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国際金融のプロ。最前線にいたからワカル!日本のココが変!

2010年12月17日 (金)

国の採るべき真の中小企業支援政策

昨年12月に施行された中小企業金融円滑化法(いわゆる「モラトリアム法」)は来年3月末で期限が切れることになっていましたが、政府は1年間の延長を行う方針を決定しました。今回は、中小企業支援に関する私の考えをご説明したいと思います。

ご存じの通り、中小企業庁の定める中小企業は日本国内企業数の99.7%を占め、従業者数や付加価値額で見ても70%、50%になりますから、中小企業の元気さが日本経済の元気さを大きく左右すると言っても言い過ぎではありません。日本の高度成長を支えてきたのも、モノ造りや技術革新の文化を支えてきたのも、中小企業です。

1990年代初頭にバブルが崩壊して以来、日本経済の低迷と共に中小企業も苦しい20年間を経験してきました。その間に何度か政府は中小企業支援を行ってきましたが、基本的には中小企業に対する信用供与を中心とする資金繰りサポートだけが闇雲に続けられてきました。勿論資金繰りに苦しんでいる企業に対するサポートは重要ですが、冷静に状況を分析してみることも必要ではないかと思います。 

経済は常に「変動」しながら「変化」していきます。10年前、20年前の経済と今の経済は当然異なるわけですが、その違いの中には循環的な変動と社会環境や技術革新による変化の両方が反映されます。経済は生き物ですから変動します。好景気、不景気は必ずやってきますが、不景気になっても頑張っていれば循環して次の好景気がやってきます。不景気の谷が少し深くなったりした為に企業の資金繰りが厳しくなった場合などは、政府による資金繰りサポートは極めて有効かつ重要です。谷間を少し楽にしてあげることで、不景気を乗り切って次の好景気に向かうことができるからです。また、このような資金サポートは大きな信用費用を発生させることもありません。政府保証で金融機関から借入を行った企業は、好景気になると借入金が返済できる様になるからです。

一方で、循環的な変動ではなく変化が起こった場合は話が違ってきます。社会経済環境は必ず変化し続けます。人口構成は黙っていても変化していきますし、医療やITなど技術革新は止まることがありません。このような変化に対しては、企業は頑張って耐えるだけでは対応できず、変化に対して自分たちも変わっていくことが必要なのです。トヨタは織機の会社でしたが今では世界に名だたる自動車メーカーです。京セラはセラミックの企業として始まりましたが、今では半導体や電子機器のメーカーとしての方が有名でしょう。社会経済環境が変わった時、企業は業態転換や新規事業への参入などの抜本的な変化を自分自身が行わない限り、変化の波から取り残されて行きます。 

企業は利益を上げないと存続できませんが、兎にも角にも十分な売り上げが必要です。循環的な景気変動で売り上げが一時的に落ち込んでいる場合、資金繰りのサポートをしてあげればそのうちに売り上げは自然に回復し、企業は自力での成長を再開できます。しかし売り上げの落ち込みが循環的な要因ではない場合、即ち社会経済環境の変化によるものである場合は、資金繰りのサポートをして売り上げの自律回復を待っているだけではだめで、新しい環境に適応できるように企業自身が変化していかなければなりません。もちろんこのような変化は簡単ではなく、即時に可能なことでもありません。その意味で時間を稼ぐために資金繰りのサポートは重要です。しかしながら、時間稼ぎを永久に続けることはできません。変化を起こさなければならないのです。私はそのために三つの事が重要だと思っています。 

まず第一に、変化しようとする中小企業に対する事業面でのサポートが必要です。中小企業金融円滑化法では、金融機関によるコンサルティング機能が求められています。しかし、いくら金融庁が「コンサルティング機能を発揮しているかどうか検査するぞ」と言ってみても、今本当に必要な種類のコンサルティングを金融機関が行えるでしょうか。経営再建計画の策定支援を行うと言いますが、金融のプロと事業のプロは違います。金融庁はDES(債務の株式化)やDDS(債務リストラ)などの言葉を好んで使いますが、バランスシートをいじくって済むような話ではありません。企業再生支援機構を活用すると言っても、ここは日本航空を支援しているような所で中小企業担当は11月に10名程度の機構内センターを作った程度。中小企業再生支援協議会には期待できる部分もありますが、事業転換などは視野に入っていないように見えます。今本当に必要なコンサルティングの内容とは、中小企業が持つ強みを生かせる事業分野を探して、既存の事業からその新しい事業への事業転換を行っていくサポートではないでしょうか。このようなコンサルティングは大企業に対しては提供されていますが、中小企業に対して提供されやすくなるような支援を政府が行う事が必要だと考えています。

二番目に、職業再訓練や失業補償など、中小企業に勤務する従業員に対するサポートが必要です。これまでの政府の中小企業支援策はとにかく企業に対するサポートを行って雇用を確保すると言うアプローチであり、既存の企業がそのまま存続することを大前提に組み立てられていました。しかし、経済は変化するものであり、また国家が第一に守るべきものは企業という法人ではなくそこで働く従業員という個人の利益のはずです。だからといって企業に費用を押しつけて従業員を守るのでは全く意味がありません。企業が新しい環境に適応していかなければならないのと同じように、従業員も新しい環境に適応していかなければなりません。その過程では解雇や再雇用が起こるでしょうし、新しい職能を身に付けなければならない人も多く出てくるでしょう。これは経済の活性化のためには避けて通ることのできない過程であり、また本来ならば恒常的に起きているべきことです。国の施策として企業の資金繰り以上に、個人の離職と再就職のための新たな技術・技能の取得支援やセーフティーネットの整備などを強力に推進することが必要です。

重要なポイントの三番目は、規制緩和です。企業が新しい環境に合わせて事業を新しく展開しようとしていく時、制度も変わっていかなければなりません。新しい事業の選択が今の規制にあわせる形で行われたり、折角の創意工夫が規制のために否定されてしまうようなことは絶対に避けなければなりません。特に福祉や医療、金融などの規制産業の周辺で新規事業を行おうとする企業にとって、規制緩和は極めて重要です。新しい社会経済環境に生まれる新しい需要を満たすための新しい産業が、次々と生まれていくような環境が必要なのです。特区の活用など、方法はいくつもあると考えています。

日本経済の再生には、中小企業の再生が欠かせません。そして、そのためには中小企業が新しく生まれ変わる必要があり、国の中小企業支援政策にはその視点が必要だと私は考えています。2011年は是非日本経済再生の年にしたいものです。 

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