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<財務金融委員会:動画と速記録>
15分という限られた時間でしたが、10年前の政府と日銀の共同声明の評価を問うとともに、投資単位を引き下げて個人投資家が市場に参加しやすい環境を作るべきであるとの提言を行ないました。
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○中西委員
おはようございます。自由民主党の中西健治です。理事会のお許しを得ましたので、久々にマスクなしで質疑をさせていただきます。今回も、財務金融委員会、たくさんの、多くの重要な法案がありますけれども、まず、大臣の所信の質疑に立たせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
日本銀行の総裁が誰になるのかというようなことが今市場の大きな関心事になっておりますけれども、そしてそれに伴って、共同声明の見直しというのがあるのかないのか、こうしたことも関心事となっていますが、見直しをするのかと大臣に聞いても、きっと今日の時点ではお答えできないということだろうというふうに思いますので、まず私の方からは、十年前に結ばれました共同声明について、その意義をどのように考えるかということについてまずお聞きしていきたいと思います。
もはやデフレではないという状況がつくられたというのが政府の認識だろうというふうに思いますけれども、我が国の物価研究の第一人者であります東京大学の渡辺努教授は、近著の中で、まだ安定的なデフレ脱却は果たされていない、現在の状況については、急性インフレと慢性デフレが同時進行していると警鐘を鳴らしております。
まだまだ危うい状況であるのかなというふうにも思いますけれども、この十年前の政府と日銀の共同声明についての評価、これを大臣にお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣
政権交代後の平成二十五年一月に、政府と日銀は、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために政策連携を強化することとしまして、これを共同声明として公表をいたしました。
この共同声明においては、政府は、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組や、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を進めるとされ、日銀は、日銀が定めた物価安定の目標の下、金融緩和を推進するとされており、これまで、この共同声明に沿って、政府、日銀一体となって、デフレからの脱却に向けて取り組んできたところであります。その結果、御指摘のように、デフレではないという状況をつくり出すとともに、GDPや企業収益を高め、雇用環境を改善するなど、大きな成果を上げたと認識しております。
しかし、他方、女性や高齢者等の労働参加比率の上昇等を背景とした一人当たりの賃金の伸び悩みが見られ、新型コロナ対応等のため財政状況の厳しさは増しておりまして、また、黒田総裁は、まだ二%の物価安定目標を安定的、持続的に達成する状況にはなっていないと述べられており、それぞれの課題が残っているということ、これも事実であります。
政府としては、引き続き、政府、日銀が一体となって、物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け取り組んでいくことが必要と考えておりまして、今後ともしっかりと連携をして対応してまいりたいと考えております。
○中西委員
ありがとうございます。今の大臣の総括というか評価の中では、プラスの部分もあったけれども、まだ足りていない部分もある、こういうことだったと思います。
そのうちの一つの例として、一人当たりの賃金の伸び悩みということも挙げられておりました。元々の共同声明にしても、物価の上昇そのものがやはり明示的に掲げられていて、掲げるのは当然なんですけれども、それだけが唯一の目標になっているのではないか、このようなことが疑義として持ち上がるようなところがございました。
大臣もよく御承知のとおり、アメリカのFRBは、物価ということのほかに、雇用の最大化という、デュアルマンデートが与えられております。やはり、何らかの形で、雇用ですとか賃金ですとか、こうしたことも目標の中に据えるべきであったのではないかというふうに考えているところであります。
そんな中で、今、政府が、岸田政権としては、やはり賃上げということが最大の目標の一つになっているということは間違いなかろうというふうに思います。
今度の共同声明の中で、私は、賃金や雇用について書き込むべきであるというふうに思っておりますし、元々、この共同声明のたてつけというのが、一番初めに、政府と日銀は共に共
同して努力していくんですというようなことが書いてありますけれども、今大臣もまさにおっしゃられたとおり、書かれていることは、日本銀行は、政府はということで、それぞれの役割の整理をしている、こういう形になっております。
