中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2015年02月26日 (木)
議長提出:2015年02月26日
内閣転送:2015年03月02日
回答 :2015年03月06日
薬剤服用歴未記載問題に関する質問主意書
株式会社くすりの福太郎が運営する調剤薬局において、平成二十五年三月の社内調査の結果、薬剤服用歴に記載していない(以下「薬歴未記載」という。)情報が約十七万件に及んでいたことが明らかとなった(平成二十七年二月十日付け朝日新聞朝刊)。
その後、株式会社CFSコーポレーションが運営する調剤薬局においても、平成二十五年六月の社内調査の結果、薬歴未記載の情報が約八万件に及んでいたことが明らかとなり(平成二十七年二月二十二日付け朝日新聞朝刊)、薬歴未記載問題は広がりを見せている。
薬剤服用歴の記録は、処方内容、患者の体質・アレルギー歴・副作用歴、副作用が疑われる症状の有無、服薬指導の要点等を把握し、副作用や誤った服用を未然に防ぐものであるから、その未記載によって重篤な健康被害をもたらすことが懸念される。
また、薬剤服用歴の記録は、調剤報酬請求の根拠となる記録であり、薬剤服用歴が適切に管理されていない場合、薬剤服用歴管理指導料が不正に請求されている可能性がある。
そこで、以下質問する。
一 政府が、株式会社くすりの福太郎が運営する複数の調剤薬局における薬歴未記載を把握したのはいつか。
二 政府が、株式会社CFSコーポレーションが運営する複数の調剤薬局における薬歴未記載を把握したのはいつか。
三 政府は、株式会社くすりの福太郎及び株式会社CFSコーポレーションが運営する調剤薬局以外の調剤薬局における薬歴未記載を把握しているか。仮に把握しているとした場合、それを把握したのはいつか。
四 政府は、前記一から三における薬歴未記載による健康被害の有無を把握しているか。
五 政府は、前記一から三における薬歴未記載を把握し、どのような対応をとったのか。
六 政府は、前記一から三における薬歴未記載の原因をどのように受け止めているか。
七 政府は、平成二十七年二月二十四日、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会に対し、平成二十六年に薬剤服用歴管理指導料を算定したもののうち、薬歴未記載の件数等について自主点検し、同年三月中旬をめどにその内容を厚生労働省に報告するよう要請したが、その結果はいつ公表されるのか。
八 政府は、前記七の調査のほか、薬歴未記載による薬剤服用歴管理指導料の不正請求に関する調査を行う予定はあるか。
九 政府は、薬歴未記載による薬剤服用歴管理指導料の不正請求があったことを把握した場合、どのような対応をとるのか。
右質問する。
参議院議員中西健治君提出薬剤服用歴未記載問題に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、平成二十七年一月三十日に、厚生労働省の職員が御指摘の企業の親会社である株式会社ツルハホールディングスから報告を受け、把握したものである。
二について
お尋ねについては、平成二十七年二月十八日に、厚生労働省の職員が御指摘の企業から報告を受け、把握したものである。
三、四及び六について
お尋ねについては、現時点において把握していない。
五について
お尋ねについては、厚生労働省の職員が、平成二十七年一月三十日に株式会社ツルハホールディングスに対して、同年二月十九日に株式会社CFSコーポレーションに対して、自主点検を行い、その結果を報告するよう求めたところである。また、同月二十三日に、「薬剤服用歴の記載状況の自主点検について」(平成二十七年二月二十三日付け厚生労働省保険局医療課医療指導監査室事務連絡)により、公益社団法人日本薬剤師会、一般社団法人日本保険薬局協会及び日本チェーンドラッグストア協会(以下「関係団体」という。)に対して、傘下の保険薬局の薬剤服用歴の記載状況について自主点検を行い、その結果を同年三月中旬をめどに報告するよう求めたところである。
七について
お尋ねについては、関係団体からの報告の状況等を踏まえ、今後検討することとしている。
八について
厚生労働省において、関係団体等からの報告の内容を十分に精査した上で、御指摘の調査について検討してまいりたい。
九について
仮に御指摘のような「不正請求」の事実が確認された場合は、健康保険法(大正十一年法律第七十号)等の規定に基づき、事案の内容に応じて保険薬局の指定の取消しを行う等、厳正に対処してまいりたい。
≪質問に当たって≫
薬剤服用歴の未記載(薬歴未記載)について質問主意書を提出しました。
くすりの福太郎が運営する調剤薬局において、約17万件に及ぶ薬歴未記載が明らかとなりました。
また、CFSコーポレーションが運営する調剤薬局においても、約8万件に及ぶ薬歴未記載が明らかとなり、この問題は広がりを見せています。
薬歴未記載の問題は、薬剤服用歴管理指導料の不正請求にもつながりかねません。
そうであるにもかかわらず、厚生労働省は、3年前に薬歴未記載の情報を入手していたにもかかわらず、問題が発覚するまで独自の調査を行わなかった、との報道もなされています(朝日新聞 平成27年2月12日付け朝刊)。
そこで、以下の内容を質問しました。
①政府は、薬歴未記載を、どの時点で把握したのか。
②政府は、薬歴未記載を把握した後、どのような対応を取ったのか、および、今後どのような対応を取るのか。
③政府は、薬歴未記載の原因を、どのように把握しているか。
薬剤服用歴はお薬手帳にも記載される内容ですが、お薬手帳も十分に活用されているとはいえません。
薬歴未記載の問題は、調剤薬局を巡る制度自体の問題ではないでしょうか。
お薬手帳や報酬制度も含めた制度全体の見直しも視野に入れて、検討していきたいと考えます。
≪回答を受けて≫
答弁書の内容は以下の通りとなります。
①政府は、薬歴未記載を、どの時点で把握したのか。
→くすりの福太郎における薬歴未記載については平成27年1月30日に、CFSコーポレーションについては平成27年2月18日に把握したものである。
②政府は、薬歴未記載を把握した後、どのような対応を取ったのか、および、今後どのような対応を取るのか。
→ツルハホールディングス(くすりの福太郎の親会社)、CFSコーポレーション、(社)日本薬剤師会、(社)日本保険薬局協会及び日本チェーンドラッグストア協会宛てに、薬剤服用歴の記載状況について自主点検を行い、その結果を、3月中旬をめどに報告するように求めた。
③政府は、薬歴未記載の原因を、どのように把握しているか。
→現時点において把握していない。
薬歴未記載問題について、朝日新聞は2月12日付け朝刊において、「厚生労働省は、くすりの福太郎の元薬剤師から3年前に情報を入手していたものの調査に入らなかった。」と報道しています。
http://www.asahi.com/articles/ASH2C003XH2BUUPI008.html
しかし、本日の答弁①は、この事実を否定したことになります。
また、業界団体に自主点検を促し報告するように求めるものの(答弁②)、薬歴未記載の原因を把握していない(答弁③)など、自ら積極的に問題対応に当たる姿勢が見受けられません。
薬剤服用歴管理指導料を含めた社会保障関係費は、平成27年度一般会計予算案における歳出総額の3分の1を占めるに至っています(31兆5297億円)。また、健康保険などの公的保険を通して国民が使う医療費のうち7兆円が調剤薬局に支払われています。
そのため、社会保障関係の制度設計や調剤薬局の在り方については、不断に合理化・歳出削減に取り組む努力が不可欠となりますが、政府にはその緊張感が認められません。
調剤薬局制度自体の見直しも含めて、積極的に政府の姿勢を質してまいります。