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活動報告

中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。

国会活動

5/24 財政金融委員会(骨太の方針、銀行窓販保険手数料、金融コングロマリット監督)

2016年05月26日 (木)







5/24(火)の財政金融委員会では、「骨太の方針」の内容の変化、今後の財政運営、金融機関と顧客のあり方、金融グループにおける経営管理の充実について取り上げました。

1. 「骨太の方針2016(素案)」について

まだ先週水曜日の経済財政諮問会議において発表されたばかりの(素案)段階ですが、いわゆる「骨太の方針2016」の内容に大きな変化があったので取り上げました。

昨年と同様に「経済の好循環」がうたわれているのですが、昨年は「中長期の発展に向けた重点課題」とされていたのに対して、今年は「成長と分配の好循環の実現」と「分配」という文言が明示されていました。冒頭に「結婚・出産・子育ての希望・働く希望・学ぶ希望の実現」が掲げられており、成長戦略から「分配」に重点が移っている様に見受けられます。

従来から「成長の果実を確保した上で分配へ」という主張をしてきましたので、「社会保障を一層充実させることが可能な段階に至ったことを示したものか?」という点に関して大臣の所見を伺いました。

麻生財務大臣からは、「単に成長の成果を国民全体に行きわたらせるということに留まらず、分配面の強化が成長力の強化につながるという好循環を意識したもの。特に『格差を固定しない』という観点から、雇用環境の改善に力を入れてきており、有効求人倍率は24年ぶりの高水準、最低賃金が3年連続で引き上げ、ベアが3年連続となっている。社会保障面でも所得の低い方への健康保険負担の軽減などが進んでいる」という答弁がありました。

今回の骨太の方針では、「働き方の改革」が、「最大のチャレンジ」として取り上げられています。日本の社会の活性化のためには、長時間労働の是正や多様な働き方を認めることは非常に重要です。

「同一労働同一賃金の実現」に関しては、正規労働者と非正規労働者の待遇格差の改善という文脈で語られることが多いですが、さらに「就職ではなく就社。新卒で入りそこなうと大変」という日本の会社の職に対する考え方に対する問題提起というところに大きな意味があると考えています。

 

2. 今後の財政運営について

日本のGDP成長率がこのところ一進一退を繰り返している理由のひとつには、政府支出の寄与度が2013年度以降低い事があると考えています。震災の影響が懸念される中、先日補正予算が成立し、本年度予算の前倒し実行も行われていますが、そうなると下期の反動減を懸念せざるを得ません。

先日のG7では「各国が自国の状況を踏まえつつ財政・金融政策を実行することで成長を促進する」ということで合意してしますので、「一進一退とならない様、今後も機動的な財政運営を行なう準備が整ったと理解してよいか?」とおたずねしました。

麻生財務大臣からは、「各国で色々と事情が異なるのは確かだが、『資金はあるが需要がない。個人消費、民間設備投資が出なければ政府支出が出る必要がある』ということでは一致している。日本は97兆円という史上最大の予算を組み、リーマンショック直後以来となる8割の執行前倒しを目指している。従って、指摘された通り後半に空きが出てくることは間違いない。今後の経済情勢によるが、柔軟に対応することはきちんと伝えている。ハードランディングを避ける為には、需要が必要という点でG7各国は一致している」との答弁がありました。

3. 金融機関と顧客との関係のあり方について

現在の銀行の窓口では、ほとんどすべての保険商品の販売可能です。従って、相当な額が取り扱われています。

生命保険は「一般的な保障性の保険や安全な貯蓄性保険」と「特定保険契約」に大別されます。この「特定保険契約」とは、変額保険や外貨建ての保険などを指し「元本割れリスクがある」「投資性が強い」ことから金融商品取引法の適用対象となっています。

そこで銀行窓販に占める「特定保険契約」の割合をおたずねしたところ、金融庁から「8割」という驚くべき答弁がありました。正確な統計はないそうですが、金融庁の担当の方に確認したところ、「生命保険会社がみずから販売する場合には、この割合ははるかに低い」とのことでした。

これほどの割合になるということは、インセンティブがあるはずです。そこで手数料をお伺いしたところ「円建てで1~6%。外貨建てでは4~9%。商品が複雑で説明負担が大きいことなどの理由から『高く設定されている』と認識している」とのことでした。

金融庁も「特定保険契約は投信と同じなので、手数料を開示させる方向」に動いていました。ところが先週土曜日の日経新聞に、「保険の販売手数料の開示を見送る」という記事が掲載されていました。開示が滞っているというのでは困ります。

そこで手数料にとどまらず、「金融機関と顧客との高度の信頼関係(フィデュシャリ―・デューティー)」との観点から大臣の所見を伺いました。

麻生金融担当大臣からは「顧客との信頼関係をきちんと構築するために、情報を開示し説明責任を果たすことは、信用にかかわる重要な問題であると認識している。従って、一律に最低限の対応を義務づけるよりも、各金融機関がその趣旨を十分に理解して対応するように促す方が効果的だと考えている。いずれにしても開示していくという方向にいかなくては、顧客からの信頼を得られないのではないか」など、顧客保護を高次元で確実なものとする方向性が示されました。

 

4. 金融グループにおける経営管理の充実

これまで金融庁の「金融コングロマリット監督指針」で定められていた金融グループの経営管理責任が、今回の銀行法改正で法制化されました。ただ、グループ持ち株会社は、株主としての権限はあるものの子会社の取締役に具体的に指揮命令する権限がなく、「経営管理の充実」という点ではもう一歩踏み込み不足を感じます。

この点が今回の改正で制度化されなかった理由と今後の方向性を質しました。

金融庁からは「問題点としては認識している。ただ銀行法だけではなく、子会社の少数株主の権利保護など会社法に関わる部分もあり、他の法規との整合性など検討すべき課題が残っている。他の省庁と連携をとりながら、引き続き検討する」との答弁がありました。

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