中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2020年02月07日 (金)
議事録全文と動画(40分)です。
○中西健治君 自由民主党の中西健治です。予算委員会では久々の質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
質問に早速入らせていただきます。
まず第一に、何といっても、深刻化している新型コロナウイルスについて伺いたいと思います。
昨晩、WHOが緊急事態宣言を出しました。我が国はこの緊急事態宣言を待つまでもなく指定感染症に指定をするというようなことを行っておりますけれども、この緊急事態宣言を受けて各国の対策も強化されるんだろうというふうに思います。我が国の対策強化についてお伺いできればと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新型コロナウイルスによる感染状況について、我が国においては昨日までに武漢滞在歴がない患者が二名報告されたところであり、その方々を含め十二名の患者が確認されていますが、今のところ、いずれの方も症状は安定又は回復しております。
また、一月二十九日に帰国された方二百六名のうち三名の方がウイルス検査の結果、陽性だったことが確認されており、これらの方については、現在、専門の医療機関で入院、治療を受けていただいているところであります。
また、本日、新型コロナウイルスに関連した感染症について、WHOが、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態、PHEICを宣言しました。
政府としては、本日昼、私を本部長とし、全閣僚をメンバーとする対策本部を開催し、私から、今月二十八日に新型コロナウイルスに関する感染症を感染症法上の指定感染症に指定し、当初二月七日から施行予定であったところ、PHEIC宣言を受けてこれを短縮し、二月一日より施行することとしました。これにより、我が国に入国しようとする者が感染者である場合には入国を拒否することになりますが、感染が確認できない場合であっても入国管理を強化すべく、その運用について速やかに検討することなどについて関係省庁が連携して万全の対応を行うよう指示を行ったところであります。
また、湖北省を除く中国全土に対する感染症危機情報を、不要不急の渡航の自粛を求めるレベル二に引き上げることとしました。
武漢の在留邦人の方々の帰国のためのチャーター機を派遣し、二十九日には二百六名、三十日には二百十名が帰国されています。また、本日には百四十九名の方が帰国されました。帰国された方々については、ウイルス検査の実施も含め、お一人お一人の健康状態をしっかりと確認させていただいています。
政府としては、引き続き、対策本部を中心に、情勢変化を踏まえながら、何よりも国民の命と健康を守ることを最優先に、やるべき対策をちゅうちょなく決断し、実行していく決意であります。
○中西健治君 ありがとうございます。
感染症対策はまさに危機管理であります。危機管理は先手を打つことが肝要でありますし、かつ、対策は幾ら準備してもやり過ぎるということにはならないということだと思いますので、引き続き早めに、かつ周到に対策を実施していただきたいと思います。
そんな中で、水際対策、検査体制の強化というのも大変重要なんですけれども、国民の大きな関心は自分や自分の家族が感染することがあるのかということではないかと思います。そんな点では、どのような人が感染しやすいのか、免疫が弱っている人が多いのか、高齢者はどうなのか、子供はどうなのか、どうすれば感染しづらくなるのか、効果的な予防策は何か、また、万が一感染した場合には有効な治療法はあるのか、こうしたことが大きな関心事だろうというふうに思います。
ワクチンですとかこの治療法ですとか、そうしたこと、知見を集めて開発していくということが必要になるかと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるか、御方針お伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この後、詳しくは厚労大臣から答弁させますが、今まさに委員がおっしゃったように、事態について我々もしっかりと情報を発信しながら、国民の皆様にも事態に対して的確に正しく対応していただくことが望ましいんだろうと、こう思います。
感染症に係る情報提供、周知については、国民の皆様に対し、感染症に関する基本的な知識やその発生状況、感染症の予防策や治療法などを分かりやすく提供していくことが重要であります。そして、今回のような事態が発生した際には、省庁の垣根を越えて、あらゆる手段を用いて情報の集約、分析を迅速に行い、国民の皆様に的確に提供するとともに、何よりも国民の命と健康を守ることを最優先に、やるべき対策をちゅうちょなく決断し、実行していくことが政府としての基本方針でございます。
