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先日の財政金融委員会で「諸外国が国民に対して極めて厳しい統制を敷いたのに対して、我が国が自由という価値を最大限守ってコロナに対応したことへの評価は非常に高い。さらに国家安全法によって香港の息の根が止まる。東京で、日本で働きたいという声が高まっておりチャンスではないか」と問題提起をしました。
さらに昨日の予算委員での片山さつき先生の質問に対して、安倍総理から「積極的に推進する」とのご答弁がありました。議連を立ち上げるなど積極的に取り組んでいきます。
「新型コロナ対応」「金融商品販売法改正」「LIBOR(ライボ)廃止」について質疑を行ないました。
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○中西健治君
おはようございます。自由民主党の中西健治です。
本日は金融商品販売法の質疑ということでありますけれども、その前に、初めに、コロナの対応、特に世界の中の日本という観点で麻生大臣に幾つか質問をさせていただきたいと考えております。
新型コロナに対しては、中国はもとより、フランスのマクロン大統領が戦争状態にあるので国民の自由を制限すると述べたように、世界のほとんどの国が国民の行動を極めて厳しく統制することで対応しており、街から人が消えました。現在はその統制を緩める方向にかじを切ろうとしているわけでありますが、段階的解除を発表する記者会見ではいつでも急ブレーキを掛けるということが強調されていたように、果たして望みどおり緩めるという方向が続けられるのか、それともまた厳しい統制状態に逆戻りするのか、先行きが見通せない状況が続いております。
ただ、このコロナとの闘いの中からむしろはっきりと見えてきたものがございます。それは、日本が世界の先進国の中でも数少ない自由を最大限に尊重する国であり、もはやアジアに残された希有な自由の国であると、こういう評価であります。
我が国の新型コロナ対応が世界的に見てもまれな統制色が極めて薄いというものであることは皆さん御承知のとおりであります。その中で、内外のメディアや専門家は、緩過ぎる、甘い、それとか、お願いだけして命令はしないのかと、こういうことをよく言われました。やゆもされたし脅しもされました。いや、どうせニューヨークのようになってしまうのはもう時間の問題だと、このようなことを言われておりました。そして、少しずつ終息を迎えてきて、大分手のひら返し的に、ジャパン・ミラクルだとか、まあちょっと皮肉を込めてジャパン・ミステリーとか、こんなようなことも言われてきているわけでありますけれども。
しかしながら、やはり我が国が自由という価値、これを守り続けてきた、この危機に当たっても守り続けているということは大変高い評価が受けられるべきものではないかと思います。麻生大臣の見解をお伺いします。
○国務大臣(麻生太郎君)
これだけ法案に関係ない質問も珍しいと思いますけれども、自民党に来られてそれだけ自由になられたということなんだということで、おめでとうございました。
この話は、中西先生、どうでしょうね、自由と言うけど、憲法上できなかったから結果としてなっただけであって、そういった見識を持ってこれに臨んだのかね。なかなかそういった制約が、憲法上の制約があったから結果としてこれが最大限だったというように理解して、それでも効果があったというところがみそですかねと、私はそう思いますね。
どうして日本だけこうなったのかと。それは、いろいろこれは、厚生省とか医者とかいうのがいろいろ後でもう一回検証してもらわなきゃいかぬのだと思いますけれども。
少なくとも、アメリカはあれ、出ると一回千ドルでしたかね、罰金が。今言ったフランスの場合は、再犯の場合は四十五万円の罰金というようなことをやっているんですけれども、日本じゃそういうこともなく、お願いだけでこれだけ来た。いわゆる、こういうのは死亡率が一番問題なんですけれども、これで調べてみたんですけど、人口比でいって、百万人当たり日本は七人ということになるんですね、死亡者ですよ。こういうのは、結果は死亡者ですから、戦争も何も皆、最終的に死亡者が何人でその戦争が勝ったか負けたかと言われるような話になりますので。
フランスの場合でしたら、これは間違いなく、二百二十八人、アメリカが八百二十四人、イギリスで三百九人、日本は七人、何かおまえらだけ薬持ってるのかってよく、電話掛かってきたときよく言われたもんでしたけれども。私どもとしては、これは、そういった人たちの質問には、おたくとうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだといっていつも言って、言ってやると皆絶句して黙るんですけれども。それすると後の質問が来なくなるので、それが一番簡単な答えだと思って、クオリティーが違うという話、よくしていましたけれども。このところ、その種の電話もなくなりましたから、何となくこれ定着しつつあるんだと思いますけれども。
やっぱり、こういった島国ですから、何となく連帯的なものも強かったし、いろんな意味で国民が政府の要請に対して極めて協調してもらったということなんだと思いますけれども。いろんな意味で、暴動が起きたわけでもなし、いろんな意味で国民性、いろんな表現があるんだと思いますけれども、結果論としてはこれ良かったんだと思って、あとはまたDNAがどうしたとか、みんな分かったようなこと、いろんなテレビで言っている人いますけど、ああいった人はついこの間まで、このままいったら四十五万人死ぬと言っていた人たちが、ようどの面下げてあんなこと言えんのかねと思うぐらい言ってますわね。不思議だなと思って、いつも、それだけ表現は自由なんでしょうな。それは間違いなく自由だと思って聞いていますけれども。
いずれにしても、何となく、先進国の中で最も死亡率が低くて、絶対数も圧倒的に少ないですから、その意味では、国民の御協力があったというのが一番、それに尽きるんだと思いますけれども。いずれにしても、こういったような、かなり海外から見れば緩いお願いレベルの話であってもこれだけ効果が上がったということは、これはもう我々としては非常に誇りに思わないかぬ大事なところだと思ってはおります。
○中西健治君
民度が高いということ、なかなか私も外国人と話して、それは言いづらいというところもございますけれども。実際に、この一週間、二週間、海外に住んでいる、海外で働いている、アジアで働いている人たちと話しますと、日本で働きたいとか、日本人であれば日本に帰りたいとか、こういう声がすごく強いんです。それは大臣がおっしゃられた死亡率が低いということは、これアジアですから余り水準としてはそんなに変わりがないんだろうというふうに思うんですが、それは何かというと、何か息苦しさみたいなもののようなんです。
というのは、例えばシンガポールで言いますと、シンガポールって元から統制色が非常に強い国であります。チューイングガムを持っているだけで罰金八十万円ですし、公共の建築物、これを汚したりするとむち打ち刑ということが決められているということであります。
そして、今回のコロナの対応ですごくショッキングだったことがあるというんです。それは、普通のオフィス、シンガポールの普通の事業所、オフィスに警官が入ってきて、ソーシャルディスタンスを保っているかどうか、これをチェックしていくんです。制服の警官が入ってきて、一メートル、二メートル取っているかということをチェックしていく、チェックしている。そして、いや、こういうのあり得ない、すごいショッキングなことだと言うんですね。もう本当にこの息苦しさ、これはやはりシンガポールでは駄目だという声が非常に強く出ています。
そして、香港は御存じのとおりであります。香港って以前は自由闊達、少しわい雑な雰囲気もあって非常に自由なところだったわけですけど、この数年間どんどん変わってきて、そして今回、国家安全法が制定されるということになりましたから、外国の企業がアジアの拠点を香港に置く理由はもう失われたということなんじゃないかと思うんです。
その中で見直されているのが日本であり、東京だということなんです。これ、日本が非常に大きなチャンスなんだよと言われるんですよ、私。おまえら分かっていないだろうと言われるんです。日本の政府も分かっていないんじゃないか、こういうふうにも言われるんです。
これ、チャンスだと思うんですけれども、麻生大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
分かっていない人がほとんどですよ。それは余り期待しない方がいい。金融が分かっているという人でも、国際金融が分かっている人というのはほとんどおられませんから。だから、円高になったといったら、百円が百十円になったら円高になったと思う人が多いんですから、それが普通ですよ。だから、その程度のところにいきなり国際金融センターというのは、これは決して悪い方向だとは思いません。
考えてみれば、十八世紀、十九世紀、いわゆる重商主義時代に金稼いだイギリスは、その金使ってシティつくったわけでしょう。第二次世界大戦後、世界のGDPの四〇%を一手に持ったアメリカは、いわゆるウォールストリートをつくって、じゃんじゃんやり始めた。みんな物づくりから金融に移転していったわけですよね。日本もやりますか。一億二千七百万、金融で飯は食えますかね、この国。大阪、商品のいわゆる取引所というのは、あれは八代将軍吉宗公の頃に既に公認になっていますから、あそこは、淀屋橋にあるんですけれども、シカゴ・マーカンタイルより四、五十年歴史が古いぐらい、世界最初の先物商売やっているところですから、僕は先天的にそういう能力は日本のあきんどという士農工商の一番下と言われた人たちのレベルはそれぐらい高かったんだと、僕はそう思っていますけれども。さあ、それで、一億二千七百万人食わせるほど金融業だけで稼ぎ出せますかね、この国は。という感じがしないでもありませんので、僕は、ちょっとアメリカとかイギリスみたいなことになっていくのはいかがなものかなと、私自身はそう思っていますけれども。
いずれにしても、東京にそういったものが出てくるということをやめたがいいと、止めた方がいいと、そういうのをすべきじゃないというのには反対、僕は。むしろ、そういうのはできるものならやった方がいい、結果論として。僕はそういうものになっていくというのは決して悪い方向だとは思いませんし。
円というものも今日百七円、百八円ぐらいで止まっていますけれども、少なくとも今、日本の場合は、国際金融の世界の中で最もリライアブル、信頼される通貨の一つにのし上がったことは間違いありませんので、そういった意味では、国際金融としてマーケットを東京にという方向、流れというのは出てきてもおかしくはないと思いますし、それは阻止すべきものだとか言う気も全くありませんし。
円の国際通貨になることにびくびくするというようなことを言っても、流れとしてはそういうことになっていくんであれば、それは決して国として国益に沿うという話でもあろうと思いますんで、それなりに責任が大きくなりますから、仕事は増えますし、いろいろやらなくちゃいかぬこともありますでしょうが、規制やら何やら含めていろんなものをきちんとやっていかにゃいかぬというような話で、今既に随分その種の関係するものに関しては、金融庁の出版物等々の出版物も日本語プラス英語のものが今ずっと出始めてきているというんで、あれは随分楽になったという人もいますから、流れとしてそういう方向に少しずつではありますけれども、行っているような感じがしないでもありませんけれども。
