中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2017年04月17日 (月)
1)国際開発協会の増資と日本のプレゼンス
○中西健治君
おはようございます。本日はできれば四つのテーマについて質問をしたいと考えております。
まずは国際開発協会、IDA法に関して質問をしたいと思います。
途上国の中でも特に所得水準の低い国を支援している国際開発協会を支えることは国際社会の主要国としての我が国の責務であると認識しております。また、国際開発協会自身もIDA債といった形で資本市場から資金調達を行うなど、そうした新たな取組を行っていることも評価できるというふうに思っております。
したがいまして、現在の厳しい財政事情においても引き続き出資や融資の形で支援を行うべきであると思いますが、資金は拠出してしまうと、ともすれば払ったらおしまいとなりがちだというふうに考えております。
そこで、三年前の増資に際しましては法案に附帯決議が付されまして、効果的かつ戦略的に資金が使われているか、これを主要な出資国としてチェックするために、日本語表記を含めた広報活動や情報公開を充実すること、そして、国際機関などで実際に働く日本人職員を増やすなど日本のプレゼンスを上げるべきこと、こうしたことが明記されているわけでありますけれども、この附帯決議に明記されている二点についてひとつ紹介したいと思いますが。
一点目、この日本語表記を含めた広報活動や情報の公開の充実ということでありますが、このIDAのホームページ、私見に行きました。そして、日本語でIDA第十八次増資とちゃんと記載されております。そして、そこをクリックしますと、増資に関する記事は出てくるんですが、いついつ会合をやりましたですとか、報告書を出しましたと、こういう事実だけが書かれているということであります。
そして、この十八次増資のことを知ろうと思って一番下まで行くと、詳しくは英語で御覧くださいと、こういうくだりになっておりまして、これはよく、詳しくはウエブで検索と出てくるのとちょっと変わらないなという感じがいたします。
そして、そこをクリックして英文の資料を見てみますと報告書全文が掲載されておりまして、百七十ページ。英文百七十ページを読むというのは大変な格闘作業ということになってしまうということだろうと思います。
全ての報告を日本語で出す、完全に出すというのは難しいだろうというふうに思いますが、この案件も三千四百六十億円の資金拠出ということでありますから、詳しくは英語でというのにするのは、ちょっともう少し工夫が必要なんじゃないかというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
○政府参考人(武内良樹君)
お答え申し上げます。
三年前のIDA法案の附帯決議で御指摘いただいた日本語表記を含めた広報活動や情報活動については、IDAを通じた開発援助活動に対する国民の理解を得る上で重要と考えており、附帯決議での御指摘も踏まえ、政府としてその充実に取り組んできたところでございます。
具体的には、日本からの働きかけにより、世銀は前回のIDA十七次増資交渉結果の概要を日本語で公表したほか、IDAに関する日本語版ホームページの刷新を行うなどその充実に努めており、日本政府としても、財務省の広報誌「ファイナンス」において増資の交渉の経緯や内容等を掲載し、ホームページで公表したところでございます。
また、IDAを含む国際開発金融機関の活動についてのパンフレットを改訂し、セミナー等の機会に活用させていただいているところでございます。今回のIDA18 の交渉合意時には、世銀は日本語版も併せてプレスリリースをするとともに、政府としてもIDAへの日本の貢献について財務大臣談話を発表するなど、国民向けの発信に努めているところでございます。
なお、現在、世銀がIDA18 増資交渉結果の日本語版の概要を準備しているところでございます。これにつきましても、私どもからは、これまでにも増して丁寧な内容とするよう求めているところでございますし、あわせて、財務省といたしましても、増資の内容等について丁寧に説明していく所存であります。引き続き、IDAを通じた開発援助活動に対する国民の理解が得られるよう努めてまいりたいと思います。
○中西健治君
いろいろと広報活動をおやりになられているということであります。私が申し上げたのは、世銀のホームページということ、世銀が作っているホームページということだと思いますので、世銀への働きかけを強めていただきたいというふうに思います。
