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国際金融のプロ。最前線にいたからワカル!日本のココが変!

2011年06月16日 (木)

100兆円の思いやり予算―外国為替特別会計―(3)

本シリーズ最終回となる今回は、外為特会を今後どのようにしていくべきかについての私の考えを述べたいと思います。 

私は外為特会を二つの意味で変えていかなければならないと考えています。

第一に、最初にお話しした先進国にとっての外貨準備適正規模の問題です。日本の外貨準備はどう考えても大きすぎます。さらに、為替市場介入を行うと外貨準備高が変化するという仕組みも変えていかなければなりません。自由主義経済のリーダーたらんとするならば、不要な市場介入を行うべきではありません。まずこれが根本的な問題意識です。

第二に、国内の資金が政府短期証券という形で吸い上げられて、それが海外諸国の政府債券に投資されるという仕組みは、日本の現状を考えると全くおかしなものです。しかもそれが国民にリスクの開示などを明らかにしない形で行われているというのは、いかさまファンドの様にすら見えます。海外諸国を助けることは重要ですが、それは途上国など日本の技術、資金を必要とする諸国への援助であり、アメリカやヨーロッパを財政面で助ける必要はありません。

私は中期的には外為特会を縮小していく事を念頭に、外為資金を国内利用していくことを提案します。方法は幾つもありますが、大事なのは外為特会を縮小するんだという機運を高めていくこと、市場への不必要な影響を与えない様に縮小していくスキームを考えること、そして為替市場介入に対する今後の考え方を整理することに留意しなければなりません。

仮に必要適切だと思われる外貨準備の規模が20兆円であるとすると、90兆円の政府短期証券を償還することが可能となります。換言すれば90兆円規模の国債消化能力が民間には生まれるということです。

具体的な方策として、私はドル建ての国債や財投機関債(政府関係機関が発行する債券のうち、政府が元本や利子の支払いを保証していない債券)を発行し、それを外為特会が購入することを提案します。外為特会では毎年15兆円規模の外貨建て証券、主として米国債が償還を迎えます。これを売却するとなれば国際問題にもなりかねず、余り得策とは言えないでしょう。しかし、償還分を他の債券に振り替えること自体に問題は無いはずです。ドル建て国債や財投機関債を外為特会が購入すれば、ドル資金を外為資金から一般会計や財投機関、例えば日本政策金融公庫に移すことができます。この時点で、外為特会の資金は海外ではなく国内に投資されることになりますから、国内資金によって米国などの政府をファイナンスするという構図から脱却し始めることが可能になります。

次にこの資金を米ドルから円に転換する必要があります。米ドルを為替市場で普通に売却してしまうと円高圧力が発生します。外為特会縮小に合わせて徐々に売却を行っていくことは必要ですが、まずはドル円為替の為替スワップと呼ばれる取引などを利用して、為替市場にインパクトが発生しないようにしながら円貨に転換します。為替スワップは例えば2営業日後にドル売り円買いを行い、1年後にドル買い円売りを行うといった2つの反対売買を同時に契約しておくもので、英国政府、イングランド銀行なども利用している手法です。

さて、短期的に為替スワップで円貨を作り出したとしても中期的には外為特会を縮小していく訳ですから、徐々にドル売り円買いを行っていかなければなりません。基本は時間をかけてゆっくりと売却を進めていくことだと思いますが、市場売却だけではなく他国政府との相対取引などの方法も有効でしょう。また、外貨準備とは別にこの資金を何らかの形で政府対外投資枠として利用したいという考えもあります。問題は外為特会自体は円建て借金を抱えた両建ての勘定ですので、純投資にはならないということです。しかし、何らかの形で数兆円の拠出金(出資金)を集め、それを元に借入金を作って投資をするソブリン・ウエルス・ファンド(政府系ファンド)の様なものを作るならば、その新しいファンドに外為特会の為替ポジションを移管することも可能でしょう。

外為特会の資金を海外ではなく国内に投資することによって、復興のための資金に活用することが可能となります。外為特会はその規模の大きさ故に埋蔵金が沢山あるように思われることもありますが、実際には埋蔵金など無く、逆に損失が隠れているほどですので、外為特会を復興資金に利用しようと不用意に発言すると、外為特会に埋蔵金があるように誤解されることもあります。今回ご説明したとおり、外為特会は100兆円規模の思いやり予算のようなものになっており、私が復興資金として利用したいのはこの「思いやりの力」なのです。つまり、海外政府を100兆円規模でファイナンスする資金力が日本には存在しており、その幾ばくかを復興のための投資に活用したいということなのです。

外貨準備のあり方、為替市場介入のあり方、そしてそれらを踏まえた上での外為特会の今後については、これからも大いに議論をし、発言をしていこうと考えています。残念ながらこの問題は特別会計を改革することを目的とするために予算関連法案と見なされる可能性が高く、予算関連法案提出には21名の議員が必要であることから、みんなの党からの議員立法の形では提案ができないかも知れません。従って、こうした私の考えを色々なところでお話しをし、党派を超えて働きかけを行っていくことで変化を生み出していきたいと考えています。

具体的な提言「米ドル建て復興国債の発行による復興財源の確保について」は こちら 

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