中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年03月06日 (金)
議長提出:2015年03月05日
内閣転送:2015年03月09日
回答 :2015年03月13日
旅館業法の規制に関する質問主意書
旅館業法は、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的(旅館業法第一条)として、旅館業の許可制(同法第三条第一項)、施設の構造設備基準(同法同条第二項)、施設の設置場所(同法同条第三項及び第四項)、施設の衛生措置(同法第四条第一項)に関する規制を定める。
旅館業法制定当時(昭和二十三年)は、旅行者が少なく、我が国の衛生状態も悪い上、建築物自体の設備・性能も脆弱であったため、これらの規制にも合理性が認められたものと考える。
しかし、旅館業法制定以来六十余年が経過し、我が国の衛生状態は飛躍的に向上した上、建築基準法等により建築物自体の構造設備基準も厳格化されており、旅館業法に基づく規制の意義は相対的に薄れたと考えられる。
加えて、政府は、訪日外国人旅行者数を、二〇二〇年に二千万人、二〇三〇年に三千万人超に増加させることを目指しており、既存の宿泊施設だけでは供給が不足する上、現行の旅館業法の厳格な規制では、利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供という旅館業法の目的までをも損なうことが懸念される。
そのため、旅館業法の規制も、海外における「Airbnb」のようなインターネットを介した個人間の宿泊施設の提供を容易にするような時代に応じた運用又は規制緩和が求められていると考える。
また、人の移動の増加に伴い、ウィークリーマンション、マンスリーマンションのように、短期間の賃貸借契約も増加傾向にあり、旅館業法に基づく宿泊と短期間の不動産賃貸借の境界も不明確となりつつある。
さらに、国民体育大会では、昭和三十三年第十三回富山国体以来、宿泊施設の不足を補うため、一般家庭に料金を払って選手等を宿泊させるいわゆる「民泊」が実施されているが、民泊と旅館業法の規制との関係も不明確である。
そこで、以下質問する。
一 個人間の宿泊施設の提供は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか。仮に当たるとした場合、いかなる頻度及び態様であることを要するか、政府の見解を明らかにされたい。
二 町屋・古民家における構造設備基準の特例(旅館業法施行規則第五条第一項第五号)のように、個人間の宿泊施設の提供についても、旅館営業の許可基準を緩和する考えはないか、政府の見解を明らかにされたい。
三 定期建物賃貸借契約による建物賃貸借契約(借地借家法第三十八条第一項)は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか、その理由とともに示されたい。仮に当たるとした場合、当該宿泊施設の衛生上の維持管理責任は、貸主(旅館業営業者)が負担するのか、借主(宿泊者)が負担するのか、政府の見解を明らかにされたい。
四 一時使用目的による建物賃貸借契約(借地借家法第四十条)は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか、その理由とともに示されたい。仮に当たるとした場合、当該宿泊施設の衛生上の維持管理責任は、貸主(旅館業営業者)が負担するのか、借主(宿泊者)が負担するのか、政府の見解を明らかにされたい。
五 国民体育大会で実施されている、一般家庭に料金を払って選手等を宿泊させる民泊は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか、その理由とともに示されたい。
六 仮に前記五における民泊が「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たらない場合、宿泊させる回数・期間・人数において民泊のそれを上回らない限度でなされる個人間の宿泊施設の提供は、「人を宿泊させる営業」に当たらないと解してよいか。
右質問する。
参議院議員中西健治君提出旅館業法の規制に関する質問に対する答弁書
一、五及び六について
お尋ねの「人を宿泊させる営業」に該当するかどうかは、個別具体的なケースごとに判断されるため、一概にはお答えできないが、一般に、宿泊料を受けて、寝具を使用して施設を人に利用させる営業であれば、「人を宿泊させる営業」に該当すると考えている。なお、「営業」に該当するか否かは、社会性をも
