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活動報告

中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。

国会活動

5/21 財政金融委員会(プライマリーバランス)

2015年05月22日 (金)

5月21日 参議院財政金融委員会において、政府が6月末を目途に作成を目指す財政健全化計画について質問しました。

政府は、2020年度プライマリーバランス(基礎的財政収支=国債に関する費用を除いた政府会計の収支)の黒字化をめざす財政健全化計画の作成を進めております。

しかし、今年2月に公表された資料(中長期の経済財政に関する試算)によると、2020年度のプライマリーバランスについて、「ベースラインケース」(中長期の経済成長率を実質1%弱、名目1%半ばと予想)で16.4兆円の赤字、「経済再生ケース」(中長期の経済成長率を実質2%以上、名目3%以上と予想)でも9.4兆円の赤字と試算されています。

この9.4兆円の赤字について、麻生財務大臣は、平成27年5月12日に開催された経済財政諮問会議において、資料①を提示され、「過去3年間の実績を踏まえた歳出の伸びに抑えることができれば、9.4兆円の赤字の大宗はほぼ解消できると考えられる」と説明されました。そして、資料②(同じく麻生大臣提出資料)によりますと、「過去3年間の実績を踏まえた歳出の伸び」とは、2012年度~2014年度の歳出の伸びをそのまま延長することを意味しております。

しかし、2012年度~2014年度における物価上昇率は、年平均で0.467%(財政金融調査室調べ)にとどまります。これに対して、日本銀行は「2016年度前半には物価安定目標(2%の物価上昇率)に達する」との見解を示しているため、政府の「2012年度~2014年度の歳出の伸びをそのまま延長する」という説明は、将来の物価上昇率の見通しという点で齟齬が生じるものと思われます。

また、物価上昇率はいわば複利となって反映されますので、その歳出の伸びも、財務省の主張するような直線ではなく、放物線となるはずです。なお、仮に2%の物価上昇率で試算した場合、5年後にはおよそ1.1倍となるため、資料②にある55.9兆円(2015年度)は、2020年度におよそ61.5兆円となり、財務省予測よりも大幅に上振れすることが予想されます。

そこで、麻生財務大臣へ、政府が「過去3年間の実績を踏まえた歳出の伸びのイメージ」として主張する赤線は、歳出の見通しとして無理があるのではないか、と質問しました。

麻生大臣からは、以下のご答弁をいただきました。

「赤線については、…その時々の物価上昇にスライドさせて歳出を増やすという考え方を取っているわけではありません。」

「我々としては、経済成長と歳出改革を両立させるということで取り組んできたところですが、例えば資材価格はこの3年間で約9.1%上昇、労務単価は27.6%上昇していますが、公共事業につきましては3年間ほぼ横ばいということなどできております。」

「現実に物価や賃金が上昇すれば公共事業の労務単価とかそれを引き上げるとかいろいろ出てくるのは当然のことであって、個々の積算に反映させはする一方、予算の総額におきましては人口減少などなど踏まえて重点化するとか、いろんな形で効率化を図ることによって経済再生と財政健全化の両立を図るべきものだと考えております。」

たしかに、資材単価や労務単価は大幅に上昇しているかもしれませんが、3年間の物価上昇率を全体で見た場合には、いまだ物価安定目標に達していないことは周知の事実です。財政健全化計画のような総論的な話は、物価上昇率も全体としてみる必要があるのではないでしょうか。

このように政府の試算根拠に不十分な点が見受けられる以上、財政健全化計画は、名目成長率3%を前提とする「経済再生ケース」だけではなく、低い成長率にとどまる場合もリスクシナリオとして想定しておくべきではないでしょうか。

今後も財政健全化計画の行方を注視して参ります。

 

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