中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年08月05日 (水)
8月4日、参議院平和安全法制特別委員会において、ホルムズ海峡における機雷掃海の根拠について質問しました。
政府は、集団的自衛権行使による海外派兵の具体例(原則禁止における例外の例)として、ホルムズ海峡における機雷掃海を挙げています。
しかし、集団的自衛権を行使して機雷掃海を行うためには、集団的自衛権の要件(いわゆる新三要件)の1つである「他に適当な手段がないこと」を満たす必要があります。
そこで、ホルムズ海峡における機雷掃海が、「他に適当な手段がないこと」を満たすのか、政府の見解を質しました。
そもそも、政府は、ホルムズ海峡における機雷掃海の必要性について、「日本に輸入される原油の8割、LNGの3割がホルムズ海峡を経由している」と説明しています。
確かに、2014年度のエネルギー資源別発電実績に占めるLNGの割合は46.2%と最も高いのですが、他方でLNGは供給先の多角化も進んでおり、ホルムズ海峡依存度も24.7%と原油ほど高くはありません(資料参照)。
また、日本企業が関与するLNGプロジェクトが、米国、カナダ、ロシア、オーストラリア、モザンビークで進行中です。とりわけ、引取りの目途を付けたLNGの量(2560万トン=カナダ860万トン+米国1700万トン)は、ホルムズ海峡を通過するLNGの量(2185万トン)を凌駕しています。
そこで、これらのLNGプロジェクトの存在によって「他に適当な手段がないこと」を満たさないのではないか、と質問しました。
中谷防衛大臣からは、以下のご答弁をいただきました。
「仮にホルムズ海峡を通過する化石化燃料の途絶が長期化した場合、産業活動や国民生活への影響はもちろん、高齢者や病人の命にかかわる場合もあり得る。その場合、根本的な原因になっている機雷の除去の対応しかないことも考えられる。国民の命と平和な暮らしを守るため、万が一の備えとして、安保法案を整備しておく必要がある。」
「現実に我が国の輸入する原油の8割、LNGの3割がホルムズ海峡を通過している。あらゆる手段を講じるとしても、現状として中東に過度に依存している事実がある。それを前提に考えている。」
ホルムズ海峡の機雷掃海について、発電実績に占めるLNGの割合、LNGのホルムズ依存度、引取りにめどをつけたLNGの量といった数値を示しながら、集団的自衛権の行使の要件を満たすのかを質問しましたが、政府の説明は定性的な答弁にとどまり、定量的な根拠に基づく「丁寧な説明」はありませんでした。
安保法案の審議については、感情的なレッテル貼りではなく、きちんとした根拠に基づく冷静な議論がなされるべきと考えます。ホルムズ海峡の機雷掃海については、今後も引き続き質してまいります。