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活動報告

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国会活動

質問主意書《社会保障費の自然増》

2015年02月26日 (木)

 

議長提出:2015年02月26日
内閣転送:2015年03月02日
回答   :2015年03月06日

 

社会保障関係費の「自然増」に関する質問主意書

平成二十七年一月十四日、歳出総額九十六兆三千四百二十億円に及ぶ平成二十七年度一般会計予算政府案(以下「平成二十七年度予算案」という。)が閣議決定された。

平成二十七年度予算案では、社会保障関係費として三十一兆五千二百九十七億円が計上されており、一般会計歳出総額に占める割合は三十二・七パーセントと、およそ三分の一を占めるに至っている。

また、前年度予算における社会保障関係費と比較しても、一兆三十億円の増加(三・三パーセント増加)が認められ、社会保障関係費の抑制が財政健全化に向けた課題となっている。

これに先立ち、政府は、「平成二十七年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(平成二十六年七月二十五日閣議了解。以下「基本方針」という。)において、年金・医療等に係る経費について、「高齢化等に伴ういわゆる自然増として八千三百億円を加算した額の範囲内において、要求する。(中略)上記自然増について高齢化による増加とそれ以外の要因による増加などその内容を厳しく精査していく(以下略)。」という方針を示している。

この基本方針から、政府は、社会保障関係費の増加を、「高齢化等に伴ういわゆる自然増」とそれ以外の増加に分けて捉えていること、さらには「高齢化等に伴ういわゆる自然増」を「高齢化による増加」と「それ以外の要因による増加」に分けて捉えていることが伺われる。

一般的に「自然増」とは、「成り行きのままにしておいて増えること」(「大辞林」第三版)と解されるため、「高齢化」といった不可避的な要因による「自然増」と捉えた場合、その増加は不可避的な要因によるやむを得ないものという意識が働き、歳出抑制への努力が働きにくくなることが考えられる。

しかし、基本方針にも示されているように、「高齢化等に伴ういわゆる自然増」であっても、その内容を厳しく精査していくことが求められる。

そこで、以下質問する。

一 社会保障関係費における「高齢化等に伴ういわゆる自然増」と認められるための要件について、政府の見解を明らかにされたい。

二 社会保障関係費における「高齢化等に伴ういわゆる自然増」のうち、「高齢化による増加」と認められるための要件について、政府の見解を明らかにされたい。

三 医療における報酬改定及び医療の高度化並びに介護におけるサービスの充実に基づく社会保障関係費の増加は、それぞれ「高齢化等に伴ういわゆる自然増」に含まれるのか、政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

 

参議院議員中西健治君提出社会保障関係費の「自然増」に関する質問に対する答弁書

一及び二について

お尋ねの「高齢化等に伴ういわゆる自然増」とは、一般会計において、当該年度の概算要求時点における年金、医療等の社会保障給付に要する経費であって、義務的な性質を有するもののうち、人口の高齢化等の他動的な要因による前年度当初予算額からの増加分をいい、このうち、その増加の要因が高齢者人口の伸びであるものを「高齢化による増加」としている。

三について

一及び二についてで述べたとおり、毎年度の概算要求時点における「高齢化等に伴ういわゆる自然増」は、他動的な要因による前年度当初予算額からの増加分であり、当該年度以降の予算編成過程で決定される診療報酬改定による社会保障関係費の影響額は他動的な要因によるものではないことから、「高齢化等に伴ういわゆる自然増」に含まれていない。他方、医療の高度化による社会保障関係費の影響額については、他動的な要因によるものであり、「高齢化等に伴ういわゆる自然増」に含まれている。また、お尋ねの「介護におけるサービスの充実」が具体的に何を指すのかが必ずしも明らかではないため、その充実に基づく社会保障関係費の影響額について、お答えすることは困難である。

 

 

≪質問に当たって≫

社会保障関係費の「自然増」について質問主意書を提出しました。

社会保障関係費が年々増加しています。

平成27年度予算案(歳出総額:96兆3420億円)では、社会保障費がおよそ3分の1を占めるに至っております(31兆5297億円)。

前年度予算と比較しても、1兆30億円の増加(3.3%増加)となります。

社会保障費の増加については、「高齢者数の増大により、年間1兆円を超える自然増が生じる」と言われています。

しかし、この「自然増」について、高齢化による影響以外の様々な要素も「医療の高度化等」と称して織り込まれていると指摘されています。

そこで、社会保障関係費の「自然増」と認められるための要件について質問しました。

今後の「自然増」はもちろん、これまで「自然増」とされてきた社会保障費の増加も、この要件を満たすものでなければならないことになります。

「自然増」と言われると、不可避的に生じるやむを得ない費用との印象を抱いてしまい、本当に必要な費用か否かの検証を怠りがちです。

単純な思い込みに陥ることなく、率直に検証する視点を大切にしていきたいと思います。

 

≪回答を受けて≫

政府の答弁内容は以下の通りとなります。

○社会保障関係費の「自然増」とはいかなるものを指すのか。

→一般会計において、当該年度の概算要求時点における年金、医療などの社会保障給付に要する経費であって、義務的な性質を有するもののうち、人口の高齢化等の他動的な要因による前年度当初予算額からの増加分をいう。

具体的には

①「診療報酬改定」による社会保障関係費の影響額は、他動的な要因によるものではないため、「自然増」には含まれない、

②「医療の高度化」による社会保障関係費の影響額は、他動的な要因によるものであり、「自然増」に含まれる、とのことでした。

「自然増」に当たるか否かの一番のメルクマールとなるのは「他動的な要因」によるものか否かであると考えられます。

現在審議中の平成27年度予算案を吟味するに当たり、厚生労働省へ「自然増」の定義について問い合わせましたが、答弁書が届くまでは明確な回答を頂くことはありませんでした。

おそらく、厚生労働省においても、「自然増」の定義について明確に吟味されたことはなかったのではないかと推察いたします。

何をもって「他動的な要因」と捉えるかという問題は残りましたが、膨張する社会保障関係費の合理化及び抑制を図る上で、「自然増」の定義を明らかにした意義は大きいと考えます。

 

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