2015年12月18日 (金)
しっかりとした企業統治を行なう事を目指し、6月1日からコーポレートガバナンス・コードの施行が始まりました。その矢先に「先進的な体制が整っている」との評価のあった東芝で長年の不正経理問題が発覚した事は、出鼻をくじかれただけではなく裏切られた思いです。
そこで、財政金融委員会では、この件に関して2度(8月4日、9月10日)質疑を行いました。
http://nakanishikenji.jp/diet/16106
http://nakanishikenji.jp/diet/16397
色々と指摘した中で、8月の委員会で提案した「一定期間の経過後に監査法人を交代させるローテーション制」に関しては、10月に開かれた金融庁の「企業の会計監査のあり方を議論する有識者懇談会」において、すでに議題として取り上げられています。
また、9月の委員会では「社外も含めた正規の取締役が16人、それに対して有価証券報告書の開示対象とならない顧問と相談役が17人もいる。『影の取締役会』の存在はコーポレート・ガバナンスの観点から問題である。情報の開示を求めるべきではないか」と指摘しました。
これに対して麻生大臣の答弁は、
「表に出てこなくて、役職もなくて人事権だけ持っているという人は偉いと言う事はある」などと、ある程度理解を示しながらも、
「有価証券報告書や事業報告書は、会社法に根拠のある取締役や監査役を対象として開示を義務付けている」「相談役や顧問を開示するためには、開示対象を明確に定義する必要があるが、企業では様々な名称が用いられているため、呼称だけ変えればいいということになりかねない。そこに困難があると思う」
と言うところに留まっていました。
しかし、本日(12月18日)の日本経済新聞で、「東芝が、相談役の廃止や顧問の削減を検討している」と報じられました。「情報の開示」には至っていませんが「制度そのものに問題がある点を認めた」ものとして、今後他の企業にも影響が及ぶと思われます。
「東芝、相談役の廃止検討 西室氏は年内にも退任」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17I0V_X11C15A2TI1000/
また、73億円と言う過去最大の課徴金が課されましたが、私は「課徴金は当然。それ以上に、経営トップの責任を厳しく問うべきである」と麻生大臣に厳正な措置を求めています。
過去において、数々の粉飾決算がありました。ただ、「業績不振で倒産の危機に瀕した会社が、やむにやまれず粉飾に手を染めた」「従業員を路頭に迷わすわけにはいかないと思い、ついやってしまった」と言うものも多かったと思います。不正はいけませんが、日本の組織人の在り方としては若干同情したいところもあります。
一方、今回の東芝のケースは、歴代トップ同士の個人的なあつれきと自己保身が主因とされています。情状酌量の余地はありません。すでに多数の株主代表訴訟が起こされていますが、引き続き厳しい視点で金融庁などの動向を監視していきたいと思います。
ルールを「作っておしまい」としてしまっては、「仏作って魂入れず」となってしまいます。