もう一点、日本人職員の登用という点に関してでありますけれども、これもやはり世銀グループを含む国際機関において日本人職員の登用機会を広げ、主要出資国にふさわしい枢要なポスト獲得に尽力することというふうになっておりますが、この三年間の成果というのはいかがなものでしょうか。
○政府参考人(武内良樹君)
お答え申し上げます。
三年前のIDA法案の附帯決議で御指摘いただいた世界銀行グループにおける日本人職員の増加は重要な課題と考えており、附帯決議での御指摘も踏まえ、キム総裁を始め世銀幹部との数々の面会の機会に日本政府から、日本人の採用や幹部ポストの登用を強く働きかけてきたところでございます。
これを受けて、世銀は、二〇一五年、二〇一六年と二年連続日本にリクルートミッションを派遣し採用活動を行うなど、日本人の採用を増やすために積極的に取り組んでおり、例えば、昨年行われたリクルートミッションでは十二人の日本人職員が新たに採用されたところでございます。
こうした取組もあって、日本人職員数は、足下では二〇一二年六月末に比べ四十三名増加し、百八十八人となっているところでございます。今後とも、世銀グループにおいて一人でも多くの日本人が採用されるよう取り組んでまいりたいと思っております。
○中西健治君
是非、今後も取組を強めていっていただきたいというふうに思います。
2)労働分配率の低下(賃上げ問題)
続きまして、二つ目のテーマとして、麻生大臣が当委員会でもよく言及されております労働分配率についてお伺いしたいというふうに思います。資料の方も用意させていただきました。
まず、資料の上の段ですけれども、これ、今週の月曜日、四月十日に公表されましたIMFのワールド・エコノミック・アウトルックの抜粋であります。
労働分配率が世界的に長期低下傾向にあることを一つの章を割いて取り上げておりました。このグラフは、各国のGDPの規模でウエート付けしたりして指数化されておりますので、この数字を気にするというよりも、水準そのものよりも推移を御注目いただきたいというふうに思います。
これを見ますと、新興国そしてディベロプト・カントリーズでも低下傾向というのが見られているということでありますけれども、これについて麻生大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
先日公表されましたIMFのこの世界経済見通しの中での数字ですけれども、一九九一年から二〇一四年にかけて、労働分配率は、いわゆるGDP上位五十か国中二十九か国で低下という傾向を示しております。
その主な原因として、これいろいろ考えられるんだとは思いますけれども、技術進歩がえらく進んだ、IT化が進んだ、ICTが進んだ等々で自動化や省力化が進んだということも言えるのだと思っておりますし、また、新興国でもグローバルチェーンというような形でいろんなものが拡大しておりましたので資本分配率の方が上昇したということも確かなんだと思っているんですが、
ただし、労働分配率の低下の状況とか要因というものは、これはちょっと各国でかなり異なっていると思いますので、日本の場合、少子高齢化が進みつつある国ですから、そういった意味で、これ一くくりにして説明することは困難ではないかというように思います。
○中西健治君
ありがとうございます。
状況、要因は各国で異なっているということでございます。ですので、下の段のグラフを見ていただきたいと、こう思います。
これは、IMFの方は全体的な傾向でありましたけれども、もう少しミクロの各国別の国際比較を取り上げてみたいと思います。これ、OECDが公表しているデータでございます。
どの国も、G7の各国、最近下がってきておりますけれども、これ御覧いただくと、我が国は赤い線ですが、我が国の下がり方そして水準の低さ、これは顕著なんじゃないかというふうに思います。青い線が三つありますけれども、我が国とどん尻を争っているのはカナダであります。
カナダと我が国が最下位を争っているという状況でありますが、これだけ低下してきてしまっている日本の労働分配率について、麻生財務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
度々、予算委員会やこの委員会でも労働分配率の話をさせていただいて、これはそもそも組合をバックにしておられる民主党の話で俺たちの話じゃないんじゃないかという話も嫌みたらしく申し上げたことも何回かあるんですけれども、これ、最低となっていることは確かなんです。
