中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年04月17日 (金)
髙橋 洋一 先生 井堀 利宏 先生 井出 英策 先生
4月15日(水)に開催されました「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」において、3名の参考人の先生方のご意見を伺いました。
1、高橋洋一先生(嘉悦大学ビジネス創造学部教授)
高橋先生には、以下の2点を尋ねました。
①政府は、経済見通しについては高めに見積もり、後で下方修正をするのに対して、税収については低めに見積もり、後で上振れさせている。このように方向性が逆になってしまうのは何故か。
②税収弾性値(税収の伸び率を名目経済成長率で除した値)について、財務省は1.1を、内閣府は1.0を使っているがどちらも低いと思われる。いくらを用いるべきか。
高橋先生からは、以下のご回答をいただきました。
①経済と税収の見通しについて
「経済見通しと税収見通しがズレル原因は、マクロは内閣府、税収は財務省とばらばらに担当しているため。マクロできちんとやるのが大前提。」
②税収弾性値について
「ここ十数年の実績ベースで、税収弾性値は3。景気回復局面では赤字企業が税金を払いだすので、弾性値は大きくなる。財務省が弾性値を低く見るのは予算上のテクニックに過ぎない。」
2、井堀利宏先生(政策研究大学院大学教授)
井堀先生には、財政健全化目標についてお尋ねしました。
具体的には、財政健全化目標は、2020年度PBの黒字化でいいのか、もっと進んで財政収支を黒字化すべきなのか、あるいは債務の対GDP比率が発散しなければいいのかについて、お尋ねしました。
井堀先生からは以下のご回答をいただきました。
「財政健全化には2つの目標がある。ひとつは全体の財政が持続可能であること、もうひとつは中身の話。」
「全体の持続可能性という点ではPBの黒字化は中間目標であり、最終的にはGDP比の公債残高が安定的に下がっていく必要がある。そのためには数パーセントの黒字のレベルを作らなければならない。」
「他方で、マクロベースで均衡していても、賦課方式で人口が減少していく社会では世代間で不公平が生じ、若い人には財政に対する不信感が拭いきれない。財政や社会保障が中長期的に日本国民に受け入れられるためには、抜本的な社会保障改革という中身の改革も必要である。」
3、井手英策先生(慶応義塾大学経済学部教授)
井手先生には、井手先生が主張される「国税については累進性を高めてもいい。地方税については低所得の方にも払って頂きたい。」ということを進めた場合、結果として直間比率はどのような姿になると想定されるのか、をお尋ねしました。
井手先生からは、以下のようなご回答をいただきました
「女性の社会進出が進み、かつて女性が家庭で果たしてきたサービスの負担が問題となってきた。その結果、対人社会サービスの担い手である地方自治体に仕事や権限が下りてくる。」
「この財源については、みんなが納税者になるべきというのが私の考え方。そのため、税収は、地方消費税を増やすか、住民税を増やすかのどちらかと考える。」
「住民税が増えるか、地方消費税が増えるかによって、全体の直間比率の構造が変わってくる。ただし、自治体関係者が住民税の増税を言い出すことが難しいということを考えると地方消費税のウェートが大きくなると思う。」
先生方のご見識を伺い、財政再建への知見を深めることができました。今後の委員会質問に活かして参りたいと思います。