○国務大臣(加藤勝信君) 今回のウイルスに対する分析、あるいはその感染の状況、さらには治療方法等々については、日本では、国立感染症研究所、また、国立国際医療研究センター、こういったところを中心に、また、それぞれの各国でもいろんな今分析をしておりますから、そういう情報も収集しながら適宜やらせていただいているところでありますし、そこで出てきた知見は、我々の、例えば今サーベイランスというのをやらせていただいておりますけれども、それをどういうふうにやって、どう絞り込んでやるのか、どこまで拡大するのか、こういったことにも結び付けていきたいと思っております。
また、まさに国民の皆さんに対する周知というのは非常に大事でありますし、また、現在、いろんなウエブ上でデマも飛び交っておりますので、やっぱりそれに対しては的確に適切な情報を我々が提供していかなきゃいけない。そういう意味において、今、ホームページ、QアンドA、それから、コールセンターも立ち上げたんですが、ちょっと最初の初動が本数が少なくて、今、急遽拡大をさせていただいておりますけれども、そういったことをさせていただきながら、国民の皆さんの、対して的確な情報が行くように、そしてそれを通じて過度な不安や御懸念が生じないようにしていきたいと思っております。
○中西健治君 是非お願いいたします。
この新型コロナウイルスが経済や金融市場にどのような影響を与えるのか、これは今全てが現在進行中ですので、長期的なインパクトなどは今測ることはできないということだと思いますが、現時点で分かっていること、これは中国の、中国人観光客が観光を取りやめてキャンセルをしているということであります。
旅館やホテル、バス、タクシーなど、観光業界を支えている会社の大半は地場の中小規模の企業であります。極端な需要の落ち込みには耐性が強くない、耐性が弱いと言ってもいいと思います。資金繰りが厳しくなるのは自明だと思います。
神奈川県の箱根は、昨年の台風十九号でも大きな被害を受けました。そして、今回もキャンセルが相次いでおります。観光業の資金繰りに関して何らかの支援策を講じてもらえないでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今まだ途中でありますから、いいかげんな話は言えないところですけれども、この新型コロナウイルスの感染症について、これは、感染拡大の更なる防止というのは先ほど総理並びに厚生大臣の方から申し上げたとおりですけれども、金融庁として、今言われたようなことでいきますと、平成二十一年でしたか、新型インフルエンザという名前だったかな、あのときにも似たような形になっていろんなことが起きたんですけれども、事業者の経営の継続に必要ないわゆる資金、いわゆるストックじゃなくてフローの話ですけれども、そういったような供給とか、いわゆる既存の融資とか返済などの条件変更してやるとかジャンプするとか、手形用語ばかりで済みませんけど、そういったようなことをやらせていただいたことがありますので、今回ももう既に、例えば先ほどの話でしたけど、奈良の公園といったら今頃中国人の観光客でいっぱいなんですが、今、中国人の観光客もいなけりゃ、中国人の観光客がいたからというので日本人の観光客も行かない。
これ、今奈良の公園で起きているわという話が先ほど出ていましたけれども、そういったような形になっているのが事実ですから、そういった意味に対して、むしろそういったところの業者に対して小さな金融機関の方が逆に大丈夫という話を聞きに行くぐらいの営業センスがないとこれからの地方の零細中小地域金融業者というのは難しいことになるんじゃないですかなと、私自身はそう思いますし、事実そういったことをやっていってもらえるものだと思っております。
○中西健治君 大臣おっしゃられるとおり、感染症の怖さというのは、病そのものの重篤さもさることながら、非常に多くの市民が心理的打撃、特に、見えない恐怖を味わうことで平穏に日常生活を送れなくなることであろうというふうに思います。是非、この中小企業の資金繰りも含めて目くばせの方をお願いしたいと思います。
そして、この状況、時々刻々と変化しておりますけれども、昨年の十二月に経済対策、発表されました。そのときに、海外発の経済の下振れリスクに対応するということが一つの眼目だったと思いますけれども、今回のこのコロナウイルス、これもそのときには予見し得なかった下振れリスクになるかもしれないということだと思います。
国民の生活を守るために、現時点において、財政支出、予備費の活用、こうしたことも検討できないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の新型コロナウイルス感染症への対応は、まずは感染の拡大防止、在留邦人の方の帰国が最優先ではありますが、観光等への影響についてもよく見極めた上で、事態の進展に応じ、必要があれば予備費の使用も検討したいと思います。
