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2011年06月15日 (水)

100兆円の思いやり予算―外国為替特別会計―(1)

今回は外貨準備と為替介入、外為特会の現状そしてそれに関わる私の提案について、3回に分けて書いてみたいと思います。 

まず1回目は外貨準備と為替介入についてです。

 皆さんは、外国為替資金特別会計というものをご存じでしょうか。数多くある特別会計の一つですが、「政府の行う外国為替等の売買等を円滑にするために外国為替資金を置き、その運営に関する経理を明確にすることを目的とする」会計です(特別会計に関する法律(特会法))。「外国為替等」というのは、簡単に言ってしまうと外国の通貨と外貨建て証券とローン、預金などですが、政府がこうした外国為替等の売買により対外支払いなどを行う際に外貨が必要となった場合、その外貨調達が簡単にできるように前もってある程度の外貨を「外国為替資金」として保有しますという事です。この前もって保有しておく対外支払いのための外貨を「外貨準備」と言います。つまり、簡単に言ってしまえば外国為替資金は、日本政府の外貨準備ということです。

 さて、外国為替及び外国貿易法(外為法)の中に、「財務大臣は、対外支払い手段の売買等所要の措置を講ずることにより、本邦通貨の外国為替相場の安定に努めるものとする」との定めがあり、これを根拠として、財務大臣は「為替市場介入」(専門用語では外国為替平衡操作といいます)を決定し、日銀がその実務の取り扱いを行います。
G8やG20といった国際会議に出席している諸国の中で、為替市場介入を依然として行っている日本は少数派です。現在の国際的な常識では、先進国、特にその通貨が国際貿易の決済に使われることの多い国が為替市場介入を行う事は望ましくなく、為替レートは市場にゆだねるものとなっています。もっとも、何らかの投機的な動きによって為替相場が急変していると判断される場合には、その動きを緩やかなものにするため、つまりスムージングを目的として為替市場介入を行うことはあり、そうした場合の為替介入は、おおむね認められているようです。昨年9月に日本政府が円売りドル買いの為替介入を6年半ぶりに実施した際に、野田財務大臣が「急激な円高は好ましくない」と繰り返し述べていたことは記憶に新しいところです。

なぜ外為特会の話しの次に為替市場介入の話をしたかと言いますと、日本において為替市場介入は「対外支払い手段の売買等」を用いて行うことになっていますから、外為資金を用いる事になるからです。つまり政府が為替市場介入を行う度に外為資金の残高が変化することになるのです。会計上の観点からだけで考えれば、外為特会を為替市場介入の受け皿として使うことにより、政府の数多くの会計の中で多量の外貨を扱う会計を一つにしておきたいという考えは理解できます。しかし、本来、外貨準備としての外為資金と為替市場介入の結果としての外為資金は、全く異なる概念です。

外貨準備に関しては、途上国の外貨準備と先進国の外貨準備では、その意味合いが大きく異なっています。途上国の場合は貿易の決済通貨がほとんど外貨であり、また外貨建ての債券を発行していることも多くあります。これらの諸国においては対外支払い手段としての外貨をある程度準備しておくことは極めて重要かつ合理的な判断で、米ドル、ユーロ、円などの通貨を多くの国が保有しています。一方で先進国、特にその通貨が国際貿易の決済通貨となっているようなアメリカ、日本、イギリス等では、一般的には多額の外貨準備は必要ないと考えられています。その理由として最初に上げられるのは、これらの国は国際経済の根幹をなしているため、仮に対外支払いに支障を来すような事態になっても、システム全体が崩壊することを防止するために他国が支援するはずであるという考えです。第二の理由としては、仮に他国の支援が無いと仮定した場合、本当に必要な外貨準備高は、恐らく天文学的な数字になりいくら準備をしても非現実的だという議論です。第三に、天文学的な数字に少しでも近づこうと外貨準備を積み上げていった場合、為替相場の少しの変動が国家財政に大きな影響を与えることになり、結果として国家財政の安定性を欠くことになるという指摘です。

いずれにせよ、先進国である日本にとって、必要あるいは最適な外貨準備残高がどのぐらいの規模なのかということを議論していくことは極めて重要です。どの様な事態を想定した上での外貨準備なのかという前提条件をはっきりさせ、その為に必要な額をどの様な形で、どの通貨で保有するのかを考えなければなりません。現在の外為特会は保有通貨の内訳すら公表されていませんが、これでは話しになりません。

また一方で、為替市場介入に関する考え方もあらためて整理する必要があります。日本が国際社会の中で自由市場の推進者としての地位を高めていきたいのであれば、水準を調整するような為替市場介入を続けることはできません。前述の通り先進諸国は一概に為替市場介入に対しては否定的です。短期的、投機的な動きに対してスムージングを行う事があっても、水準の調整を行う時代は終わったという考え方です。日本もこれら諸国と考えを一つにするのであれば、急激な動きに対応して行う為替市場介入は必ずその後で反対売買を行って外貨準備残高に影響を与えないようにしなければなりません。

次回は日本の外為特会の現状について話しをします。

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