金曜日の本会議では、「中小企業税制」「防衛財源確保」「就業調整への対応(個人所得税)」「後年度影響試算(税収弾性値)」「外国人旅行者の消費税免税措置の廃止」を取り上げました。
++++++議事録++++++
自由民主党の中西健治です。自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、ただいま議題となりました「所得税法等の一部を改正する法律案」について質問をいたします。
本年は、戦後80年に当たる節目の年であります。
また、明治維新から終戦までも約80年でありました。終戦を挟んだ前後80年において、我が国は政治・経済両面において大きな変化を遂げてまいりました。
この節目の年において、これからの80年の我が国のあり方を展望し、地方創生、経済再生、国際環境の変化への対応など、内外の課題に対してあらゆる政策を動員していかねばなりません。
こうした観点を踏まえ、令和7年度税制改正について質問いたします。
石破総理が掲げる「地方創生2.0」は、「都市」対「地方」という二項対立ではなく、都市に住む人と地方に住む人が相互につながり、高め合うことで、すべての人が希望と幸せを実感できる社会を目指すものと理解しています。
そのためには「都市」「地方」を問わず、全国各地の産業や雇用を支える中小企業に対して、税制支援を通じて思い切った投資を促し、地域経済に好循環を生み出すことが重要です。
こうした観点から、今般、中小企業税制の拡充が行われたところでありますが、どのように中小企業のチャレンジを後押しし、活力ある地域経済の実現につなげていくのか、総理の見解をお伺いします。
今から約2000年前。共和政ローマの高名な政治家であり哲学者であるキケロは、「資金がなければ戦(いくさ)はできない」つまり「お金がなければ、国を守るために戦えない」という演説を行ないました。
ロシア、中国という軍事大国や、核兵器の開発を公然と推し進めている北朝鮮などに囲まれ、戦後最も厳しい安全保障環境にある我が国の現状に鑑みると、防衛力を抜本的に強化するための安定的な財源を確保することは「今を生きる我々の、将来世代への責任」であります。
これまでの行財政改革や税外収入・剰余金の活用などの様々な努力に加え、本法案には防衛財源確保のための税制措置が盛り込まれております。
今一度総理から、防衛財源確保の重要性と今般の税制措置の必要性についてご説明をお願いいたします。
長く続いたデフレ状態からの脱却という大きな経済情勢の変化への対応が課題となっている所得税の見直しについて伺います。
今回の税制改正では、物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除や給与所得控除の引上げを行うこととされております。
加えて、税制が一因となって、年末が近くなると学生アルバイトが「今年はこれ以上働けません」と就業調整しているとの指摘があり、これに対応する新たな措置が盛り込まれました。
これは、厳しい人手不足に直面する事業者にとっても重要なものであります。
学生アルバイトの就業調整への対応として、今回どのような見直しを行なったのか、また、その意義について、財務大臣からご説明下さい。
財務省が公表する「後年度影響試算」は、中長期的な財政状況を意識した予算編成を促すものでありますが、その中で使われる税収弾性値は、名目成長率と税収との関係を示すものであるために注目を集めております。
ただ、本年度から従来の1.1から1.2へ改定となったものの、ここ数年は税収の伸びが名目成長率を著しく上回る年があるなど、試算自体の有効性に対する疑問の声も聞かれます。
その大きな理由には、昭和51年度から令和5年度までの48年間という極めて長い期間のデータを参照していることもあると思われます。この間に経済や社会の構造が大きく変化した上に、消費税の導入、所得税率や法人税率の大きな変更などもあったことから、税制自体も変わっております。
我が国の戦後の景気循環は平均すると一(ひと)サイクル約55か月、4年半となっています。こうしたことを踏まえながら、「後年度影響試算」における税収の推計を、より適切に行っていくべきと考えますが、財務大臣の見解をお伺いします。
最後に、この場をお借りして、改めて外国人旅行者の消費税免税措置の廃止についてお伺いします。
昨年12月の財務金融委員会においてこの問題を提起し、SNSにも投稿したところ、X、旧ツイッターだけで98万人もの閲覧があり、大量のコメントのほとんどが賛成というものでした。
さらに、予算委員会や一昨日の財務金融委員会では、野党の委員からも全く同じ趣旨の質疑が行われており、この提言に対しては与野党を問わず賛成する方が多いと承知しております。
2023年の免税購入額は1兆5855億円でした。昨年はおそらく2兆円を大きく超えており、従って免税額も2000億円超と推計されています。また、全国の免税店は約6万店となっています。
従って、影響が極めて大きいことを踏まえて、当事者の皆さんの声をよくお聞きしながら、たとえば日本の良さを知ってもらうために、「海外のブランド品を除外し、国産品だけを免税の対象とする」などと言ったことも含めて、議論を前に進めて行くべきではないでしょうか。
本件について、改めて財務大臣にお伺いします。
本法案の審議を通じて、あるべき税制の実現に向けて真摯な議論が重ねられていくことを祈念し、私の質問を終わります。