中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
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2022年04月01日 (金)
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○中西委員
おはようございます。自由民主党の中西健治です。
衆議院の環境委員会で、私、初めての質問ということになります。これまで、私は参議院の方に十月までおりましたけれども、元々投資銀行出身ということもありまして、経済ですとか金融ですとか財政ですとか、そうした委員会に所属することも多かったわけでありますけれども、今回、衆議院に移りまして、環境と経済の両立というよりも、環境こそが経済を引っ張っていくんだ、そういう認識の下に志望して環境委員会のメンバーにさせていただきました。今日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。 大変重要な温対法の質疑ということでありますので、短い時間ですので早速質問させていただきます。
今回の法改正は、大きな柱は、地域の脱炭素取組の支援ということのほかに、株式会社脱炭素化支援機構という新たな官民ファンドを創設するということになっております。
この新たな官民ファンドですけれども、なぜ創設するのかということについて二つの観点でお伺いしたいと思うんですが、
一つは、これまでも環境省所管の官民ファンド、グリーンファイナンス推進機構を運営主体とした地域脱炭素投資促進ファンドというものがありました。これを機能強化するのではなくて、新たなファンドをなぜつくるのかということ。
もう一つは、昨年二月に政投銀、日本政策投資銀行のグリーン投資促進ファンドというもの、これも財政投融資を活用しながら立ち上がっております。
目的も類似しているということではないかと思うんですが、なぜ今回新たなファンドを立ち上げるのか。そして、既存、特に政投銀のファンドとのすみ分けをどのように図っていくのか。それについて、まず大臣にお伺いしたいと思います。
○山口国務大臣
現行のグリーンファイナンス推進機構による出資制度というのは、エネルギー対策特別会計の補助金を財源としており、対象がエネルギー起源のCO2の削減以外のもの、例えば森林吸収源対策等は対象にすることができません。また、エネルギー起源のCO2の削減についても、排出削減に直結する再エネ設備などの導入に限られており、その他の設備の導入に対しては資金供給をすることはできません。
これに対して、財政投融資は、政策的必要性が高くリターンが期待できるものの、リスクが高く民間だけでは十分に資金が供給されない事業に対して幅広く資金を供給し得るものであり、カーボンニュートラルの実現に向けて、各国が様々な形で大規模に脱炭素投資の支援政策を実施している、そういう背景を踏まえて、幅広い脱炭素事業を全国に広げる呼び水となる資金を供給することが必要であると判断したため、財政投融資を財源に活用した脱炭素化支援機構の設立を目指すものです。
また、脱炭素事業の支援に当たっては、日本政策投資銀行については、大規模事業への投融資のノウハウやネットワークを得意としていること、他方、これまでのグリーンファイナンス推進機構は、地域の中小規模の再生可能エネルギー開発に関する知見や経験を有している。こういう違いを生かして、相互の案件形成、管理への参画や情報交換などの連携を行ってきたところです。
今般の脱炭素化支援機構は、こういう背景の下に、さらに、グリーンファイナンス支援機構が対象にし得なかった分野も含めて、地域脱炭素を実現し、全国で脱炭素ドミノを起こしていく、そういう意図です。脱炭素化支援機構による資金供給が有力な政策ツールとなり、実効あるプロジェクトの形成に役立つものとなるよう、制度設計をしていきたいと思います。
○中西委員
大企業を得意としているか、若しくは地域、中小を今まで得意としているか、そうしたことに違いがあるんだという御説明だったと思いますが、今後、今までカバーできていないところをカバーしていくのに当たって、政投銀と案件の争いなんかしていると一番もったいない話になりますから、そこら辺はきっちりすみ分けを図っていっていただきたいというふうに思います。
現行のファンドは役割を終えていくわけですけれども、この現行のファンド、案件ベースでは今までエグジットしたものは一件も実現損は出していないということでありますけれども、毎年の経費などは全て賄い切れていないので、累積の損失ということが十四億円ということになっております。
