中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年05月27日 (水)
5月26日参議院財政金融委員会において、プロ向けファンド(適格機関投資家等特例業務)について質問しました。
プロ向けファンドとは、1名以上の適格機関投資家(いわゆるプロ)と49名以内の一般投資家(アマ)を対象とした投資事業組合のことです。
プロ向けファンドは、書面交付義務(契約内容を記した書類を交付する義務)や分別管理義務(出資者からの預かり資産と運用事業者の資産を分けて管理する義務)が免除されている上、49名以内であれば投資の素人(一般投資家)にも販売できる制度であったため、悪用事例が相次ぎ、以下の改正案が審議されました。
①49名以内の「適格機関投資家以外」の出資者の範囲を、上場会社や富裕層個人(1億円以上の投資性金融資産を有する個人投資家)、上場会社の役員等に限定し、一般個人を除外する。
②他の業態の投資運用業に準じて金融商品取引業者としての義務を課す(書面交付義務や分別管理義務など)
この改正の方向性自体は賛成なのですが、今回の改正案の中に、相手方の同意を得ずに勧誘する「不招請勧誘の禁止」が含まれておりません。
プロ向けファンドによる被害が広がった背景には、一般個人への販売が許されていたことに加えて、飛び込み営業のような形で勧誘が行われたことも要因であると考えられます。
とくに有価証券の私募と異なり、「49名」という制限はあくまで販売先の数の縛りであり、勧誘先の数の縛りでなかったことが被害を大きくさせたと思われます。
今回の法改正により出資者の範囲が富裕層個人などに限定されましたが、投資判断能力が備わっていない人へ勧誘がなされる恐れが拭えません。
そこで、不招請勧誘を禁止すべきではないかという点について、質問致しました。
麻生大臣からは、以下のご答弁を戴きました。
「プロ向けファンドについては、投資家被害を適切に防止していく必要性がある一方、ファンドの円滑な組成に支障を生じさせないようにする必要があるため、不招請勧誘を禁止することは慎重な対応が必要と考えている。」
「投資家被害の抑止を図る上で、振り込め詐欺みたいなものは急激に増えていくこと、個人金融資産の60~70%が高齢者に集中しているうえ、その高齢者が更に高齢化していくと被害はさらに出やすくなることなど、いろんなことを考えないといけない。今後の検討課題としたい。」
外国為替証拠金取引(FX取引)においては、相談件数が増加してきたため不招請勧誘を禁止したところ、相談件数は激減する一方、口座数は増えたというデータが出ております(資料①参照)。
このデータは、規制したからといって直ちに販売ができなくなるわけではなく、むしろ業者の努力次第で伸びることを示唆していると言えます。たしかに規制緩和は重要ですが、健全な市場環境を保つためには最低限の規律は必要と考えます。今後も、適切な市場環境の構築に努めて参りたいと思います。