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活動報告

中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。

国会活動

質問主意書≪安保法制⑫ 吉國長官答弁 再質問≫

2015年07月13日 (月)

 

議長提出:2015年07月13日

内閣転送:2015年07月15日

回   答:2015年07月21日

 

昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会における吉國内閣法制局長官答弁に関する再質問主意書

政府は、平成二十七年六月九日の「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性等について」において、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)で示された「武力の行使」の三要件(いわゆる新三要件)は、昭和四十七年十月十四日に参議院決算委員会へ政府が提出した「集団的自衛権と憲法との関係」で示された政府見解(以下「昭和四十七年の政府見解」という。)の基本的な論理を維持したものであると主張する。

そして、昭和四十七年の政府見解が提出されるきっかけとなった昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会において、吉國一郎内閣法制局長官(当時)は「憲法の前文においてもそうでございますし、また、憲法の第十三条の規定を見ましても、日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして国民が非常な苦しみにおちいるということを放置するというところまで憲法が命じておるものではない。第十二条からいたしましても、生命、自由及び幸福追求に関する国民の権利は立法、行政、司法その他の国政の上で最大の尊重を必要とすると書いてございますので、いよいよぎりぎりの最後のところでは、この国土がじゅうりんをせられて国民が苦しむ状態を容認するものではない。」との答弁を行っている(以下「吉國長官答弁」という。)。

吉國長官答弁に関して、私が本年六月十八日に「昭和四十七年の政府見解における「自衛の措置」及び「外国の武力攻撃」に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第一七〇号)を提出したところ、本年六月二十六日の政府答弁書(内閣参質一八九第一七〇号)二についてで、「(吉國長官答弁における)「日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして」及び「この国土がじゅうりんをせられて」という部分は、吉國一郎内閣法制局長官(当時)が、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて述べたものと認識している。」(以下「答弁②」という。)との答弁があった。

これを踏まえて、私が本年六月二十九日に「昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会における吉國内閣法制局長官答弁に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第一八九号)を提出し、「答弁②で示された吉國内閣法制局長官の答弁に対する政府の認識(「我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて述べたもの」)は、吉國長官答弁における憲法前文及び第十三条の条文解釈にまで及ぶか。仮に、及ばないというのであれば、答弁②で示された政府の認識と吉國長官答弁における条文解釈の関係をいかに理解すればよいのか、明らかにされたい。」(以下「本件質問」という。)と尋ねたところ、本年七月七日の政府答弁書(内閣参質第一八九第一八九号)二についてで、「お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、先の答弁書二についてでお答えしたとおり、御指摘の答弁の「日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして」及び「この国土がじゅうりんをせられて」という部分は、吉國一郎内閣法制局長官(当時)が、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて述べたものと認識している。」(以下「本件答弁」という。)との答弁があった。

しかし、本件答弁は、本件質問で尋ねた条文解釈について全く触れておらず、本件質問に対する答弁として十分ではないと考える。

以下、再質問する。

一 吉國長官答弁は、「憲法の前文においてもそうでございますし、また、憲法の第十三条の規定を見ましても」及び「第十二条(第十三条のことと考えられる。)からいたしましても、生命、自由及び幸福追求に関する国民の権利は立法、行政、司法その他の国政の上で最大の尊重を必要とすると書いてございますので」とあるように、条文の規定を根拠に、「日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして国民が非常な苦しみにおちいるということを放置するというところまで憲法が命じておるものではない。」及び「いよいよぎりぎりの最後のところでは、この国土がじゅうりんをせられて国民が苦しむ状態を容認するものではない。」という条文上明らかではない規範を導くものである。

そのため、吉國長官答弁は、憲法前文及び第十三条の条文解釈を示したものと考えるが、政府の認識はいかがか。仮に、吉國長官答弁は条文解釈を示したものと認められないのであれば、吉國長官答弁は、いかなる要素が欠けるため条文解釈と認められないのか、明らかにされたい。

