中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年04月24日 (金)
4月23日(木)参議院財政金融委員会において、黒田日銀総裁へ、物価安定目標達成時期と出口戦略、市場との対話について質問させて戴きました。
1、物価安定目標について
黒田総裁は、4月19日(日)米ミネソタ州での講演において、2%の物価安定目標の達成時期について、「2015年度または2016年度の初め」(fiscal 2015 or early fiscal 2016)と言及されました。
これまで「2015年度を中心とする期間」であり、「2016年度にはみ出る可能性もある」と仰っていましたが、「2016年度の初め」(early fiscal 2016)と言及されたので、「2016年度の初めとは、具体的にどの時期を指しているのか。(6月までなのか、それとも9月までなのか。)」と質問致しました。
黒田総裁からは、
「2016年度の前半というか初めというか、そういう頃に達する可能性が高いということを申し上げた。」
「(具体的な時期については)今出ている展望レポートの範囲を超えて申し上げるのは若干僭越かと思います。」
とのご答弁をいただきました。
2、出口戦略について
物価上昇に関する日本銀行のメーンシナリオは、「当面0%で推移した後、秋ごろからかなり加速していく」というものです。
このように、秋以降0%から2%へと物価上昇率の急上昇が予想されるため、対応が後手に回らないためにも、「スタッフペーパーやワーキングペーパーのような形ででも出口戦略の議論を示すべきではないか。」と提案させて頂きました。
黒田総裁からは、
「私どもとしては、量的・質的金融緩和の出口の在り方というのは政策委員会で検討すべきものであろうと(思います。)」
「様々な状況に対応できるように金融市場調節手段などの技術的な側面の検討は…事務方でしておりますが、具体的に実際にどのような手段をどのような順番で行うかという出口の議論はまだしておりません。」
とのご答弁をいただきました。
3、市場との対話について
黒田総裁は、昨年10月末の大規模金融緩和第二弾を実施するにあたり、その数日前に行われた参議院財政金融委員会において、「経済の基調や物価に関する見方に全然変わりありません。」と強気の発言をされていました。
ところが、その直後に大規模金融緩和に踏み切り、国会との対話という意味において非常に問題があると認識しております。同じことは市場にも当てはまるのではないかと考えております。
そこで、「今後もサプライズによって金融政策の有効性を高めていく、お考えでしょうか。」と質問致しました。
黒田総裁からは、
「基本的に金融政策の透明性が金融政策の有効性を高める上でも重要である、という考えである。」
「わざわざサプライズを狙って、あるいはサプライズによって効果を出そうというようなことは考えておりません。」
「従来から2%の物価安定目標の実現のために、必要になれば躊躇なく調整を行うという方針は申し上げてきたわけです。」
「昨年10月末の量的・質的金融緩和の拡大につきましては、原油価格の下落…が期待物価上昇率、あるいは、賃金の上昇率や企業の価格設定行動に影響が出てくる恐れがあることを懸念し、重視して拡大が決まったわけです。」
とのご答弁をいただきました。
黒田総裁からは以上のようにご答弁戴きましたが、市場関係者やエコノミストからは、「黒田総裁の発言を額面通り受け取ると、金融政策の予想を誤る。」と言われ始めております。
市場との対話という意味においても、政策の透明性を高めるという意味においても、2016年度の前半における2%物価安定目標の実現に自信を持たれているのであれば、それよりも前に出口戦略の議論をしなければいけないという姿勢を見せるべきではないでしょうか。
そうすることで、政策の透明性が高まり、ひいては金融政策の有効性も高まっていくものと思います。