私どもとしてそういう意識がもっと金融界の中に出てくるであろうかといえば、なかなかそういった意識が今の金融の若い方の中に出てきている、フィンテックというようなところでも随分出てきているような感じがしますけれども、今の頭取とか重役とか見ていて、とてもじゃないけど国際金融なんて顔じゃないですな。もう全然ピントが違ったような話しかされませんから、もうちょっと国際的なことをといってもうちには関係ないという感じの方が多いですから。なかなかそういった意識的なものが変わってくるまでに、中西先生、もう少々時間が掛かるかなとは思ってはいますけど、流れとしてはその方向に行きつつあるんだと思っています。
○中西健治君
一億二千七百万人、金融で食べていけるとは到底思いませんが、ただ、やはり流れは強める絶好のチャンスが、この数年間、到来するんじゃないかなと、こういうふうに思っているので、やはりそこは、流れを、もちろん止めないどころか、やはり強めていく動きをするべきなんじゃないかと思うんです。
働き方も変わっていきます。そうすると、都心のオフィス市場というのも少し減るというようなこともあって移りやすくなるということも当然あると思うので、日本の金融機関の評価は余り高くないようでございますけど、海外のファンドとか、やはり海外の金融機関とか、これも呼んでくるということは、これは十二分にやりやすい環境が来るのではないかというふうに思っています。そこはどうか御認識をいただきたいと、こういうふうに思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
昔はGDPということをよく使って、国民総生産とか、また貿易収支なんということをよく新聞に書いてありましたけれども、今は石油が下がったおかげで貿易収支が黒字になりましたけど、ついこの間まで赤ですから。じゃ、日本が何で稼いでいたんだっていえば、それはGNIで、グロス・ナショナル・インカムで稼いだわけですから、海外で投資した分、まあ円高不況とか訳の分からぬことを言っていた人もいましたけれども、国の通貨が高くなって、簡単に言えば、二百四十円が百二十円ということで、対外的には日本の資産は倍になった、金融資産が倍になったということになりますので、それであっちこっちの工場を買って、MアンドAやって、あらゆることやって、結果として、海外で稼いだ金を日本に送金してくるという意味で貿易収支に代わって金融収支がえらく増えて、結果として日本は今のこのGDPに代わるGNIという指標を持って、日本の国力というものがだんだんだんだんそっちの方で上がってきた。その分の方が今は多いぐらいですから、それが現実ですので、是非そういった流れからいけば、今、中西先生御指摘の方向に確実に動き出しつつあることは確かだと思いますが、同時に物づくりの方もきちんとやっておかないと残りの一億二千万はなかなか難しいかなという感じは、私自身の見解です。
○中西健治君
どうもありがとうございます。
今、サプライチェーンの見直しというのをいろいろ製造業を中心に行うと。マスクなども国内で生産するということだけではなくて、全ての世界の企業がやはり海外拠点をどこに配置していけばいいのか、こうしたことを見直し始めているところだと思います。ですので、その中で、今の大臣のおっしゃられたことも頭に置きながら、やはり流れを強めていくということをしたいなというふうに思っております。
では、金融商品販売法について、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
今回の改正によって金融サービス仲介業というものが創設をされます。特定の金融機関の下に付くという形ではなくて、金融機関と仲介業者が言わば対等な関係になって、そして銀行証券、保険、全ての分野のサービスを扱うことができるということになります。
顧客にとっては利便性が高くなるということでありますけれども、今までのようにどこかの大きな保険会社などが指導をしているということではなくなってくるということになりますので、どうしても顧客保護の観点からのチェック機能が低下する可能性があるということについてどのように担保していくのか、金融庁に聞きたいと思います。
○政府参考人(中島淳一君)
お答えいたします。
ただいま議員御指摘のとおり、新しい金融サービス仲介業の創設に当たっては、利便性の向上と顧客保護とのバランスを取ることが重要と考えております。
今回創設する金融サービス仲介業者については、いわゆる所属制を採用しないため、所属先の金融機関による指導監督が及ばなくなることを勘案し、取引可能な金融サービスの範囲を仲介に当たって高度な説明を要しないと考えるものに限定をすること、また、例えば投資信託の購入代金や保険契約に係る保険料といった利用者の財産を受け入れることを禁止すること、また、万が一不十分な商品説明を行うなどして顧客に対して損害を加えた場合に備えて、保証金の供託を義務付けることなどを通じて顧客保護を図ることといたしております。
○中西健治君
もう一つ、この仲介業者の手数料についてちょっとお伺いしたいんですけれども、顧客本位の営業によって利便性の高いサービスが提供されるようになることを私期待しているわけでありますけど、残念ながら、金融商品を販売する際には、やっぱりこの手数料が多いかどうかによって、この商品を売る、あの商品を売らないということが、やはりインセンティブが変わってくるということになるのではないかと思います。
数年前にこの委員会で、私は生命保険の銀行販売取り上げました。当時は外貨建て保険というのがすごい勢いで売れておりまして、それはどうしてなのかというと、保険の手数料が四%から九%、初めに売るだけで四パー、九パーと、元本の、もらえるということで、これは開示しなきゃいけないんじゃないかということをこの委員会で申し上げました。その後、開示されるということになったわけでありますけれども、今回も、保険の手数料、これは求めがあれば開示するということになっていて、あらかじめ開示されるということになっておりませんけれども、それでいいのかどうか、どうしてそうなのか、そこについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(中島淳一君)
お答えいたします。
なぜ顧客からの求めに応じて開示することとしたのかというお尋ねでございますけれども、所属制を取らない点において金融サービス仲介業者と共通する保険仲立人の制度においては、保険仲立人が金融機関から受け取る手数料は顧客からの求めに応じて開示することとされており、金融サービス仲介業者についてもこれに倣った制度としたところでございます。
なお、金融庁が二〇一七年に公表した顧客本位の業務運営に関する原則においては、金融事業者は、金融商品、サービスの販売、推奨に係る重要な情報を顧客が理解できるよう分かりやすく提供すべきとされ、重要な情報には、顧客との利益相反の可能性がある場合にはその具体的な内容が含まれるべきと、さらに、第三者から受け取る手数料等もこうした内容に含まれるとされております。金融サービス仲介業者においては、こうした趣旨を踏まえた対応が進むことを期待しております。
なお、御指摘のありました外貨建て保険と言われるような保険商品については、金融サービス仲介業者が取り扱うことができる商品から除外してはどうかということを考えております。
○中西健治君
顧客保護を徹底する意味でも、やはりこれはにらみが利いた形であってほしいと、このように思っているところであります。
もう一つ、ちょっと違う話をお伺いしたいと思います。それは、LIBORというものが廃止されるということについてでございます。
LIBORというのは金融のイロハのイでありまして、短期金利の指標として、金融に入ったらすぐ使われることであります。長期金利の指標というのはUSトレジャリーボンド、アメリカの財務省証券の金利でありますけれども、これがなくなるということは私からすると本当に天変動地みたいなことでありまして、常に短期金利の指標としてそれを見ているわけでありますが、このLIBOR、どういったものかということと、どうして廃止されることになったのか、こうした経緯についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(森田宗男君)
お答え申し上げます。
LIBORと申しますのは、リファレンスバンクと呼ばれる金利レートの呈示銀行が、ロンドンのインターバンク市場におきまして、自行が無担保で資金調達をする際の市場実勢と考えられるレートをLIBOR運営機関に呈示し、当該運営機関より、呈示のあったレートを一定の算出方法に基づき算出、公表される指標金利でございまして、貸出債権やデリバティブ取引などで国際的に広く利用されているものでございます。
LIBORにつきましては、その不正操作問題が二〇一二年以降複数明らかになり、国際的な大手金融機関が相次いで処分されるなど、その信頼性、頑健性が低下する事態となりました。その後、各国金融当局者間で金利指標改革の取組が行われてきたところでございますけれども、LIBORの監督当局である英国FCAのベイリー長官が、二〇一七年七月の講演におきまして、LIBORの算出の裏付けとなる銀行間の無担保資金市場の取引が十分に活発でないこと、また、多くのレファレンスバンクが十分な実取引の裏付けがないレート呈示の継続に不安を覚えていることを理由に、二〇二一年末以降のLIBORの恒久的な公表停止を強く示唆するスピーチを行ったところでございます。これをきっかけに、LIBORの公表が恒久的に停止される可能性が高まっているものと承知しております。
○中西健治君
LIBORというのは、今御説明あったとおり、金利の指標として、短期金利の指標としてもういろんな取引に使われていて、総額で多分二百兆ドルを超える金額のレファレンスに使われているということであります。スワップ、短期金利と長期金利を交換するときは、短期金利はLIBORを使って、それを三年間もらうんだったらそれに見合う固定金利は幾らなんだというので算出されていくわけですから、金融数学の基本でもあるということであります。
これがなくなると大混乱も起きかねないということでありますが、今の対応についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(森田宗男君)
お答え申し上げます。
二〇二一年末のLIBOR公表停止を前提としまして、我が国を含む影響を受ける各国におきましてそれぞれ代替金利指標の構築等の取組が行われてきております。
金融取引におきましてLIBORに代わるどの金利指標を利用すべきかにつきましては、基本的には民間当事者間の問題であるところ、我が国におきましては、二〇一八年八月に金融機関、事業法人、機関投資家等の幅広い関係者から構成され、日本銀行を事務局とする日本円金利指標に関する検討委員会が設立され、同委員会を中心に検討が進められてきております。この委員会の検討を基に、先般、LIBORに代わる金利指標の一つであるターム物リスク・フリー・レートの参考値が公表されたところでございます。
金融庁といたしましても、LIBOR公表停止の問題は、LIBORを参照している既存契約の顧客との間での改定の問題、リスク管理、システムの変更など、金融機関の業務に広範に影響が及ぶことから、累次にわたり金融機関に対して注意喚起を行ってきております。また、日本銀行と共同でLIBOR参照契約の規模の調査を行うとともに、先般、主要な金融機関の対応状況を確認するための調査票、いわゆるDearCEOレターを発出したところでございます。
