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2012年10月15日 (月)

確信犯的復興予算流用

復興予算の流用問題が大きな注目を集めています。テレビや新聞の報道によって流用のひどさが明らかになり、岡田副総理、平野復興相、前原国家戦略相らが色々発言していますが、何を今更という感じです。政権がお墨付きを与えた、官僚による確信犯的行為というほか無いでしょう。

 

当初から23年度補正予算の円高対策や全国防災が復興債で賄われることになっており、私は問題視していました。国会での審議でも何度もこの問題を取り上げ、政府に確認を繰り返してきました。安住財務大臣は昨年11月の財政金融委員会で私の質問に答え、「ある意味ではその区分の分かれるところもあると思いますが、いずれにしても、それは国会の中にきちっと出させていただきながら、十分な質疑をしていただきながらご判断いただくようにしたい」と話しています。しかし、復興予算として特定の歳出項目を認めるべきかどうかという審議はこれまでなされていません。岡田副総理の発言によれば、行政刷新会議で取り上げるようですが、これは国会の審議とは別物です。従って、先日民主党の集団欠席によって衆議院で流会となってしまった行政監視員会による審議が、政府が約束していた質疑にあたるはずです。それを集団欠席で意図的に流会にするというのはどういう考えなのでしょうか。昨年7月の財政金融委員会で当時の野田財務大臣にも「復興基本法の定めによって復興関連支出との間で支出項目の付け替えを行うようなことはできない」ということを私は確認し、野田大臣も「復興に関連しない歳出の財源とはならない」と明言してくれました。もうお忘れなのでしょうか。

 

しかし、本当に酷い状態です。この国の官僚機構はどうなっているのかと目を疑いたくなります。国会での予算審議では、一つ一つの細かい歳出項目までの審議はできません。復興関連の歳出においても、大枠と方向性を決め、後はその枠の中で政府、つまり官僚が細かいところを決めながら執行していくことになるのです。当初私が抱いていた懸念は、罹災地において復興費用と、震災と無関係なインフラ事業の線引きが曖昧になることでした。それに対しては、安住大臣は「各罹災地が作っている復興プランを見てくれ」という趣旨の答弁をし、ある意味で罹災地任せでコントロールの効かないような枠組を想定しているようで、私は若干の危惧を覚えました。しかし、まさか反捕鯨団体への対策費や受刑者の職業訓練費、沖縄の国道整備、海外との青少年交流などが潜り込んでくるとは、想定外でした。これらは一体、どこの罹災地の復興プランに入っているのでしょうか。結局、一般予算で削減を求められた各省庁が何とかして復興予算に付け替えようと躍起になっているのです。日経では「便乗要求」などと書いていますが、便乗などという生易しいものではないと思います。内閣によってお墨付きを与えられた、官僚による予算付け替えです。付け替えを絶対にしないようにと何度も念を押したにもかかわらず、この有様です。

 

政府は中期の財政計画によって財政に縛りをかけています。これは、大きな財政赤字から立ち直る場合に、どの国の政府も採る方法であり、我が国でも厳格な計画遵守が求められます。計画を守ることによって財政規律が保たれ、国債市場が安定し、将来への明るい見通しの醸成を通して経済活性化が可能となるからです。しかし、「予算を使ってなんぼ」の官僚組織からすると、これは面白くありません。何とかして抜け穴を見つけてお金を使おうとします。このような予算拡大を願う各省庁の動きに、本来であれば財務省が立ち向かう筈ですが、今回はグルになってしまっているようです。

 

復興予算は2015年度までで約19兆円といわれており、それを上限15.5兆円の復興債発行と税外収入(郵政株式売却、JT株式売却など)によってまかない、復興債は25年間の「臨時」増税によって償還するというのが大きな枠組です。資金の流れを明らかにするために特別会計が作られましたが、どうやらこの特別会計は、一般予算の枠を外れて歳出を行おうという官僚組織の恰好の抜け道になってしまったようです。

 

私たちは、そもそも復興債の発行とその償還の為の増税に反対してきました。民主党のマニフェストに明記され、これまで何度もの私の質問に対して「旗は降ろしていない」と民主党政権が言い張り続ける公務員人件費の20%削減を実行すれば、毎年1兆円以上の歳出削減になります。15.5兆円の復興債を発行して25年間かけて償還するより、毎年1兆円強の恒久財源を使う方が良いに決まっています。最初は5年といわれていた復興国債の償還期限は10年、15年と延び、最終的には25年になりました。25年の「臨時」増税なぞ聞いたこともありません。5年や10年というのは我々世代で復興を成し遂げるという意思の表れでした。財務相時代の野田総理は昨年8月の財政金融委員会で私の質問に答えて、「復旧復興の財源については、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うことが未来への責任である」と格好良く話していました。しかし、25年ともなればもう次世代の話です。恒久財源として考えるべき問題だと思います。

 

公務員人件費削減が法律制定などの為にすぐにはできず一時的に国債を発行する必要があるというならば、復興事業はインフラの整備なのですから建設国債で行うべきであり、私はそのように主張してきました。勿論厳密にインフラ整備と言えないような復興事業もあるでしょうが、殆どの大きな歳出項目はインフラ整備になると考えて良いでしょう。そうであれば、復興関連の歳出は建設国債を財源とすることが正当化できるようなものに原則限定すべきです。反捕鯨団体への対策費や海外青少年交流などは、どう考えても建設国債を財源とはできないものです。そのような項目を復興関連としてしまう官僚の感覚は、世間離れしているというほかありません。7月の社会保障と税の一体改革特別委員会で安住財務大臣は私に、「復興予算を一般財源としてほかに使うということは、現時点では考えていない」という発言をしています。「現時点で」と限定するのはそもそもおかしな話ですが、事実はこの時点で一般財源化されていたわけですから真っ赤な虚偽答弁です。同じ時に、復興債の発行上限15.5兆円は守ると確認していますが、こちらも信じることはできないのでしょう。

 

復興関連だけではなく、消費税増税でも同じような問題が起こる可能性があります。消費税増税法の附則18条の2で、社会保障と関係のないところに増税分を回せるようになっています。増税によって機動的な財政出動ができるようになるので、成長戦略などに資金を配分するというのです。財政出動の中で成長戦略に結びつけられないものを探す方が難しいぐらい、何でも成長戦略に含めることが可能です。何にでも使えてしまうのです。私はそもそも社会保障のような大きな歳出項目で、費用負担(消費税)と受益(社会保障費)の関係が明確でないものを目的税化することには反対です。そのような趣旨で委員会で質問をすると、いつも政府側の答弁は社会保障目的税化されている方が国民の理解が得やすいというものでした。同意できないまでも理解は可能な主張です。しかし、そうやって国民に「理解」をいただいて増税した後は、結局一般財源と同じような扱いをするというのですから、これも欺瞞といわざるを得ません。

 

国会議員として、財政立て直し、景気回復、社会保障抜本改革、外交など、考えなければならないこと、成し遂げたい仕事は沢山有ります。決めたことをちゃんと法律の趣旨どおりに執行してくれる内閣、省庁であれば、国会議員は本来の仕事に邁進できますが、悲しいながら現状では疑いの目でチェックをしていかないといけませんから、国会も機能不全に陥ってしまいます。48年ぶりで日本で開かれるIMF世界銀行年次総会の直前に、財政、金融と縁の無い新大臣を任命してしまう様な内閣ですから、国会が機能しようがしまいがどうでも良いと思っているのかも知れません。根負けせずに、戦い続けていきたいと思います。

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