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川崎市が専門家の解説動画と全文を投稿しています。是非、ご覧ください。
【新型コロナウイルス】新型肺炎について~正しい情報で正しい行動を~
令和2年2月7日 撮影・公開
中国を中心に感染者が急増し、日本でも感染者が報告された新型コロナウイルス。感染症の専門家で、2003 年のSARS、そして 2009 年の新型インフルエンザ発生時には国の対策を検討する委員会の副委員長も務められました川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦先生からお話をお伺いします。それでは、岡部先生よろしくお願いします。
→はい、よろしくお願いします。
(1)そもそもコロナウイルスってなあに?
まずですが、この新型コロナウイルスは、昨年12月に中国の武漢(ぶかん)市で肺炎患者の発生が認められてから、世界各地で広がりを見せていますが、そもそもコロナウイルスとはどのようなウイルスなのでしょうか。
→コロナウイルスというのは、まったくポピュラーな当たり前のウイルスで、人と動物と両方に感染するんですね。動物は動物のコロナウイルスで、例えば鳥のコロナウイルスとか、るいは犬のコロナウイルスとか、それぞれ軽い鼻風邪とかお腹を壊すとかいうような症状なんですね。それとは別に人のコロナウイルスというのがあって、このコロナウイルスも普通の鼻風邪の患者さんを調べると、結構出てくるんですね。
ですから、当たり前のウイルスなんですけれども、その中で特殊なウイルスが見つかって、そのうちの1つが2003 年に重症急性呼吸器症候群SARSという名前を付けておるんですけれども、その原因不明の肺炎で出たのが、新しくウイルスが見つかってそれをSARSコロナウイルスという風に名前を付けたんですね。
このウイルスは消えちゃったんですけれども、そこからしばらく経って 2012 年に中東呼吸器症候群と名前を付けたんですけれども、やはり原因不明の肺炎が出て、これもコロナウイルスだというのがわかったんですけれども、SARSコロナウイルスとちょっと違うところの分類になるので、これが新しいコロナウイルスという風になったんですね。
そうすると人のコロナウイルスというのは、ふつうは鼻風邪なんですけれども、特殊なウイルスとして、そのSARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスと2つが今まで分かってて、今度の武漢で原因不明の肺炎っていうので始まった問題がですね、程なくコロナウイルスであるとわかってそれが新しいコロナウイルスであるという風になったので、これが第3の人に対してダメージを与えるコロナウイルスであるということになりました。
(2)新型コロナウイルスの特徴は?
わかりました、潜伏期間や感染率、致死率などにつきましては、SARSやMERS、季節性のインフルエンザなどと比較して、今回の新型にはどんな特徴があるのでしょうか。
→簡単に言うと例えば潜伏期間、これはSARSとかMERSというのは数日程度なんですけれども、新しいコロナウイルスが色々調べ方によって多少数字が出るんですけれども、10日から2週間ぐらい、平均的なところをとると5日間ぐらいが潜伏期間だろうという風に言われているので、SARSとかMERSに比べるとちょっと長いですね。もちろん普通のインフルエンザは1日、2日くらいの潜伏期間なので、更にそれよりは長くなるのでちょっとわかりにくいというのはありますね。
それから重症になる患者さん、それは軽い患者さんと重い患者さんを見つけるときで割合はなかなか難しいんですけれども、重症の者さんを亡くなる患者さんと置いた場合ですね、SARSの場合は患者さんが見つかった分の亡くなった方というと、これがだいたい10%くらいになります。これはかなり高い方になるんですね。
それからMERSの方はこれも見つかっている患者さん分の亡くなられた方ということでいうと37%くらい、これはかなり高いです。その代わりあまりうつりやすいわけではないんですよね。今新型コロナウイルスの場合は平均的に見るとだいたい2~3%くらいなので、2~3%というと例えばSARSやMERSに比べるとずっと低いわけですけれども季節性インフルエンザに置き換えてみるとこれよりはやっぱり高いということになります。
ただし、段々わかってきているんですけれども、あちこちにウイルスが広がったというのがありますけれども、今のところそのほとんどっていうのは武漢のある湖北省っていうところなんですけれども、湖北省で見つかった患者さん分の亡くなられた方っていうとこれが4%前後くらいですね。
ところがそこの中国全体の患者さんから湖北省の患者さんを除いて、例えば中国の北京や上海とかいうところにできた患者さん分のそこで亡くなられた方っていうとこれが0.2%くらいに下がります。
それから海外、海外って言ってもまだ確かに日本の数は何十人って数になってきてますけれども、海外のバラバラバラっていうのをやるとだいたい今200名近くなっているのではないかと、数字はまた違うんですけれども、そこの海外で感染が確認された患者さん分の亡くなられた方って一人しかおられないので、ただ全体の数が少ないので、たったひとりでもスッと数字は上がりますけれども、それでもだいたい0.7%くらい。
そうすると普通の季節性インフルエンザ、普段流行しているインフルエンザより少し致死率は高いけれども、全体から言うと特定のところを除けば、そんなにビックリした数字にはならない。
それからもう一つは亡くなられた方、僕らはリスクファクターと言いますけれども、やはり重症になりやすい方、あるいは残念ながら死に至るような状況になる方っていうのは、やはり高齢者であったり、それから基礎疾患、色々な持病がって尚且つコントロールがうまくついていない、糖尿病の血糖があがったままですとか、腎臓の状態がよくないと。
これがちゃんと落ち着いていればいいんですけれども、落ち着いてない状態が続いている方ほど、そういうリスクが高くなる。ただしそういうリスクの高くなる方っていうのは、例えばインフルエンザでも他の肺炎でも、やはりすぐに悪くなりやすい方なので、より注意しなくてはいけない方っていうのはそういうところに浮かび上がってきたっていうのが
ありますね。
(3)かからないためにどうしたら良い?