金融庁といたしましては、二〇二一年末という時限を意識して、引き続き日本銀行及び市場関係者とも連携して、LIBOR公表停止に向けた取組が円滑に進むように対応してまいりたいと考えております。
○中西健治君
これ、余り取り上げられていないんですけれども、大変大きな話でありまして、二〇二一年末ということで、もうあと一年半ということでありますので、是非細心の目配りをお願いしたいんですが、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
ロンドン・インターバンク・オファード・レートでしたっけ、略してLIBOR、ロンドンの銀行間の取引金利を決める話なんですけど、これがなくなると、これは銀行で債券をとか、デリバティブとかなんとかというもの、これ、それが基ですから、それがなくなっちゃうということになると、これは銀行として何を基に金利決めるかという、最も基本的なソフトのインフラはこれかなと思うぐらい、国際金融の中ではこのLIBORというのはソフトのインフラとしては最もでかいものかなと僕はそう思っていますので。これちょっと、いろんな、いいかげんな話があったというのでこれが停止になった、それ自体は確かなんですけれども、これに代わるリライアブル、信用のあるものをつくり上げておかないとというので、まあ誰かがやるだろうぐらいに思っていたんだとは思いますけれども、何となく、まあコロナも重なりまして、なかなかそういった話になっていないのが現状ですから、その意味では、今の段階としてレター、レターというか、CEOに対してのあれを出しておりましたりしていますけれども。
そういった話ですけれども、政策局長の方から話をしましたように、各銀行のトップ宛てにそういった、これに代わるものをちゃんとしておいてくださいよというお話を申し上げてはおりますけれども、何となく、すごく国際的な金融の取決めでもありますので、とてもうちなんかでと思っておられる方がほとんどのように見受けますけれども、これは、どこかでこれをやらないと、ある日突然にできないまま流れ込んできたということになったら銀行の対応は非常に難しいことになりますので。
そういった意味では、このCEOレター出させていただいておりますけど、これ、無用の混乱、そうですな、無用の混乱が起きるということがあり得ますので、きちんと日本の銀行の場合は、相対的に資本の内容もいいですし自己資本比率も極めていいことになっておりますので、ここがくちゃくちゃになるなんということにならないようにしておかないかぬと思って、今のうちから少なくともそういった意識だけは持っておいてもらわないかぬと思って、まずはウオーニングと、警告の段階でCEOのレターを発出させていただいたというところまではさせていただいております。
○中西健治君
ありがとうございました。
「新型コロナ対応」「金融商品販売法改正」「LIBOR(ライボ)廃止」について質疑を行ないました。
みなさんが直接目にすることはまずありませんが、金融界において「LIBORが無くなる」とは、「グリニッジ天文台が無くなる」つまり世界の標準時が分からなくなるほどの大事件です。廃止まで1年半。官民一体となった取り組みが必要です(後日、動画と議事録全文を投稿します)
「緊急G20開催」「納税期限延長」「NISAの簡素化と拡大」「東証改革」など様々な提言を行ないました。是非、ご覧ください。最後は時間切れになって、かなり端折りながら超特急で走っていますが(苦笑)
○中西健治君 おはようございます。自由民主党の中西健治です。
新型コロナウイルスが猛威を振るっております。見えない恐怖とも言える未知のウイルスの感染拡大への対応がいかに困難であるかということは、想像に難くありません。今般の非常事態に対し各方面で尽力されている皆様方に改めて敬意を表したいと思います。
さて、世界経済、世界市場にも混乱が広がっております。昨日はニューヨーク市場でダウ平均が二千ドル以上下げました。原油価格も三割下落しているということであります。
リーマン・ショック以来という表現もされますが、リーマン・ショックのときは金融市場が震源地でありましたから、金融当局が集まって、ニューヨークの連銀ですとか大手の銀行が集まってその善後策を考えるというようなこともありましたけれども、今の市場は、どちらかというと、もうなすすべもないということで、
私は随分長いこと金融市場で働きましたけれども、日本のバブルがはじけたとき、あのとき、どんどんどんどん株価が下がっていって、売り持ちを持っているディーラーだけが大きな声を上げているけれども、あとの人たちは茫然自失と、そんなような状況、それをデジャブのように思い起こすというような状況であります。
こうした市場の動きについて、まず麻生大臣、所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) リーマン・ブラザーズのときは、サブプライムローンなんてもう忘れちゃった言葉かもしれませんけど、この怪しげな金融商品を格付トリプルAくっつけて売り倒した多くのアメリカの会社、中でもリーマン・ブラザーズというのがあるんですけれども、これが一番大きくやっていたんですけど、
それが金融が破綻したということに端を発してマーケットからほぼキャッシュがなくなる、オーバーナイトコールが五%ぐらいしましたかね、あの頃は、むちゃくちゃな時代だったと思いますが。
今回は武漢発のウイルスの話で、何となく新型とか付いていますけど、武漢ウイルスというのが正確な名前なんだと思いますけれども、武漢ウイルスなるものが出てきて、それが隠してあったために、ある日突然にうわっと広まったのが一月の二十日以降という形になっていますけれども、そういった形になっているんですが、それが今、日本にもその影響が出てきたという形になってきているのが今の状況ですけれども。
リーマン・ブラザーズ並みという表現は、株価の下落の仕方が二千ドル行きましたんだし、今日、日本の株価は一万九千円にまた戻していますけれども、一時百一円まで円が上がっていましたから、今百三円ぐらいになっているんだと思いますが、
石油の値段も、逆に、この内閣がスタートした頃は百ドル超えていましたのが今三十二、三ドル、バレルで、そういった形になってきていますんで、いろんなもののあれが、ばらばらのものがわんわんいろいろ形で神経質な動きは見せているというのは間違いない事実だと思いますけれども。
私どもとしては、G7の電話会合やら何やらやらせていただいたり、IMFの電話会合やらいろいろやらせていただいていますけれども、何となくコロナの話、あれはアジアの話と思っていたG7の残りのところはかなり慌てた、
イタリアであれだけになりましたので、それでおたおたしているというような感じはしますけど、そんなもの俺たちはもっと前からやっておるわいと、一月前からやっていますという話をして、少なくとも日本としてはそれなりの対応はでき上がりつつあるんだと思っておりますので。
引き続き、これは細かい資金繰りみたいな話で金融の話とは全然違いますので、そういった意味では、影響が出てくる中小零細の企業者のいわゆる資金繰りという部分を丁寧に細かく、きめ細かくやっていかないかぬところが一番肝腎なところじゃないかなという感じはしております。
○中西健治君 ありがとうございます。
今大臣のお話の中で、G20、二月にリヤドで行われたときのG20、イタリアはまだ人ごとだったという、まあ人ごとに近かったと、こういうお話なんじゃないかというふうに思います。
これ、やっぱり、このウイルスが伝播していく、感染症が伝播していくのには時間、タイムラグがあるわけでして、地域によって危機感の高まりというのが時期がずれているということなんじゃないかと思います。
ですので、二月の二十一、二十二に行われたリヤドでのG20、麻生大臣も参加されたG20のコミュニケを見ますと、このコロナウイルスは経済の下方リスクの一つとして扱われていて、全面的に大きく扱われていたわけではないということじゃないかと思います。
そして、大臣が今おっしゃられたG7の電話会議などで各国連絡は取っているのは分かります。FRBも五〇ベース利下げをその後に行うということもありましたが、私が感じるに、各国当局の動きがいまいち統一感がないなと、こういうふうに思っています。
それはなぜか、何と比較して言っているかというと、リーマン・ショックのときには、日本はちょっとそれに参加しませんでしたけど、六か国が一斉利下げというものを行ったりもいたしました。それに比して、それぞれの国々の動きというのが統一感が見えづらくなっているんじゃないかと私は思っています。
先週、G20の声明は出ていますけれども、私は、今こそ、この危機感が全世界で共有できているときだからこそ、改めてG20の会合というものをやった方がいいんじゃないかというふうに思います。
麻生大臣は、このリーマン・ショックが起こった後にG20をつくられた、そのときのメンバーでもありますから、今回、G20を、これ物理的に集まるのがリスクが高いということであれば、ある日を決めて、きっちり一、二、まあ何時間か掛けてテレコンファレンスを行うと、そして、その後、きっちりとした意思を示すだけじゃなくて具体的な行動も各国が示すというようなことをやるべきなんではないか、
そういう緊急G20の提唱ということを、麻生大臣、リーダーシップを取っていただくことはできませんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 少なくとも、アメリカで、日本に着けていたあの船、あれはアメリカが持っている船をイギリスがオペレーションしてイタリア人が運転していると、その責任だけこっちに回されてたまるかと。
誰の責任だ、これ、元はといえばそっちじゃないかという話が私が申し上げている話ですけれども、G7じゃなかった、リヤドのときもそう申し上げたんですけれども。
今回、その同じ会社の船が今サンフランシスコの沖でということで、今日接岸するそうですけれども、そういった形になってきて、アメリカでも一挙にこのコロナの話が急激に広まりつつある。
しかも、これは西海岸じゃなくて東海岸で同じようなことがあってということになって、ワシントンでも出たはずなので、何で日本の国会じゃ起きないのかなと思って不思議に思っているんですけれども、本当はおられるのじゃないかとかいろんなことは思いつつニュースなんか見ているんですけれども。
そういった今の状況の中にあって、アメリカはまだ今は関係ないという感じで、一応昨日のトランプはCNNですかBBCだかでやっていましたけれども、そういった状況にあるとは思いますけれども、
ヨーロッパでイタリア、それに続いてスペインがいて、だんだんだんだんイランだ何だという形になってきていますけれども、私ども、ヨーロッパでは中国との付き合いの深い国の方がなるななんと思いながら見ているんですけれども。
そういった状況の中にあるので、今声掛けたら、前回の、一週間前のときは日本から声掛けてああいうことになったんですけれども、今回は向こうから声掛けてくるかなという感じがしないでもありませんけれども、
少なくとも、今声を掛けるのは多分これ、ヨーロッパとしては、サウジアラビアに言って、サウジアラビアは今議長国ですから、サウジアラビアから言わせにゃいかぬということだと思って、私どももそういう手続を踏んでやらせていただきましたけれども、本当はヨーロッパがやらにゃいかぬ順番なんじゃないのかねと思ってはおりますけれども、
いずれにしても、何となく全体としてアメリカも含めてこれ結構まとまってきつつあるかなという感じがしますので、今の御提案というのは一つの考え方としては参考になります。
