中西けんじの国政報告をはじめ、所属している各委員会での議論内容などについてご報告させていただきます。
2016年03月11日 (金)
本会議での11回を含め170回目の質疑となった3/10(木)の財政金融委員会では、金融機関の日本経済に果たすべき役割、財政政策のあり方などについて取り上げました。
1. 金融仲介機能の復活
<不動産向け融資の伸び>
大規模な金融緩和によって、民間銀行の貸し出し残高は過去3年前年比プラス2%程度で安定的伸びています。ただ、不動産向け融資の伸びが高まっているという気になるデータを入手したので、まず
(1) 不動産融資全体の伸びに問題はないのか
(2) 大手行よりも地域銀行のほうが不動産融資への集中度が高い。「人口減少傾向は地方のほうが厳しくなる」と指摘されている中、今後リスクが顕在化してくるのではないか
という点に関して金融庁の認識をお伺いし、
「バブル期の前年比30%などという水準にはないが、伸びが高まっていることは認識している。金融機関のリスク管理体制のみならず、賃貸業界向け融資がビジネスモデルとして持続可能なのかという観点までを含めて注視している」
とのご答弁を頂きました。やはりかなり気になっている模様です。
<質の高い金融仲介機能への道筋>
「『事業性を評価した融資』といった金融機関本来のビジネスができていないことが、不動産融資の伸び(担保主義)につながっているのではないか」
「麻生大臣は『金融処分庁というイメージを脱却し金融育成庁を目指す』と再三強調しているが、実際の取り組みはどうなっているのか?」
という質問に対しては、
「幅広い事業支援を行う姿勢が、営業現場レベルにまで浸透しているかを評価するなどの取り組みを行なっている。融資先企業に金融庁が直接ヒアリングを行なうなど、工夫している」
とのご回答を頂きました。
たしかに「金融仲介の改善に向けた検討会議」が発足し、昨年末の第一回会合ではかなり突っ込んだ議論がなされていました。最近活発化している地銀の再編を含め、今後の動向を注視していきたいと思います。
2. マイナス金利政策の影響
<金融機関の収益への影響が軽微、過去最高益、それなのに賃上げ見送り?>
マイナス金利政策の金融機関の収益への直接的な影響は200億円程度と試算されており、約8兆円の資金益と比較しても大きくはありません。しかも、2014年度の銀行全体の当期純利益は、約3.3兆円とほとんど過去最高を記録しています。
そこで、
「金融機関の経営に関する懸念はほとんどないのに、過去最高益を叩きだした3メガバンクのベアが見送りとなるというのは如何なものか?」
とおたずねしたところ、
「一般論として、もうかっているのに現金をためこむばかりという点には問題意識を持っている。大臣も経済財政諮問会議やその他の機会をとらえて、税制改革の趣旨を理解して賃上げに前向きに取り組んでもらえるよう要請している」
という答弁がありましたので、さらに
「マイナス金利政策を理由に、組合側からベアの要求を取り下げたと報じられている。依然としてデフレマインドからの脱却ができていないこと示しており懸念せざるを得ない」
とコメントしました。
3. 財政政策のあり方について
「入るを量りて出ずるを制す」ということわざがあるように、「収入がどれくらいあるのかをまず考え、それに見合った支出をしなさい」といわれれば、ほとんどの方が納得すると思います。しかし、財政政策の場合は、若干事情が異なると考えています。
「本当に必要としているところにおカネをとどける」ということをまず考え、「そのために必要な財源をどうやってねん出しようか」という順番ではないでしょうか?
この点に関する認識をお伺いしました。
財政再建を掲げている財務省としては非常に答えづらい質問だったのですが、岡田財務副大臣から「今後の歳出の伸びに対応するために、持続可能な財政構造を構築するよう努力する」との答弁をいただきました。
家族や企業なら「ひどい状態になっている人がいたら、助けてやろう」という自発的な連帯が期待できます。しかし社会全体、見も知らない人同士の連帯というのは容易ではありません。本当に援助が必要な人に対しては、政府が関与する必要があります。
ただ財務省が懸念するように、歳出が税収を大きく上回っているのも事実です。持続可能な財政とするために、きちんとした成長戦略を実行し税収を増加させることが重要です。