中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年04月07日 (火)
4月7日(火)参議院財政金融委員会(予算委員会委嘱審査)において、支出官レートと国債費の積算金利(想定金利)についてお尋ねさせて頂きました。
支出官レートとは、防衛装備品の購入や在外公館での支払いなど1兆円を超える外貨建て支払いに充てるために予算編成時に設定する当該会計年度の為替レートのことです。
この支出官レートは、過去の一定期間の為替相場の平均をとる形で算定されていますが、過去5年間の平均の採り方(算定期間)は区々です。平成23年度・平成24年度は12か月間をとっていますが、平成25年度・平成26年度・平成27年度は、それぞれ1か月・10か月・3か月となっています。【資料②参照】
為替上昇局面で算定期間を極端に短くすることは、財務省の相場観を表しており、公には認められない為替予測となるのではないかが問題となります。
また、平成25年度~平成27年度予算における、国債費の積算金利の各年度の算出根拠も区々です。【資料①参照】
平成25年度予算:直近3年間の長期金利推移(1.0%)+平成11年度の金利の上昇(0.8%)
平成26年度予算:直近1年間の平均長期金利(0.7%)+過去の金利の急上昇(1.1%)
平成27年度予算:直近3年間の平均長期金利(0.7%)+過去の金利の急上昇(1.1%)
積算金利における平均長期金利の算定期間は、直近1年間(平成26年度予算)→直近3年間(平成27年度予算)と伸びています。
この点について、麻生財務大臣より、「平成26年度予算においては、量的・質的金融緩和が始まったばかりであるため、極めて短期間の平均しか取れなかった。」「平成27年度予算においては、量的金融緩和が定着しつつあったため、平均をとる期間の長さが長くなった。」とのご答弁がありました(平成27年3月27日参議院予算委員会)。
しかし、量的・質的金融緩和の影響で平成26年度予算編成時の算定期間を短くとるというご説明は、平成26年度の算定期間を長くとる支出官レートの算出方法と矛盾します。(1か月→10か月→3か月)
また、量的・質的金融緩和を始めた後(平成26年度以後)、国債費の積算金利における金利上昇のバッファーを厚くとっていること(0.8%→1.1%)から、量的・質的金融緩和によって金利変動リスクが高まったのではないかとの疑念が生じます。
そこで、以下の質問をさせて頂きました。
①支出官レートの算定期間の取り方に、財務省の相場観を含んでいるのではないか。これを避けるため、一律に機械的に定めるべきではないか。
②平成25年度予算~平成27年度予算における積算金利の算定期間(3年→1年→3年)と支出官レートの算定期間(1か月→10か月→3か月)は、量的質的緩和の捉え方が矛盾しているのではないか(平成26年度が短い⇔長い)。
③積算金利における金利上昇バッファーを0.8%→1.1%へ引き上げたことは、アベノミクスによる量的質的緩和によって金利変動リスクが高くなったことを意味しているのか
麻生大臣からは、以下のようなご答弁をいただきました。
①について
「外国為替相場の動向は様々であるため、一律に算定期間を定めるよりも、市場の動向をきめ細かく勘案することで合理性を持たせるべきと考えている。」
「一律に算定期間を定めてしまうと、どのくらいの期間を決めてしまうかで差が出てしまう。その時の流れとかを考える努力をしないといけないと思う。」
②について
「国際市場と為替市場があるが、それぞれの市場の動向をある程度きめ細かく勘案する必要がある。そのため、平均を取る期間が異なることに問題があるとは思っていない。」
③について
「過去の金利の上昇を参考にしているが、急上昇した時の金利の幅をどれだけ保守的に見るかというところは、金利の動向などを総合的に勘案して適切に判断するしか方法がない。」
「これ以上話すと、この話が市場にそのまま抜けてしまうことになる。不測の影響を与えることもあるので(答弁は)差し控えたい。」
しかし、①支出官レートの算定期間を機械的に決めない限り、財務省の相場観は避けられず、為替予測となる懸念はぬぐえません。
また、量的・質的緩和の影響についても、②国債市場と為替市場において異なる捉え方をする理由はご説明頂けなかったうえ、③金利変動リスクについても、明確にご答弁戴けませんでした。
本日の質問時間(15分)では上記の質問に留まりましたが、今後も引き続き追及して参ります。
【資料①】国債費の積算金利
【資料②】支出官レート