○中西健治君 どうぞ検討をよろしくお願いします。
この観光にも関係することなんですが、続きまして、キャッシュレス化の推進についてお伺いしたいと思います。
昨年十月から、キャッシュレス化を推進するためのポイント還元事業が開始をされました。キャッシュレス化は、国民の利便性の向上、インバウンドの増加、生産性の向上や働き方改革に大きく寄与するものでありますので、私自身は大いに進めるべきだと考えておりますが、このポイント還元事業を導入する際には、政策目的が二つあると、消費税増税時の増税前後の需要平準化対策と、あとキャッシュレス化を推進する、この二つの目的があるということをもって、さんざん批判をされました。
二兎を追う者は一兎をも得ずだとか、税率がたくさんあるようで分かりづらいと、こんなような批判を受けたわけでありますが、これも、私自身は常々思っているのは、一つの政策手段が二つの政策目的を持つというのはいいことじゃないか、結構なことじゃないかといつも思っております。増税時のように短期的に痛み止めをしなきゃいけないとき、その痛み止めに使ったお金が長期的な成長につながる、種をまく、そうしたことができるのであれば、それはなお良いことだというふうに思います。そういう政策こそ採用すべきであると考えております。このポイント還元事業はそうなっているんだろうというふうに思います。
経産省から直近のアンケート結果が発表されました。それによりますと、企業サイドからは、業務の効率化や売上げに効果ありという答えが大変多かった。そして、消費者サイドからも、キャッシュレスを始めた又は支払を増やしたとの回答が多くを占めて、キャッシュレス化が進んでいるということがうかがえます。また、約半数の消費者が、ポイント還元があるので増税前にまとめ買いをしなかったと、こういうふうに答えているんです。これは、狙いどおり、需要の平準化に寄与しているということではないかというふうに思います。
さて、このポイント還元事業が六月末で終了いたします。経産省は、このキャッシュレスの比率を四〇%まで二〇二五年に引き上げたいというふうに目標設定していますが、元々二〇%ということですので、まだまだ努力が必要なんじゃないかと思いますが、六月末以降の施策についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(梶山弘志君) 中西委員御指摘のとおり、キャッシュレスの推進は、消費者の利便性の向上、店舗の効率化、売上げ拡大、そしてデータの利活用の促進に資する重要な取組であります。二〇二五年までにキャッシュレス決済比率四割程度にするとの目標を掲げて普及を促進をしているところでもあります。
ポイント還元事業は消費税引上げ対策として実施するもので、この点、本年は夏はオリンピック・パラリンピックによるキャッシュレス事業の拡大が見込まれることや、九月からはマイナポイント事業も開始されるということから、六月末に終了をする予定であります。
もちろん、予算事業の終了後もキャッシュレス化を進める方針に変わりはございません。このため、まずは統一QRコードの普及やマイナポイント事業の実施に合わせて端末導入支援等に取り組むことで中小店舗のキャッシュレス化を促してまいりたいと考えております。さらに、今回広まりましたキャッシュレス決済手段を用いて自治体における公共料金等の支払のキャッシュレス化を後押しすることで、全国津々浦々でキャッシュレスを使える環境を整えてまいりたいと思います。
委員御指摘のとおり、二〇一八年、この制度を、ポイント還元制度導入前の時点で二割強の決済比率ということでありましたけれども、この取組も含めて、キャッシュレス決済比率で四割の目標を達成をするために最善の努力をしてまいりたいと考えております。
○中西健治君 従来から言われていることでありますけれども、小売店がキャッシュレス決済を導入しない最大の理由は加盟店手数料が高いからということであります。
今回の還元事業、ポイント還元事業を継続している間、この参加条件は三・二五%上限ということでありますが、六月末以降また上がってしまったのでは元のもくあみということになります。そうならないようにするためにどのようにしていくのか、教えていただきたいと思います。
○国務大臣(梶山弘志君) 決済業者に、決済事業者に支払う手数料が中小店舗にとって負担となって、キャッシュレス化が進まない要因の一つになっていることは承知をしております。手数料の引下げは、日本でキャッシュレス化を進めるための大きな鍵の一つであると考えております。
このため、今回のポイント還元事業では、決済事業者には、手数料を三・二五%以下とするとともに、事業終了後の手数料の取扱いを公表することを事業への参加の条件といたしました。この結果、決済事業者間で市場競争が働いて、本事業に参加している店舗が支払っている手数料の平均は約二・五%まで下がってきております。この手数料を参加決済事業者のうち半数強がこの事業期間終了後も維持するとしております。
