中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2016年02月18日 (木)
2月17日(水)「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」では、
河村小百合日本総合研究所上席主任研究員(財政、金融、公共政策)
佐藤主光一橋大学公共政策大学院教授(財政学)
小黒一正法政大学経済学部教授(公共経済学)
から、現在の財政・金融状況に関するご意見をお伺いしました。
冒頭、3人の参考人からは、「日本の財政状況は危機的な段階を迎えており、金融政策にも限界が見えつつある」「早急な対処が必要である」という内容のご説明を頂きました。
これを受けて、質疑においては、対処に的を絞っておたずねしました。
<河村参考人との質疑>
(中西)「量的・質的金融緩和が時間を買う政策であり、いつまでもやるものではないことは理解している。ただ、政策の波及経路として最も有効だったのは為替、つまり円安を通じての企業収益の改善とそれを背景とした株価の上昇である。
早急に見直すべきだというご提言だが、為替レートに対する影響、つまり円高を引き起こす可能性が高いと思われる。その点に関する評価をお伺いしたい」
(河合)「円高が良いのか円安が良いのかという議論に関しては、たしかに円安によって企業業績が良くなり助かった面がある。また、Jカーブ効果はどこにいったのか(輸出が増えない)、この国の空洞化はそんなに進んでいたのかと気づかされたということもある。
短期的には円高にふれるかもしれない。しかし、もう少し長い目では超円安によって、輸入インフレどころではなく物価目標など簡単に達成できるインフレの方が怖い。円安になればなるほど景気が良くなる訳ではない。
日本のような大国が、為替ばかりを見て政策を行なうのは如何かなと思う」
(中西)「短期的という概念が不明だが、1年、2年という期間円高がつづくと、大変なことになるのではないかと申し上げておきたい」
<佐藤参考人との質疑>
(中西)「所得税の見直し、特に若年勤労者に手を差し伸べる見直しは必要だと思う。ところで、日本では年収1千万円以下に対する税率は10%以下、しかも納税者の80%以上がこのカテゴリーに入る。国際比較では著しく低い。この部分に手をつけるべきだと言うことか?」
(佐藤)「地方税が10%かかり、社会保険料も高いためピンと来ないかもしれないが、たしかに日本の場合所得税はあまり払っていない。一方、最高税率はというと、地方税まで合わせれば55%と国際的に見ても低くはない。
従って、税率表を見直すべきかもしれないが、問題の根源は所得控除が大きすぎることの方だ。1千万円稼いでいてもあれこれ控除されて、実際の課税ベースは小さくなっている。稼ぎに関係なく定額減税となる税額控除とするべきだ」
<小黒参考人との質疑>
(中西)「世代間格差を無くすべきだという論点に関しては、シルバー民主主義とのぶつかり合いという問題が避けて通れない。先ほど世代別選挙区制というご提言を頂いているが、この問題を考えるに当たってほかに留意すべき点があればご教示頂きたい」
(小黒)「世代間の対立に関しては、税収をどう配分するかという問題は当然あるのだが、もうひとつ挙げるならば情報の発信の仕方が稚拙だと思われる。
たとえば人口が減れば経済成長率は当然落ちる。そのため、マクロ的には配分するおカネがないように見えてしまう。しかし、1人当たりの成長率がプラスであるならば、配分するおカネは確保できていることになる。そういうことまで考えて制度設計をするべきだ」
学問的な立場から「あるべき姿」についてご教示頂き、財政・金融問題に関する知見を深めることができました。今後の活動に生かしていきたいと思います。