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活動報告

中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。

国会活動

6/28 参議院法務委員会(配偶者居住権、自筆証書遺言保管:動画・速記録)

2018年06月29日 (金)

昨日の法務委員会の動画(20分)と速記録です。

「配偶者居住権」は、残された配偶者の「老後の安心感」を高めるものとして大いに評価しているのですが、場合によってはやや厳しい事態となってしまうことも想定されるため、その点への配慮を求める質疑となっています。
数字が出てきたりして、若干細かい話になりますので、詳しくは速記録をご参照ください。

○中西健治君 
おはようございます。自由民主党の中西健治です。
 約四十年ぶりの相続法制の改正ということでありますけれども、私、地元の国政報告会などでよくこれについてお話をしますが、関心が極めて高いということではないかと思います。

 配偶者居住権の創設、遺言書の保管、さらに介護をした方への、どのように報いるかというようなことについて、全て関心は高いんですが、特に配偶者居住権について大きな関心が寄せられているなということを感じます。
 
私、いつも申し上げるのが、高齢社会の中で相続も大量に発生していると。そこで、大変増えているのが高齢の独り暮らしの女性であると。なぜ女性かというと、平均寿命が男性に比べて七歳ぐらい長いということもありますし、それに加えて、結婚する年齢が男性の方が女性より二歳ぐらい高いということです。

 男性は遅く結婚して早く亡くなるということでありますから、これ足し上げて、女性が平均して九年、十年一人で住むということになってくるわけですので、住む場所の確保とそして生活費、これに対して何らかの手当てをしてくれと、こういう関心が高いのだろうというふうに思います。
 そこで、まず大臣に、この約四十年ぶりの相続法制の改正の背景や意義についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君) 
相続法制につきましては、ただいま委員の御指摘のとおり、昭和五十五年に改正が行われて以来、四十年改正をされない状況がございました。当時は、配偶者の法定相続分につきましての引上げ、また寄与分制度の新設等の改正がなされてきたところでございます。
 この間、我が国の平均寿命、先ほど御指摘ありましたけれども、この四十年間だけ取ってみましても、男性の場合は約七歳、女性の場合は約九歳ということで、その四十年でも女性の方が平均年齢が高くなって、長くなっているということでありまして、その上で社会の少子高齢化が進展するという状況が起きているところでございます。

 高齢者間の再婚なども増加しているなど、相続を取り巻く社会経済情勢については大変大きな変化が生じているというふうに考えております。特に、平均寿命が長くなったことに伴いまして、相対的に相続開始時における配偶者の年齢も高くなっているということで、先ほど、独り暮らしの女性の高齢者の皆さんが増えていると、そういう実感をお話しいただきましたけれども、高齢の配偶者の生活を保護する必要性については大変高まっているというふうに認識をしております。
 今回の相続法の見直しにおきましては、残された配偶者の生活に配慮するという観点から配偶者の居住の権利を保護するための方策等を設けるほか、遺言、これを利用しやすくするとの観点から自筆証書遺言の要件緩和などを内容としておりまして、まさに社会経済情勢の変化等に対応した制度に改めるものというふうに考えております。

○中西健治君 
ありがとうございます。相続が骨肉の争いの争族、争う族に、親族になってしまうと、こういう悲しいことにならないようにするためにも、遺言書というのは大変重要なツールなんだというふうに思っております。

 この間、イギリスから帰ってきた友人と話をしましたけれども、イギリスでは遺言書を書くのが本当に当たり前である、みんな書くよと、こういうふうに言っておりまして、やはり自由社会においては自分の財産を処分するのは自己の意思に基づくんだと、こういう意識が徹底しているということなんではないかと思います。

 調べてみたんですけれども、イギリス、アメリカ、ドイツでは遺言相続が原則であったり、若しくは法定相続に優先するとされております。フランスでは法定相続が原則ですけれども、贈与や遺言によってそれを修正しており、遺言が活用されていると認識しておりますけれども、翻って我が国ではどうなのか、遺言相続の状況について伺いたいと思います。

○政府参考人(小野瀬厚君)
 まず、自筆証書遺言でございますが、自筆証書遺言の作成件数そのものに関する統計データはございませんが、家庭裁判所において検認された遺言書の件数については統計のデータがございます。その件数は年々増加しておりますが、平成二十七年におきますと約一万七千件でございます。死亡された方が約百三十万人でございますので、これと比較すると約一・三%にすぎないという状況でございます。
 また、公正証書遺言の作成件数につきましては、これも年々増加傾向にございますが、平成二十七年は約十一万件作成されております。死亡者数との比較といたしますと約八・六%にとどまっていると、こういう状況でございます。