私たちは、普段の生活の中ではどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。予防としてマスクの効果についてもお願いしたいと思います。
→インフルエンザの時とかですね、ノロウイルスになると、もう決まってみんなハンコで押したように極力(手を)洗いましょう、マスクを付けましょう、咳のある時はとかですね、
それからうがいもいいんじゃないんですかってそうゆう話が必ず出るんですけれども、ただこれは感染症、いろんな感染症ですね、特に起こりやすい感染症を防ぐためには、とても基本的な方法なんですね。
特に例えばインフルエンザなんかは手を洗って、手からただちに手にうつるわけではないけれども、手についたものを何か患者さんが触ったものをもう一回誰かが触るとかですね、その手を鼻とか口とか触るとうつりやすい、特に鼻風邪ってそういうところでうつりやすいんですよね。
それからご存知のように下痢をしやすいノロウイルス、これも厄介なんですけれども、これも手から手にうつるのでいろいろな病気の感染症の基礎的なことってちゃんと30分おきに手を洗うってことではないけれども、適切な時間で、ちょっと汚れたなと思うときは早く丁寧に手を洗うとこれは鉄則ですね。
それからマスクっていうのは色々な意見がありますけれども、マスクのところにウイルスが入り込むのを防ぐというわけにはいかないんですね。ウイルスはとても小さいから普通
の皆さんが使うようなマスクではこれは通してしまう。でも飛沫感染といってこうやっておしゃべりしている間にしゃべってる唾とか唾液がちょっと飛んだりしているわけですけ
れども、そういう水分の中に含まれているのはちょっと大きいんですねウイルスよりも。
そうするとその大きいウイルスは普通の市販のマスクでもブロックできるというデータはあるので、そうすると例えばちょっと咳き込んでいて風邪かもしれないとかインフルエンザ
かもしれないって人が先にここ(口)にバリアを付けていただくといつのまにか飛ぶというのを防げるわけなので、それは予防効果としてはあるんですね。
それから飛沫ってこれぐらい(約1m)の距離でうつりますから、もし僕が今そういう呼吸器感染症になった場合にしゃべっているのをできるだけ防ぎたいなと思うとちょっとバリアとしてマスクをつけてもいいだろう。
ただ、本当の効果を認められているのは、たくさん出す方にやってもらうわけで、受け取る側はやった方がいいけど、これで完全に防げるというものでもないのでもちろん付けるに越したことはない。特にうんと人ごみの中に入っちゃうとかそういうときはもちろんあった方がいい。
それから、うがいや何かも直接その10分おきにうがいをするわけではないけれども、口の中を丁寧にきれいにする、清潔にするっていうのは色々な病原体、その新しいコロナも含んで入りにくくするし、特にお年寄りはどうしても口の中がうまく自分の力ではきれいにできない時があるので、ちゃんと歯を磨く、あるいは磨いてあげるとかですね、そういうようなことをして口の中を清潔にするっていうのも呼気器感染を防げるそんなに面倒くさくない、お金のかからない方法なので、そういったようなことをやっていただくと、
新型コロナウイルスに対する特別な予防法ってまだ残念ながらないんですけど、ただ他の呼吸器感染、つまり季節性インフルエンザとかお腹の病気のノロウイルスですとか、そういうものを防ぐ方法っていうのは全体の感染症としては全く同じ方法なので、こういう基本的なことをやっていただくとうつる危険性はずっと下がるので、こういうようなことを思い出していだくのはとても大切だと思いますね。
(4)イベントなど、人ごみは避けた方が良い?
