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活動報告

中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。

国会活動

5/24 法務委員会(再犯防止、犯罪被害者救済、国際仲裁活性化:動画・速記録)

2018年05月28日 (月)

5月24日の法務委員会の動画(約20分)と質疑の速記録です。
「再犯防止」「犯罪被害者の救済」「国際仲裁の活性化」の3つのテーマについて質疑を行なっています。

○中西健治君 
おはようございます。自由民主党の中西健治です。
 本日は、再犯防止対策についてまずお伺いしていきたいと思います。
 刑法犯の認知件数というのは、近年劇的に減少しているということであります。平成十四年のピーク時には二百八十五万件認知されていたものが、平成二十八年は百万件を下回るということにまでなってまいりました。一方、再犯者率は一貫して上昇しておりまして、平成二十八年には四八・七%まで上昇していると、ほぼ二分の一というところまで来てしまっているということであります。
 こうしたことを受けて、議員立法で平成二十八年には再犯防止推進法が制定をされ、そして昨年十二月に再犯防止推進計画が閣議決定されたという経緯になっているところであります。この再犯防止推進計画は、五つの基本方針の下、七つの重点課題について百十五の施策を盛り込んだものであり、罪を犯した人などに対して官民一体となって息の長い支援を行い、再犯を防止することから、大変重要なものであると考えているところであります。
 上川大臣が所信の冒頭で述べられていたとおり、本年はまさに推進計画元年ということなのではないかと思います。政府の取組について伺いたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君) 
おはようございます。 委員御指摘のとおり、昨年の十二月に再犯防止推進計画が閣議決定をされまして、五つの基本方針の下、七つの重点課題につきまして百十五の施策が盛り込まれたところでございます。国そして地方公共団体、また民間団体等がそれぞれの役割に応じて連携をしながら取り組んでいく、再犯防止施策を推進する、このことにつきましてのまさに裏付けとなる計画でございまして、大変意義が大きいものというふうに考えております。
 法務省におきましては、さらに、そのうち特に重点を置くものとして十の施策を取りまとめまして、再犯防止アクション宣言ということで公表をさせていただきました。その意味では、いよいよ本年四月から実施段階に入ったところでございまして、推進計画元年、まさに今年、その意味で極めて重要な一年であるというふうに考えております。
 そのため、政務三役が再犯防止キャラバンとして、地方公共団体に、地方版の再犯防止推進計画の策定等を働きかけるということで随時お願いに行っているところでございますが、その第一号といたしまして、鳥取県の再犯防止推進計画を策定していただきました。また、地方公共団体が再犯防止の取組を共有するための会議体等の枠組みづくりや、また地方公共団体が再犯防止を推進するための事業を実施するに当たっての財政的支援を行う枠組み、こういった取組も行っているところでございます。
 こういった取組をしっかりと継続をする、そのためにも、国、地方、民間一体となって、この推進計画に盛り込んだ一つ一つの課題につきまして着実かつスピード感を持って取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○中西健治君 
ありがとうございます。
 政府の取組も大変重要でありますけれども、地方議会、地方公共団体の取組も非常に重要ということでありますので、我々も地方議員を通じて働きかけを行っているところでございます。
 こうした再犯防止の中でも、特に性犯罪の再犯防止については、犯罪者に対する対応だけではなく、被害者の生活の平穏、その他の権利や利益に十分配慮して、さらには二次被害の防止や被害者の心情といった面にまで気を配るといった丁寧かつ包括的な対応が求められるということではないかと思います。
 性犯罪に特有のこのような側面を踏まえた上での再犯防止に関する具体的な取組についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君) 
性犯罪に遭われた被害者の皆様につきましては、多大な精神的また身体的苦痛を受けているということでございまして、そのような被害に遭われた方々の心情に十分に配慮した再犯防止対策が必要であるというふうに考えております。
 また、性犯罪者の再犯を効果的に防止するためには、性犯罪者等に対しまして、性犯罪に特有の問題性、これに着目し、そのことを踏まえた働きかけが極めて重要であるというふうに考えております。
 被害に遭われた方々の心情に十分配慮した再犯防止対策といたしまして、性犯罪被害者の心身の健康の回復、その支援を行う重要な機関でありますワンストップ支援センター等の関連機関との連携を引き続き積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。
 また、法務省といたしましては、この再犯防止推進計画に基づきまして、新たな被害者を生まないという決意の下で、まず医療・福祉関係機関との連携を強化すること、また、性犯罪者等に対する、矯正施設収容中から出所後まで一貫性のある効果的な指導を実施すること、また、三点目といたしましては、海外における取組などを参考にしつつ、矯正施設や保護観察所における専門的な指導や処遇プログラム等の性犯罪者等に対する指導等につきまして、効果検証の結果を踏まえました指導内容、方法の見直しを図るなど、再犯によりまして新たな性犯罪被害者を生まないための方策につきましては一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