雇用ですとかあと賃上げというのは、日銀だけで達成できるものでもありませんし、政府だけという話でもないだろうと思いますので、私は、たてつけの中自体を変えて、政府と日銀は共に雇用の最大化や賃上げについて一緒に努力するというようなことが明示的に書かれるべきであろうというふうに思っておりますが、書く、書かないということは今大臣からお答えできないだろうというふうに思いますので、今後、新総裁が選ばれて、新総裁と政府がいろいろな議論をしていくと思います。
その中で、大臣は、これは達成していかなきゃいけないだろうと考えているような目標について教えていただけますでしょうか。
○鈴木国務大臣
今後の共同声明について、御提言、お考えをいただいたところでありますけれども、共同声明の取扱いにつきましては、新しい総裁とも議論する必要があると考えておりますし、日銀も、新しい体制の中で、内部での議論で方向性を定めていくということもあるんだと思います。
したがいまして、今の段階で共同声明の在り方を含めまして具体的に申し上げることは時期尚早と考えているところであります。
その上で、共同声明の目的でありますデフレ脱却と持続的な経済成長の実現、これは依然として重要な政策課題である、そのように考えております。そして、この政策の課題の実現に向けましては、御指摘のとおり、賃上げの実現、これは非常に重要なポイントであると認識をいたしておりまして、政府としては、賃上げに向けて各種の取組を行っているところであり、また、賃上げの必要性についての認識については、日銀の黒田総裁も述べられているところであります。
こうした認識の下で、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けまして、政府、日銀が一体となって取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○中西委員
どうもありがとうございます。是非、新総裁とのいろんなこれからの話の中では、雇用と賃上げについては明示的に取り上げていっていただきたいと思います。共同声明は、内閣府と財務省、それと日本銀行の三者のクレジットということになっておりますので、是非お願いしたいと思います。
続きまして、これから税法の議論がされることになりますけれども、その中でNISA、これが大幅に拡充、もし通れば大幅に拡充されて、来年から使いやすいものができるということになってまいります。
私も、もう何年も前から参議院の方でもずっと財政金融委員会でこのNISAの拡充ということを取り上げてまいりましたし、今は自民党内ですけれども、財務金融部会長として、こちら、何とか拡充できないかということをやってきましたので、もしこれができるということになったら、これは大変すばらしいことだというふうに思っております。
その中で、少し気になることがございます。それは、株式の投資単位、株を買うときの必要な最低の金額という問題なんです。
二〇一八年の十月に株式の売買単位が百株に統一されました。それまでは、一株ですとか二百株、五百株、二千株とかいろんな種類があって、なかか投資対象にならないものが多かったのが、百株に統一はされました。それ自体は本当にこれまでの東証の努力を多としたいというふうに思いますが、しかしながら、直近のデータを見ても、まだこの株価に百を掛けて買える最低投資単位が相当大きい金額になってしまっている上場会社が幾つもございます。
金融庁にお尋ねいたします。百株、いわゆる投資単位を買うために五十万円以上かかる、そうした会社、どのような会社が何社あるんでしょうか。
○井藤政府参考人
お答え申し上げます。東京証券所では、上場規則におきまして、上場株式の投資単位が五万円以上五十万円未満となるよう、その水準への移行及び維持に努めるものとするとされてございます。先月末時点でこの規則の対象となります上場会社三千七百九十五社のうち、投資単位が五十万円を超える会社は二百三社となってございます。
○中西委員
ちなみに、その二百三社の中にはおなじみの会社というのは多分たくさんあるんだろうと思います。いわゆるハウスホールドネームという、そうした会社、幾つか紹介していただけますか。
○井藤政府参考人
どの会社が有名かどうかと私の中では言い難い部分がございますけれども、例えば一月三十一日時点で申しますと、ファーストリテイリングですね、ユニクロを運営されていますけれども、これだと七百万円を超える、あるいはオリエンタルランド、東京ディズニーランドを運営されている、これは二百万円を超える、あと例えばJR東海、東海旅客鉄道でございますけれども、これは百五十万を超えたり、ソニーグループでありますと百万を超える、そういう状況でございます。これはあくまでも一例でございますけれども。
○中西委員
今、挙げていただいたようなネーム、ファーストリテイリングですとかソニーですとかオリエンタルランドですとか、やはり個人投資家が買いたいものなんじゃないかというふうに思います。
