中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年02月12日 (木)
議長提出:2015年02月12日
内閣転送:2015年02月16日
回答 :2015年02月20日
廃炉を円滑に進めるための会計関連制度に関する質問主意書
平成二十七年一月十四日に開催された経済産業省の「総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電気料金審査専門小委員会廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ」第五回において、「原発依存度低減に向けて廃炉を円滑に進めるための会計関連制度について(案)」(以下「本件会計制度案」という。)が示された。
本件会計制度案は、「廃炉判断を行った場合、費用の一括費用計上によって財務状況が悪化する」ことから「事業者には(中略)廃炉判断を行わないことに一定のインセンティブが働く」という課題を示し、「対象となる設備の簿価等について資産計上を可能とし(中略)一定期間で償却する」という解決策を提案する。具体的には、「発電資産、照射済核燃料および未照射核燃料」を資産と捉えた上で、「廃炉に伴って発生する費用」をこれらの資産の償却費用と位置付け、「将来の扱い」として、「総括原価方式の料金規制が残る送配電部門の料金(託送料金)の仕組みを利用し、費用回収が可能な制度とする。」ものである。
しかし、電力会社が発電会社と送配電会社に分離(発送電分離)された場合、「発電資産、照射済核燃料および未照射核燃料」は発電会社の資産となり、送配電会社の資産とはならないはずである。そうであるにもかかわらず、発電会社の資産の償却費用を、送配電会社の「供給原価」と捉えて託送料金による費用回収を図ることは、総括原価方式の料金規制に抵触する恐れがある。
そこで、以下質問する。
一 総括原価方式の料金規制が残る託送料金において、いかなる費用が「供給原価」に含まれるのか。
二 発送電分離がなされた場合、「発電資産」、「照射済核燃料」及び「未照射核燃料」は、発電会社と送配電会社のいずれの資産と位置付けられるのか。
三 発送電分離がなされた場合、「発電資産の償却費用」、「照射済核燃料の償却費用」及び「未照射核燃料の償却費用」は、発電会社と送配電会社のいずれの費用と位置付けられるのか。
四 前記三において発電会社の費用と位置付けられた場合、「発電資産の償却費用」、「照射済核燃料の償却費用」及び「未照射核燃料の償却費用」を、託送料金の「供給原価」と捉えることは、総括原価方式の料金規制に抵触しないか。
右質問する。
参議院議員中西健治君提出廃炉を円滑に進めるための会計関連制度に関する質問に対する答弁書
一から四までについて
発送電分離については、電気事業法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第七十四号)附則第十一条第二項において、送配電等業務の運営における中立性の一層の確保を図るための措置(以下「中立性確保措置」という。)を法的分離(同一の者が、送配電等業務及び電気の小売業のいずれも営み、又は送配電等業務及び電気の卸売業のいずれも営むことを禁止する措置をいう。)によって実施することを前提とすることとされており、また、同条第一項第二号において、中立性確保措置等の実施のために必要な法律案を平成二十七年に開会される国会の常会に提出することを目指すものとすることとされていることから、お尋ねの発送電分離がなされた場合における資産の帰属等の制度の詳細については、現時点でお答えすることは困難である。なお、現行制度においては、一般電気事業託送供給約款料金算定規則(平成十一年通商産業省令第百六号)等の規定に基づき、御指摘の託送料金の原価として同規則第七条第一項第五号に掲げる送電費及び同項第六号に掲げる変電費等並びに同規則第十三条に規定する電源開発促進税、同規則第十三条の二に規定する使用済燃料再処理等既発電費及び第十四条に規定する託送収益等が含まれることとされている。
≪提出にあたって≫
原子力発電所の廃炉に向けた会計制度について質問しました。
経済産業省にて設置されたワーキンググループにおいて、原発の廃炉を円滑に進めるための会計関連制度について議論がなされています。
そのなかで、「廃炉費用を託送料金(送配電会社に支払う送電網の利用料金)に上乗せする形で回収を図る」という提案がなされました。
具体的には、廃炉の対象となる「発電資産」「核燃料」を帳簿の上で資産として計上して、廃炉費用をこれらの資産の償却費用と捉えて、送電網の利用料金に上乗せするというものです。
送電網の利用料金は、供給原価に基づいて料金を設定する総括原価方式の規制が残るため、資産の償却費用が供給原価に含まれるのであれば、上乗せは可能となります。
しかし、電力会社は発電会社と送配電会社に分離することが決まっております(発送電分離)。
そのため、発送電分離を前提に考えるのであれば、「発電資産」や「核燃料」は「発電会社の資産」となり、その償却費用も「発電会社の費用」となるはずです。
すなわち、これらの償却費用を「送配電会社の費用」ととらえて、送電網の利用料金の供給原価と捉えることは、そもそも総括原価方式と矛盾すると考えられます。
そこで、総括原価方式のもとで「廃炉費用を送電網の利用料金に上乗せする形で回収を図る」という会計制度は、発送電分離と矛盾しないかと尋ねました。
複雑な制度設計に潜む「矛盾」についても積極的に質してまいります。
≪回答を受けて≫
「発電会社の償却費用を、送配電会社の供給原価として送電網の利用料に上乗せすることは、発送電分離及び総括原価方式に矛盾しないか」と質しましたが、政府側の答弁は「発送電分離については今国会の法案提出を目指すものであり、制度の詳細については現時点でお答えすることは困難である。」との回答が届きました。
「制度の詳細について現時点でお答えできない」のであれば、そもそも廃炉を円滑に進めるための会計関連制度に関する議論などできないはずなのですが…
いずれにせよ、今国会において法案提出がなされる以上、その段階であらためて質してまいります。