○中西健治君 全世界的に市場に動揺が広がっておりますので、それを何らかの形でこの動揺を収めていくというためにも、やはりG20若しくはG20プラスという形にもひょっとしたらなるのかもしれませんが、そうした形でアクションを取っていくということは是非お願いしたいというふうに思っております。
そして、国内のことで言いますと、今年度の予算、予備費を二千七百億円強ありますので、活用して対策を打っていく、そして、令和二年度の予算案が可決すれば、そこに予備費が五千億ありますので、その一部は使えるということにもなっていくんだろうというふうに思いますけれども、それで足りるのかという議論は大きく、強くなっていると思います。
今の予算の審議をしているときに補正予算の話というのはしにくいということだろうというふうに思いますけれども、今補正予算を作るというよりも、一月から三月、二月、三月の経済の落ち込みを四月、五月に出てくる指標で確認して、そしてこの経済への打撃の広がりを見た上で補正予算を作るという方向、これについては財務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今日夕刻にでも第二弾というのを出させていただくということを政府では考えておるんですけれども、その内容が発表されてからの話だとは思いますけれども。
いずれにしても、今回の場合はいわゆる資金繰りの話がほとんどであって、旅館の話がよく出ますけど、旅館にお客が来ないので、食べて帰った後金払わないのと訳が違いますから、こちらの方がよほど被害が大きいんで、来ないというんだったら単なる固定費が掛かるだけの話で、いわゆる流動経費が掛かりませんから、
そういった意味では、私どもとしては、金をどう取るのという話というのは幾つもありますけれども、そういったところの資金繰りというのは、かなりの絶対量が、意味が違うと思っておりますので、そういったお金の掛かる方というのを細かく今、
例えば、そうですね、信金、信組、第二地銀等々の中小零細の金融を扱う対象の小規模の金融機関は間違いなく、いざっと待っていれば客が来るなんという発想はやめろと、自分から行って、おたく資金繰り大丈夫ですかと聞くのが今回の仕事というのを既に下に、何ていうのかな、金融機関にはそれ通達しておりますので、
そういった意味では、これやった結果、その内容、例えば条件変更ということになって、手形ジャンプする、手形をジャンプするね、ジャンプさせるのを、それから、そうですね、金利を引き下げるのを繰延べするのというような条件変更というものをやっていくという細かい対応をすることという話も下に通達が出ておりますし、
これいろんな問題であったらその対応の仕方によっていろいろ銀行によって違うと思いますし、支店によっても違ったりいろいろしますので、その通達の結果どうなったかという内容については公表させてもらいますということも既に通達をしておりますので、
それがどういう結果に出てくるかはよく見ておかないかぬなとは思いますけれども、きめ細かな対応をやっていかねばならぬと思っております。
○中西健治君 ありがとうございます。
今大臣がおっしゃられた通知、通達、金曜日の時点で改めて政府系金融機関及び民間金融機関に対して、条件変更等に柔軟に応じること、そしてどれだけ応じたのかというのを報告すること、さらにはそれを公表するということを示されておりますので、
何といっても年度末迎えますので、金融庁の方にはやはり、財務省もですね、こうした公的金融機関、民間金融機関がどれだけ対応しているのかということをしっかり見ていていただきたいと思います。
もう一つ、国税庁にお伺いしたいと思います。
二月二十七日に国税庁から、所得税、贈与税、消費税の申告納付期限を四月十六日まで延長するということが発表されました。同日、総務省からも各地方団体において適切に運営されるようお願いする旨の事務連絡が出されており、地方税にも同様の動きが広がると考えられております。
ただ、所得税と贈与税が、元々三月十六日だったのが四月十六日ということは、一か月これは延びると、延長されたということ、消費税に関しては三月三十一日から四月十六日ですから、二週間ちょっと延長、延びたにすぎないということになります。
目先の資金繰りが死活問題となっている個人事業主などに関しては、納付期限をもっと大幅に、例えば三か月、もっと言えば半年延ばせば非常に有効な支援策になると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(田島淳志君) お答えいたします。
ただいま議員から御指摘ありましたとおり、今般、新型コロナウイルス感染症に係る政府の方針を踏まえ、確定申告会場における混雑の緩和を図ることにより感染拡大を防止する観点から、個人納税者に係る申告所得税、贈与税及び消費税の申告納付の期限を全国一律に令和二年四月十六日まで延長することとしたところでございます。
お尋ねのこの更なる期限の延長についてでございますが、まずは、この延長された期限である四月十六日まで申告会場などの感染防止策の徹底などに万全を期していくと、その上で、今後の政府全体の方針などを踏まえながら、適切に対応していくことになろうかと存じております。
なお、こうした今回行いました全国の納税者一律の制度ではなくて個々の納税者の方に対する制度として、例えば、議員が今御指摘になりましたが、資金繰りなどの関係で一時に納付することが困難な事情がある場合、こうした場合には、この制度とは別に、税務署への申請により納税の猶予などを行うことができる制度がございます。
この制度の運用に当たっては、国税庁としては、納税者個々の実情をよくお聞きし、納税者の置かれた状況に配慮しながら、法令に基づき適切に対応してまいりたい。
いずれにしても、納税者におかれましては、最寄りの税務署に何なりと御相談いただければと考えてございます。
以上です。
○中西健治君 四月十六日まで延長したのは混雑の緩和ということが理由になっているわけですけれども、今お話し申し上げているとおり、個人事業主などにとって大変厳しい状況は全国的にも起きているということですので、個々の対応というよりも、政府が意思を示すという意味でもこの期限の延長というのは是非御考慮いただきたいと思っているところでございます。
もう一つ、厚労省にお伺いしたいと思います。
先日発表となりました子供の世話で休んだ従業員に対して給料を払った会社に関しては助成金を出す制度、これは正規、非正規を問わず助成するものでありますので、高く評価したいと思っております。
ただ、これはあくまで子供のいる従業員が対象となっております。子供のいない従業員に関しても正規、非正規を問わず助成する制度をつくるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(松本貴久君) 先生御指摘の今般の一連のコロナウイルス対策への対応におきまして、小学校等の臨時休校等により子の世話のために仕事を休まざるを得なくなった労働者に有給の休暇を取得させる事業主に対して、休暇中に支払った賃金相当額の全額を助成する新しい助成金制度を創設することとしたところであります。
また、子供の有無にかかわらず、労働者が使用者の責に帰すべき事由により休業させる場合は、させられる場合は、労働基準法第二十六条に基づき、使用者は当該労働者に平均賃金の百分の六十以上の休業手当を支払う必要があるところでございます。
厚生労働省としては、雇用調整助成金について感染拡大防止のための休業等にも活用できることを明確化したところであり、子供の有無にかかわらず、こうした休業に伴う手当を支給した事業主を支援することとしておるところでございます。
○中西健治君 ありがとうございます。
良い制度でも、いかに良い制度でも、実行されるのに半年も一年も掛かるということになってしまうと、今必要なところに手が差し伸べられないということになりますので、迅速な執行をこれに関してもお願いしたいと思います。
続きまして、ちょっと、今回の税制改正に絡んで、ひとつNISAの問題を取り上げさせていただきたいと思います。
家計の中長期的な資産形成を支援する観点から、NISAというものは私は積極的に推進すべきものであるというふうに考えておりますが、今回の税制改正でNISAのつくりがまたちょっと分かりにくくなったと、設計分かりにくくなったという声をよく聞きます。
元々、NISAがあって、つみたてNISAがあってジュニアNISAもあってと、どういうことなんだということは前から言われていたわけですが、ジュニアNISAはなくなりますけれども、
新しいNISAは二階建ての設計になっていて、一階建ては、一階部分はつみたてNISA同様、けれども金額がつみたてNISAの半分、そして二階部分は一階部分をやった人が行うことができるんですが、今までのNISAが引き継がれると、こんなような形になっているんですが、
やっぱりこの分かりづらさという点は、更にちょっと複雑化したのが分かりづらいということになってしまっているんではないかというふうに思います。
以前、貯蓄奨励策として八〇年代まで採用されていたマル優は、銀行預金、郵便貯金、国債などの利子がそれぞれ元本三百万円まで非課税と、まあ単純明快でありましたので、国民の大多数がこの制度を利用していました。
利用するに当たって制度の理解に頭を悩ませたという人はいなかったのではないかと思います。
今回、複雑化、更にしたというふうに私は思っており、多くの人が思っているようでありますけれども、今後の方向性として一本化していくべきなんではないかというふうに思います。
それは、元々のNISAに一本化するのか、つみたてNISAに一本化するのか、どちらかということになるんですが、この中長期的ということであれば、つみたてNISAを大きく拡充した上で一本化するのかなとも思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) この新たなつみたてNISAの話ですけれども、これは、より多くの方々に積立てとか、いわゆる分散投資によって安定的な資産形成を促したいという観点からこれはスタートさせていただいているんですが、今言われましたように、原則として一階部分の積立投資を行っている場合には、今言われました別枠、二階建ての非課税投資を加える仕組みに見直すことにさせていただいております。
今おっしゃるように、見直しが分かりづらくなったのではないかという御指摘なんですけれども、少なくとも、NISAは、新しいNISAは基本的には現行の一般NISAとつみたてNISAを確かに組み合わせたという、簡単に言えばそういう制度でありますので、そのことを分かっていただければ現行制度と同じように御理解いただけるのではないかと思っております。
新NISAが発行される二〇二四年までの間に時間もございますので、十分に周知徹底をさせていただく、公知、広報などいろいろさせていただきたいと思っています。
また、今、一緒にしたらどうだという御意見ですけど、既にこれ千万口座を超えていると思うんですけれども、千万口座超えているの、ちょっとやめちゃうというのはなかなかな、本当にちょっと一緒にするといってもそんな簡単にはいかないだろうという感じはしますので、
私どもとしては、今回の改正を通じまして、広く御理解いただいて、安定的な資産形成を更に促進していっていただければと思っております。
○中西健治君 自由民主党の税調のお歴々がいらっしゃいますので、この税制改正について触るときはなかなか注意してお話をしなければいけないということではあるんですが。
