道府県で1を超えるなど労働市場の状況が明らかに好転し、企業業績も上がり賃上げに必要なマクロ経済環境が整っているのに、ミクロ面を受け持つ企業部門がデフレマインドに囚われてしまい、その最初の一歩が踏み出せていません。
3月の当委員会でも指摘したのですが、企業が手元に現金を積み上げるばかりで、労使ともに賃上げに消極的というのでは困ってしまいます。この点に関する認識をおうかがいしました。
麻生財務大臣からは、冒頭「これは私にとって最大の関心事に近い」とした上で、「法人税を下げたのに、配当も賃金も設備投資も増やさず貯め込んでいる。リーマンショック後の賃金の伸び方は、日本が一番低い。働いている人の取り分を増やすべき」との答弁がありました。
(2)企業の社会的責任としての賃上げ
日本は自由主義経済国ですから、政府が企業の賃金に口を出すことはできません。しかし、手をこまねいていては、2年半などすぐに経ってしまいます。何らかの賃上げの目安のようなものを提示し、「それが実現できないのならば、コーポレートガバナンス・コードの精神にのっとって説明を求める」という形をとってはどうか?と提案しました。
麻生財務大臣は「基本的に官が介入する話ではない」としながらも、「政労使会議で『労働組合側は職場放棄されるんですか?』とまでいったのだが、全然動かない。コーポレートガバナンス・コードでやるかどうかはとにかく、なにか考えなければならない。労働分配率の引き上げを促すのもひとつのアイデアかもしれない」との答弁がありました。
相続税、賃貸ビジネス及び金融機関の健全性について
(1)「アパート空室率急上昇」に関する所見
日経新聞の「アパート空室率悪化、泣くオーナー」という記事(9月30日付)で、「首都圏では神奈川県のアパートの空室率が最も高く、37%と過去最高を記録している」と報じられショックを受けたことから、「不動産、特に賃貸業向けの融資」「賃貸ビジネスの健全性」「相続税対策の問題点」といった点についての質疑を行ないました。
まずこのグラフをご覧になったところで、「相続税対策で色々なものがあるとは聞いていたが、これほど数字が急激に上がっているとは知らなかった」との麻生金融担当大臣の答弁がありました。
さらに「3月に『貸す側のリスク』として取り上げたが、もはや地域金融機関のリスク管理の問題のレベルを超えてきている。将来的に金融制度を損なう種が撒かれているのではないか」「30年家賃が保証されていると誤認して、借金までして貸家を建てて返済に困っている事態が発生しているのではないか」という問いに対しては、遠藤監督局長から「借りる側が将来的なビジネスリスクまできちん理解した上での貸出を行なうといった、(金融庁の目指す)顧客本位の金融サービスを促す」と3月につづき踏み込んだ答弁がありました。
(2)相続税対策が歪める資産配分
2015年から急激に空室率が上昇した背景には、「相続税対策」が考えられます。
株や現金なら時価の100%で評価されるのに対して、不動産特に賃貸不動産にすると驚くほど評価額が下がり、さらに借金をすると大幅な相続税の節税が可能です。
これは一人一人としては、合理的な行動です。しかし、空き家問題が懸念されている中でさらに大量の貸家が建てられ、早くも空室に悩むというのは「合成の誤謬」が起きていると懸念せざるを得ません。
この点に関する質問に対しては、麻生財務大臣から「制度を利用して相続税対策をやりたいのは分かる。また問題が起きているとの報道は承知している。実態を精査する」との答弁がありました。
<<保険の窓販手数料の開示>>
最後に、5月に指摘した「金融機関の販売する保険の手数料が、非常に高いにもかかわらず開示されていない」という問題に対して、早速10月1日から多くの金融機関で開示が始まったことに関して、金融庁の取り組みを評価させていただく旨をお伝えして質問を終了しました。
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
2016年11月09日 (水)
2016年10月13日 (木)
2016年10月06日 (木)
2016年09月28日 (水)
2016年09月28日 (水)
2016年09月27日 (火)
国会の開会は昨日でしたが、すでに8月下旬から自民党の中では政策に関する議論が始まっています。
自民党には、「部会」と言う制度があります。様々な政策課題に対応した部会がほぼ毎日開催されており、どの部会でも自由に参加して意見を述べることができます。
つまり、わたし自身は国会では予算委員会と財政金融委員会に所属していますが、自分の関心のある分野や課題に関する自民党内での議論にいつでも参加できるという仕組みです。
また部会では、関係省庁の担当者やその分野に詳しい議員の発言や議論を聞くことができますので、国会議員としての能力を高める非常に良い勉強の場でもあります。
ただ問題は、同じ時間帯に複数の部会が開催される場合があることです。たとえば今日は、朝8時から外交部会と経済産業部会、そのあとが厚生労働部会でした。同時に2つの部会に出ることは不可能なので、スタッフと手分けしてカバーしました。
かなり大変ですが、それだけの労力をかける価値は十分にあると思います。
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
2016年09月26日 (月)
2016年05月26日 (木)
5/24(火)の財政金融委員会では、「骨太の方針」の内容の変化、今後の財政運営、金融機関と顧客のあり方、金融グループにおける経営管理の充実について取り上げました。
1. 「骨太の方針2016(素案)」について
