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2011年08月02日 (火)

国債整理基金と決算剰余金(2)

国の債券発行・償還の一連の流れの中に国債整理基金と決算剰余金が存在していることは前回の1回目の中で説明させて頂きました。今回は、これらを復興財源として如何に活用するかについて私の考えをまとめたいと思います。

これまで国会の場で私たちが主張してきているのは、国債整理基金に積み上がっている資金の活用と、一般会計から基金への定率組み入れの一時停止です。それに対して政府が提案し国会で議決されたのは、昨年度一般会計決算剰余金の国債整理基金への繰り入れ停止です。

私たちの主張と政府の見解の違いを正しく理解していただく上でまずおさえておきたいのは、国債整理基金内の償還財源の復興財源としての利用や、定率組み入れの停止、決算剰余金繰り入れの停止のどれもが、国の純債務を増加させると言うことです。これらはどこかに眠っている不要の資金、つまり埋蔵金などではなく、国が既に民間から借り入れているが返済のために取り置きしてある資金なのです。この三つはすべて国債償還のために使うことを法律で定められている資金です。

ところが政府は、決算剰余金の国債整理基金への繰り入れ停止を決める法律の説明の中で、「新たな国債発行に依存しない」ことを今回の措置の理由としています。ネットで考えれば国の債務が増えるにもかかわらず、あたかも債務が増加しないかのような説明を行うのはめくらましとしか言い様がありません。

決算剰余金を法律で定められた2分の1の国債整理基金繰り入れを停止して全額財源として利用するならば、なぜ国債整理基金の資金も利用しないのかという財政金融委員会における私の質問に対して、野田財務大臣は国債整理基金の資金は減債制度の根幹であり、決算剰余金は補完的な償還財源であると答弁しています。

これは財務省の公式スタンスですが、既にご説明したとおりどちらも等しく重要な減債資金源なのです。国債整理基金の資金を使ってしまったら、国債償還に必要なお金をまた後日一般会計などから戻してもらわなければならず、それが不確実だと財務省は考えているのでしょう。しかし、決算剰余金の繰り入れを行わなければ、その分はやはり後日、償還資金が不足することになり、どこかからお金を持ってくる必要があるのはどちらも同じなのです。唯一違うのは、決算剰余金の一般財源としての利用は過去20年で6回行われていますが、国債整理基金の一般会計繰り入れは最近では行われていないことです。

私は財政規律の重要性は重々承知していますが、この非常時においては国債の増発もやむを得ないと思っています。減債資金の財源としての活用は、ネットで考えると国債増発と全く同じインパクトを国の財政状態に与えます。なぜ決算剰余金の財源としての利用は認めるのに国債整理基金の利用はダメなのか、その部分の論理的矛盾が私には納得できず野田大臣に繰り返し質問しましたが、納得できる答は返ってきませんでした。

私は「新たな国債発行に依存しない」というような目くらましのような説明をしてこっそりと決算剰余金を使うのではなく、正々堂々と国債を発行するか、純債務が増えることを明示した上で、不要不急の国債整理基金を復興財源として活用することを宣言すべきと考えます。

以前ご説明した日本の外貨準備を思い出していただきたいのですが、どれだけの外貨準備を持つべきかを理論的に考えた結果ではなく、為替市場介入をしてきた結果として積み上がったものが外貨準備になっています。国債整理基金についても同じように考えられます。60年償還ルールに則って粛々と積み上げ、使用してきた資金の残高が、現在の国債整理基金の資金量です。政府は仕組みを作るのは大好きですが、それがどの様な結果をもたらすのか、出来上がったものの効果や有効性などについて考える事はどうも苦手なようです。これは、現在審議中の原子力損害賠償支援機構法案についても全く同じことが言えます。東京電力を破たんさせないということを究極の目的として作られる制度が、今後のエネルギー政策と整合しているのか、実際に「保険」として機能し得るのか全く不明です。

そもそも60年ルールという仕組みが財政規律を保つために効果的かというと、近年の債務残高増加を見る限り余り期待できません。アメリカ式の債務残高上限規制の是非を含め、新しいやり方を考えるべきです。公共投資によって作られる施設の寿命をおよそ60年とおいて、それを元に考え出されたのが60年償還ルールです。しかし、ご説明したとおり23年度の予定では44.3兆円の新規財源債のうち、建設国債はたった7.3兆円で赤字国債が37兆円です。赤字国債がほとんどになっている現状、もはや60年ルールの妥当性は消失しています。野田財務大臣の、国債整理基金は減債制度の根幹だという発言は基金が60年ルールの根幹だという意味なのでしょうが、60年ルールが減債制度の根幹だというのは思考停止と言わざるを得ません。

また、国債整理基金の資金は入札の不調や何らかの資金不足の事態に備える、あるいは発行と償還のタイミングのずれに備えるバッファーと言われることもあります。しかし、国債発行は年間170兆円にものぼります。たった10兆円の基金で本当にバッファーになるのでしょうか。色々なストレステストやシミュレーションを行えば、どれぐらいのバッファーが必要なのか明らかにできるはずです。国債整理基金は現状、他の特別会計や一般会計で欠損金が出そうな時の一時的な穴埋め用資金源として便利に使われています。そういった意味では虎の子のお財布なのかも知れませんが、本来の主旨である減債に役立たず、国債の発行、償還時のリスク・バッファーとしての適正量でもないのであれば、一度根本から見直してみるべきだと私は考えています。

 

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