中西けんじ公式ホームページ/自由民主党衆議院神奈川三区(鶴見区、神奈川区)

活動報告

中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。

国会活動

質問主意書≪アジアインフラ投資銀行≫

2015年04月07日 (火)

 

 

議長提出:2015年04月07日
内閣転送:2015年04月13日
回答   :2015年04月17日

アジアインフラ投資銀行に関する質問主意書

本年三月三十一日、中国が主導して設立を模索するアジアインフラ投資銀行(以下「AIIB」という。)の創設メンバーとなるための参加申請が締め切られた。日本は、公平なガバナンスの確保並びに債務の持続可能性及び環境・社会に対する影響への配慮の確保に対する疑問を理由に、参加申請を見送る一方、イギリス、ドイツ、フランス及びイタリアといったG7主要国のみならず、韓国及び台湾といった東アジアにおけるアメリカの同盟国・地域までもが、同日までにAIIBへの参加を申請している。

このうち、イギリスの参加表明について、四月一日の衆議院外務委員会において岸田外務大臣が「英国がAIIBの参加を表明する前に、英国から日本に対しまして事前に通告というものがありました。」と答弁している。一方、四月五日付け読売新聞朝刊では、「財務省も外務省も説明が悪すぎた。「G7の国々は入りません」と言っていた。」と報じられるなど、G7諸国からの参加について財務省や外務省の見通しが甘かったことも指摘されており、我が国の外交戦略に関する情報共有や情報分析に課題を残す結果となった。

そこで、以下質問する。

一 政府は、AIIBを巡る財務省と外務省の行政事務を、どのような配分基準によって分けているのか。両省の設置法に基づく所掌事務との関係と併せて明らかにされたい。

二 イギリスの参加表明に関して、本年三月三十一日付け毎日新聞朝刊では「外交関係者によると、(中略)主要七か国(G7)メンバーには、約一か月前に参加検討を通告した。」と報じられている。事前通告があったこと自体は、既に四月一日の衆議院外務委員会で岸田外務大臣が認めているが、政府がイギリスからAIIB参加表明の事前通告を受けたのは、具体的に何月何日であるのか。仮に日付を明らかにできないのであれば、おおよその時期を示されたい。

また、事前通告を受けたのは、財務省と外務省のいずれであるかを明らかにされたい。

三 前記二におけるイギリスの事前通告の詳細を、財務省と外務省の間で情報共有したのは、何月何日か。特定の日時を示すことが困難である場合は、前記二における事前通告を受けた日から何日後かを明らかにされたい。

四 政府は、本年一月一日以降に、イギリス以外の国からAIIB参加申請の事前通告を受けたか。仮に受けたとすれば、イギリスを含めて何か国から事前通告を受けたかを明らかにされたい。

五 政府は、前記二におけるイギリスの事前通告を受けて、イギリス以外のG7諸国がAIIBに参加することとなる可能性を検討したか。検討結果と併せて明らかにされたい。

六 政府は、我が国がAIIBに参加しないことによって、我が国にとっていかなる不利益が生じると認識しているか。

七 政府は、我が国がAIIB創設メンバーに加わらないことによって、我が国にとっていかなる不利益が生じると認識しているか。

右質問する。

参議院議員中西健治君提出アジアインフラ投資銀行に関する質問に対する答弁書

一について

財務省設置法(平成十一年法律第九十五号)第四条第五十二号において「国際復興開発銀行その他の国際開発金融機関に関すること」は財務省の所掌事務とされており、外務省設置法(平成十一年法律第九十四号)第四条第一号において「外交政策に関すること」は外務省の所掌事務とされている。アジアインフラ投資銀行(以下「AIIB」という。)に関する事務については、このような所掌に基づき実施している。

二から五までについて

政府の情報収集の内容や外交上のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり差し控えたい。また、政府部内の検討内容等について明らかにすることは、今後の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ等があることから、差し控えたい。

六及び七について

政府としては、AIIBにおいて公正なガバナンスが確立されることや、AIIBが債務の持続可能性を無視した貸付けを行わないこと等が確保されるか否かが明らかでない現時点において、お尋ねについて予断をもってお答えすることは差し控えたい。

 

≪提出にあたって≫

アジアインフラ投資銀行に関する質問主意書を提出いたしました。

アジアインフラ投資銀行とは、中国が提唱し主導する形で設立が進められているアジア向けの国際開発金融機関のことです。

2013年10月、習近平主席が提唱し、当初はアジアの国々のみが参加するとみられていましたが、2015年3月12日、イギリスが参加を表明すると、フランス、ドイツ、イタリアといったG7主要国のみならず、台湾、韓国といった東アジアにおけるアメリカの同盟国・地域までも参加を表明しました。

3月末に参加表明が相次いだ背景には、アジアインフラ投資銀行の設立メンバーになるための参加申請期限が3月31日であったことがあります。

日本は、公平なガバナンスの確保や環境・社会に対する影響への配慮の確保を理由に、アメリカと共に参加申請を見送りました。

イギリスの参加申請につきましては、岸田外務大臣が「イギリスから事前通告があった。」と答弁される一方で、「財務省も外務省も『G7の国々は入りません』と言っていた。」との報道がなされるなど、日本の外交力に疑問符も呈されています。

 

そこで、以下の点について、質問させて頂きました。

①イギリスの事前通告を財務省と外務省で情報共有したのはいつか。

②イギリス以外のG7諸国がアジアインフラ投資銀行に参加する可能性を検討したか。

③政府はアジアインフラ投資銀行に参加しないことによって、いかなる不利益が生じると認識しているか。

 

アジアインフラ投資銀行への参加は、「バスに乗り遅れるな」という単純な話ではありません。ただし、その前提として、情報分析は不可欠であると考えています。

 

≪回答を受けて≫

政府側の答弁は以下の通りとなります。

①イギリスの事前通告を財務省と外務省で情報共有したのはいつか。

②イギリス以外のG7諸国がアジアインフラ投資銀行に参加する可能性を検討したか。

→(①②とも)今後の事務の適正な遂行に支障を及ぼす恐れ等があることから、差し控えたい。

③政府はアジアインフラ投資銀行に参加しないことによって、いかなる不利益が生じると認識しているか。

→現時点において、お尋ねについて予断をもってお答えすることは差し控えたい。

 

ほぼゼロ回答と言っていい内容ですが、外交問題という他国との交渉事である以上、こういった回答にならざるを得ないのは、ある程度やむを得ないと思われます。

 

もっとも、政府側の対応が整合的でないという点は気になります。

たとえば、③アジアインフラ投資銀行に参加しないことによって生じる不利益という点について、答弁書は「お答えすることは差し控えたい」となっていますが、麻生財務大臣は、4月3日の記者会見において「私はデメリットというのは、大変だ大変だというけれども本当かねと、正直そう思いますし…特に日本がマイナスになるという意識はありませんね。」とお答えされています。

このように政府の対応が、ちぐはぐとなってしまい、別々の方向から切り崩されてしまうことを危惧しております。

 

4月20日(月)参議院決算委員会においても、AIIB問題を追及して参ります。

このページのトップへ