去年は個人投資家が久々に大きな金額で買い越しをいたしました。おととしも、小さな金額でしたけれども買い越しで、二年連続買い越しというのは、八三年に統計を取り出してから初めてのことであります。そして、昨年の一兆円を超える買い越しというのはバブルのときの九〇年以来ということになりますので、ようやく貯蓄から投資へという流れができつつある、あと、バブルの後遺症から癒えつつあるというところなんじゃないかというふうに思いますので、何としてでも、せっかくのこの流れを太いものにする、それがNISAなんだろうというふうに思うんですが、そのNISAで買えない株があってはいけないんじゃな
いだろうかというふうに思います。
あと、とかく言われることですけれども、日本人の個人投資家は高配当の株を買うことが多いということなんですが、やはり成長する株も買ってもらいたいだろうというふうに思うんです。ソニーもまだまだ成長するかもしれません。そうしたところにお金が入りやすいようにするためには、是非とも投資単位を引き下げてもらいたいと思いますが、これ、東証はやっているんです。
東証は、昨年の秋も、東証の山道社長が要請という形で文書を上場企業に出しております。お願いはして、お願いに答えてくださる、ファーストリテイリングも分割をいたしました。それでもまだ二百万円以上するんですけれども、更に分割が必要だというふうに思いますが、そうした東証がやっていることを、東証だけにしないで、金融庁として推し進めていく。特に、来年新たなNISAができるのであれば、それに向けての環境整備をしていく。大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣
上場株式の投資単位を個人投資家が投資しやすい水準にすること、これは、貯蓄から投資へのシフトを進める上で大変重要な点であると考えております。
井藤局長からも答弁がありましたが、東証は、これまで、個人投資家の投資環境を整備するため、上場会社に対して投資単位が五十万円未満となるよう促してきたところであり、その効果もありまして、足下では約九五%の上場会社が五十万円未満となっているものと承知しています。
しかしながら、依然として投資単位が高い水準にある上場会社も存在しておりまして、金融審議会においても、昨年十二月の報告書において、東証等は、投資単位の大きい上場株式を発行している企業に対して、投資単位の引下げに向けた更なる取組を促すべきである旨の御提言をいただいたところであります。
投資単位の水準の引下げには株式分割が必要であることから、上場会社の理解が不可欠でありまして、金融庁といたしましては、来年からNISAの抜本的拡充、恒久化も見据えまして、東証に更なる対応を促すなど、取引所や上場会社、市場関係者による議論が深まりますよう、取組を進めていきたいと考えております。
○中西委員
大臣、是非よろしくお願いいたします。質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中西委員 おはようございます。自由民主党の中西健治です。これまで参議院の財金では何度も質問に立ってまいりましたけれども、衆議院では初めての質問ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。 今日は、十五分という限られた時間ではありますが、コロナ禍の経済と財政の対応、税への影響などについて議論させていただきたいと思います。
まずは、コロナ禍のこの二年間の日本経済の状況についての認識をお伺いしたいと思います。経済対策ですとか税制改正を考えるに当たっては、何といっても経済の状況について正しい認識を持つということが出発点となります。
大臣、所信で簡潔に触れられておりましたけれども、そこのところ、日本経済のこの二年間、コロナ禍での二年間の状況についての認識をお伺いしたいと思います。
○鈴木財務大臣 おはようございます。日本経済でありますけれども、足下ではオミクロン株が拡大をしているという中で、国民生活、それから経済への影響は依然として続いていると思います。
そして、その中で、この二年間の経済状況につきましても、例えば企業業績は、好調な輸出やデジタル化等を背景に、製造業を中心に全体として企業業績は改善をしている一方におきまして、対面型サービス業等の一部の業種は厳しい状況にある。コロナの影響というものは業種によって異なる影響を及ぼしている、そのように認識をしております。
○中西委員 大臣がおっしゃられたように、業種によって大きなばらつきがある、このことは、最近よく耳にしますK字型回復という言葉によく表されていると思います。
アルファベットのK、すなわち、下の方に行く辺、下の方に行く線の上にある業種は、大変大きな影響を受けている、苦しんでいる。そうした対面型サービスですとか運輸ですとか、あと、そこに働く人々及びフリーランスの方々は、大変苦しい。
これは、Kの下の方は大変苦しいという一方で、巣ごもり需要を取り込んで、ITですとかゲームですとか電気ですとか、業績が非常に上がって、収益が上がっている、そうした業種、そこに働く人々、そういう方々がいる。こういうKということをしっかり認識しなければいけないんだろうというふうに思います。