一方で、黒字の中小小売企業の平均利益率が約三%である中で、現行の手数料は依然として高いとの意見があることも承知をしているところでありますが、今後も決済事業者や店舗、消費者の声をよく聞いた上で、キャッシュレスの推進に必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
○中西健治君 ありがとうございます。
元々、日本のこの手数料というのは他国に比べて高い。私が調べた限りでは三・五%から五%ぐらいが大半ということであります。他国はもっと低いということでありますので、是非下げるための促しというのもしていっていただきたいと思います。
今回のアンケート結果は、申し上げたとおり、総じてポジティブなんですが、一点気になるところがあります。それは、小売店の資金繰りが少し厳しくなっているということであります。現金決済であれば現金が入ってきてそれをすぐ仕入れに使えるということになりますけれども、キャッシュレスだとクレジットカード会社などからの入金を待たなければいけないので、これまでのサイクルと異なってきているということで、中堅企業では三割以上の会社が資金繰りが厳しくなったということを言っております。ここについて、対策、支援策あるかどうか、教えていただきたいと思います。
○国務大臣(梶山弘志君) 委員おっしゃるとおり、中小企業、また小規模事業者の経営の要諦というのは資金繰りだと私自身も思っております。
中小・小規模事業者の方々から、キャッシュレス決済による取引は、現金決済と異なり、入金までに時間を要するといった懸念が示されていることは承知をしております。この点、最近は入金が最短翌日のものや月六回の入金を選択できるものなど、中小・小規模事業者としても導入しやすい決済手段も様々登場しているということで、私も現場の方にいろいろと聞いてまいってきているところであります。
一方で、キャッシュレス決済の利用が増加した結果、入金サイクルの長期化によって資金繰りに困難を来す中小企業もいらっしゃることも認識をしております。そのような場合には、日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸付けなどにより、支援をしてまいりたいと考えております。
さらに、令和元年度補正予算において、キャッシュレス決済への対応を行う事業者がセーフティーネット貸付けよりも低利の企業活力強化貸付けを活用できるように制度を拡充をしたところでもあります。
キャッシュレスの導入によるメリットを事業運営が困難になることなく享受できるように、引き続き、現場の声をよく聞きながら事業の運営に努めてまいりたいと思いますし、事業者の方々への周知もしっかりと図ってまいりたいと考えております。
○中西健治君 この資金繰りについての、こちらの方の目くばせも是非お願いしたいと思います。
続きまして、環境問題を取り上げたいと思います。
一月二十日に国会が開会しましたけれども、その直前の週末を利用いたしまして、カリフォルニア州の議員と直接意見交換をするために渡米してまいりました。その際、山火事の現場を視察しました。人家の間近に真っ黒にすすけた森林があり、山火事の危険さを目の当たりにしました。皆さんも御存じのとおり、今、オーストラリアでまた山火事が、大規模な山火事が発生しているということであります。
こうしたことを地球温暖化と結び付けて論じることには様々な意見があります、様々な、要因が違うんではないか、違う要因も挙げられております。また、地球温暖化の原因そのものについても諸説あるということは認識しております。
ただ、環境問題は今ここにある現実であります。地球の平均気温が上昇しており、それによって災害の甚大化などが引き起こされていることはもう事実であります。目の前で起きている事実に対して、打てる手を打っていかなければいけないということではないかと思います。
環境問題への日本の取組はといいますと、日本企業の多くは環境問題に積極的に取り組んでおります。そして、国際的な大きなイニシアチブ、幾つもあるんですけれども、その中でランキングですとかスコアですとか、大変優秀な成績を上げている企業がたくさんあります。
しかしながら、この間、残念に思っているのは、世界であまたある環境団体、日本だけでも一万八千登録されていますから、世界中ということだともうその数が二桁違うということなんじゃないかと思いますが、そのうちの一つの団体に化石賞なる賞が日本に与えられて、それは日本をやゆするように与えられて、それがまた取り上げられているということを非常に残念に感じております。