二 前記一において条文解釈を示したものと認める場合、政府は、吉國一郎内閣法制局長官(当時)が、吉國長官答弁において、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて、憲法前文及び第十三条の条文解釈を行ったと認識しているか。仮に、これと異なる認識である場合、政府は、答弁②で示された吉國一郎内閣法制局長官(当時)の認識と憲法前文及び第十三条の条文解釈の関係をいかに考えるか、明らかにされたい。

右質問する。

参議院議員中西健治君提出昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会における吉國内閣法制局長官答弁に関する再質問に対する答弁書

一及び二について

お尋ねの「条文解釈を示したもの」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、先の答弁書(平成二十七年六月二十六日内閣参質一八九第一七〇号)二についてでお答えしたとおり、御指摘の答弁の「日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして」及び「この国土がじゅうりんをせられて」という部分は、吉國一郎内閣法制局長官(当時)が、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて述べたものと認識している。

≪提出にあたって≫

政府が限定的な集団的自衛権行使の根拠として主張している「昭和47年政府見解」を提出するきっかけとなった、吉國一郎内閣法制局長官(当時)の答弁について、改めて質問主意書(再質問主意書)を提出しました。

昭和47年政府見解は、「集団的自衛権の行使は認められない」という結論を導くもので、これまで集団的自衛権の行使を否定する根拠と位置づけられてきました。ところが、政府は、昨年7月1日、「昭和47年政府見解の基本的論理を維持している」ことを理由に、限定的な集団的自衛権行使を容認する閣議決定を行いました。同じ昭和47年政府見解を根拠として、集団的自衛権の行使を容認するに至ったことから、その解釈を巡って様々な議論が交わされています。

そのなかで、昭和47年政府見解を提出するきっかけとなった、吉國内閣法制局長官の答弁に着目しました。

平成27年6月18日の質問主意書を通じて、政府から、「吉國内閣法制局長官は、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて、昭和47年政府見解を提出するきっかけとなった参議院決算委員会の答弁を行っている」旨の答弁を引き出しました(平成27年6月26日政府答弁書)。

そこで、「この吉國内閣法制局長官の認識が、吉國長官答弁で示された憲法前文及び第13条の条文解釈にまで及ぶのか」を尋ねたところ(平成27年6月29日質問主意書)、政府より、「お尋ねの趣旨がよくわからない」旨の答弁が届きました(平成27年7月7日政府答弁書)。

そこで、質問の趣旨を明らかにするために、以下の点について、質問しました。

①吉國長官答弁は、憲法前文及び第13条の規定を根拠に、条文上明らかでない規範を導くものであるが、これは憲法前文及び第13条の条文解釈と認められるか。

②政府は、吉國内閣法制局長官が、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて、憲法前文及び第13条の条文解釈を行ったものと認識しているか。

仮に、吉國長官の「我が国に対する武力攻撃を念頭に置いた」という認識が憲法前文及び第13条の条文解釈にまで及ぶのであれば、同じ条文解釈から導かれる昭和47年政府見解の捉え方も、そのような認識に準じたものとなり、個別的自衛権に限定する有力な証左となります。

条文解釈という基本に立ち返って、集団的自衛権行使容認の是非を検討したいと考えます。

 

≪回答を受けて≫

政府の回答は以下の通りとなります。

①吉國長官答弁は、憲法前文及び第13条の規定を根拠に、条文上明らかでない規範を導くものであるが、これは憲法前文及び第13条の条文解釈と認められるか。

②政府は、吉國内閣法制局長官が、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて、憲法前文及び第13条の条文解釈を行ったものと認識しているか。

→(①と②を併せて)お尋ねの「条文解釈を示したもの」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、「日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして」及び「この国土がじゅうりんをせられて」という部分は、吉國長官が、我が国に対する武力攻撃を念頭に置いて述べたものと認識している。

「条文解釈」について尋ねた前回の質問主意書に対して、「お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではない」という答弁が返ってきましたので、「条文解釈」の意味を丁寧に説明した質問主意書を作成しましたが、改めて「『条文解釈を示したもの』の意味するところが必ずしも明らかではない」との答弁が返って参りました。

政府としては、どうしても「条文解釈」を前提に議論を進めたくないようですが、この点にこそ「不都合な真実」が隠されているのかもしれません。

今後は、参議院での審議を通じて質して参りたいと思います。

 

 

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