以前であれば、V字型とかL字型とかU字型とか、こういうことが言われていましたけれども、それは、よきにつけあしきにつけ、みんなが一緒の船に乗っているということですけれども、K字は、大きく影響が異なっているんだということを示しているだろうというふうに思います。
これが如実に表れているのが税収というところなんじゃないかと思います。皆さんも、このニュース、昨年の夏に接して驚いたんじゃないかと思います。私も大変驚きました。
それは何かというと、昨年度、令和二年度はマイナス成長でした。マイナスの三・九%という成長であったにもかかわらず、国の税収が最高だったということです。マイナス成長で、国の税収が最高、これは本当に、ちょっと肌感覚に合わないというところじゃないかと思います。
それは何なんだということなんですが、一昨年の十二月に、政府は、令和二年度第三次補正予算を作りました。そのときに、景気が悪いので、税収の見込みというのも下げました。これは当然そうだと思うんですが、前年の令和元年の税収が五十八・四兆円だったのに対して、二年の十二月の時点で、五十五・一兆円の減額補正というのを、税収、行っております。
ところが、蓋を開けてみたら、丸めて言うと、五十八が五十五に下がるのではなくて、六十・八兆円、六十一兆円に増えたということなんですね。三兆円減るんじゃなくて三兆円増えた。
これはどうしてなのかということなんですが、これを子細に見てみますと、減額補正をしたときの予想と実際の税収で一番異なった、金額が上振れたのは、税の項目では法人税ということであります。八兆円まで下げました。その前の年は十兆円強だったんですが、八兆円まで十二月の時点で下げて、そして、蓋を開けてみたら十一・二兆円。三・二兆円も多かったということです。割合にして四割ということであります。
これが何なんだということなんですが、これは主税局長からお答えいただきたいと思います。
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。令和二年度補正後予算におきましては、法人税収を八兆円と見込んでいたわけでございますが、決算におきまして、十一・二兆円と、御指摘のとおり、三・二兆円の上振れとなったわけでございます。
この要因といたしましては、令和二年度につきましては、補正後の税収を見込んだ時点におきましては、新型コロナの影響で企業業績が悪化すると見込まれていたことから、それを踏まえた見積りを行ったものではございますが、実際には、一部の業種は大変厳しい状況にあるという一方で、輸出が好調であった製造業、あるいは、デジタル化の動きや巣ごもり需要などを背景といたしまして、情報通信業なども含めまして、全体として企業業績が下支えされたことなどが要因としては考えられるところでございます。
○中西委員 まさにK字形ということなんじゃないかと思います。法人税の場合には、赤字企業の赤字が増えても、元々法人税を払っていませんから、K字形の下の方の赤字が増えたとしても、若しくはとんとんだったところが赤字になったとしても、税収には影響を与えない。
一方で、もうかった企業が増えるとか、これまで黒字だった企業の黒字幅が増えるだとか、それが税収をそのまま底上げしていくということになります。ですので、このK字形がゆえに法人税が増えたということなんじゃないかと思いますけれども、局長、いかがでしょうか。
○住澤政府参考人 おおよそ、委員御指摘のとおりかと存じます。
○中西委員 K字形ということはしっかり前提とした上で、経済対策などを考えていきたいと思うんですが、もう一つ、税収の見込みが二番目に外れていたというか、差が大きかったのが、何と消費税なんです。
消費税収が、元々、十九・三兆円と補正予算では組みました。ところが、蓋を開けてみたら、二十一兆円。一・七兆円も消費税収が予想より上がっていたということなんです。これはどうしてなのか。これもお願いいたします。
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。消費税につきましては、令和二年度の補正後予算におきまして、御指摘のとおり、十九・三兆円と見込んでいたところ、決算におきまして、二十一兆円、一・七兆円の上振れとなってございます。
この要因につきまして、詳細な分析はなかなか困難な面もございますけれども、主な要因の一部といたしましては、令和二年度について、新型コロナの影響による納期限の延長といったような対応もいたしておりますので、こういった要因によって令和元年度の申告分の一部が令和二年度にずれ込んで収納されたことなども考えられるのかなというふうには存じております。
○中西委員 今、局長は、納付期限の猶予、延長があったのでこれも一因ではないか、要因の一つではないかというふうにお答えになっていらっしゃいましたけれども、ほかにもきっと要因があるんではないかというふうに思います。
一・七兆円も予想より多かったということですから、納付期限の延長ということもそれなりには織り込んでいたはずですので、どうしてなのかということを考えていくと、私なりに三つ仮説を持っております。
それは、経済のソフト化という中で、消費のソフト化というのもありまして、消費の実態をGDPの統計がきっちり捉えられていないのではないかというのが一つ目の仮設であります。