これ、直近の数字を見ましても、これ二〇一一年の数字ですけれども、今の現状、日本の数字は六七%ぐらいまでになっているとは思いますけれども、それでも低い、はっきりしております。
これ、安倍政権以降も、この数字、頂戴したグラフを見ましても下がっておるので、その要因として、やっぱり賃上げが確かにベースアップなどという絶えて久しく聞かなかった言葉が出てくるまでになって、
労働分配率がどうなるかといえば、賃金は三年連続で二%台を達成しておりますけれども、改善は続いているんですけれども、いわゆる企業の収益というものがえらく上がっておりますから、賃金引上げというのにまだ不十分ではないかと認識しております。
例えば、経常利益で見ましても、この二〇一二年から今日まで、約十九兆円、約十九・八兆円、約二十兆円増えておるんですけれども、その中で、設備投資に八兆円、内部留保に七十三兆もあったとか、いろいろストックの方でありますけれども、
フローで見ますと、設備投資が八・一兆円増えておるということなんですが、従業員の給与だ賞与だは二・六兆ということになっているという数字がありますので、やっぱりそういった意味では、労働力はこれから、失業率二・八%みたいな形になってきていますので、嫌でもこれは労働力不足、当然のことで、賃金引き上げざるを得ないということになってくると思います。とは思っているんですけれども。
いずれにしても、高水準のこの企業収益と思っている企業のやっぱり賃金とか給与とかいうものに対してやっぱりいろんな資金を回していくということが重要なので、これは賃金アップというのを今年も経団連、同友会、いずれもこれが必要だという話を年始の挨拶でも皆されておられますので、
そういった意味で今後期待をしておりますけれども、この分を上げていく必要があるというのは、私、組合とか、まあ何でも安いというのは長い間のデフレのときはそういう状況だったんだとは思いますけれども、間違いなくデフレによる不況というのは止まった状況に来れば賃金というのはきちんと上げていく意思というものなりを、やっぱりないと、
クロネコヤマトが宅急便を一時やめたなんというのは、あれ一番は労働力の不足というのが一番大きな理由だとこの間社長が言っておられましたけれども、そういったような形になってくるというのであれば、それは賃金を上げるなり、いろんな形でのサービスの形を変えないといかぬということになってくると思いまして、必然的に労働分配率を上げていかざるを得ぬことになりつつあるのではないかなと期待はしております。
○中西健治君
企業収益が上がっている割には賃上げが不十分だということ、これはこの委員会でも何度も指摘をされてきていることだろうというふうに思います。
そうした現状の中で、更にちょっと気になることというのが、働き方の改革との兼ね合いということであります。
最近の有力な経済週刊誌の調査によりますと、この働き方改革によって多くのビジネスパーソンが労働時間やサービス残業が減ったと、こういうふうには答えておりますけれども、と同時に、千人のうち二百五十人の方が手取り収入が減ったと、こういうふうにも答えているということであります。
それは、効率的な働き方、つまり生産性も上げて残業時間も減らそうとしているのに、従業員には還元されずに手取りが減ったというのであれば、そうでなくても低い我が国の労働分配率が更に下がってしまうと、こういうことが考えられるのではないかと思います。
そして、賃金が、手取りが減ったということから、消費意欲について調査して、聞いてみますと、この消費意欲も、変わらないという人は八割ぐらいいるんですけど、一五%の人が減った、減退したと。で、消費意欲が増えたという人は三%しかいないということですので、これは、せっかくの働き方の改革が日本経済にマイナスにならないように、賃金については特に注意が必要だということなんではないかと思います。
税制などでそういう、誘導していくことが必要になるのかもしれませんけれども、麻生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
働き方改革によりまして、今間違いなく、長時間労働の是正というのは、これは高齢者の就業、また女性の就業等々を促進するものだと思いますし、労働生産性の向上にもつながるということだと思っておりますが、そういった成果が働く人に分配されるということによって賃金の増加や需要というものが拡大が見込まれるので、直ちに所得とか消費が低下するという懸念はないんだと思っているんですが。