この化石賞というのは一体何なのでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、中西議員から御質問をいただいた化石賞でありますが、こんなに化石賞のことを好きなのは日本ぐらいでしょうね。こんなに報じるのも日本ぐらいだと思います。
私、COPにこの前初めて大臣として出席をして実態というのはよく分かりますが、COPの会場って物すごい広い、いわゆるパビリオンというか、幕張メッセのような、そういった中でやりますが、廊下で授賞式みたいなのをやるわけです。そして、日本が二回取ったということが日本の報道でもありますが、毎日授賞式があるんです。その期間中に、どの国の誰がどういう発言をしたのかというのをNGOの皆さん見ていますから、中には、ある日は一、二、三位が全部アメリカ総なめでした。
そして、我々日本が二回取ったという話がありますが、先月の十二月の三日、これCOP初日、一位オーストラリア、二位ブラジル、三位日本、これが一回目なんです。四日が、ボスニア、スロベニア同率一位、二位がオーストラリア、三位がベルギーと。こういったような形があるんですけど、実態としては、まるで日本のみが化石賞をもらっているというような、そういった受け止め方をしている方がかなり多いんじゃないでしょうか。
私は、この問題意識を持ったときにおかしいと思ったのは、CO2ばかりほとんどの国が見ていますが、実は、日本ではフロンと言われる、これ世界ではフロンというのは通じません、フルオロカーボンと言わなければ通じませんが、このフルオロカーボンの取組は世界で百か国以上が全く目標すら持っていません。今、世界中で一秒間に十台のエアコンが売られています。このトレンドは三十年以上これから続くというふうに言われている中で、日本は法律まで作って、このフルオロカーボンの、空調設備とか冷凍冷蔵設備、こういったところからの回収と破壊までをしっかりやるということでやっている先進的な国でもあります。
是非、化石賞を日本がもらっているというのであれば、私は、日本の、そういうNGOからは世界の国々で全く対策目標さえない百か国以上の国にフルオロカーボン賞ぐらい授賞した方がいいのではないかと、そういう国際的な発信も決して日本は忘れてはならないと思っております。
○中西健治君 そんな賞だとはいえ、化石賞などを二度と受けないようにするためにメッセージの出し方変えるということ、そんなようなお考えはございますでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 二度と受けないためにということの意味でも、私は、日本がイコール石炭の国であると、そういう、国連グテーレス事務総長の石炭中毒という、あれぐらい激しい言葉も含めて真正面から受け止めるべきは受け止めて、その上でどのようなアクションを取れるかという思いを率直にCOPの場でも申し上げました。
私が特に輸出の四要件という、そういったところに問題提起をさせていただいているのも、日本は今すぐゼロとはなかなか言えません。そして、OECDが一部言っているような化石燃料全部、天然ガスすら駄目だということはなかなか選択肢としては無理です。そういった中でも決して日本は脱炭素社会に対して後ろ向きなわけではないんだと、そういうメッセージを届けるためには真っすぐなこの前向きなアクションも必要だと、こういった発信をしっかり届けていきたいと思います。
○中西健治君 是非、攻めのPR、攻めのアピールしていっていただきたいと思います。
もう一つ取り上げます。
海洋国家日本の課題として、海洋プラスチック問題、これを是非議論させていただきたいと思いますが、世界では年間約八百万トンのプラスチックがごみとして海に流れ込んでいると推計されており、それが波の力や紫外線の影響などで細かく砕けて、マイクロプラスチックとなっております。これらは自然に分解されることはなく、半永久的にたまり続けるため、海の小さな生物がプラスチックを取り込んで、食物連鎖で最終的に人間の体に蓄積しております。
ストローやスプーン、レジ袋などのプラスチックを減らす運動も大変重要だと思いますけれども、現実に漂着しているものを処理することは喫緊の課題だと思います。
現行法、海岸漂着物処理推進法によりますと、海岸管理者等は処理のため必要な措置を講じなければならないとありまして、周辺国、他の国から来ているごみ、内陸部から来ているごみ、そうしたごみ処理も含めて、海岸沿いの地方自治体の負担が大変重くなっております。国は積極的に関与すべきではないでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、中西議員から御指摘いただいたこの漂着ごみの自治体の負担ということでありますが、これについては来年度の予算案に約三十七億円、今計上をしています。