○中西健治君 
今、性犯罪被害者の思いをしっかりと受け止めなきゃいけないと、こういうお話もあったかと思います。
 犯罪被害者に対する施策全般について続いてお伺いしたいと思いますけど、今日は警察庁にも来ていただいておりますので、まず、いわゆる犯給制度の現状についてお伺いしたいと思います。
 犯罪によって仕事を続けられなくなった被害者や家計の柱となる人を失って残された家族などが経済的に困窮する、また社会において孤立を余儀なくされるといった、犯罪による被害そのものに加えて副次的な被害に苦しめられているケースというのが多々指摘されているところであります。
 平成二十八年四月の第三次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策のうち、損害回復、経済的支援等への取組、特に犯給制度についてその現状をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(山岸直人君) 
お答えいたします。 御指摘の第三次犯罪被害者等基本計画におきまして、犯罪被害給付制度に関する検討として、重傷病給付金の支給対象期間、犯罪被害者に負担の少ない支給、若年者の給付金及び親族間犯罪被害に係る給付金等の在り方について、警察庁において実態調査等を行い、その結果を踏まえた検討を速やかに行って必要な施策を実施することが盛り込まれました。
 これを踏まえ、警察庁では、平成二十八年度末までに所要の調査を実施し、昨年四月から犯罪被害給付制度に関する有識者検討会を開催して、同年七月に提言が取りまとめられました。この提言を踏まえ、重傷病給付金の給付期間の一年から三年への延長、幼い遺児がいる場合における遺族給付金の引上げ、親族間犯罪における減額・不支給事由の見直し等を内容とする制度改正を行い、本年四月から施行されたところであります。
 本改正によりまして、長期の療養を受ける重傷者や犯罪で父母を亡くした幼い子など、犯罪で苦しむ方々への支援の一層の充実が期待されるところであり、新たな制度が適切に運用されるよう、都道府県警察を引き続き指導してまいります。

○中西健治君 
我々のところにもいろいろと声が届けられていますので、重要なステップが踏まれているというふうに思いますけれども、是非拡充を図っていっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、子供の性被害防止についてお伺いしたいと思いますけど、児童買春や児童ポルノなどにより、成長過程にある児童の心身が被る被害は大変深刻であります。断じて許すべきものではないというふうに思います。ただ、児童ポルノ事犯の増加というのは、我が国だけではなくて世界的に見られるということになっております。
 子供の性被害防止に関する取組についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小田部耕治君) 
お答えいたします。 子供の性被害をめぐる情勢につきましては、昨年、児童ポルノ事犯の検挙人員が過去最多を更新したほか、SNSの利用に起因して性的な被害に遭う児童が増加傾向にあるなど、深刻な状況にございます。
 こうした子供の性被害の防止に向けまして、政府といたしまして総力を挙げて取り組むべく、昨年四月、犯罪対策閣僚会議におきまして子供の性被害防止プランが策定され、このプランに基づきまして、児童ポルノ等の子供の性被害防止に向けた国民意識の向上、被害児童の保護や支援、取締りの強化等の総合的な取組を進めているところであります。
 今後とも、関係機関、団体や民間事業者等との緊密な連携を図りながら、子供の性被害防止に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。

○中西健治君 
警察庁が公表した犯罪被害類型別調査というのを見させていただきましたけれども、性的な被害はどこにも、誰にも相談していないという回答が非常に多くなっているということであります。潜在化が非常にしやすいということだと思います。
 犯罪や犯罪が疑われる事案に関して速やかに警察へ通報する、相談をする、こうしたことが事件の解決のみならず深刻化を防ぐ上でも大変重要だというふうに思いますけれども、被害者が警察にアクセスしやすくなる、そうした工夫も必要なんじゃないかというふうに思います。取組状況についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(山岸直人君) 
お答えいたします。 平成二十八年四月に閣議決定をされました第三次犯罪被害者等基本計画におきまして、性犯罪被害者を始めとした被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する相談体制の充実等が盛り込まれました。これを踏まえまして警察庁では、各都道府県警察が設置をしております性犯罪被害相談電話につながる全国共通の短縮ダイヤル番号、シャープ八一〇三、ハートさんと呼んでいますけれども、これを昨年八月から導入をいたしました。これは、シンプルな全国共通番号を導入することによりまして、相談窓口の認知度の向上を図るとともに、相談者が相談窓口にアクセスしやすくなるなど、性犯罪被害者が相談しやすい環境を整えることとしたものであります。
 警察庁といたしましては、今後とも、この全国共通番号に関する広報を積極的に行うなど、性犯罪被害者が一人で悩むことなく、警察に相談しやすくなるように鋭意取り組んでまいります。

○中西健治君 
ありがとうございます。 シャープ・ハートさん、まだまだ知られていない、昨年八月ですから知っている方も少ないということじゃないかと思いますので、広範に知らしめるようにしていただきたいと思います。
 続きまして、国際仲裁機能の強化についてお伺いしたいと思います。
 私、先日、許可を得て香港とシンガポールの国際仲裁に関係する機関や省庁を訪問してまいりました。そして、アジアのリーガルサービスの需要の伸びが著しく増加しているということを確認してきた、実感してきたところであります。一方、我が国の国際仲裁件数というのは、皆さん御承知のとおり、低調なままの状況が続いているということであります。
 国際仲裁の活性化に向けて関係府省が今後取り組むべき課題等を明確にした中間取りまとめというのが本年四月に策定されました。この意義と目的など、お伺いできればと思います。