○中西健治君 
今の答弁にありましたとおり、一・三%ですとか八・六%ということですので、やはり利用状況は、活用状況というのは極めて低調であるということなんではないかと思います。
 今回の法改正の中で自筆証書遺言の保管制度というものが創設されて、これは重要な一歩となるということではないかと思いますけれども、保管ということだけですとやはりやや受け身であるという感じがいたします。遺言相続を推進するために今後何をしていくのか、それについてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小野瀬厚君)
 遺言は、遺産の分配方法等に関する被相続人の最終意思を明らかにするものでありまして、その意思を尊重し、遺産の分割をめぐる紛争を防止する観点から、遺言の利用を促進することは望ましいと考えられます。また、今回の法案におきましては、自筆証書遺言の方式緩和、あるいは今御指摘ありました自筆証書遺言の保管制度の創設という自筆証書遺言に関する改正が盛り込まれておりますが、遺言の利用を更に促進するためには遺言制度そのものを国民に十分周知する必要があると考えております。
 法案成立後の周知におきましては、自筆証書遺言に関する改正内容のみならず公正証書遺言の制度についても周知を行って、自筆証書遺言と公正証書遺言がそれぞれのニーズに応じて活用されるように、パンフレットやポスターの作成、配布、さらには全国各地における講演会などを通じて遺言制度についての積極的な周知を行ってまいりたいと考えております。

○中西健治君 
配偶者居住権は、先ほど申し上げたとおり非常に関心が高いというふうに思っております。住む家が必要ですし生活費も必要だという中で、この配偶者居住権の創設というのは高く評価できるものじゃないかというふうに思っておりますが、二点、これについて、新しい制度、新しい概念ですのでお聞きしたいと思います。

 一点目は、この配偶者居住権の評価、価値ということに関するものでありますけれども、この配偶者居住権、建物の耐用年数ですとか平均余命ですとか、こうしたことによって価値が決まってくるということでありますけれども、あと、法定利率なども関係するということですけれども、法制審で示された簡易な方法というのは、法定利率三%で将来の価値から現在に引き戻すということで、配偶者居住権付きのまずは所有権の価値を出して、そして普通の所有権からそれを引いたものが配偶者居住権になるんですよと、こういう説明になっております。

 これ、私がちょっと手元でこの法定利率三%を使って計算してみますと、これもうすぐ明らかなんじゃないかと思うんですけれども、配偶者、夫に先立たれた、妻に先立たれた配偶者が若ければ若いほど平均余命というのは長くなりますので、この配偶者居住権の価値というのが高まるということになってまいります。

 この三%で割り引くというのをやってみると、一・〇三の二十四乗というのをすると二を超えてくるんですね。掛け算を、ずっと掛けていくと二を超えてくるということになりますので、百を二を超えたもので割るということになると五〇を下回るということになります。これが配偶者居住権付きの所有権ですから、残りの配偶者居住権が五〇を上回るということになります。法定相続分の二分の一も上回るということになってきますけれども。

 そうした場合に、この配偶者居住権を得る方はほかの相続人に対して法定相続分を超える部分、超過部分というのを支払わなければならないのか、これについてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小野瀬厚君)
 配偶者居住権の価格の算定方法につきましては様々な方式が検討されておりますけれども、委員御指摘の簡易な方式も含めまして、どのような方式によりましても、配偶者居住権の存続期間が長期にわたる場合などには、御指摘のとおり、配偶者居住権の価値が配偶者居住権の負担の付いた居住建物及びその敷地の価値を上回る場合があり得るものと考えられます。

 したがいまして、例えば、相続人が配偶者と子供であって、遺産が当該居住建物及び敷地のみであるような場合には、御指摘のとおり、配偶者居住権の価格が遺産分割における配偶者の法定相続分である二分の一を上回ることがあり得るものと考えられます。
 配偶者居住権は無償で居住建物を使用及び収益する権利でありまして、財産的価値を有するものでありますので、配偶者が遺産分割においてこの配偶者居住権を取得する場合におきまして、配偶者居住権の価値がその配偶者の遺産分割における取り分を超えているときは、やはりその配偶者はほかの相続人に対しその差額について代償金を支払わなければならないこととなります。

 しかしながら、このような場合でありましても、配偶者は、例えば居住建物の所有権を取得する場合と比べますと、低額な代償金を支払うことで居住建物に居住することができることとなりますので、そういったものを考えましても、配偶者居住権を取得するメリットはあるものと考えられます。

○中西健治君 メリットはあるとは思いますが、ちょっと厳しめかなというふうにも思います。
 フランスの民法では、同じように、配偶者に対して相続時に住んでいた住居の終身居住権というのが認められております。その価値が相続分を超える場合であっても配偶者は超過分についての償還義務を負わないと、このようにされております。

 じゃ、先ほど言った二十四年で、平均余命二十四年あったら法定相続分を超える可能性があるということですので、実際何歳のときなのかというのを簡易生命表を見て調べてみますと、女性が平均余命二十四年になるときというのは六十五歳なんですね。
 六十五歳の高齢に差しかかる女性に対して、法定相続分を超えるんだからその分を払えというのはちょっと厳しめかなというふうに私自身は感じておりますけれども、これは今後の状況を見ながら考えていかなければいけないことではないかというふうに思っております。これが価値に関わるところ、一点目であります。

 もう一点が、配偶者居住権の登記についてお伺いしたいと思います。
 改正案では、所有者が配偶者に登記をさせる義務を負うと、こうされております。ただ、現実問題としては、登記をしないままに住み続けるというケースが多数発生するかなと、このようにも思っております。
 