ちなみに、このプラスチックごみは、今、海のものが大変話題ですが、日本の特色ある取組、先進的な取組は、海のない海なし県の取組も非常に盛り上がっているということであります。例えば、栃木県、海はありません。そして、長野県もそうです。しかし、約七割の海に流れるプラスチックごみはやはり上流から流れてくると、陸域から来るということもありまして、そういう海なし県にも広がりがあるというのは日本のすばらしいところだと思います。ちなみに、我々、中西先生と私の地元の神奈川県もこのプラごみゼロということで取り組んでおります。
こういう国内の動きに加えまして、やはり国際的な地球規模の課題ですから、地球規模で取り組まなければいけません。G20の大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、これは、あのときはG20という二十か国・地域でありますが、今では五十九か国が賛同の表明をしているところまで行きました。
私は、十一月に中国の生態環境部長、カウンターパートとも日中韓の環境大臣会合でお話をしましたが、中国は世界最大のCO2排出国でもあり、世界最大の海洋プラスチックごみの排出国であると言われています。そういった中で、中国との前向きな取組の強化、こういったことも同じ思いを共有できたところでありますので、これを更に中国を前向きな関与をさせ続けるということも日本としては非常に大事なことではないかと考えております。
○中西健治君 是非お願いします。
そして、せっかく回収したプラスチックごみの大半がまた燃やされているということであります。これはリサイクルチェーンがつながっていないからでありますけれども、これも是非つなぐような努力もしていっていただきたいと思います。
もう一つ、雇用についてお伺いしたいと思います。
私は、経済政策の最大の目的は何かと問われると、働きたい人に活躍の場を提供することだといつも答えております。その点においてアベノミクスは大きな成果を収めており、働きたいと思ったら働けるという状況をつくったことは高く評価されるべきであると考えております。こういう状況の中で更に進めていきたいのは雇用の流動化を高めること、流動性を高めること、これをしていきたいと思います。
最近、中高年の転職が増えているというような報道もされておりますけれども、まだまだ制度的にこの流動性が高まるのを阻んでいるものがあります。退職金と年金の問題取り上げたいと思います。
まず、税制の方、お伺いいたします。
一般に採用されている退職金制度は、勤続年数が二十年を超えた辺りから急激に金額が上がる設計になっております。これは民間企業がつくる退職金制度ですから、これはこれで問題とするわけではありませんが、問題なのは、それを税制が後押ししているということであります。例えば、勤続三十年、同じ会社に勤続三十年であれば、千五百万円までは所得税も住民税もゼロであります。企業の思惑どおりになっていると言ってしまえばそれまでですけれども、転職を思いとどまらせる大きな原因になっていると思います。
この税制は、今の時代に合った税制に変えていくべきではないでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、中西先生が御指摘のとおり、退職金課税の話なんですけれども、これは、年金とか、いわゆる給与ですかね、給与で受け取る場合と税制上の扱いが異なっておるという話なんですけれども、この給付の在り方に対していわゆる中立ではないんではないかという、これ理論上そういうことになるんですが。
いわゆる勤務期間、勤続期間が二十年以上になりますと、その控除額とか退職金額とかがいろいろと上がる。人手のない頃、ずっと、余った、あの時代にでき上がった制度、システムがそのままその形で残っているという部分の一つの大きなものだと思いますが、これが今、転職が増えたり途中入社が増えたりしている時代には正しく対応している制度ではないのではないか、税制としてということなんだと思いますので、こういった点のバランスというのはちょっと考えにゃいかぬということで、企業の退職給付のいわゆる在り方ですかね、在り方などについて、ちょっとその影響を踏まえて、ちょっとこれ検討させていただきます。
○中西健治君 是非、時代に合った形で検討をしていただきたいと思います。
厚労大臣にお伺いしたいと思います。
退職金制度というのは、日本企業では約八割が持っております。これは、雇用の習慣の違い、慣習の違いもあって、外国の企業では一般的であるというふうに言えませんけれども、日本の経営企業においては、日本の会社員にとってはこの退職金制度というのは極めて大切な制度となっております。しかし、会社が倒産して未払賃金さえ払えない状態となった場合は、退職金が支払われることはありません。
ただ、余り知られていませんけれども、勤務先が倒産したときに未払となった賃金及び退職金を国が立替払する制度があります。しかも、かつては最大で百五十万円、百五十万円くらいだったものが、現在、四十五歳以上では二百九十六万円にまで拡充をされております。
