中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年02月26日 (木)
議長提出:2015年02月26日
内閣転送:2015年03月02日
回答 :2015年03月06日
難民認定申請に関する質問主意書
平成二十五年における我が国の難民庇護の状況は、難民認定申請数三千二百六十人、難民の認定をしない処分に対する異議申立て数二千四百八人である一方、難民と認定した者が六人、人道的な配慮が必要なものとして在留を認めた者が百五十一人というものである。
これに対して、平成二十四年における諸外国の難民認定数は、米国二万五千二百六十八人、英国八千七百二十七人、ドイツ八千七百六十四人、フランス三千百三十三人である。諸外国と比べて少ない我が国の難民認定数に対して、我が国の難民認定手続の公平性・透明性に問題があるのではないかとの指摘がなされている(平成二十六年十二月第六次出入国管理政策懇談会・難民認定制度に関する専門部会「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」(以下「検討結果」という。)二頁)。
他方で、我が国の難民認定申請数は、平成十七年には三百八十四人であったものが、平成二十六年には暫定で五千人(読売新聞平成二十七年二月四日付け朝刊)と、九年で十三倍近くに急激に増加している。
なかでも、申請時に正規の在留資格を有する者からの申請の増加が特に顕著に認められており、平成十七年には百九人であったものが、平成二十六年は十一月末時点において約三千七百人と急激な伸びを見せている(検討結果五頁)。
この背景には、「平成二十二年三月に、正規在留者である申請者に対し、申請から六か月が経過すれば、申請中は就労活動が可能な在留資格を一律に付与する取扱いとしたことが一因としてあり、(中略)一回の審査期間が異議審を含めて三年程度かかる現状では、申請さえ続けていれば、長期間日本で就労が可能であると受け止める申請者が相当数存在する。」との指摘がなされている(検討結果十二頁)。
平成二十六年十一月には、この制度を逆手に取り、来日したネパール人百人程度に難民認定の偽装申請を指南し就労させていたとして、ネパール人のブローカーが出入国管理及び難民認定法違反(不法就労助長)容疑で摘発されていたことが明らかとなった(読売新聞平成二十七年二月四日付け朝刊)。
難民の受入れは、国際社会における我が国の重要な責務であり、真の難民を確実に庇護するために、制度・運用の見直しを含めた様々な取組を推進することが必要である。
そこで、以下質問する。
一 法務大臣による「難民である旨の認定」(出入国管理及び難民認定法第六十一条の二第一項)は、覊束行為か。
二 難民の要件である「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」(難民の地位に関する条約第一条A(二))の意義をいかに解するか、政府の見解を明らかにされたい。
三 諸外国と比較して我が国の難民認定者数が少ない原因をいかに分析しているか、政府の見解を明らかにされたい。
四 いかなる基準で、難民と認定しないものの人道的な配慮が必要な者として在留を認めているのか、政府の見解を明らかにされたい。
五 政府は、難民認定申請数の急増の一因と指摘されている難民認定申請中の者に対する就労許可の在り方を見直すつもりはあるか。仮に見直す場合、いかなる在り方を模索するのか、政府の見解を明らかにされたい。
六 政府は、難民認定申請数の急増の一因と指摘されている審査期間(異議審を含めて三年程度)の迅速化に取り組む意思はあるか。仮に迅速化に取り組むとした場合、どのくらいの期間を目標とするか。また、いかにして迅速化を図るのか、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
参議院議員中西健治君提出難民認定申請に関する質問に対する答弁書
一について
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二第一項に定める難民の認定は、難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号。以下「難民条約」という。)第一条の規定又は難民の地位に関する議定書(昭和五十七年条約第一号)第一条の規定により難民条約の適用を受ける難民の要件を具備していることを有権的に確定する行為であり、入管法第六十一条の二第一項の規定は、当該要件を満たすと認められる外国人については、難民の認定をすべきことを定めたものと解している。
二について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが難民条約第一条A(2)の人種宗教国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」は、難民条約の適用を受ける難民の要件の一つを定めているものと理解している。
三について
我が国の難民認定者数は、難民認定申請をした外国人について、入管法の規定に基づき、難民条約の適用を受ける難民に該当するか否かを個別に判断した結果である。
四について
難民の認定をしない処分をされた外国人について人道的な観点から在留を特別に許可すべき事情があるか否かを判断するに当たっては、個々の外国人ごとに、諸般の事情を総合的に勘案しているところである。
五及び六について
難民認定手続については、法務大臣の下で開催された「第六次出入国管理政策懇談会」及び「難民認定制度に関する専門部会」の報告書の内容を踏まえ、手続全体の公平性、透明性の向上を図りつつ、真に庇護されるべき者を迅速かつ確実に認定するための手続を構築するため、御指摘の点を含め、鋭意検討を行っているところである。
≪質問に当たって≫
日本における難民認定の問題について、質問主意書を提出いたしました。
平成25年における日本の難民認定数は、6人でした。これは諸外国(アメリカ:25268人、イギリス:8727人、ドイツ:8764人、フランス:3133人)と比較しても、圧倒的に少ないと言えます。
そのため、いままでの難民認定問題は、「日本は厳しすぎる」という観点から語られることが多くありました。
ところが、最近は、反対に、「日本の難民申請自体のハードルは低い」との指摘がなされています(読売新聞 平成27年2月4日付け朝刊)。
日本は、平成22年から運用を改め、正規の在留者である申請者に対して、申請から6か月を経過すれば、申請中は就労活動が可能な在留資格を一律に付与することとなりました。
その結果、技能実習制度などで入国した正規の在留者までが「難民」として申請を行い、6か月を経過した後、就労するという事態が多発しています。
そこで、以下の質問を行いました。
①政府は、諸外国と比較して我が国の難民認定者数が少ない原因をどのように分析しているか。
②政府は、難民認定申請中の者に対する就労許可の在り方を見直すつもりはないか。
③政府は、難民認定申請の審査期間の迅速化に取り組む意思はあるか。
難民の受け入れは国際社会における我が国の重要な責務といえます。
本当の「難民」を確実に庇護するために、制度・運用の見直しを含めた取り組みが必要であると考えています。
≪回答を受けて≫
政府の答弁内容は以下の通りとなります。
①政府は、諸外国と比較して我が国の難民認定者数が少ない原因をどのように分析しているか。
→入管法の規定に基づき、難民条約の適用を受ける難民に該当するか否かを個別に判断した結果である。
②政府は、難民認定申請中の者に対する就労許可の在り方を見直すつもりはないか。
③政府は、難民認定申請の審査期間の迅速化に取り組む意思はあるか。
→(②と③をあわせて)手続全体の公平性、透明性の向上を図りつつ、真に庇護されるべき者を迅速かつ確実に認定するための手続きを構築するため、鋭意検討を行っているところである。
質問に対して「検討中」と述べるにとどまり、実質的に何も答弁を行っていない回答という印象を受けました。
難民認定申請数3260人に対して、難民認定数6人という数字は、果たして国際社会における責務を果たしたと言えるのでしょうか。
また、難民申請の悪用(申請から6か月経過すれば、就労活動が可能となる)についても、「鋭意検討中」と述べるにとどまり、方向性すら示せない対応に、我が国の難民認定制度が機能不全に陥っていると感じています。
難民の庇護という国際社会における責務を果たすためにも、制度の改正、運用の見直しを含めた積極的な取組を政府に促してまいります。