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2016年03月23日 (水)
3/22(木)の財政金融委員会では、企業の国際競争力と公的負担、企業業績と賃上げ、信用保証制度の見直し、地域金融機関のリスク管理などについて取り上げました。45分という長い質疑時間のおかげで、じっくりと落ち着いて議論をすることができました。
1. 広義の企業の公的負担の国際比較の必要性
冒頭、目標としていた法人実効税率の20%台への引き下げ目途が立ったことを評価した上で、日本の立地競争力、企業の国際競争力の強化という観点からは、租税特別措置や社会保険料の事業主負担などを含めた「広義の企業負担の国際比較が必要ではないか」という問題提起を行ないました。
2. 企業業績と賃上げ
内部留保は「過去の税引き後利益から配当などを引いたもの」という会計上の概念であり、「内部に現金が留保されている」ということではありません。従って「内部留保を吐き出させて、、、」という議論は誤りであることを指摘する一方、「過去5年間に積みあがった32兆円の現預金は、賃上げや投資に回すことができるはずでは?」という問題意識に関して政府の見解を伺いました。
さらに、春闘の一斉回答に見られるように「労使ともに未来を見ず、過去を見て見通しを形成している」ことなどを指摘し、物価上昇率+生産性上昇分の賃上げを行なわない場合「コーポレートガバナンス・コードに基づき、説明責任を求めていくべきではないか」と提言しました。
3. 信用保証制度の見直し
昨年5月の参議院経済産業委員会で、「信用補完制度に対する多額の財政支援が継続している状況に鑑み(中略)見直し及び検証を行うこと」という付帯決議がなされています。「多額の税金が、制度の赤字の穴埋めに投入されている」という指摘ですので現状を質しました。
答弁で示された数字によれば、景気の回復によって財政状況は順調に改善していました。中小企業庁からは「信用保証制度の見直しは、財政状況の改善のみを目指すものではない。創業期の支援を手厚くするとともに、金融機関がより中小企業に寄り添った業務を行うことを目指す」との答弁がありました。
「見直しによって、中小企業の駆け込み寺的役割が落ちるのでは」という問いに対しては、「見直しで貸し渋りが起きるようでは元も子もない。きちんとモニタリングを行なう」との答弁がありました。
4. 金融機関のリスク管理
特に地域金融機関において、
1)投資信託への投資がここ数年急増している
2)透明性、流動性が低くリスクの高い「私募投信」を購入している
3)金利水準全体が下がったことから、より高い利回りを求めて満期までの期間が長い債券の残高が増え金利リスクが増大している
4)外債投資が増加したことで、信用リスク、為替リスクに加え外貨資金調達リスクを抱えるようになっている
といった点を指摘し、金融庁の認識と対処方針を伺いしました。
金融庁も同様の危機意識を持っており、信用リスク、流動性リスクなど様々な観点からチェックを行なうとともに、「ストレス・テストの実施、非常時の詳細なアクション・プランの作成」などの施策を検査指針に織り込み、市場リスクの管理体制を注視しているという答弁がありました。「外貨調達構造はぜい弱」という答弁があったことからして、今後市場が大きく変動した場合には注意すべきだと思われます。
最後に、投資信託や外債投資に資金を振り向けることは、国債や日銀の当座預金に資金を寝かせているよりはマシではあるものの、信用創造つまり貸出あっての金融機関のはずであることを指摘して質問を終わりました。
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