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国際金融のプロ。最前線にいたからワカル!日本のココが変!

2012年08月07日 (火)

社会保障と税の一体改革に関する特別委員会(その2)

さて、第三に財政健全化の問題です。現在の財政の大原則は、2010年6月に策定された財政運営戦略、中期財政フレームです。その中で、2015年度までにプライマリー・バランス(国債費を除いた基礎的財政収支)赤字の対GDP比率を2010年度水準から半減し、2020年度までに黒字化することが目標として定められています。乱暴に纏めると、日本の政府部門債務がGDPの200%に達しようとしていてこのままでは持続が極めて困難になりそうであり、何とかしてこれに歯止めをかけたい。つまり、何とかして国債の発行額を減らしていきたいというのが、一体改革の大きな目標の一つです。その為の増税だというのが、政府の増税に関する言い訳です。これ自体は解らないこともない。勿論、無駄を省いたり政府部門の縮小を図れば歳出を抑えることが出来、プライマリー・バランスを好転させることは出来ると思いますが、日本における公的部門の提供するサービスとそれに対する国民の支払い(納税)で上手くバランスが取れていないことも事実あり、サービスをカットするか増税するかという議論も避けて通ることは出来ません。私は増税の前に、あるいは最低限でも同時に、社会保障費の大幅な抑制を行うべきだと考えていますが、先にご説明したとおり民主党政権はこれが「政治的に難しい」として逃げています。その結果の消費税増税先行なのですが、驚くべきことに、それでも国債発行は減らせないというのです。

 

消費税を増税すると、13.5兆円の税収増が発生すると政府は予想しています。景気への悪影響の為に実際の税収増はこれよりも小さくなる可能性がありますが、とりあえず政府の言うとおり13.5兆円税収が増えるとして、社会保障機能強化と基礎年金国庫負担分で6.5兆円が必要ですから、7兆円余るはずなのです。実際、今年1月に内閣府が発表した経済財政の中長期試算では、プライマリー・バランスが2013年度の22.5兆円の赤字から2016年度には15.4兆円の赤字に改善する、つまり約7兆円改善することになるとしています。ところが、実際には国債費や社会保障費の増加のために、この7兆円は消えてしまうと言うのです。つまり、消費税を増税して13.5兆円税収を増やせたとしても、毎年の借金が増えるスピードは増税前と変わらないと言うのです。要するに、今回の増税は何とかして国債の増加を止めようとするものであるものの、上手くいっても漸く増加速度が今と同じになるだけで、プライマリー・バランス改善など夢の又夢だというのが政府の考えなのです。一体、何を考えながら財政運営を行っているのでしょうか。政治生命をかける増税を行っても借金増加のスピードを抑えることすら出来ないのでは、何のために運転席に座っているのか解りません。早く次の人に運転を代わった方が良いのかも知れません。

 

この悲惨な財政状況と財政運営状況に加えて、恐ろしいことながら、三党合意のメンバーである自民党、公明党は10年で200兆円の国土強靱化(自民党)や10年で100兆の防災、減災(公明党)などと言い始めています。自民党の10年200兆円は事業規模だそうで、公費はその四分の一である50兆円、これを10年で使っていくそうです。50兆円を10年で割ると、毎年約5兆円です。プライマリー・バランスが毎年7兆円改善すべきなのにしないのは、こういった5兆円規模の歳出拡大がすでに既定路線化されているからなのではないでしょうか。経済成長は必要であり、国が何らかの役割を果たさなければならないことも事実です。しかしそれが公共事業の拡大であるというのは、あまりの時代錯誤なのではないでしょうか。要らないものを削って、必要なものへの投資を充実させるというのであれば賛成です。しかし、最初からネットで毎年5兆円増やしていくというのでは、芸がなさ過ぎます。

 

最後に、プロセスの問題をお話ししたいと思います。もう皆さんもご存じのことですが、今回の三党合意のやり方には問題が多すぎます。財務大臣の答弁を聞いていると、時々かわいそうになるぐらいです。密室の中の力学がどのように働いたのかは解りませんが、附則18条には、不思議な修正が加えられました。元々政府提出の附則18条は名目3パーセント、実質2パーセント程度の成長を増税の判断基準と定め、第一項でその目的達成のために努力すること、第二項で駄目だったときは増税停止を含めて柔軟に対応することを定めていました。ところが衆議院で行われた修正では、この第二項が第三項に変えられ、新たな第二項として、「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。」という条文が加えられ、修正可決されているのです。増税のためには景気を良くしなければ行けないから頑張るよ、そして上手くいかなければ増税を停止するよという条文の中に、何故か財政による機動的対応が可能になるので、成長戦略と事前防災及び減災に資する分野への資金配分を検討するという条文が押し込まれているのです。

 

お解りになるでしょうか。お金が足りないから増税したい、でも増税の為には頑張って景気を良くしていかないと駄目で、上手くいかなければ増税を停止しますという条文の中に、もう最初から増税が決定していて税収がアップし、その結果機動的な財政出動が可能になるという前提で公共投資を活発化させることが書き込まれているのです。よくもまあ恥ずかしげも無くという気がしますが、こういうものをごり押しする自民、公明両党と、それを受け入れてでも法案を通したい民主党政権なのです。私の質問に対して安住大臣は、消費税の税収を公共事業に使うことを強く否定され、経済好転によって他の税収が増えた場合のことを想定していると答弁していますが、自民党の修正案提出者は、これまで社会保障費を捻出するために他で必要な予算を削ってきたが、消費税増税でその必要がなくなるので、消費税を増税すれば財政的余裕が出来るのだと答弁しているのです。その点を追求すると、安住大臣も最後は自民党と同じことを話し始めます。恐らく最初の答弁が政治家としての本音で、後半が政党人としての建前なのでしょう。

 

もう一つ、三党合意の問題は国民会議にも影響を及ぼしています。20名以内の有識者で構成され国会議員も委員たり得るのですが、国会議員を選ぶとすると、20名以内でいわゆる有識者の方々にも参加していただくならば、各会派からまんべんなく人を取るなどということは到底できなくなります。そうすると、国民会議とは名ばかりで民自公の三党の国会議員だけとかいうおかしな話にもなりかねません。また、公的年金制度と高齢者医療制度に係る改革については三党間で合意に向けて協議すると三党合意の確認書に書かれています。しかも、民主党の三党合意当事者によれば、国民会議と三党間の協議会は同時進行していくというのです。国民会議とは、一体何なのでしょうか。そもそも国民会議というものを持ち出してきている時点で、自分達には答えを出す能力が無かった、あるいは政治的に難しい答えを自らの口から発表する勇気が無かったというていたらくの民主党政権なのですが、それでも裏でこそこそやることは止められないのでしょうか。あきれた話です。

 

今回は久しぶりの「目ヂカラ」にもかかわらず、経済、財政、金融のお話と言うよりもどろどろした政治のお話が多くなってしまいました。しかし、現状を見据えた上で今行われている議論のどこがおかしいと私が考えているのか、より多くの皆さんにご理解いただければ幸いです。

 

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