中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年08月05日 (水)
8月4日、参議院平和安全法制特別委員会において、邦人輸送中の米艦防護の事例について質問しました。
安倍総理は、集団的自衛権行使の説明として、ホルムズ海峡の機雷掃海とならんで、朝鮮半島有事の際に朝鮮半島に残された日本人を輸送する米艦船を防護する事例を挙げています。この事例に、ベトナムの艦船が日本人を輸送する事例を加えて、邦人保護の可否について質問いたしました。
そもそも、安倍総理は、衆議院の審議において、「多くの日本人が乗っている可能性が十分あるにもかかわらず、それを攻撃するということは、日本を攻撃する意図が十分に伺われる」ことを理由に、「邦人輸送中の米艦が攻撃される明白な危機という段階において、存立危機事態の認定が可能である」として、邦人輸送中の米艦の防護を認めています。
しかし、「多くの日本人が乗っている可能性が十分ある」という事情は、米艦船に限られません。たとえば、韓国は10年ほど前から外国人労働者を受け入れる政策をとっているため、韓国には、日本人よりも多くのベトナム人が滞在されています。そのため、朝鮮半島有事の際には、ベトナムが艦船を派遣し、自国民を一時的に日本に避難させることが考えられます。その過程で、日本人が乗り込むことも十分に考えられます。
そこで、ベトナム艦船に乗り込んだ日本人も防護の対象になるのか、と質問しました。
安倍総理からは、以下のようなご答弁をいただきました。
「日本人を守れるか否か、すなわち自衛の措置をとりうるか否かは、新三要件に当たるか否かがすべてだ。新三要件に当たるか否かをその時の状況で総合的に判断する。」
「日本の近隣で紛争が起こることを想定して、エバキュレーションの計画も立てられている。その際には、米国の艦船および米国がチャーターした艦船で多くの人を輸送することが一番考えられる。」
「外形的には、国際法上は、日本に対する武力攻撃がない。他方で、他国に対して武力攻撃があり、集団的自衛権の行使になる。個別的自衛権行使の範囲の拡大をしていくことは国際法上は非常識と考える。」
しかし、たまたま米国艦船に乗っている日本人は救われて、第三国の艦船に乗っている日本人は救われない、という結論は不条理ではないでしょうか。このような不条理が起こるのは、そもそも自国民の保護を、集団的自衛権で説明することに無理があるからではないかと考えます。
このような不条理を避けるためにも、自国民の保護は個別的自衛権で説明するべきではないかと考えます。この点については、今後も質してまいります。