このつみたてNISA、私は、これ年間四十万で二十年という設計になっているんですけど、八百万円、これは八百万というのはどうも響きが余り良くないなといつも思っておりまして、
例えば一千万とか、例えば、二千万は何かの数字と符合しちゃうんですが、二千万にできるとか、若しくは、四十万だと十二で割ると一か月割り切れないという話もありまして、毎月積み立てるんだから、それは割り切れる数字にしようよとか、いろんなもっともだという御意見がありまして、
これはもっとちょっと割り切れる数字にして拡大するというのはいかがなものでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃるとおり、現在のつみたてNISAというのは、非課税枠の大きさが二十年間で八百万、そして一般NISAは五年間で六百万というのを、これを参考にさせていただいて、家計の安定的な資産形成というものを支援するという観点から、政策上の必要性を踏まえて決定をさせていただいたという経緯だったと記憶します。
このつみたてNISAですけれども、いわゆる保有しておられます金融資産というものを一気に非課税投資というのに振り向けるのではなくて、むしろ月々に収入からこつこつためていただくという、長期間の積立てをされる方に対する支援というところのために創設されたものであることを踏まえまして、年間四十万ぐらいの額なんじゃないのという話で当時させていただいたところであります。
妥当な水準ではないかと思っております、何となく割り切れる数字がいいということは分からぬわけではありませんが。
また、つみたてNISAについては、これは各府省や地方自治体、民間企業に対する現場セミナーなど開催を依頼というのをいろいろさせていただいたり、説明会やいろいろインターネットを通じて情報発信させていただいているんですけれども、
今後も、さらにこの点につきましては分かりやすいように、より良い周知、広報等々に努めていかねばならぬところだと思っております。
○中西健治君 是非、今後の課題として自民党税調でも私の方も発言していきたいと思います。この当委員会でも議論させていただきたいと思います。
続きまして、東京証券取引所の市場構造の見直しということについてお伺いしたいと思います。
十二月末に市場構造専門グループの報告書が出て、そして東証の中間報告というのも二月に出ております。今の市場区分に関しての今回の改革案について、金融庁、説明していただきたいと思います。
○政府参考人(中島淳一君) 現在、東京証券取引所には、市場一部、二部、マザーズ、ジャスダックスタンダード、ジャスダックグロースといった五つの市場区分が設けられておりますけれども、各市場区分のコンセプトが曖昧であって、多くの投資家にとって利便性が低いのではないかという指摘などがなされていたところでございます。
そこで、ただいま御指摘になった報告書では、この各市場のコンセプトを明確化した上で市場を三つの区分に再編するということで、
一つ目のプライム市場については、高い時価総額、流動性、より高いガバナンスを備え、投資家との建設的な対話を企業価値向上の中心に据える企業が上場する市場、
二つ目のスタンダード市場については、一定の時価総額、流動性、基本的なガバナンスを備えた企業が上場する市場、
三つ目のグロース市場については、高い成長可能性を有する一方、相対的にリスクが高い企業が上場する市場といったようなことで、
各市場のコンセプトを明確化した上で各企業が適切と考える市場区分を主体的に選択できるようにするといったことを主な内容といたしております。
○中西健治君 申し忘れましたが、お手元に資料をお配りしておりまして、今金融庁の方から説明があったのが、現状は五つの市場に分かれているのを三つにしようと、プライムとスタンダードとグロースの三つの市場に再分化していこうと、こういう話であります。
その方向性自体は私はあるべき方向だというふうに思っているわけでありますけれども、これ、経過措置というものが設けられております。
経過措置、いや、経過措置が私はある方がいいというふうには思っているんですけれども、なければ、ある日突然、一か月後にここの企業は今の一部から違うところに行くというようなことになると、当然、株式市場などで売り浴びせられたりしかねないということですから、一定の経過措置というものは必要だというふうに思っておりますけれども、
これ、当分の間と書かれているので、当分の間ってどれぐらいなんだと、それが余りに長いと羊頭狗肉になってしまうということじゃないかと思いますが、どれぐらい考えているんでしょうか。
○政府参考人(中島淳一君) ただいま御指摘のありました経過措置についてでありますけれども、現在の市場一部上場企業は、国、地域における主要企業としてのブランドイメージが確立され、雇用や取引にも多大な価値を与えております。
このことは、既に市場一部上場企業に投資を行っている投資家から見ても、企業価値に反映されていると考えられる等の意見が強く出されまして、こうした意見を踏まえて、既存の市場一部上場企業については、流通時価総額に関する新たな基準を満たしていなくても、当分の間、プライム市場を選択可能となるよう経過措置を設けることとしたところであります。
御質問の当分の間の具体的な期間につきましては、現時点では、市場一部上場企業のうち、どういった企業が実際にプライム市場を選択するか明らかではなく、今後の企業側の市場選択の状況を踏まえて検討をする必要がありますことから、現時点で具体的にお答えすることは難しいと考えております。
いずれにいたしましても、今後、具体的な期限をいろいろな関係者とも対話を行いながら検討していく必要があるというふうに考えております。
○中西健治君 私は、この当分の間というのは二年程度にすべきじゃないかというふうに思っていまして、
その間にやってほしいことというのは、先ほどプライム市場に上場する会社はコーポレートガバナンスの水準が高いということをおっしゃっていただきましたけれども、これはやはり各会社のガバナンスのレベルがどの程度なのかということ、これで見ていくということが一番重要なんじゃないかというふうに思います。
時価総額の話になりがちなんです。あの情報漏えいという事件もありましたので時価総額の話になりがちですけれども、そうじゃなくて、やはりコーポレートガバナンス、どれだけガバナンスが利いているのか、あと情報開示をやっているのか。
こうした観点で見て、二年程度で決めるということが私は行われるべきことではないかというふうに考えております。
そして、上場、プライムに上場できない、若しくは上場できないという会社が当然出てくるわけです、その後。そのときの上場廃止の受皿というものもしっかり整備する必要があるんじゃないかというふうに思っております。
現時点でもあるんです。東証で上場している企業に問題があると、まず監理銘柄として投資家に注意を促して、次に上場廃止が決定されると整理銘柄として一か月だけ取引をされます。
そして、その後の受皿として、日本証券業協会がフェニックス銘柄制度というのをつくっております。しかし、二〇一六年六月末以降、ゼロが続いております。このフェニックスに指定されているものがないということであります。
今後、退出する企業は出るというのが前提だと思いますので、その受皿となる市場の整備について十分考えていかなきゃいけないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中島淳一君) まさにただいま御指摘のことにつきましては、金融審議会の議論におきましても、上場後の企業価値向上の動機付けのため、今後、退出基準を引き上げるということも考えられるということが指摘されております。
一方で、厳格な退出基準を適用する場合、既に株式を保有している投資家の換金機会を確保するということも重要であります。このため、御指摘のとおり、退出基準の強化とともに、切れ目のない受皿市場の整備についても併せて議論を進めていく必要がございます。
この受皿市場については、その担い手をどうするかやビジネスとして見込める市場となるかなど、多くの課題もありますことから、今後、東京証券取引所や日本証券業協会といった関係者と議論を進めてまいりたいというふうに考えております。
○中西健治君 もう一つ、グロース市場というものがつくられるわけでありますけれども、マザーズ、現行のマザーズという市場、これは十億円で上場できるので、世界的に見て最も上場しやすい市場だというふうに言われて、批判もありますけれども、成長企業が入りやすいという意味では、これはプラスの部分も大きくあるんじゃないかと思います。
問題は、資料二でお配りしていますけれども、マザーズにずっと居座っちゃう、そういう会社が結構多いということなんですね。
五年、十年、ずっと居座っちゃう。それじゃ駄目だよねということで、ここの退出ルールも私は厳しく定めていかなきゃいけないと、こういうふうに思っておりますが、これはちょっとこれだけ言わせていただいて、
最後に麻生大臣に、この東証改革についてどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 今回のこの市場改革というもののコンセプトというのを明確にして、この三つの市場ですけど、プライム、スタンダード、グロースという形で、昔の東証一部、二部って、ああいう話なんですけれども、
あれ一部に上がったのはいいけど、これはもう膨大な数になっておりまして、株価はもう全く動きがないという形に、あれだけでかくなりますと、それは絶対量が多いですから、
そういったような形になりますので、私どもとしては、上場企業やベンチャー企業というものの持続的な成長というものと、企業価値の向上と、この動機付けがなされないとなかなか活性化していきませんし、内外のいわゆる投資をされる側にとりましても魅力のあるマーケットでなければというので、
そういったことを考えて今回の、横文字使うのもいかがなものかと言ったんですけど、何となく、ちょっと適当な言葉がなくて、上場一部、二部、三部というとなかなか具合が悪いので、ちょっとどうだろうとかいろんな御意見があって、結果的に横文字にならざるを得ぬことになったんですが、
市場機能の向上というものによって企業価値が向上して、その果実が結果として家計にも、投資している側にももたらされるということを期待しておりまして、
今後、東京証券取引所がマーケット関係者などといろいろ対応をしていかれながら、より良いいわゆる市場というのが構築できるように金融庁としてもサポートしてまいりたいと考えております。
○中西健治君 どうもありがとうございました。
TOPIXのインデックスの改革についてもお伺いしようと思っておりましたけれども、また次回以降に譲りたいと思います。
どうもありがとうございました。
マクロン仏大統領のツイッターによると、「16日にTV会議方式で『臨時』G7首脳会議を開く」とのことです。
先日の財政金融委員会で「G20、G7の動きに統一感が欠けていた。臨時G20を開催し『危機感を共有していること』を改めて内外に示すべきだ」と提言していたので、G20でないのは残念ですが一歩前進だと思います。
<感染症対策「納税を1年猶予」:日経朝刊>
「先日、納付期限が最大1か月延長されたが、思い切って半年以上延ばすべきだ」(3/10財政金融委員会)と国税庁に強く提言したのですが、それを上回る「1年」という通達が出ました。
一気に需要が消え、中小企業や個人事業主の皆さんの資金繰りは大変だと思います。出来る限りの政策を打っていきます。頑張ってください!