○政府参考人(山内由光君) 
お答えいたします。 国際仲裁は、中立的であること、あるいは秘匿性を確保できることなど等の観点から、国際取引における紛争、この解決のグローバルスタンダードになっておりまして、日本企業の海外進出を後押しするとともに、海外から我が国に対する投資を呼び込むにも資するということから、我が国においてもその活性化が急務であると承知しております。
 御指摘のように、本年四月二十五日、内閣官房副長官補を議長とする国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議において、中間取りまとめとして、国際仲裁の活性化に向けて考えられる施策が作成されております。
 この取りまとめは、関係府省が今後取り組むべき課題などを明確にしたものでございますが、具体的に申しますと、国際仲裁を熟知した人材の育成、仲裁手続を行う施設の整備、国際仲裁の意義や利点などに関する企業などの意識啓発や広報などの諸点について取り組むべきであるということが取りまとめられております。

○中西健治君 
シンガポール、香港へ行ったと申し上げましたけれども、やはり彼と我の差というのはかなりあるというふうに思うわけでありますけれども、ただし、このシンガポールの国際仲裁センターを例に取りますと、取扱件数が四倍に急増したのはこの十年間のことであります。ですので、ずっと昔からということではありませんので、今スピード感を持って取り組めばキャッチアップすることも可能ではないかということも感じた次第であります。ですので、このスピード感と、いつまでに何をやるのかということが大変重要ということではないかと思います。
 我が国における国際仲裁の利用が低調にとどまっている原因の一つとして、経済界において国際仲裁のメリットが十分に知られていないということもあるのではないかというふうに思います。広報や意識啓発について何を行っていくのか、これをお伺いできますでしょうか。

○政府参考人(山内由光君) 
委員御指摘のように、日本における国際仲裁の活性化を図っていくためには、主たるユーザーである企業において、裁判と異なる国際仲裁のメリット、あるいは日本を仲裁地とすることのメリット、これについて十分御理解していただく必要がございまして、また実際の契約締結に当たりまして、日本を仲裁地とする取扱いが少ないという御指摘があります。こうした状況を踏まえまして、今後、法務省といたしましては、経済界に対して日本を仲裁地とするような取扱いも検討していただくように普及、広報に努めることが重要であると認識しております。
 とりわけ、既に海外に拠点を有している、そして国際仲裁を利用しているという、こういう企業もあれば、これから海外進出を検討していくという企業もございます。こうした国際仲裁に対する経験、これらの有無を考慮しつつ適切なアプローチをしていくことが必要であろうと認識しております。
 そして、この点に関しましては、本年五月から、大阪中之島の合同庁舎を活用した民間における広報、意識啓発などのパイロットプロジェクトというのが開始されたところでございます。このパイロットプロジェクトでは、仲裁に関する企業向けのセミナーやシンポジウムを開催するほか、実際の仲裁事件も取り扱うものと伺っております。
 法務省といたしましては、引き続き、こういったプロジェクトを始めとして、関係省庁や民間団体とも連携しながら、経済界に対する広報や意識啓発、これに積極的に取り組んでまいりたいと存じております。

○中西健治君 
我が国の国際仲裁を活性化させるためには、仲裁人、仲裁代理人等の人材育成というのがもう喫緊の課題となってまいります。香港、シンガポールで感じたこととして、そちらで働いている弁護士さんなどは、例えば前職はオランダのハーグでしたと、若しくはフランスのパリでしたと、こういう方々が多いんですね。ですから、このキャリアアップのサークルの中に香港もシンガポールもパリもハーグも入っていると、こんなようなことを感じました。その中に、今、東京、日本は、大阪にしてもまだ入っていないということだと思います。
 こうした海外の著名な仲裁機関との連携強化なども通じてこの人材育成というのを図っていかなければいけないと思いますが、それについて取組を、できれば簡潔にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(山内由光君) 
国際仲裁を活性化する上では、やっぱり人材育成が喫緊の課題であると承知しておりますが、海外では、やはり著名な国際仲裁機関において、様々なその法域の出身の様々な専門性を有する多くの仲裁人が活躍しております。仲裁人以外でも、ほかの国の仲裁機関との間の法律事務所との人材の行き来、これが行われておりまして、こういった人材の行き来も、やっぱり人材育成に関して大きな役割を果たしていくというふうに考えております。
 法務省といたしましては、やっぱり国際仲裁の第一線で活躍できる人材の育成に向けて、アジアや欧米における海外の著名な国際仲裁機関との連携を強化し人材を派遣するとともに、海外の著名な仲裁人を招聘するなどして効果的な人材育成の在り方について引き続き検討して、必要な取組を進めてまいりたいと存じます。

○中西健治君 
是非、この数年が勝負だと思いますので、取組を進めていっていただきたいと思います。 質問を終わります。ありがとうございました。

 

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