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活動報告

中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。

国会活動

質問主意書《税収弾性値》

2015年01月27日 (火)

議長提出:2015年01月26日
内閣転送:2015年01月28日
回答   :2015年02月03日

税収弾性値に関する質問主意書

政府は、財務省ホームページ「平成二十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」において、税収弾性値をバブル期以前の平均的な税収弾性値である一・一として試算している。

しかし、近年の税収弾性値は高くなってきているとの指摘がなされている。また、経済成長と財政健全化に関する研究会による「経済成長と財政健全化に関する研究報告書」(平成二十三年十月十七日)では、一九八一年から二〇〇九年の税収弾性値は二・四一とされており、バブル期以前の平均的な税収弾性値を使い続けることは、かえって税収の予測可能性を損なう恐れがある。

そこで、以下質問する。

一 税収弾性値を見直すつもりはないか。

二 二〇二〇年度にプライマリーバランスが黒字化する見通しにおいても、税収弾性値は一・一を堅持する方針か。

右質問する。

参議院議員中西健治君提出税収弾性値に関する質問に対する答弁書

 

一及び二について

税収弾性値(税収の伸び率を名目経済成長率で除したものをいう。以下同じ。)は、経済成長に応じて税収がどの程度増加するかを表す数値である。

平成二十六年一月に財務省が公表した「平成二十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」においては、平成二十六年度予算における制度・施策を前提とした機械的な試算により、中期的な将来の財政の姿を示すという性格から、税収の推計に当たって、比較的安定的な経済成長を実現していたバブル期以前の平均的な税収弾性値である一・一を用いている。

御指摘のように「近年の税収弾性値は高くなってきている」との主張もあるが、近年では税収弾性値の分母である名目経済成長率がゼロ近傍で推移していること等に伴い、極端に大きな税収弾性値が算出された年度が出てきているなど税収弾性値が大きな振れを示していることに留意が必要である。

したがって、仮に「後年度歳出・歳入への影響試算」において平成三十二年度も含めた中期的な将来の財政の姿を示す際には、今後とも、税収弾性値として一・一を用いることが適当である。

 

≪提出にあたって≫

税収弾性値について、政府の見解を質しました。

 

税収弾性値とは、経済成長に応じて税収がどの程度増加するかを表す指標のことです。具体的には税収の伸びを名目GDP成長率で除して算出されます。

たとえば、名目GDP成長率が1%の場合、税収の伸びも1%ならば税収弾性値は「1」、税収の伸びが3%ならば税収弾性値は「3」となります。

そのため、税収弾性値が高ければ高いほど、経済成長による財政健全化の見通しは明るくなり、増税の必要性は薄れます。

 

この税収弾性値について、財務省は、バブル期以前の平均的な税収弾性値である「1.1」を採用しています。

【参照】平成26年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算(財務省)

http://www.mof.go.jp/budget/topics/outlook/sy2601a.htm

 

しかし、昨年の予算委員会(公聴会)において、早稲田大学政治経済学部教授 原田泰氏、および第一生命経済研究所主席エコノミスト 永濱利廣氏の両公述人より「景気回復初期は税収の伸びは大きくなるので足元では弾性値は3くらいになっているはずだ」とのご指摘を頂いております。

【参照】3/13(木) 参議院 予算委員会(公聴会)報告(中西けんじHP)

http://nakanishikenji.jp/diet/12878

 

そこで、以下の2点を質問しました。

①税収弾性値を見直すつもりはないか。

②2020年度プライマリーバランス黒字化の見通しにおいても、税収弾性値は1.1を堅持する方針か。

 

①税収弾性値の見直しについては、常に「1.1」を用いるのではなく、景気の状況に応じて、「2」を用いる時期、または「3」を用いる時期など、柔軟な運用も検討すべきではないでしょうか。

また、仮に税収弾性値「1.1」を堅持する場合、②2020年度プライマリーバランスの黒字化を実現するためには、相当高度な経済成長を実現する必要が生じてまいります。

 

政府は、2015年度当初予算のプライマリーバランスにおいて、2010年度と比較した赤字半減の目標を達成できました。

しかし、2020年度プライマリーバランス黒字化のビジョンを描けるのか、質してまいります。

 

≪回答を受けて≫

質問主意書において

①税収弾性値「1.1」を見直すつもりはないか

②2020年度プライマリーバランス黒字化の見通しにおいても、税収弾性値は1.1を堅持する方針か

という2点について質問いたしましたが、答弁書はいずれの問いについても答えておりません。

 

一見すると、最後の1文

>>仮に「後年度歳出・歳入への影響試算」において平成三十二年度も含めた中期的な将来の財政の姿を示す際には、今後とも、税収弾性値として一・一を用いることが適当である。

という部分から、

「政府は税収弾性値1.1を見直すつもりはない。」

「2020年度プライマリーバランス黒字化の見通しにおいても、税収弾性値1.1を堅持する方針だ。」

と読み込んでしまうかもしれません。

(あるいは、答弁書作成者は、それを意図していたのかもしれません。)

 

しかし、政府側の答弁は、あくまで「後年度歳出・歳入への影響試算」に限定したものです。

すなわち、政府側の言い分としては、「『後年度歳出・歳入への影響試算』においては、税収弾性値1.1を用いる」と述べるにとどまり、その他の部分(たとえば、2020年度プライマリーバランス黒字化にむけた財政再建計画)については言質を取られないように慎重に言葉を選んだものと思われます。

 

このような「霞が関文学」に惑わされることなく、引き続き問い質して参りたいと思います。

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