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56729270S0A310C2EE8000/
テーマは「感染症対策」「NISA制度の見直し」「東証改革」の3つです。
中小企業や個人事業主の資金繰り支援、個人の中長期的な資産形成の推進、魅力的な株式市場作りなどについて、積極的に提言を行ないます。是非、ご覧ください。
○中西健治君 おはようございます。自由民主党の中西健治です。
これまで一年間は財政金融委員長を務めさせていただき、その前の一年間は法務委員会の理事として、民法改正、成年年齢の引下げですとか相続法の改正、こちらで質疑に何度も立たせていただきました。財金での質疑は二年以上ぶりということになりますので、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。
ちなみに、中西祐介委員長と私、名字が同じで紛らわしいという声をいただいているわけでありますけれども、親族関係はございませんので、親族間で委員長職を引き継いでいるということはございませんので、念のため申し添えておきます。
1.賃上げについてー従業員の声が経営側に届く仕組みを
さて、一問目の質問は賃金の引上げについてであります。
私は、経済政策の最も重要な課題は何かと聞かれたときに、いつも私は、働きたい人に活躍の場、すなわち職を提供することが一番の目的であると、このように答えております。
働くことを通じて生活の糧を稼ぐこと、さらには、社会とつながっている、社会の一員として認められていること、認めている、認められていると思えること、感じられることが多くの人にとって極めて大切だと思うからであります。この雇用の創出、活躍の場の創出という意味では、アベノミクスは大きな成果を上げていると考えております。
しかし、活躍の場を提供して、それで終わりということでは当然ありません。当然のことながら、次の段階として賃金の上昇へとつなげる必要があります。
まず、金融庁にお伺いいたします。 企業から個人に支払われるもの、これは、賃金、そして直接、間接的に配当というものが支払われるということになります。
この、まずは配当でありますけれども、東証一部上場企業の配当総額、まず、二〇一二年三月期、アベノミクスが始まる直前でありますけれども、配当の総額は五・四兆円でありました。そして、直近の二〇一九年三月期、配当総額は十一・八兆円ということになりました。五・四兆円から十一・八兆円、この七年間で倍以上になったということであります。この要因についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(中島淳一君) お答えいたします。
お尋ねの配当総額の増加については様々な要因が考えられるところではありますが、中長期的な企業価値の向上に資するべく、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードが策定されて以降、投資家と企業との建設的な対話が増加しており、そうしたことも配当総額の増加をもたらした可能性があるものと考えております。
○中西健治君 今局長おっしゃられるとおり、スチュワードシップ・コード、そしてコーポレートガバナンス・コード、大きな役割を果たしているんだろうというふうに思います。
この間、外国人投資家が増えて、外国人投資家からの要求も増えたということもあるんだろうというふうに思いますが、九〇年代から二〇〇五年くらいまでは配当総額というのは二兆円ぐらいだったんです。それが今は十一・八兆円ですから、六倍まで増えてきているということであります。
コーポレートガバナンス・コード自体は二〇一五年六月に制定されたものです。割と直近で、割と近いときに制定されているわけでありますが、この議論はもうさんざん随分前からやってきましたので、それが経営者に対する株主からの圧力の高まりということにつながっていったんではないかというふうに考えております。
ただ、このように株主の取り分は増えたのですけれども、これは私、この委員会で度々取り上げていますけれども、世界的に見て労働分配率が元々低い、それが更に下がり続けているという問題があります。
また、政府も、官製春闘などとやゆされる向きもありましたけれども、経済界に対して六年連続で賃上げを要請するだけはなく、さらに、中小企業向けに所得拡大促進税制、大企業には生産性向上のための税制など、賃上げを後押しする政策を推し進めてきております。
しかしながら、なかなか著しい成果につながったとまでは言えないということではないかと思います。
私自身は、自由主義経済体制に生きる者として、政府が民間企業の賃金の上げ下げといったミクロベースの話に口を突っ込むことには抵抗を感じないわけではありません。したがって、賃上げは経営側と労働側の折衝によって決まるものという大原則に異論を唱えるつもりはありません。
しかし、現状を見ると、もはや経営側と労働側の折衝に任せておいてよい段階は過ぎたのではないかというふうにも感じております。それは、就業構造がホワイトカラー中心、サービス業中心へと大きく変化したことで、かつての製造業の現業部門などを中心とした労働組合は今の労働市場とミスマッチを起こしていると感じられるからであります。
よって、もう少し従業員の声が経営側に届く仕組みが必要なのではないかと思います。
株主の声は、コーポレートガバナンス・コードによって経営側に強く届くようになりました。このコーポレートガバナンス・コードの中に、従業員を始めとした株主以外のステークホルダーの権利などに関する記述はあるのでしょうか。
○政府参考人(中島淳一君) お答えいたします。コーポレートガバナンス・コードの基本原則二において、上場会社は、株主以外にも、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会を始めとする様々なステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。
また、取締役会、経営陣は、これらのステークホルダーの権利、立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化、風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきとされているところであります。
○中西健治君 今おっしゃられたこと、お配りいたしました資料の一ページ、これがコーポレートガバナンス・コードの基本原則でありますけれども、株主以外の部分については、株主以外のステークホルダーとの適切な協働に努めるべきと、ふんわりと書かれております。
それに対して、基本原則の一では、株主の権利、平等性の確保ということはしっかり書き込まれているということでありますので、このコーポレートガバナンス・コードは非常に役に立っていると思いますけれども、あくまで株主の権利の保護を目的としたものであるということがお分かりいただけると思います。
従業員の声を取締役会に届かせる仕組みを考えるに当たって、まず個々の企業経営と日本経済全体との関係についてちょっと頭を整理してみたいと思います。
デフレの時代には、コストをカットして投資を極力抑えることが正しい経営戦略であります。人件費を単純にコストと考える発想には全く賛成できないものでありますけれども、そう考えてしまった経営者が人件費の削減に至ったことは、利益云々の前に、会社を存続させたい、企業を存続させたい、そして雇用を守っていきたいと、こういう観点からも合理的な部分があったということは認めるべきであろうというふうに思っています。
ただ、個々の企業として合理的な行動が経済学で言う合成の誤謬を引き起こし、日本経済全体にとっては悪い結果、つまり、需要不足を引き起こしてデフレを更に深刻化させてしまったこともまた事実であろうと思います。
しかし、異次元と称される大規模な金融緩和政策が維持される中、機動的な財政出動が行われるなど正しいマクロ経済政策が実行され、デフレからは脱却しつつあると、こういう状況になってまいりました。こうしたデフレから脱却しつつあるという状況の中でコストカット経営をして現預金をため込んでいる、これはいかがなものかと思います。大きな疑問があります。
個々の企業が賃上げをすることによって個人消費という巨大な需要が拡大する。つまり、日本経済をデフレから確実に脱却させるためには賃上げが必要不可欠であると思います。そのためには従業員の声が経営側に届く必要があります。
そこで、今日の質疑では幾つかのポイントについて提言をしたいと思っているわけでありますが、その一つ目として、この賃上げについてはコーポレートガバナンス・コードの改訂をお考えいただけないかというふうに思います。それは、コーポレートガバナンス・コードの中に、従業員との対話を担当し、他の一般の業務を執行しない取締役を置くなどといった文言を入れて、ステークホルダーとしての従業員の権利を明示してはどうかという提言でございます。
これは、他国を私はいろいろ見てみましたけれども、企業組織の在り方というのは国によって異なっていますからそのまま他国の制度が参考になると言えるわけではありませんが、例えばドイツでは、二〇〇四年のいわゆる三分の一参加法により、労働者代表には企業の監査役会の三分の一を占める権利があると定められております。また、昨年改訂されたイギリスのコーポレートガバナンス・コードでは、従業員代表の取締役招聘が三つの選択肢内の一つとして明記をされております。
自由民主党の議員がこういう提案をするのは難があるかもしれませんけれども、是非検討を進めていただきたいと思います。麻生大臣に見解をお伺いします。
○国務大臣(麻生太郎君) そうですね、野党の方が長かったから今みたいな意見が出るのかなと思いながら聞いていないわけじゃありませんけど。
最近、おっしゃるとおり、これは、財政諮問会議においても、賃上げの話を経団連にしているのは自民党というのが実態ですもんね。そして、連合の立場を我々が代表しているんですけど、選挙は民主党ということになっていますので、自民党というのは人がいいんですわなといって僕はいつもからかって、もう五、六年同じようなことを言っていると思いますが。
現実問題として、昔に比べて、労働分配率というものを使われましたけど、労働分配率は、私たち経営者している頃は七五、六%あったと思いますけど、今は七〇切りましたでしょう、六六か七ぐらいに下がっているんだと思いますから。そういった意味では明らかに、今言われたような、流れとしては間違いなくそういう傾向になっているのは確かです。
そうですね、バブルがはじけたと言われますのが、多分、三十年前の令和のあのときが三万八千九百円ですから、あの頃から株価は三万八千円行ったことないので。そういった意味から、あれからずっと日本の賃金と欧米との賃金の比較差を見ても、欧米は百五、六十%まで、もうちょっと上がっているか、七〇%ぐらい行っていると思いますが、日本は一一〇ぐらいのところでずっと低迷している。
この差は何だといえば、それは間違いなく、日本の場合はいわゆる賃金を抑えて自己資本比率を上げる等々のことをやらないとやれない時代が、特に銀行等々でそういう事態になったというのが背景でこの流れができてきたんだと思いますけれども。
