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2011年06月15日 (水)

100兆円の思いやり予算―外国為替特別会計―(2)

今回は日本の外国為替特別会計の現状を見てみることとします。

 外為特会を理解するために重要なポイントは三つあります。第一に、その規模が巨大なこと。第二に、外為特会が借入金と資産の両方を持つこと。第三に多額の評価差損を抱えていることです。

 1つ目の「巨大さ」については、他国と比較すれば明らかです。2010年末の米国CIAの推計によると、外貨準備を最も多くもつのは中国で約2.62兆ドル。次いで日本が1.10兆ドル。その後はロシアが0.48兆ドル、サウジアラビアが0.46兆ドル、台湾が0.39兆ドルと続きます。所謂先進経済大国ではアメリカが2011年5月で0.14兆ドル、同時期のイギリスがグロスで0.11兆ドル、ネットだと0.04兆ドル、日本は1.14兆ドルです。日本の外貨準備がどの様な基準から見ても巨大であることは明らかです。善悪は別にして、巨大であるという事実は揺るがしようがありません。

 2つ目の借入金と資産の両方をもつという事ですが、政府が外貨や外貨建て証券を購入するには原資が必要です。そのお金は政府短期証券と呼ばれる満期一年未満の「国債」で、この残高は2010年3月末時点で106兆円を超えています。その他にも5兆円程度の同種の政府証券が発行されているので、110兆を超える額の借金を外為特会は負っています。一方の資産側に外国為替資金(1㌦100円とすれば、1.1兆ドル)があり、ほとんどがアメリカや欧州の国債、国際機関債に投資されています。日本国民の円建ての資金が外為特会という財布を通してアメリカやヨーロッパの財政を支える債券に100兆円規模で投資されているのです。

 さて、最後は評価差損の問題です。実は、本来釣り合うべき資産と負債がきちんと釣り合っていないのです。負債側はこれまでずっと発行してきた政府短期証券が、満期が訪れる度に借り換えられながら積み上がってきています。従って、借金の額はざっくり110兆円です。ところが資産の方は外貨建ての資産ですから円高になるにつれて円ベースでの価値は低下してきています。この資産価値と負債価値の差額が外為特会の評価差損で、2010年3月末時点では26.3兆円になっています。このときの評価為替レートは1ドル91円でしたから、現在の1ドル80円程度の水準で計算すると、更に10兆円以上程度増加して35兆円を超える規模になっていると考えられます。もちろん円よりも外貨の方が金利が高いために、金利差による運用収益があり、実質的にはここまで隠れ負債が貯まっているわけではありませんが、運用収益は一般会計と特会の間の資金のやりとりを通じて、一般会計に一部吸い出されているので、特別会計での負債軽減にはあまり役に立っていません。

 在日米軍の駐留経費を日本が負担していることをよくマスコミが「思いやり予算」と呼んでいますが、日本の外国為替資金特別会計の現状は、およそ110兆円の国内資金をアメリカやヨーロッパの政府の財政を支えるために、為替リスクを取りながら資金融通を行っている、巨大な「思いやり予算」とも言うべきものだということです。外為特会で差損が発生したら税金で埋めなければなりません。別の見方をすると、約1.1億人の国民が強制的に一人あたり100万円ずつの外債投資をやらされていることと同じです。強制的にやらされている上に、損をしたら自分の懐を痛めてくださいということです。外為特会の現状は実質的には外債投資をしていることに他ならないのです。

 今回はここまでとします。次回最終回は、こうした外為特会の現状を踏まえて、どうしていくべきかについての私の提案を行いたいと思います。

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