中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年06月17日 (水)
6月16日、参議院財政金融委員会において、黒田日本銀行総裁へ、実質実効為替レートについて質問致しました。
黒田総裁は、6月10日、衆議院財務金融委員会において「理論的に言うと、実質実効為替レートがここまで来ている(1973年以来、約42年ぶりの安い水準)ということは、ここからさらに円安に行くということはありそうにない」と発言したために、2時間で2円(1ドル=124円台半ば→122円台半ば)という円相場の急騰を招きました。
しかし、丹念に議事録を追ってみますと、黒田総裁は「一般的に」とか「理論的に」とかの枕詞を多用し、注意深く議論を行おうとしていたことが見受けられます。そこで、黒田総裁に、衆議院で「理論的に」と発言された真意を尋ねました。
黒田総裁のご答弁は以下の通りです。
「実質実効為替レートは難しい概念です。これが何を示しているのかは様々な議論があり、かならずしも割り切った議論はできない。」
「そのうえで、一般論として申し上げると、名目為替レートが変化せずに国内の物価が上昇すれば、実質実効為替レートは計算上円高方向に動くことになるが、他方で、内外の物価の見通しが変われば、名目為替レートにも影響する。そのため、実質実効為替レートの動きも、一概に言えない。背後にある為替レートや多国間の貿易関係は複雑である。基本的に、実質実効為替レートから、為替や物価の動きを予測することは難しい。」
「事後的にこういう計算ができて、価格競争力を示している、経済の実力を示している、いろんな議論がある。」
「いずれにせよ、このものから為替の先行きを言うことは難しい。その意味で、理論的な概念といった。」
「あくまで理論的な事後的な概念であり、先行きの物価や為替の見通しに使うのは難しい。」
他方で、いわゆる円高論者の方の中には、実質実効為替レートを使われる方も少なくありません。そこで、黒田総裁へ、実質実効為替レートの評価についてお尋ねしました。
黒田総裁のご答弁は以下の通りです。
「実質実効為替レートが開発されてから40年くらいたって、これから何かを読み取ることは非常に難しいものであり、金融政策にはすぐには役に立たない。非常に迂遠なものだ。為替の動きを占う面でも、直接的に含意がはっきりしているものではない。」
「金融政策にこれが非常に深い意味や縁はないということには全く同意見だ。」
今回の黒田総裁の発言に端を発した円の急騰を受けて、あらためて日銀総裁の発言の重みを再認識致しました。今後も発言の真意を質す姿勢を大切にしてまいります。