いずれにしても、今、現実問題として、この七年間、安倍内閣になってからを振り返りましても、少なくとも給与の伸びが五、六兆、設備投資の伸びが七、八兆に比べて、内部留保が二十兆とか二十五兆とか。一昨年ですか、その前でしたか、四十兆。去年は十八兆ぐらいでしたけれども、そういったような形になってきている背景というのは、やっぱり今までは、じっとお金を持っておきゃ、物価が下がってきますから、金の値打ちが上がったんだと思いますけど、今からそういったようなことではなくなるんじゃないんですかという感じはしますけれども、今のところその習慣が二十年以上続いているんだと思って。
基本的には、随分わんわん言って少しずつ少しずつ二%台のベアなんという言葉が、絶えて久しく聞かなかったベースアップなんという言葉が出てきて、ベアって言葉が通じなかった新聞社もいっぱいいるぐらいですから、随分変わってきつつあるなとは思いますけど、
今言われたように、それをコーポレートガバナンスを使ってやるのかといえば、今既にやれるように書いてはあるんですけど、基本的に経営者の基本的な哲学というか考え方の方が一番の問題なんだとは思いますけれども、どこかがやると何となくみんな上げていくという傾向がこの日本という会社というか社会にはありますので、
そういった意味では、今言われたように、この、そうですね、コーポレートガバナンス、スチュワードシップ・コード、そういったものをてこにして一つずつ上げていくというようなことをやるというのは、これドイツが成功しているとも思いませんけれども、そういった意味で一つのアイデアとしては参考になり得る御意見だと思って伺っておりました。
○中西健治君 コーポレートガバナンス・コードの改訂を通じて、株主だけではなくて従業員の権利にも資するような、そして賃上げ、賃金が上がっていくと、そんなルートも一つのルートとして是非強化していただきたいと、このように思って提言をさせていただいております。お考えいただきたいと思います。
2.マネーロンダリング問題(LEIの普及促進。外国人の銀行口座売買)
(1)LEIの普及促進を
続きまして、マネーロンダリング問題を取り上げたいと思います。財政金融委員会にとっては特に重要な問題であります。二つの具体例を通じて金融庁の姿勢を聞いていきたいと思います。
先週の月曜日から、マネーロンダリングに関するFATFの第四次対日審査が始まりました。前回、二〇〇八年の審査で我が国が大変厳しい評価を受けた苦い経験を御記憶の方も多いと思います。
まず、LEIというものについてお伺いします。
リーガル・エンティティー・アイデンティファイヤーという識別ナンバーなんですが、マネロン対策のポイントというのは、何といっても金融取引の透明性の確保であります。そのために、世界的にはLEIというものの普及が急速に進んでおります。取引主体識別コードと訳されていますが、金融取引などを行う主体を識別するための二十桁の国際的な番号であります。
元々は、リーマン・ショックのときに監督当局でさえ取引のリスクを正確に把握することができなかったという反省に立って、リスクの管理の高度化を意図して考案されたものでありますけれども、取引が透明化されることで、脱税やマネロン、テロ資金対策としての効果が期待されることから、二〇一一年のG20カンヌ・サミット首脳宣言により導入が合意され、世界各国でその利用が始まったものであります。
資料の二枚目、御覧いただきたいんです。
私、二年半前にこのLEIについてこの場で質問をいたしました。そのときの資料が上の資料であります。二年半前の我が国の取得状況を示したのが上の資料、そして下が現在の状況を示したものであります。
当時、私はこの委員会で、こんな状況では次回の対日審査でマネロンに甘い国という指摘を受けかねないと、こう指摘をさせていただいて、利用の促進に力を入れることを強く要望いたしました。しかし、現状は御覧いただいたとおりであります。数は増えたかもしれないけれども、相対的には順位は更に落ちていると、こういう状況になっております。
二年半前に私が指摘した時点で、アメリカの金融機関は既にLEIを取得していない主体との取引をもうやめていました。欧州の金融機関は、昨年一月に、EUの金融規制であるMiFID2が施行されたことで、やはりLEIのない相手との取引を一斉にやめました。したがって、以前はアメリカだけが突出した形となっていましたが、御覧のとおり現在はEU諸国を中心として急速に追い付きつつあります。
ところが、これが嫌なんです。いまだに我が国では、我が国の企業、金融機関が、うちはあんなものを使わなくてもいいですよ、取引しますよなどということを言って金融機関と企業の間での取引が行われ、日本の金融機関はガラパゴス化しているという指摘が多くなされているところであります。
外資系の金融機関の中で、やっぱり本国からの要請で、厳しい要請によって、こうした取引番号を持っていないところとは取引ができない、やりたくてもできないという状況になっています。しかし、我が国の状況はこんな現状であります。この現状をどう見ているのか、金融庁にお伺いします。
○政府参考人(中島淳一君) お答えいたします。本邦法人等のLEI取得件数を見ますと、御指摘のとおり、足下、件数としては伸びているものの、欧米に比べ普及が十分に進んでいないというのはまさにそのとおりと考えております。その理由としては、金融機関を含め、本邦法人においてLEIの重要性に対する理解がいまだ十分に浸透していないこと、また、LEIの取得及び更新に費用を要することも少なからず影響しているものと考えております。
このため、金融庁といたしましては、当庁職員が講師となってLEIの普及促進を図るセミナーを開催しているほか、この十月からは、LEIの付番業務を行っております東京証券取引所において、取得、更新に掛かる手数料を大幅に引き下げるなどの取組を進めているところであります。
○中西健治君 今お答えのあったとおりで、前進はゼロとは言いません。しかし、アメリカやEUなど主要国では、LEIを制度上必要なものとして定めて、利用を強く促しております。一方、我が国では、あくまでこれまでは推奨ベースと、あくまで取得しましょうねと呼びかけているだけで終わります。そのため、東証一部上場企業、それも相当な規模の企業でも取得しておりません。
しかも、世界は更に前に進んでおります。このLEIをベースに、金融取引の透明化とリスク管理、データの管理や利用を更に高度化することを目的として、ここでは詳しくそれぞれのことは申し上げませんが、来年からUTI、UPI、CDEといったコードなどが国際的に導入されることが予定されております。これは申し上げたとおり、全てLEIを取得していることが前提となっております。
ここで、私の提言でございます。LEIを早急に義務化すべきであると考えます。そして、まず、今の状況を早く解消するために、喫緊の問題として、取得を促す通知などを速やかに発出すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中島淳一君) 議員御指摘のとおり、欧米等においては店頭デリバティブ取引の報告制度に関し、金融機関等に取引当事者のLEIの報告義務を課していると承知しております。我が国においても、現在、金融商品取引法に基づく店頭デリバティブ取引報告の記入項目に取引当事者のLEIを追加する準備を進めているところであります。
今後とも、LEIの取得状況や国際的な動向を注視しつつ、国内でのLEIの更なる取得促進のため、ただいま御指摘のありました報告の義務化も含めて、適切に対応してまいりたいと考えております。
○中西健治君 是非、速やかに行っていただきたいと思います。
麻生大臣も、二年半前に、私の質疑に対して、もし数字が伸びていないようであればそのときにはしっかり考えなきゃいけないと、こういうことをおっしゃって、答弁されていましたので、これ二年半たっていますから、私としては、もっと早く、スピード感を持って動いていただきたいと、こう思っておりますので、お願い申し上げます。
(2)外国人による銀行口座の売買問題
もう一つのマネーロンダリングの具体例として、外国人の銀行口座の管理の問題を取り上げたいと思います。
マネーロンダリングを始め、不正な金融取引をやる人間が喉から手が出るほど欲しいのが銀行口座であります。ところが、外国人が口座を売っている、こうしたことを、銀行口座を売っている、聞いたことがある方いらっしゃるんじゃないかと思います。
私、いろんなところで聞いてまいりました。地銀だったら二万円、メガは三万円、インターネットバンキングが付いていたらその倍、さらに、大手でコルレス口座という、いろんな銀行との取引ができるものが、ところは七万円で売れると。外国人が帰国するときに、帰国する前に口座を売っていくんです、二万円、三万円、七万円。それは、帰るときですから大きなお金だと思います。あと、帰る人からすると、これ口コミやSNSで広がっているんですけれども、余り罪の意識というのが感じられないという、もう日本を去るわけですから、そういったことも起こり得るのではないか、起こっているのではないかというふうに思います。
ちょっと資料を御覧いただきたいんですけれども、預貯金通帳等の譲渡の検挙件数、これは警察から取り寄せたデータでありますけれども、五年前のほぼ二倍近くにまで増えております。ただ、この検挙の網をくぐり抜けている件数なんというのは多分相当多いだろうということが想像ができると思いますし、さらに、今後これが非常に大きなスピードで伸びていくということも想像ができてしまうのではないかというふうに思います。
この口座の売買は金融機関を舞台とした犯罪でありますけれども、金融庁としてどこまで実情を把握しているのでしょうか。
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。日本で口座を開設した外国人の中に帰国前に銀行口座を売却してしまうという者がいるという実態があることは我々としても十分承知をしております。件数につきましては、警察の公表されている資料ということになるわけでございますが、先生のお示しになっている資料にあるとおり、これは平成三十年に預貯金通帳の譲渡等として犯罪収益移転防止法に係る罰則を適用された件数でございますけれども、これは日本人、外国人合わせてでございますけれども、二千五百四十六件であったというふうに承知しております。
○中西健治君 申し上げましたとおり、見えていない数というのは大変多いのではないかと思います。そして、これから外国人は増えるわけですから、こうしたことが広まっていけば、級数的に増えていくということになるんじゃないかと思います。
この銀行、金融機関としては、正規の手続を踏んで開いた口座がその後売られて他人に悪用されても、悪事に使われていると銀行が即座に判断するのは非常に難しいということになります。要するに、今は売られてしまったらアウトということになります。
資料の下の段を御覧いただきたいと思います。これは、口座開設時に提示される在留カードであります。御覧のとおり、在留期限が明記されております。そこで、私の三つ目の提言であります。口座を作る段階であらかじめ在留期間の満了日をもって口座の有効期限とすると決めてしまえば、不正な用途に使われることが相当程度防止できるということになるかと思います。
