中西けんじ公式ホームページ(参議院議員:自由民主党 神奈川県選挙区)

国際金融のプロ。最前線にいたからワカル!日本のココが変!

2013年10月15日 (火)

米国財政危機とイエレン氏の議長指名

米国の財政、金融政策が通常とは違う形で注目を集めています。財政に関しては予算未成立による政府部門一時閉鎖とそれを解決するための財政協議、そして米国債のデフォルト危惧です。一方の金融政策においてはイエレン氏のFRB議長指名が注目を集めています。

 

まず財政協議に関してですが、私は米国債のデフォルトそのものを危惧する必要は高くないと思っています。政府にはデフォルトを回避する手段がいくらでもあるからです。しかし、そのような技術的な逃げ道で財政危機を回避しようとすれば、財政危機が金融危機、通貨危機という別の危機に形を変えて経済を襲うことになります。米国経済への信頼失墜によるドル安、激しいインフレ、金利急騰などが考えられるでしょう。また、そもそもの発端が政府(ホワイトハウス)と議会の「ねじれ」ですから、それが解決するまでは一事が万事、米国政府の行動はちぐはぐで予測困難なものになると考えられます。仮に最終的に調整が行われて問題が解決したとしても、今回の予算問題は米国政府・議会の問題解決能力の低下、あるいは当事者意識の低下を世界中に印象づけるものとなりました。この影響は小さくないと考えます。

 

そして、オバマ大統領によるイエレン氏のFRB次期議長としての指名です。この後、上院による承認手続きが必要ですが、上院は恐らく問題無く承認するだろうというのが一般的な予想でしょう。一時はサマーズ氏が優勢とも伝えられていましたが、イエレン氏が指名されるようになった、その経緯を考えるとFRBの中央銀行としての使命、役割が、いわゆる金融政策の枠組では考えられないものに変容してきている、あるいは回帰してきているという印象を受けます。

 

ハト派であり、失業問題を重視し、雇用創出を現時点での最大課題と考えると言われるイエレン氏がどのような政策スタンスを取るのか、議長としてFOMCをどのようにリードしていくのかは、勿論非常に重要です。とりわけ、バーナンキ議長がQEの終了を示唆しつつも躊躇して先に進まないことによって市場が混乱し始めている中、さらにハト派のイエレン氏が議長に就任することは出口戦略の更なる遅延も予想させ、FRBの政策整合性に関する信任低下に繋がる可能性もあります。

 

しかし今回の指名決定プロセスでは、金融機関監督という、金融政策とは違うFRBのもう一つの使命が大きくクローズアップされたのではないでしょうか。この問題に関して、議会が金融機関への更なる規制強化を求める一方、ホワイトハウスは金融産業の競争力低下を恐れて現実的な路線を模索しています。サマーズ氏は金融業界との関連が深く、これまでも金融自由化を推し進める立場を取ってきました。長年にわたりオバマ大統領の金融問題に関するアドバイザーも勤めていますので、大統領にとっては理想のFRB議長だったのかもしれません。しかし、この様な金融監督行政に関する方針が議会と真っ向から対立することとなり、次善の候補の様な形でイエレン氏が選ばれることになってしまいました。イエレン氏は立派な経済学者、セントラル・バンカーであり、FRB議長としての職責を十分に果たす資質を持った方だと思いますが、選出過程があまりポジティブなものでは無かった印象を受けます。

 

翻って日本を考えてみると、まず「ねじれ」に関しては自民党による一党支配の強化が進み、「ねじれ」は解消してきています。その意味で米国のように必要な政策が決められないという事態は起こりにくくなっていますし、改革を進める条件は整ってきています。我々としては、強力な推進力が暴走に繋がらないように、これからの日本経済の方向性を決めるにあたって十分な議論がされるように、しっかりと見張り、牽制を加えていかなければと考えています。

 

日銀も昨今は金融機関の監督にも再度力を注ぐようになってきていると聞いています。この話は総裁・副総裁人事の際には話題にもなりませんでした。日本では金融緩和の有効性、方法論、そういったものが政府、国会と日銀の間の最重要課題になっています。どうしても金融監督というと金融庁の専管事項というイメージが強く、日銀は話題にもなりません。しかし15年前の金融危機の時を思い出しても、最終的に金融システム安定性確保のためには日銀が何らかのアクションを取ることになり、それを未然に回避するために日銀がシステム安定化のための金融機関監督を行うというのは非常に重要なことです。金融庁が預金者、投資家、保険契約者といった金融システム使用者の保護を重視するとすれば、日銀は金融システム全体の安定性を守る役目を担っています。今後の国会質疑の中では、その点にも注目しながら日銀との対話を続けていきたいと考えています。

 

 

中西けんじの国会動画
facebook twitter youtube

私の主張

カテゴリ

バックナンバー

このページのトップへ