中西けんじ公式ホームページ(参議院議員:自由民主党 神奈川県選挙区)

2012年05月02日 (水)

通常国会前半を振り返って (その1)

ゴールデンウィーク中で漸く立ち止まる時間ができました。これまで4ヶ月ほどの通常国会において議論されてきたことの幾つかを振り返ってみたいと思います。

 

まず、予算案全般に関してですが、国債発行を少なく見せるための小手先の手段として、政府は「交付国債」というものを持ち出してきました。これは、消費税増税による増収分を先食いした証券を作り、それをGPIFへの政府負担金の代わりに交付するというものです。政府は基礎年金の二分の一を財政負担すると決めているのですから、本来であれば税収、足らないのであれば特例公債を発行して現金を作り、それをGPIFに支給するべきものです。ところがそれでは国債の発行を44兆円に抑えることができなくなるため、どこからどう見ても国債である「交付国債」を国債ではないと強弁し、それをGPIFに押しつけようとしたのです。

 

私はこの案を知った時から、強く反対してきました。二つの理由からです。一つはこのような国民の目を欺くためだけに行われる施策は許すことができず、何事も真っ当な形で行うべきだと考えているからです。お金が足らないのであればそれを素直に認めて、特例公債を増発すべきです。そして、自分たちに財政担当能力が無いことを認めるべきなのです。中期フレームなど立派な枠組みだけ作っていって、実際の運用では小手先のごまかしばかりやっているのでは、良い結果につながる訳がありません。

 

もう一つは、年金交付国債のように特定の税収を償還財源に特定してしまうことに、大きな問題があると考えているからです。これは「ネガティブ・プレッジ」という問題で、3月16日の予算委員会などで安住財務大臣に問いただしましたが、まともな答をいただく事はできませんでした。

 

民間企業が無担保の社債を発行する時、その債券を購入する投資家は企業の将来収益能力や財産によって自らの債権が守られていると考えます。従って、無担保社債を発行している企業が急に担保付債券を発行すると、新しい担保付債券の投資家は良いのですが、以前の無担保社債の投資家は自分があてにしていた収益や財産を優先的に他の投資家に持って行かれることになってしまい、不利を被ります。このようなことが起こらないようにする為に、債券発行条件書などに「ネガティブ・プレッジ条項」を加え、投資家保護を図ることが一般的に行われています。

 

国が国債を償還する財源は、新しく債券を発行することによって得られる資金の他は、税収しかありません。税収は国債投資家にとって遍く重要な償還財源なのですが、年金交付国債では消費税が優先的に年金交付国債の償還にあてられる事になっています。消費税は日本の税収の中では唯一今後も増税が可能なものであるというのが、投資家の一般的な考え方です。従って、国債投資家が日本の将来財政バランスを考える時の重要な要素になります。それが一部の国債に優先的に割り当てられるという例を作ってしまうと、今後も同じようなことが繰り返される可能性があり、私は断固反対してきました。これまでの交付国債発行例では、一時的な増税に関して単に資金フローのタイミングを合わせるために使われています。ところが今回は、恒久的な消費税増税を議論しているにも関わらずの交付国債ですから、筋が悪いと判断したのです。

 

より本質的な問題としては、既に消費税が社会保障目的税化されているということがあります。これは平成11年度予算以降、予算総則の中で毎年規定されているものです。本来であれば公的財源の重要な柱となるべき消費税が、社会保障に目的を限定されているのです。言い換えると、ふくれあがっている国債を償還していく財源としては消費税を使ってはいけないことになるのです。

 

安住財務大臣の予算委員会での答弁は、「中西ワールド」などという真剣さのないものでしたが、その後の政府の動きを見ていると、さすがに交付国債に問題が多いことに気がついてきたようです。私としては自分の主張した問題意識が受け入れられた形となり、国会議員としての職責を少しは果たせたかなという気持ちがしています。

 

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