ただ、今言われましたように、超勤手当がある前提で月々の収入というものを計算している方の方が圧倒的にこれまで多いはずですから、その超過勤務時間が減ればその分だけ手取りが減るという形にならざるを得ぬというのは、これは勤め人であれば誰でも分かる話ですが、
そういった賃金の引上げというものは、上がっている割にはそういった形になっていないから、結果として今言われたような数字が出てきているんだと思っておりますので、やはりこれ、先ほども申し上げましたけど、企業収益の増加に比べてみればやっぱり賃金の引上げの方が不足しておるという形になっているんだというように、私はそういうように見えるんですけれども。
いずれにしても、賃金の引上げに回していくということが重要なので、私どもとしては、平成二十九年度の税制改正において所得拡大促進税制というものの見直しをさせていただいております。
いずれにいたしましても、こういった取組をさせていただいて、やった方がいいですよ、こうするべきですよという話をいろいろ申し上げておりますので、財界の方々との話も、この話をよくさせていただく機会も増えてきたように思いますけれども、
今まではもうとても今そんな余裕はないというお話でしたけど、この一年間ぐらいはその形が少し変わってきたかなとは思っておりますけれども、いずれも引き続き努力していく必要があろうと存じます。
○中西健治君
是非お願いしたいと思います。
3)個人型拠出年金(イデコ)–ただの節税ツール?
続きまして、個人型拠出年金、iDeCoについてお伺いしたいと思います。
この一月からほぼ全ての国民が個人型拠出年金に加入できるようになりましたので、自分年金時代の本格的な到来だとして私自身は大いに歓迎しているところでありますが、貯蓄から資産形成へという観点ではちょっと気になることもございます。
よく似た制度として、企業がこれまでもう既に採用している確定拠出年金、これについて、企業年金連合会から二十七年度決算の実態調査が出ていますが、加入者の運用状況についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(諏訪園健司君)
企業型確定拠出年金の運用状況の大要は、御呈示いただいた資料のとおりと承知しております。
なお、その運用状況の詳細について補足して御説明いたしたいと思いますが、御呈示していただきました資料はアンケートベースの調査でございまして、当該調査項目に投資信託等の投資対象資産の内訳が含まれておりませんことから、運営管理機関連絡協議会のデータを基にお答えしたいと思います。
企業型確定拠出年金の加入者の運用状況は、平成二十八年三月末時点の資産残高ベースで元本確保型が五四・四、投資信託等が四五・六でございます。そして、その内訳でございますが、投資信託の内訳について申し上げますと、その割合が多い順に、バランス型が一三・八%、国内株式型が一二・五%、外国株式型が六・九%、国内債券型が五・七%、外国債券型が四・三%ということと承知しております。
○中西健治君
ありがとうございます。
今厚労省の方の答弁に出たのは二枚目の資料でございますけれども、元本確保型が、すなわち預貯金ですね、これがやはり非常に多いということであります。
で、今回創設された、今回、国民の多くが入ることができる、ほぼ全ての人が入ることができるようになったiDeCoの税制優遇、これは非常に手厚い税制優遇になっておりますけれども、それを簡単にお話しいただきたいと思います。
○政府参考人(諏訪園健司君)
お答え申し上げます。
iDeCoの税制優遇といたしましては、拠出時には掛金の所得控除、運用時には運用益の非課税、受給時には年金受給と一時金受給を選択でき、いずれの場合におきましても一定程度の控除というものがございます。
このように手厚い税制優遇がございますことの周知も含めまして、厚生労働省としましては引き続きiDeCoの普及に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○中西健治君
三つの税制、税の優遇があるということでありますけれども、特に、毎回拠出する金額、これが全額所得控除になっているということ、これは大変大きなメリットであるということなんだろうというふうに思います。
でなんですけれども、私この間、銀行に行きました。銀行でiDeCoの商品、iDeCoの説明を受けました。そのときに、やはり銀行で一番初めに商品ラインナップとして上に出てくるのが三年物定期預金、十年物定期預金、これが出てくるんですね。