そして、二つ目の仮説として、対面サービスは落ち込んでいました。一方で、物は売れていました。サービスから物へ消費がシフトしている中で、物への消費税の捕捉というのはできている、それに対してサービスに対しては元々曖昧なところがあるということから、物の消費に、サービスから物に消費がシフトしたことによって消費税収が上がったのではないか、これが二つ目の仮設であります。
あと、三つ目の仮説なんですが、これもKに関わることだと思いますけれども、皆さん、新聞なんかでよく読む、見ると思うんですが、高額商品が大変売行きがいい。一本百万円以上もする時計ですとか、あとは宝飾品ですとか、こうしたものが大変売れているということをよく耳にするかと思います。
そんな中で、免税点制度を利用している中小の小売サービスのところから、消費が、免税点制度を利用していないところにシフトしている、百万円以上の物を買うわけですから。ということになっているということじゃないかというのが三つ目の仮説です。そうすると、益税の部分、消費税を払わなくていい、免税事業者の方々の益税と呼ばれる部分が図らずも出てきてしまっているのではないかということがあり得るのではないかというふうに思っております。
こうした三つ目の仮説が正しいとすると、今後、インボイス制度、猶予期間も経て、益税というのがなくなってくるとすると、これが消費税収に与える影響がここで見て取れるのではないかというふうにも思いますが、こうした私の三つの仮設を持っていますけれども、局長、いかがでしょうか。
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘の点、全てについて、私どもとして、税収に与えた影響について分析するだけの、根拠となるデータを持ち合わせておりませんので、全てにお答えするのはなかなか難しいというのは御理解いただければと思いますが、
例えばで申しますと、高額な消費が伸びているという御指摘、この点については、確かに、例えば、海外旅行に行っておられた方々が、海外旅行には行けないということで、国内で高額商品を購入されるといった動きがあったこともこれまた事実でございまして、そういったものが税収に与えた影響、これは考えられなくはないというふうに思っております。
御指摘の点、いずれも御示唆に富んだ御指摘と思いますので、今後、税収に与える影響を考える上で大変参考になる御指摘かというふうに存じております。
○中西委員 昨年度だけではなくて、今年度、来年度、税収、分析していただいて、そして、この経済、構造変化が起こっているのであればそれに対応していかなきゃいけないというふうに思いますし、それをしていただきたいと思います。
法人税にしても、消費税にしても、コロナ禍におけるK字形経済ということを色濃く映し出しているのではないかというふうに私は考えています。
そんな中で、経済対策ですとか税制改正を策定するに当たっては、やはり二極分化、K字形二極分化が起きているということを認識した上で中身を決めていくべきだと思いますが、こうした経済状況の変化を踏まえた上で、望ましい経済対策、税制について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○鈴木財務大臣 中西委員御指摘のとおりに、コロナからの回復の中で、企業業績の回復にばらつきが出ているわけでございまして、そのために、この状況をしっかりと踏まえて適切な政策対応をしていくこと、これが重要であると思っております。
昨年十一月でありますが、岸田総理からも、業績がコロナ前の水準に回復した企業については三%を超える賃上げを期待する、民間企業の賃上げを支援するための環境の整備に全力で取り組むとの発言がありました。
こうした考え方なども踏まえまして、今般の税制改正におきましては、多様なステークホルダーに配慮した経営と積極的な賃上げを促す観点から、賃上げ税制を抜本的に拡充をすることとしたほか、公的価格の引上げ、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備など、様々な施策を取り、総動員していくこととしております。
また、支援が必要な方に対しましては、様々な課題に応じたきめ細かな施策を講じていくことが重要でありまして、昨年決定した経済対策において、住民税非課税世帯に対する一世帯当たり十万円の現金給付や、厳しい状況にあります学生の学びを継続するための緊急給付金の給付など、それぞれの状況に応じた支援を行っております。
財務省として、企業や国民が置かれている状況を適切に踏まえまして、成長と分配の好循環に向け、予算、税制を通じた取組を進めてまいりたいと考えております。
○中西委員 ありがとうございます。K字形の下の線で苦しんでいらっしゃる方々には支援の手を差し伸べるのが政治の役割である一方、K字形の上の線にまで恩恵が被るような政策は税金の無駄遣いになってしまうということ、
また、もうかっている企業には、予想より多く国庫に税金を払っていただくのはありがたいですけれども、できれば従業員にちゃんと還元する、そうした仕組みづくりを行うことが大切だというふうに考えております。
今日の質疑、どうもありがとうございました。