銀行によっては、リスク意識の高い銀行によっては、在留カードの在留期限、これは記録しているところは結構あるんです。ただ、記録しているだけです。それが過ぎれば、資金移動があったらフラグが立つということになっていますけれども、銀行口座を閉めるというところまでには至っておりません。
これは全ての銀行が、金融機関が一斉にやらなければこれは意味がないんです。易きに流れますから、緩いところに流れるということになりますし、一つ一つの金融機関では口座を五年で閉めるという判断も決断もしにくいだろうというふうに思います。ですから、監督官庁が旗を振るべきだと私は思いますけれども、金融庁、いかがでしょうか。
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。今お話がございました期限付の口座ということに関しましては、在留期限の到来前に帰国された場合の取扱いですとか解約時の口座残高の取扱いなど、その導入については更に様々な論点について検討する必要があるというふうに現時点では認識しております。
そうでございますので、現時点におきまして金融庁におきましては、金融機関に対しまして、口座開設時の本人確認の際に在留カードを利用する、それによって帰国される際には口座解約を促すということを促すとともに、それに伴うガイドラインですとか規定の整備に取り組むように要請をしているところでございます。
また、外国人向けに関しましては、十三言語の外国語のパンフレットを作成しております。また、受入先の企業ですとか登録支援機関などの受入先向けのパンフレットも作成しておりまして、そういうところにおきまして、帰国時には口座解約を行う必要がある旨の注意喚起を行っているところでございます。こういうような取組を更に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○中西健治君 それでは緩いだろうというふうに思います。今局長の方は、在留期限前に帰る人もいるから万全じゃないんだと、このようなことをおっしゃられましたけれども、私は、在留期限というのを最長として、期限はここで切りますと、在留期限前に帰られる方の情報、これが、出入国在留管理庁もできたわけですから、そこから届くような仕組みをつくるべきだと、こういうふうに私は次の提言をしようと思っていたんです。
だから、期限はもう切る、その上で帰国情報などがちゃんと共有化できるようにする、そうしたことをしなければいけない、それを金融庁は働きかけるべきなんじゃないでしょうか。
○政府参考人(栗田照久君) 外国人の在留期間そのものにつきましては、個人情報に当たるものでございますので、これを一律に出入国在留管理庁からいただくというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えておりますけれども、金融機関がこの在留カードを確認するということは当然できるわけでございますので、その徹底をまずは促していきたいというふうに考えてございます。
○中西健治君 いや、もうちょい、あれですね、法務省や金融庁、そして法務省の外局でありますこの出入国在留管理庁、さらには警察、ここら辺の情報の共有というのがなされなければ、これは増える一方ということになるだろうと思います。
そして、どこかの番組がまたその実態を取り上げるということになるんじゃないかと思いますよ。ですから、やっぱりその前に主体的に手を打っていくということが私は求められているのではないかというふうに思います。
(3)金融庁の今後の取り組み
この問題全般について大臣にお伺いしたいと思います。
マネーロンダリング対策として、期日管理付口座を日本の全金融機関に一斉に導入できるのは監督官庁だけであります。また、サミットで合意されたLEIの取得を義務化して、業界全体としてマネーロンダリングやテロ資金対策に取り組むよう背中を押すのも監督官庁の重要な役目だと思います。金融機関の役割を超えていると思うんです、これは。
こうしたマネーロンダリングに対して、我が国が全体として、全体としてマネーロンダリングを許さないと、こうした犯罪を許さないということを行っていくためには、やはり申し上げたような省庁横断的な情報の共有も必要になると思います。こうした点について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これは御指摘ありましたように、これは金融機関というものにとりましては、これはマネーロンダリングに悪用される危険性が高いという業者なんですので、その監督官庁に当たります金融庁としては、このマネロンの対策についてこれは重要な役割があると考えておりますので、
今言われたようにLEIの話等々、前に比べると少しは進んでいるとはいえ、まあ二十位から二十五位というけど、新しく中国なんか入ってきていますから、いろいろあるので、まあ中国より悪くちゃ話にならぬとかいろんな御意見もこれあるのは知っていますけれども、確実にこれは前に進めていかないと、この間のUNIとかいろいろああいうのが入ってきますので、ユニーク何とかといういろんなあれが入ってきますので、その意味ではこれを更に進めていかねばならぬと、私どももそのように思っております。
その上で、これまでのいろいろ、何ですかね、マネロンの資金供与対策等々で、これ、ガイドラインの策定とか、それに基づいた監督とか検査とかを通じて高度化を促していくんですけれども、やっぱり分かっておられぬ方もいっぱいおられますんですな、これは、正直申し上げて。
それで、外国人の、まず口座を作ることができない外国人労働者もいっぱいいますので、そういった意味では、それをまずは、なぜ作れないかというと、扱う額が小さい上に手間が掛かるから銀行としては全く利益になりませんからというので、ほとんどやりたがらないんです、これは。それで、上ですから、この口座というのは極めて大きな値打ちが、また逆の面で出てくることにもなっているんですけれども。
そういった意味で、マネロン対策というものに対して、このマネーロンダリングというものに、重要性の理解をまず浸透させてもらわなきゃいかぬというところからスタートさせていただいているんですが、いずれにいたしましても、これ、警察庁に限らず、いろいろそこの働いている人の場所から関係からいろんなことに他の省庁とも関係をしておりますので、職員の研修等々、そういったことなんですよという講師を派遣することも行っておるんですけれども。
いずれにいたしましても、引き続いて、このマネーロンダリングというのは、フィンテックが更に進歩してくるといろいろそういったものにいい意味で利用されればいいけど悪用する確率も上がるわけですから、そういった意味では、私どもとしては、他省庁とも緊密に連携をしていく必要があろうと思っておりますので、
その場合においても金融庁の役割が一番大きいところになろうかと思いますので、今の御指摘を踏まえて、こういったものが今後更にインターナショナルになっていく世の中の中においてきちんと対応できるように、更に精査をさせていかねばならぬなと思っております。
○中西健治君 金融機関で行われる犯罪である以上、やはり金融庁が旗を振っていくべきであると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
3.キャッシュレス化の推進
キャッシュレス化について、経産省さんに来ていただいていますので、少しだけ質問をさせていただきたいと思います。
次のページに資料を出させていただきましたけれども、皆さん御存じのとおり、キャッシュレス決済比率というのは日本はかなり低い数字であります。二〇%ぐらいということになっております。しかしながら、資料の下の段ですけれども、カードの保有枚数というのは日本はシンガポールに続いて二番目に多いと。八億枚ぐらいカードがあるということなんですね。クレジットカード等が八億枚ぐらいは持っているということなので、キャッシュレスの手段は大いにあるということであります。
しかも、日本人がキャッシュレス、嫌いかというと、皆さん、SuicaやPASMOを使っていらっしゃる方多いと思いますけど、以前鉄道のあの路線図を見ながら切符を買ったのはいつ頃だろうかと、もうこの前買ったのはいつ頃だろうかと思い出せないという方も多いと思います。ETC、高速道路で使っていない人の後ろに付いて一般のところで待たされると、ちっと言う人も多いと思います。それだけ使い出したら普及するものだろうというふうに思うんですけれども、出だし好調のようであります。十月一日から出だし好調のようであります。
これ、一問だけ聞かせていただきます。来年の六月でこれ切れるということになっています。麻生大臣、記者会見で、それまでに予算が尽きたとしてもやると、こういうようなことをおっしゃっていただいたようでありますけれども、
私がここで申し上げたいのは、こうしたものというのは、やっぱりある閾値を超えると、どっと行くということになりますから、六月までに四〇%というのはきっと無理だろうと、比率は難しいと思います。けど、四〇%、各国並みにするためには、更に延ばす、六か月延ばす、来年いっぱい、若しくは九か月延ばす、来年度いっぱい。いかがでしょうか。経産省にお伺いします。
○政府参考人(藤木俊光君) お答えを申し上げます。キャッシュレスに関しましては、大変、これから伸ばしていくということでございますが、今行っておりますポイント還元は、消費税率引上げに伴う需要平準化ということがございますので期限を設けてやっていくということでございまして、来年夏、オリパラのインバウンド消費ということも見込まれる中で、来年六月末までということで考えているところでございます。
一方で、おっしゃっていますように、今行っておりますことは大きなきっかけではありますが、このキャッシュレスの動きを定着、そして更に伸ばしていくためには、更なる努力が必要だというふうに思っております。カード会社、店舗、ユーザー、様々な角度から、また新しい角度で政策を推進してまいりたいと、このように考えているところでございます。
○中西健治君 クレジットカードというのは、もう装置産業でありますから使う人が増えても別にコストは掛からないんです。増えれば増えるほど手数料は下がりますから。ですから、手数料を下げるためにも、是非ゲームチェンジャーとして、これからの七月以降も使っていただきたい、そしてゲームを変えるということを是非やっていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
3つのテーマに関してデータや具体例を挙げて問題提起をした上で、解決に向けた5つの提言を行ないました。
麻生大臣からは「先ほど中西委員から格調の高い、、、」と、私の質疑を引用しての答弁が次の質問者に対してありました。内容について評価をいただけたと思います。
尚、議事録全文と動画を後日投稿しますので、是非ご覧ください
<財政金融委員会で質問に立ちます:明日午前10時>
麻生副総理をお迎えして「賃上げ」「マネー・ロンダリング」「キャッシュレス化」について質疑を行ないます。
TV中継はありませんので、インターネットで是非ご覧ください。
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php