官民ファンドについては、そもそも民間が取りにくいリスクを取るということで、難しい案件が多いということは十分承知しておりますけれども、厳しい言い方になりますけれども、マイナスはマイナス、赤字は赤字ということであります。
一方、私はこれまで国際金融で長いこと経験してきましたけれども、やはり、官が入るということによって、大きなアドバンテージ、これは長期性の資金を供給することができるということなのではないかというふうに思います。
今回、この新たな官民ファンドの支援案件を決めていくに当たって、リターンとリスク、どのようにバランスを取っていくのか、投資方針についてやはり大臣にお伺いしたいと思います。
○山口国務大臣
グリーンファイナンス推進機構、確かに今、現時点では十四億の赤字になっているわけですけれども、現実には、非常に最初の初期投資の方が大きい、また、それが回収に移って、人件費とか全部含んでプラスになるまでには若干時間がかかる、そういうことで令和十一年をめどにプラスになるということが見えているんですけれども、今、現時点では、中西議員がおっしゃるとおりです。
そういう意味では、今回、世界をずっと見てみた場合に、物すごく大きな支援を各国がやっている。産業に対しても、自動車産業に、あるいはいろいろな産業にやっている。こういうことを踏まえた上で、日本としてもどう対応するかということがあろうかと思います。
その意味で、脱炭素化支援機構の役割というのは、脱炭素化に資するという政策的意義はあるものの、リスクが高く、民間だけでは十分に資金が供給されない分野に民間資金の呼び水としてリスクマネーを供給する、そういうことがまず第一義。
それから、プロジェクトの形成に当たっては、旧来の伝統的な銀行の投融資業務のように担保設定等にとらわれることなく、少々大胆に、かつ戦略的な視点を重視したいと思います。
同時に、この役割を果たすために、投資実務等の専門家から成る脱炭素化委員会において適切に審査して支援決定するとともに、事業開始後も進捗管理を着実に行い、必要に応じて事業の企画実行について助言や情報提供等の支援を行うこととしたいと思います。
○中西委員
大臣のお言葉の中に少々大胆にということがありましたけれども、一つ一つの案件、採算性というのを余りに重視すると、なかなか少々大胆にということはいけないんだろうというふうに思います。 いろいろな分野にこれから投資をしていくということになると思いますので、長期性ということと、やはりポートフォリオで考えていくということを、是非、支援基準に書き込むのかどうか分かりませんけれども、投資方針の中で考えていっていただきたいというふうに思います。
そして、今、大臣のお話の中にも少し出てきましたけれども、今後の運用の人材というかタレントというか、これをどうしていくのか。これまでの機構から大分人が移っていくということなんじゃないかというふうに思うんですけれども、いろいろな分野に、新たな分野にも投資をしていく、支援をしていくということになりますと、やはり目利きの存在というのが極めて重要になってくるのかなというふうに思います。
これは、投資の経験、ですから、金融が分かっているですとか融資をやったことがあるとか、やはりこうした事業に関してよく分かっている人が必要になってくるということになるのではないかと思いますが、そうした人材、専門知識を有する人材をどのように活用していくのか、採用していくのか、そのようなことについてお伺いしたいと思います。
○上田政府参考人
お答えいたします。役職員については、脱炭素分野の事業や投資、投資案件にモニタリングの経験のある金融分野、経営企画や組織管理等に関する知見、経験のある方を新たに幅広く採用できるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。また、必要に応じて、政府からも適切な人材を出向させたいと考えております。
新機構では、これまでグリーンファイナンス推進機構が蓄積してきた再生可能エネルギー開発に関する経験と知見も活用しながら、案件組成や投資判断などを積極的に行ってまいりたいと考えております。
○中西委員
私、大宗が元々の職員の方々なのかなというふうに思いましたけれども、幅広く採用していくということであれば、金融やこうした環境事業について詳しい人、知見を持っている人も是非多く採用していっていただきたいと思います。何といっても目利きが重要だというふうに思っております。