まだ先週水曜日の経済財政諮問会議において発表されたばかりの(素案)段階ですが、いわゆる「骨太の方針2016」の内容に大きな変化があったので取り上げました。
昨年と同様に「経済の好循環」がうたわれているのですが、昨年は「中長期の発展に向けた重点課題」とされていたのに対して、今年は「成長と分配の好循環の実現」と「分配」という文言が明示されていました。冒頭に「結婚・出産・子育ての希望・働く希望・学ぶ希望の実現」が掲げられており、成長戦略から「分配」に重点が移っている様に見受けられます。
従来から「成長の果実を確保した上で分配へ」という主張をしてきましたので、「社会保障を一層充実させることが可能な段階に至ったことを示したものか?」という点に関して大臣の所見を伺いました。
麻生財務大臣からは、「単に成長の成果を国民全体に行きわたらせるということに留まらず、分配面の強化が成長力の強化につながるという好循環を意識したもの。特に『格差を固定しない』という観点から、雇用環境の改善に力を入れてきており、有効求人倍率は24年ぶりの高水準、最低賃金が3年連続で引き上げ、ベアが3年連続となっている。社会保障面でも所得の低い方への健康保険負担の軽減などが進んでいる」という答弁がありました。
今回の骨太の方針では、「働き方の改革」が、「最大のチャレンジ」として取り上げられています。日本の社会の活性化のためには、長時間労働の是正や多様な働き方を認めることは非常に重要です。
「同一労働同一賃金の実現」に関しては、正規労働者と非正規労働者の待遇格差の改善という文脈で語られることが多いですが、さらに「就職ではなく就社。新卒で入りそこなうと大変」という日本の会社の職に対する考え方に対する問題提起というところに大きな意味があると考えています。
2. 今後の財政運営について
日本のGDP成長率がこのところ一進一退を繰り返している理由のひとつには、政府支出の寄与度が2013年度以降低い事があると考えています。震災の影響が懸念される中、先日補正予算が成立し、本年度予算の前倒し実行も行われていますが、そうなると下期の反動減を懸念せざるを得ません。
先日のG7では「各国が自国の状況を踏まえつつ財政・金融政策を実行することで成長を促進する」ということで合意してしますので、「一進一退とならない様、今後も機動的な財政運営を行なう準備が整ったと理解してよいか?」とおたずねしました。
麻生財務大臣からは、「各国で色々と事情が異なるのは確かだが、『資金はあるが需要がない。個人消費、民間設備投資が出なければ政府支出が出る必要がある』ということでは一致している。日本は97兆円という史上最大の予算を組み、リーマンショック直後以来となる8割の執行前倒しを目指している。従って、指摘された通り後半に空きが出てくることは間違いない。今後の経済情勢によるが、柔軟に対応することはきちんと伝えている。ハードランディングを避ける為には、需要が必要という点でG7各国は一致している」との答弁がありました。
3. 金融機関と顧客との関係のあり方について
現在の銀行の窓口では、ほとんどすべての保険商品の販売可能です。従って、相当な額が取り扱われています。
生命保険は「一般的な保障性の保険や安全な貯蓄性保険」と「特定保険契約」に大別されます。この「特定保険契約」とは、変額保険や外貨建ての保険などを指し「元本割れリスクがある」「投資性が強い」ことから金融商品取引法の適用対象となっています。
そこで銀行窓販に占める「特定保険契約」の割合をおたずねしたところ、金融庁から「8割」という驚くべき答弁がありました。正確な統計はないそうですが、金融庁の担当の方に確認したところ、「生命保険会社がみずから販売する場合には、この割合ははるかに低い」とのことでした。
これほどの割合になるということは、インセンティブがあるはずです。そこで手数料をお伺いしたところ「円建てで1~6%。外貨建てでは4~9%。商品が複雑で説明負担が大きいことなどの理由から『高く設定されている』と認識している」とのことでした。
金融庁も「特定保険契約は投信と同じなので、手数料を開示させる方向」に動いていました。ところが先週土曜日の日経新聞に、「保険の販売手数料の開示を見送る」という記事が掲載されていました。開示が滞っているというのでは困ります。
そこで手数料にとどまらず、「金融機関と顧客との高度の信頼関係(フィデュシャリ―・デューティー)」との観点から大臣の所見を伺いました。
麻生金融担当大臣からは「顧客との信頼関係をきちんと構築するために、情報を開示し説明責任を果たすことは、信用にかかわる重要な問題であると認識している。従って、一律に最低限の対応を義務づけるよりも、各金融機関がその趣旨を十分に理解して対応するように促す方が効果的だと考えている。いずれにしても開示していくという方向にいかなくては、顧客からの信頼を得られないのではないか」など、顧客保護を高次元で確実なものとする方向性が示されました。
4. 金融グループにおける経営管理の充実
これまで金融庁の「金融コングロマリット監督指針」で定められていた金融グループの経営管理責任が、今回の銀行法改正で法制化されました。ただ、グループ持ち株会社は、株主としての権限はあるものの子会社の取締役に具体的に指揮命令する権限がなく、「経営管理の充実」という点ではもう一歩踏み込み不足を感じます。
この点が今回の改正で制度化されなかった理由と今後の方向性を質しました。
金融庁からは「問題点としては認識している。ただ銀行法だけではなく、子会社の少数株主の権利保護など会社法に関わる部分もあり、他の法規との整合性など検討すべき課題が残っている。他の省庁と連携をとりながら、引き続き検討する」との答弁がありました。