銀行の方に聞くと、節税のツールとしてこのiDeCoを使っていらっしゃる方が多いようだと、こういうふうにおっしゃっておりました。
これはどういうことかというと、預金を今まで、普通預金でも定期預金でもいいんですけれども、入れていたら、ほとんど利回りなしです。それをiDeCoに入れ直した途端、税制優遇されている分、利回りが、所得税の税率にもよりますけれども、二割だ、三割だで回っちゃうということなんですね。
ですから、節税商品としては非常にいいけれども、預金から預金へということになってしまいかねないと。これ、利回りが二〇%、三〇%だというふうに雑誌などでもよく取り上げられておりますので、このままだとどうなのかな、私は銀行の売り方が悪いと言っているわけではありません、しかし、このままだと単なる節税ツールとして認識されてしまうんじゃないかなと、こういうところに少しというか問題があるんじゃないかなというふうに思っています。
その中で、企業型、これまでの企業型の確定拠出年金、これは運用の指図をしない場合にデフォルトでこうした買い付けを指図したとみなすというものがあります。
これが二つ目の下段のグラフで示しているんですけれども、左の円グラフが加入者から運用指図のなかった掛金が自動的に買い付けされる商品を設定している企業が六割以上、そして、その企業の設定しているデフォルト商品が九五%が元本確保型商品、要するに預金です。
預金に九五%ということですので、これは、企業が確定拠出年金をやっている人たち、従業員に対して、いいと、もう金融市場のことは勉強しないでいいから、預貯金、預金に置いておきなさいと、こう言っているのとほとんど同義になってしまうということでありますが、このデフォルト商品について今見直しの方向で考えられているというふうに私は伺っておりますが、進捗状況などをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(諏訪園健司君)
今委員お話ございましたいわゆるデフォルト商品、つまり、指定運用方法につきましては、確定拠出年金実施企業の約六割が設定するなど普及が進む状況でございますが、法律上の位置付けなどが不明確なところがございますことから、先般、指定運用方法におきます手続の明確化等の規定について法律上の整備を行ったところでございます。
その際、指定運用方法につきましては、法律上、長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生じる損失に備え、収益の確保を図るためのものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものでなければならないとしております。
この基準の設定当たりましては専門的な見地から検討を行う必要がございますので、社会保障審議会企業年金部会の下に確定拠出年金の運用に関する専門委員会を設置して、二月十四日から今四回ほど関係者の御意見を伺うなどしているところでございまして、その議論を踏まえて検討してまいりたいと、このように考えております。
○中西健治君
デフォルト商品に関しての在り方について検討していただきたいということと、あと、この企業の確定拠出年金というのは、初めて運用するという人たちにとって非常にいい入口になるんじゃないかと思います。
ただ、企業の従業員からすると誰に聞いていいか分からないと、取扱いをしているのは企業の中では総務部であったり人事部ですので、そういう人たちに聞いてもよく分からないということになるかと思いますので、やはり金融機関がこうした企業の年金に対して小まめにアドバイスをしていく、研修、教育をしていく、こうしたことが大切なんじゃないかなというふうに思っております。
4)経営者の個人保証を外す取り組み
続きまして、経営者の個人保証に関してお伺いしたいというふうに思います。
最後の資料で、三ページ目の資料でありますが、政府系金融機関、これ三年前に、政府系金融機関じゃないですね、全般に経営者保証に関するガイドラインというのが平成二十六年二月に出されました。
そして、それを受けて、この三年間、政府系金融機関というのは保証なしの融資というのが一五%から三三%に増えています。これ商工中金と日本政策金融公庫のデータであります。民間の方はいかがなんでしょうか。
○政府参考人(遠藤俊英君)
数字だけ、これに対応する民間金融機関の数字を申しますと、平成二十七年度、政府系金融機関は平成二十六年の二月から、三月から取っておりますけれども、民間金融機関に関して取り始めたのは平成二十七年度でございます。