って反覆継続するか否かによって判断される。
二について
政府としては、現時点においては、旅館業法施行令(昭和三十二年政令第百五十二号)第二条及び旅館業法施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十八号)第五条の規定以外の特例を設けることは考えていない。
三及び四について
お尋ねの「人を宿泊させる営業」に該当するかどうかは、個別具体的なケースごとに判断されるため、一概にはお答えできないが、一般に、契約の形態にかかわらず、施設の管理・経営形態を総体的にみて宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること及び施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであることとの要件を満たす場合には、「人を宿泊させる営業」に該当すると考えている。
≪提出にあたって≫
今週は、旅館業法の時代に合わなくなった規制に関する質問主意書を提出いたしました。
Airbnbというサービスをご存知でしょうか。
当面部屋を利用する予定のない個人が、滞在先を探している旅行者などに対して、インターネットを通じて短期滞在のための部屋の貸し借りを行うサービスです。
主に海外で利用されているサービスですが、日本国内で行われた場合、旅館業法に抵触する可能性があります。
なぜなら、旅館業法は、対価を得て人を宿泊させる営業を「旅館業」として、旅館業の許可を受けるように定めているからです。
旅館業の許可を受けるためには、客室が5室以上あること、受付を設けること、水道水が一定の衛生基準を満たすこと、客室の床面積が一定以上であること、などの細かな要件を満たす必要があります。
しかし、これらの要件を満たすことは難しく、旅館業の許可を得ることは容易ではありません。
なぜ、このような規制が設けられたのでしょうか。
おそらく、旅館業法制定当時(昭和23年)は、国内の衛生状態もよくなく、また、建物自体の安全性も不確かであったため、利用者の安全を守るためにこのような規制を設けたものと考えられます。
しかし、衛生状態が大幅に改善されたうえ、建築基準法などの規制により建物の安全性も大幅に向上した現代では、規制の意義は薄れたと考えられます。
むしろ、空部屋の活用といったビジネスチャンスや、現地の人と旅行者との交流の機会を損ない弊害が目立ってきたと言えます。
そこで、Airbnbのようなサービスの可能性を探るために、以下の質問を行いました。
①個人間の宿泊施設の提供は、旅館営業に当たるか。仮に当たるとした場合、どのような頻度や態様であることを要するか。
②個人間の宿泊施設の提供が旅館営業に当たるとしても、旅館営業の許可基準を緩和する考えはないか。
時代に応じて規制を見直すことで、新たな創造を生み出し、社会の活力につながるものと考えております。
≪回答を受けて≫
政府からは、以下のような答弁書が届きました。
①個人間の宿泊施設の提供は、旅館営業に当たるか。仮に当たるとした場合、どのような頻度や態様であることを要するか。
→個別具体的なケースごとに判断されるため、一概にはお答えできないが、一般に、宿泊料を受けて、寝具を使用して施設を人に利用させる営業であれば旅館営業に当たると考えている。
②個人間の宿泊施設の提供が旅館営業に当たるとしても、旅館営業の許可基準を緩和する考えはないか。
→政府としては、現時点においては、現行法以外の特例を設けることは考えていない。
一見すると「ゼロ回答」とも思えるのですが、「個別具体的なケースごとに判断される」「一概にはお答えできない」あるいは「現時点においては」といった言葉の端々に、端的に言い切れない「留保付のゼロ回答」のような迷いを感じました。
政府は、日本再興戦略において、2020年に2000万人、2030年に3000万人の訪日外国人旅行者数を目指していますが、その最大の障害となるのが、宿泊施設の不足です。いかに日本に関心を持ってくれる外国人が増えたとしても、泊るところがなければ、訪日してくれることはありません。
他方で、日本は少子高齢化社会を迎え、2020年、2030年には今以上に空家問題が深刻になっています。
この難局を、ビジネスチャンスに変える起死回生の一策がAirbnbのような個人宅の宿泊施設としての提供というビジネスモデルです。
初期投資はほぼ不要で、空き部屋という社会で生かし切れていない資本を活かして、ビジネスにつなげるという柔軟性こそ、これからの日本に必要なのではないでしょうか。
ひきつづきAirbnbのようなビジネスモデルの可能性を提案して参ります。