また、この新機構の意思決定プロセスについてお伺いしたいんですが、新機構には取締役会とは別に一部の取締役から成る脱炭素委員会が設けられて支援の決定が行われるということになっております。
取締役会とは別にこのような委員会を設けることは、屋上屋を重ねることにならないのかという懸念もございます。取締役会がすぐ決めてしまえばいいんじゃないかというふうにも思いますし、また、案件が失敗したとかいうようなときに誰が責任を取るのか、この委員会なのか、それとも取締役会なのか、そうしたこともあるかと思います。 そうした点について、他の官民ファンドのことも併せながらお答えいただきたいと思います。
○大岡副大臣
中西先生にお答えいたします。 今回の機構におきましては、先生御指摘のとおり、専門的見地から迅速かつ中立に投資判断を行うためにも、社外取締役を含めた脱炭素化委員会において最終決定をするということにしております。
それは、先生、先ほどの、前の問いで御質問されたように、やはりこの脱炭素化には専門的な知見が一定程度必要で、現行の取締役がそれを全て備えているとは限らないものですから、専門的な視点の方を入れて決定をしようということでございます。
これは、官民ファンドの運営に係るガイドラインや財政制度等審議会の答申においても、投資決定の専門性、独立性、中立性を確保する観点から、投資決定委員会が中立的な立場から行うということが推奨されているという背景ももちろんありますが、あわせて、今回私たちのファンドで取ろうとするリスクを正しく評価をするために、これは必要なものというふうに考えております。
また、脱炭素化委員会の委員は取締役会の決議により定めるということになっていますし、脱炭素化委員会の決定は、機構の取締役から委任を受けたものとして扱うということになっておりますので、機構の取締役会における重複決議は必要としない、つまり、脱炭素化委員会で決めたことをもう一回重複では決議しないというふうにしておりますので、脱炭素化委員会から決議の内容を機構の取締役会に報告をするというたてつけにさせていただいております。
したがいまして、専ら個別の支援決定に関わる責任は、基本的に脱炭素化委員会の委員となっている取締役が負うということにさせていただきたいと考えております。
○中西委員
最後に、大臣に質問させていただきたいと思います。
今回、温対法を改正して、ファンドの方で二百億、また地域の脱炭素支援で二百億ということで始まるわけですけれども、規模感というのが少し小粒なのかなという気もいたします。大きな変化を起こしていきたい、それも、あらゆる部門にわたって大きな変化を起こしていきたいということですので、これはスタートだということだと思いますけれども、将来に向けて、事業のビジョンについて大臣にお伺いできればと思います。
○山口国務大臣
新機構に対する国からの出資額は、令和四年度は最大二百億円ということですけれども、改正法案では、新機構は二〇五〇年度のカーボンニュートラルの実現まで切れ目なく脱炭素投資を支援していくこととなっています。
令和五年度以降の国からの具体的な出資額については、新機構の活動の状況や市場動向を見極めつつ、事業者の資金支援のニーズに応じて検討していきたいと思います。また、地方自治体に対する財政支援についても、令和四年度の予算で地域脱炭素移行・再エネ推進交付金ということで二百億円の予算を認めていただいたところであり、これについても着実によいプロジェクト形成に努めて、次年度以降につなげさせていただきたいと思います。
こういう施策を大胆かつ着実に進めることによって、脱炭素ドミノを起こす、そしてまた、ESGマネー、巨大なESGマネーですけれども、そこを呼び込めるように努力していきたいと思います。
そして、先ほど、脱炭素化支援機構の職員についてありました。今まで実務レベルで頑張ってきていただいて、一生懸命やってきていただいた方々、希望に応じて、引き続きお願いしたいと思います。そして、上のレベルの方で少しきちっと変わっていく、こういうことをやっていきたいと思います。
○中西委員
是非、この支援機構が触媒になって脱炭素ドミノを起こせるように期待していますので、これからも応援していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 ありがとうございました。
2022年03月31日 (木)
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