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国際金融のプロ。最前線にいたからワカル!日本のココが変!

2010年10月28日 (木)

総合取引所は政治主導で

6月18日に閣議決定された新成長戦略では、金融戦略として「成長を支えつつ、自らも成長する金融」を目指し、金融分野における「国家戦略プロジェクト」として「総合的な取引所(証券・金融・商品)の創設を推進」が掲げられ、2013年までに総合的な取引所創設を図る制度・施策の可能な限りの早期実施を行うことが定められました。この「総合的な取引所」とは証券・金融、商品の垣根を取り払った「総合取引所」と呼ばれるものです

 折しも今週月曜日の25日にシンガポール取引所がオーストラリア証券取引所の買収に向けた公開買付の実施を発表しました。国際的潮流として、各種取引所の統合、合併が進んでいます。シンガポール取引所は1999年にシンガポール証券取引所とシンガポール国際金融取引所が合併して形成された総合取引所で、その後も積極的な海外展開を進めています。

 地球の反対側に目を移すと、ニューヨーク証券取引所は2007年にユーロネクストと合併して、大西洋を股にかけた総合取引所となりました。ユーロネクストそのものもパリ、アムステルダム、ブリュッセルの取引所が合併した後にリスボンの取引所とロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)が参加して出来た国際総合取引所です。アメリカ国内においてはシカゴにおいて二つの大きな取引所であったCMEとCBOTが同じく2007年に合併してCMEグループを形成し、翌年にはニューヨーク商品取引所もこれに加わっています。ヨーロッパではロンドン証券取引所がイタリア証券取引所を2007年に買収しました。

 このように2007年には世界中で取引所が大きな動きを見せていたが、日本では何が起こっていたのでしょうか。2007年は金融商品取引法による新しい態勢の元での金融市場が始まった年です。2001年に株式会社化していた東京証券取引所が2007年6月にシンガポール取引所の株式4.9%を取得しましたが、その後、東京証券取引所とシンガポール取引所の間で何らかの事業面、経営面での進展があったという話は全く聞こえてきません。実は日本でも総合取引所の話は2007年当時から行われてきています。当時の金融担当大臣はわが党の渡辺代表でしたが、金融庁、農林水産省、経産省などの縦割り行政を超えた総合取引所構想を進める必要性を記者会見でも話していました。しかし、その後今日に至るまで変化は全くありません。

 2008年からの世界的な金融危機の中、金融市場における様々動きが減速あるいは停止してきたのも事実です。金融システムの立て直しや規制強化が最重要課題となって、将来に向けての改革と言うよりも壊れたものを直す動きが中心でした。しかし、世界の株式市場の時価総額は急速な回復を見せており、今回のシンガポール、オーストラリア両取引所の動きは、国際的な金融市場再編、改革への動きの再活性化を示していると考えるべきでしょう。

 総合取引所構想は我が国金融市場活性化にとって重要であるばかりか、アジア金融市場の中での日本市場の位置づけを考える上で非常に重要です。この構想の成否が今後の日本の国際金融市場における立場を決めると言っても過言ではありません。この構想の実現に向けて、私は下記の点が重要だと感じており、本日10月28日に開催された財政金融委員会でも自見金融担当大臣に質問を行いました。

 まず、国内における取引所の数の問題があります。現在日本国内には大きな証券取引所としても東京と大阪が存在し、工業品取引所や穀物、商品取引所も複数存在しています。政府は国内に複数の「総合取引所」を作る計画なのか、それとも一つの巨大な総合取引所を作ろうとしているのか。海外の例を見る限り、国家戦略上重要な同種の取引所は一つでよいとの考えが強いようです。総合取引所構想を進めるのと、まず同種の取引所の統合を進めるのと、どちらが先に来るべきなのかを考えなければなりません。私の考えは、まず同種の取引所の統合を行った後に総合取引所設立に向かうというものです。政府の答弁では「取引所は民間企業だから、彼らの意志にゆだねるしかない」という趣旨のものでしたが、一方で、従来の政策もある中、下からの積み上げだけでは難しいのできっちりと政治主導を発揮していきたいとの発言もありました。取引所の公益性を考えればすべてを民間の経営判断に委ねるのはおかしな考え方であり、政府には逃げずにしっかりとした指導力を発揮してもらいたいと思います。

 次に、リーダーシップの問題があります。証券、金融取引所を管轄する金融庁、穀物商品取引所を管轄する農林水産、工業品取引所を管轄する経済産業の三者による協議で進めていくという話で、今月中にプロジェクトチームを作り年内に中間整理を済ませる計画になっています。このプロセスが予定通りの速度で進むのかどうか。また、アクションプランが出来上がったとしても現代社会に求められるスピード感で、複数省庁を跨いだプロジェクトを進めることが出来るのか。強力なリーダーシップが求められますが、誰が主導してやるのか。「協議しながら」というのは、スピード感を決定的に欠いた考え方です。金融大臣も私の質問への答弁で、「金融市場活性化に責任を持つ立場として精力的にやっていきたい」旨をお話になりました。しっかりとリーダーシップを発揮してやって頂きたいと思います。

 最後に(実は最も重要なことなのですが)、総合取引所が出来たとして、それを使って産業としての金融を発展させ、国内産業の成長をサポートさせていかなければなりませんが、その戦略はどの様なものなのでしょうか。国内市場を統合、効率化して行くこと自身、勿論成長のサポートにはなるでしょうが、それだけでは道半ばです。政府が新成長戦略でうたうようなアジアのメイン・マーケットとしての日本市場を実現するのであれば、今回合併の方向性が示されたシンガポールとオーストラリア取引所、また香港、上海などの中国取引所、あるいは韓国やマレーシア等とどの様に競い合って、アジアの取引フローを日本に呼び込んでいくのかを考え、実行しなければなりません。そのための司令塔の責任は極めて重大です。この点に関しては、閣議決定された新成長戦略の内容なので政府をあげてやっていくという様な、もやっとした反応しか返ってきませんでした。官民あげてベトナムに原子力発電所を売りに行くのと同じように、金融戦略も官と民が協力して考え、実行していかなければなりません。

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