これは、政府系金融機関が二四%なのに対して民間金融機関は一二%。それから、二十八年の四月から九月、これが直近でございますけれども、政府系金融機関三三%に対して民間金融機関一四%というレベルでございます。
○中西健治君
一二から一四ということでありますが、これで十分に成果が出ているというふうにお考えですか。
○政府参考人(遠藤俊英君)
中西委員御指摘のように、この活用実績というのは、政府系金融機関に比べますとやはり全体として低い数字であるというふうに認識しております。
ただ、個別の民間金融機関の中を見てみますとかなり様々な取組が行われていると。例えば、個人保証からの過去の回収実績が少ないことを踏まえて、経営トップが無保証融資というものを積極的に推進する方針を明確化している金融機関もございます。これは六〇%を超えています。
また、個人保証徴求時に本部が妥当性を再検証するなど、本部のイニシアティブを強化している金融機関もありまして、これも六〇%を超えるということでございますので、組織的な取組を行うことで政府系金融機関に比べても高い実績を上げている事例も見られつつある、増えつつあるというふうに認識しております。
○中西健治君
最後に大臣にお伺いしたいと思うんですが、私の知人の会社では、社長の子供が家業を継がなかったために長年勤めていた優秀な社員を代表取締役にして事業を引き継ごうとしたところ、金融機関から会社の借入金の連帯保証人になることを求められました。
それを知った奥様が猛反対したために、この事業承継というのが宙に浮いた状況となってしまっております。
つまり、個人保証が足かせとなって、積極的な事業展開だけではなくて円滑な事業承継にまで影響が出ているということであります。
大臣はよく、銀行は質屋をやっているわけではないんだから、担保を取って金を貸しているだけでは意味がないと、こういうことをおっしゃられておりますが、担保を取るどころか個人保証まで取っているという状況がやはりまだ連綿として続いているということでありますが、この状況に関して今後どうあるべきか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
御存じのように、人口減少とか高齢化が進んでおります中で、これは地域の、地方の活性化を図っていくという意味においては、これ中小企業におきます円滑な事業承継というものが進まないと、これはなかなか活性化というのは難しいと思っておりました。
そうした中で、今おっしゃいますように、個人保証の負担が重荷となって後継者が事業承継を断念するといったような話、個人保証がいわゆる円滑な事業承継を阻害しておるというような状況にあるという声もよく聞かれるところでありますので、
こうした声を踏まえまして、後継者に当然の債務保証、保証債務を引き継がせないことなどを内容とする経営者保証に関するガイドラインというものが策定をされております。
これは、なかなかちょっとしたもので、全銀協がやっていますから、それから商工会議所もこれ両方で、一緒になってこれ三年前これを決めておられますので、それなりの意識というものがあるんだというので、先ほど遠藤の方から申し上げましたように、個々の銀行等々においては大分個人保証に関しては変わってきたので、
昔よく個人保証やって、会社の社長になって、俺のところ、逆立ちしてもいい、二兆円も担保なんかできるわけないじゃないかと笑っておられた方がありまして、それを押さない限りは社長ができないという話ですから、とにかくそれはずっと結構負担に、精神的な負担はもちろんですけれども、いろんな意味で負担になるんだと思っておりますので、
こういった意味では、ガイドラインというものができていますので、これを積極的に利用して、これ、円滑な事業承継というのが行われますように、これは、金融機関に対してもこれは丁寧な対応というのを私ども今後とも進めてまいりたいと思っておりますので。
金融は育成する、我々金融庁が金融処分庁から育成庁に変わったように、おたくら金融業界を担っている人たちも企業というものを一緒に組んで育成していくことを考えないと、金融業界の将来というものも極めて厳しいので、手取りで、何ですかね、手数料だけで生きていこうなんてそんな発想じゃ話にならぬだろうと、私は基本的にそう思っております。
○中西健治君
ガイドラインの中の条件、三つの要件なども柔軟に運用するような御指導もいただきたいというふうに思います。それでは、どうも本当にありがとうございました。質問を終わります。