今もお話もでましたけれども、感染しないためには、イベントなど、人ごみは避けた方が良いのですか。またイベントを企画する側は開催を自粛すべきなのですしょうか。
→たとえばこのすぐそばに座ってブワーッとまき散らすような状況であると、やはりそのリスクが少し高まりますけど、ただ今川崎の市内ですとか、神奈川県内とか、あるいは東京とかブワーッとインフルエンザみたいいに流行している状況ではないので、今の時点では普通に人が集まる程度のものであるならば特別に私は注意をしなくていいんじゃないかという風に思いますね。
たとえば広い空間の時、広い教室や講堂の時、そこにウイル
スがバーッと漂っているイメージが出やすいと思うんですけれども、空気中にウイルスが舞っているという病気ではないと。例えば結核とかはしかはそういう形でうつるんですけど、そういうのではないだろうと感染症をやっているものの中では共通の認識になっているので、空気感染を考えてってことはないと思います。
広い空間で屋外だったりするとたとえウイルスがあってもすっ飛んじゃうことが多いので、そばとそばでくっつき合うのはやめた方がいいかもしれないけれども、ただ今そんなに患者さんがいるわけではないけれども、もちろんもうちょっと経てば、もう少し考えなければいけないけれども、いまの時点では普通にやっていいんじゃないかと思いますね。
もちろん学校とか幼稚園とか普通の注意はやるんですけど、それをやっていただければあまり閉鎖ですとかあるいはイベントの中止までは現在のところでは至っていないという風に思います。
(5)高齢者やこどものリスクは?
体力があまりない高齢者やこどもが新型コロナウイルスにかかることを心配する声も聞きますが、そのあたりについても教えてください。
→高齢者の方っていうのは先ほども申し上げたように全体の病気に対して注意しなくてはいけない年代に入っちゃったんですね。
私も高齢者の中に入るんですけど、注意しなくてはいけないんですけれども、新型のコロナウイルスであってもインフルエンザであっても、やはり気をつけなければいけない病気になりますね。
それから子供たちは、インフルエンザの場合はいっぱいかかるのは子供たちなんですけれども、この新しいコロナウイルスは今のところはどちらかというと男性が多くて大人なん
ですね。子供の領域は、珍しいというかたまに報告はあるんですけれども子供さんの中で広がって例えば学校が全部ダメになっちゃったとかですね、そういうような報告ってまだ
ないんですね。
多分大人の方が行動力が大きいので、新しい感染症が出るときっていうのは大人の方が先なんですね。ですから子供さんに対しては今のところはそんなに広がっていない。赤ちゃんでっていう報告もありますけれども、それもまだまだ例外的な珍しい状況だと思いますね。
ただ、妊婦さんに関しては、大人ですし、妊婦さんの感染ってそんなに報告がないんで、よく分からないんですけど、一般的に妊婦さんは色んな病気に対して気をつけなければい
けないので、人ごみに出るとかですね、イベントに行くっていうようなことはよく分からないうちなので、外に出てはいけないってことではなくて、他の病気と同じような注意を
した方がいいと思いますね。
例えば今マスクが不足ですよね、そういう時にご主人がつけ
るよりは妊婦さんがまず先につけてあげるとかですね、そういう差は少し付けた方がいいと思いますね。
(6)どんな状態なら受診すべき?
受診した方が良い人とはどんな人か教えてください。
→鼻風邪の症状だとすぐに医療機関に行くっていうのはやはり大変だと思うんですよ。それからその段階で確実に他の人にウイルスがうつるかって言うと、ほとんどの場合はうつりにくいんですね。
それから色んな病気がある段階でこれはもうコロナウイルスって思う必要は全くないんですが、今の新型コロナウイルスの1つの特徴と言っていいと思うんですけれども、だいたい5日から1週間程度経って、悪くなる人はそこから急速に悪
くなるんですね。だから、最初の段階の鼻水・鼻風邪で、私はもう新型だから危ないってことはないので、少しそこは様子を見ていいと思うんですね。
ただ、他の病気でもそうですけれども、熱が高く出るとか、熱でも続いているとか咳とかくしゃみだけではなくて、咳き込んだ後に苦しいなとかいう風に感じたり、胸が痛いや呼吸が荒いなどそういうような症状が出たら、もちろん新型コロナも考えなければならないけれども、どんな病気でも黄色信号なので、そこは医療機関に行った方がいいと思います。
その時にみんなが新型コロナっていうような状況じゃなく、やはり今流行の大きいところですね、それが残念ながら中国の武漢あるいは湖北省というのは、いわば震源地になっているわけで、そこに行った方ですとかそこから来られた方は先に医療機関にそういうところに行ってきましたと言っていただかないといけないし、よく分からないと思うので、その場合はやはり住んでる所か今いる所の保健所とか相談窓口センターが出来つつあるので、川崎も今それを作ってますから、そういったところに相談していただいてから、どこに受診したらいいかというようなことを決めるとよいと思います。
ありがとうございます。新型コロナウイルスについて、正しく理解して、インフルエンザなどにも共通の基本的な対策をしっかりと行うことが大切だということが分かりました。岡部先生、ありがとうございました。
2020年02月10日 (月)
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