申請すればもらえたはずなのに、知らなかったがためにもらえなかったという人が出てこないようにするために、この退職金保護制度の認知度を高めるべきではないでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今、中西委員御説明の、企業倒産によって退職金を含めて賃金が未払のままであった方の退職後の労働者の生活の安定を図るために未払賃金立替払制度というのがございまして、これは労働保険で保険料をベースにやっているところであります。
確かに、ここのところで問題、私ども認識しているのは、この立替払を実施する場合に、法律上の倒産の場合には裁判所で証明書の交付、あるいは管財人等がそこに絡んでくるんですけれども、そこのところで必ずしも十分に周知が行かないために証明書の交付がなされない、あるいはそれが進められない、その結果としてこの制度が使われない、こういう指摘を受けております。
そういった意味で、やはり特にそうした破産管財人あるいは裁判所の皆さん方にしっかりと制度を熟知していただくためにも、この制度をしっかりと周知を図っていくということが必要だと思っております。
そういった意味で、この制度の運用をしております独立行政法人労働者健康安全機構と連携をして、全国の弁護士の方、裁判官の方を対象とした研修会を開催して、制度の概要、手続について説明するとともに、こうした賃金が支払われない労働者の救済のためにも制度の利用を積極的に呼びかけていただきたいと思っておりますし、また、労働者の方々にも知っていただくために、ハローワークとかあるいは労働基準監督署にリーフレット等を設置し、あるいは本件に関する相談対応を行って、この制度をしっかり周知し、そうした場合においてこうした制度が活用していただけるように努めていきたいと思っています。
○中西健治君 いい制度があるのに使われないというのは大変もったいない話でありますから、是非これは周知をしていっていただきたいと思います。
もう一つ、今度は年金についてお伺いいたします。いわゆる企業年金のポータビリティー問題というものであります。
御承知のとおり、企業年金は確定給付年金と確定拠出年金というのがあって、今、確定給付から確定拠出に動いていく流れとなっています。確定拠出年金を採用している企業は、大手企業だともう五〇%を超えたところになっております。
これだけ増えてくるとまた問題が生じておりまして、元々の企業では確定給付でした、転職しようとしたら、そこは確定拠出だったので持ち運べませんと、こういう問題が起きております。そして、中小企業まで見ていく、全企業ベースで見ますと、この確定拠出の採用割合というのは一割程度にとどまっておりますので、是非、制度に入っている企業からなかなか転職しにくいという問題をなくしていくためにも広めていかなきゃいけないんだろうというふうに思いますが、この中小企業も含めてどのように働きかけていくのか伺えればと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 今お話がありました確定拠出年金制度、DCと呼ばれていますけれども、雇用の流動化にも対応できる、要するに運べるという、そういったメリットがあります。
そのDCの実施率でありますけれども、御指摘のとおり、千人以上の企業では五〇%を上回ってきていますが、三百人未満の企業の実施率は低く、全体でも一〇%程度にとどまっているというのが今の実態でありまして、いかにこの制度の普及拡大を図るかが課題であるというふうに認識をしております。
そういったことも踏まえて、この通常国会に提出を今予定をしている段階ではありますけれども、年金制度の改正案では、高齢期の就労の拡大を踏まえて、このDCの加入可能の年齢を、現在は六十五歳未満を、これ七十歳未満に引き上げるということ。あるいは、中小企業向けの対象拡大ということで、制度実施可能な従業員規模を、今百人未満でありますが、三百人未満まで拡大をする。そうした意味で、中小企業を含む多くの企業が利用しやすいような制度面、手続面の見直しを盛り込むことにしております。
加えて、そうしたことに加えて制度の普及に向けた広報が重要でありますので、商工会議所あるいは中小企業団体などと連携した説明会、セミナーの開催、あるいはパンフレットの作成、配布、こういったことにも取り組む中で、こうしたDCへの理解、そしてその普及、利用の普及を図っていきたいと思っています。
○中西健治君 いろんなアンケート、調査結果を見ていますと、本当はこの企業にいたくないんだけれども、とどまらざるを得ないという方が大変多いようであります。それがために日本人の会社に対する忠誠心というのが大分落ちてきているということでありますので、是非ともこうした転職を阻む壁、これを取り払っていただきたいとお願いいたします。
質問、終わらせていただきます。ありがとうございました。