中西けんじ公式ホームページ(参議院議員:自由民主党 神奈川県選挙区)

国際金融のプロ。最前線にいたからワカル!日本のココが変!

2014年06月06日 (金)

「ゆうちょ銀行は株式売却前に5兆円程度の減資を行うべき!」(3)

前回までで、日本郵政の株式を市場売却すれば国の資産の大きな部分が消失してしまうこと、そして市場売却の前に減資を行うことで、国の、いや国民の資産の消失を抑えることが出来ることをお話ししました。今回は、ややテクニカルな話になりますが、一体どれぐらいの減資を行うことが可能なのかを考えてみたいと思います。減資の規模が、国の資産をどれだけ守れるかに直結しますので、大事な計算です。勿論細かな調整を行わなければならない箇所が数多くありますから、ざっくりとした概算のお話としてご理解下さい。

まず、どれだけの資本、あるいは純資産を銀行が持つべきかというのは、その銀行の抱えるリスクの量とどれぐらいの安全性を求めるかという二点に依存します。万が一の損失が発生した時に銀行が破綻しないように、銀行は資本を保持しています。大きなリスクを取っている銀行であれば大量の資本を持つ必要があるのです。そして安全であろうとすればするほど、つまり倒産する確率を減らそうとすればするほど、大量の資本を持つ必要が発生します。

ゆうちょ銀行は大量に日本国債を保有していますので、大きな金利リスクを取っています。ゆうちょ銀行の公表資料によれば、取っている金利リスクは8,000億円ということになっています。この金利リスクは、99%VaR(バリュー・アット・リスク)をいう尺度で計算されています。現在の資産価格が8,000億円以上減少する(つまり損失が発生する)確率は、1%以下しか無いという意味です。従って、8,000億円の資本を持っていれば、金利リスクに起因してゆうちょ銀行が倒産する確率は1%以下だということになります。この確率を更に小さくして0.05%以下、つまり2,000年に一度以下の確率にするには、統計学上の計算を行うと、8,000億円を1.4倍した1.12兆円の資本を持つ必要があることとなります。倒産確率が0.05%以下というのは一般的に格付けがダブルA(AA)の水準と言われており、大変成績優秀な銀行ということになります。

さらに、ゆうちょ銀行が取っている信用リスクを見てみましょう。公表値ではリスク・アセットの合計が約14兆円になっています。通常はこの値の8%相当の資本を持てば安全ということになっていますが、その基準は先の99%VaRと同じ考え方です。金利リスクを考えた時と同様に、倒産する確率を0.05%以下に抑えたいと思うのであれば、統計学での計算上、リスクアセットの14兆円の11.2%(8%×1.4)にあたる1.57兆円の資本を持てば良いことになります。

以上の話を纏めると、金利リスク、信用リスクに対する十分な備えを持つためには、1.12兆円と1.57兆円の合計である約2.7兆円の資本を持てば十分ということです。ゆうちょ銀行が保有する有価証券の含み益約2兆円も、リスクが具現化して損失が発生したからと言って直ぐに資本として使えるものではないことから別のものとして考えて加味しても、4.7兆円、約5兆円の純資産があれば十分ということになります。オペレーショナル・リスクなどを勘案して、バッファーを1兆円加え、6兆円の資本があれば、ゆうちょ銀行は安全で、倒産する確率が0.05%未満、つまり2,000年に一度以下の確率になるという事が出来ます。

これまでの話をまとめてみます。ゆうちょ銀行は年間2,200億円しか稼がない計画になっていて、その結果株式市場では2.2兆円程度の値段しか付かないと考えられます。ところが現在では11兆円もの純資産を抱え込んでいますから、株式が市場で売却されることで国の財産が毀損することになります。その毀損を小さくするためには株式市場での売却の前に減資を行って、資金を国庫に戻すことが必要だとお話ししました。では、幾ら戻すことが出来るのかを上記の計算に基づいて考えると、仮にゆうちょ銀行の倒産確率を0.05%未満にしたいとすれば、6兆円程度の純資産を保有させておけば十分だと言うことになります。つまり、11兆円と6兆円の差の5兆円分を減資してもゆうちょ銀行の安定性には全く問題が無いということになるわけです。

5兆円減資をしても、株価純資産倍率(PBR)まだ0.37(2.2兆円÷6兆円)で、メガバンクの0.8からは大きく見劣りします。ここから先は営業努力で2,200億円の年間純利益を増やしていってもらうしか有りません。利益が倍増すれば、PBRは0.74になり、何とかまともな銀行の仲間入りが果たせるのかなといったところです。

非常にざっくりとした試算を行ってみましたが、問題の規模を考えるには十分だと思います。復興財源にも関わるこの重要な問題を今後はしっかりとフォローしていきたいと考えています。

 

(最後までお読みいただきありがとうございました。)

中西けんじの国会動画
facebook twitter youtube

私の主張

カテゴリ

バックナンバー

このページのトップへ