 そうしますと、物件が売却されてしまった、物件が売却されて、物件を購入した第三者が、いや、配偶者居住権が付いていることは知らなかったと、こういうケースもあり得ると思いますが、未登記で居住中の配偶者というのは対抗できるのか、これについてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小野瀬厚君) 
お答えいたします。配偶者は配偶者居住権の設定の登記を備えなければ、その後に配偶者の居住建物をほかの相続人から購入した者などの第三者に対して配偶者居住権を対抗することができないこととしております。したがいまして、設定の登記がされていなかった場合につきましては、第三者が配偶者居住権が存在していることを知っていた場合でも、配偶者は原則として当該第三者に対して配偶者居住権の取得を主張することができないこととなります。
 もっとも、例外的に、その第三者におきまして、配偶者居住権の登記がされていないことを主張することが信義則に反するとか、あるいは権利の濫用に当たると認められるような場合には、配偶者居住権の登記がされていなくてもその第三者からの明渡し請求を拒むことができることにはなるというふうに考えられます。

○中西健治君 
今の御答弁ですと、第三者が配偶者居住権が存在していることを知っていた場合でも、知っていた場合でも登記をしないと対抗できないということになっておりまして、これもやや厳しめなところがあるかなというふうに思います。
 
これ、非常に難しいと思うんです。非常に難しいというのは、配偶者居住権というのは無償で住み続けられる権利でありますから、そこはその権利を野方図に広げていいのかどうかというところで、バランスをどこに取るかという問題だと思います。
 先ほどもそうなんじゃないかと思いますが、ここら辺は一つの論点としてやはり今後に向けても頭に入れておかなければいけないところじゃないかというふうに思っております。

 では、その上でですけれども、高齢者の保護という観点から、権利の上に眠る者は保護に値せずということはよく分かっておりますけれども、ただ、これ高齢配偶者の保護のためにということでつくられる権利でもありますので、登記以外にも何らかの保護策、救済策、これは考えられないんでしょうか。

○政府参考人(小野瀬厚君)
 この配偶者居住権につきましては、御指摘のとおり、登記以外としては、例えばその建物の引渡しを対抗要件とするということも考えられるところでございます。これは建物の賃借権と同様のものでございます。
 しかしながら、この配偶者居住権が無償で建物を使用することができる権利であるということから照らしますと、やはり第三者に権利の内容を適切に公示すべき必要性が高いものと考えられます。また、配偶者居住権につきましては、相続開始時に配偶者がその建物に居住していたことがその成立要件とされていますために、建物の引渡しを対抗要件として認めたといたしましても、その建物の外観上は何らの変化もないこととなりまして、公示手段としては極めて不十分になるものと考えられます。このようなことから、配偶者居住権については、建物の引渡しを対抗要件として認めることとはしておらないものでございます。
 このように、配偶者居住権につきましては、原則としてその設定の登記がされなければ第三者にその権利を取得することができないことになりますので、この法律案が成立した場合には、その点も含めて、改正内容について広く国民一般に対する周知に努めてまいりたいと考えております。

○中西健治君 
先ほど申し上げましたとおり、そもそも登記をさせる義務というのが所有者にあるということであります。そして、その所有者が登記もさせないままに売却をしてしまうということは、この配偶者というか、この配偶者居住権の保有者に対しては法的債務の履行義務違反ということじゃないかと思うんです。

そのしわ寄せがこの配偶者、配偶者居住権の保有者に来るというのはいささか、いささかと疑問のあるところでもありますので、やはり救済策というのは考えていく、その周知なのかもしれませんけれども、していく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 所有者不明土地問題でもクローズアップされたとおり、登記というのが一般の人にとっては、なじみのないとは言いませんけれども、当たり前のものにはこの国、我が国ではなっていないということではないかと思います。

 そこで対抗できるかできないかというのは大きな問題になるということじゃないかと思いますので、この配偶者居住権については、より広く知らしめる形、これを取っていかなければいけないんだろうというふうに思います。せっかくつくった制度でありますので、そのようにお願いしたいと思います。

 そして最後に、相続人以外の介護などの貢献について、介護等の労務を提供した人を相続人ではないという形式要件で排除せず、その貢献に対して正当な評価を行うという今回の改正を評価したいと思いますが、請求権者は親族に限定されていますが、そちらについて、その背景、理由等についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小野瀬厚君) 
お答えいたします。この特別の寄与の制度を新設することにつきましては、法制審議会における調査、審議の過程において、相続をめぐる紛争の複雑化、長期化を懸念する指摘がされていたところでございまして、そのような事態をできる限り防止するためには請求権者の範囲を限定する必要性が高いと考えられます。
 また、この制度は、被相続人と近しい関係にある者が被相続人の療養看護等をした場合には、被相続人との間で報酬の契約を締結するなどの対応が類型的に困難であることに鑑み、これらの者の利益を保護することを目的とするものであることでございますので、請求権者の範囲を限定することには合理性があると考えられました。
 こういった点を考慮して、特別の寄与に関する請求権者の範囲は被相続人の親族に限定することとしたものでございます。

○中西健治君 
終わります。どうもありがとうございました。

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