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2013年06月03日 (月)

場当たり的な消費税転嫁法案

「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」(消費税転嫁法案)が衆議院で可決し、現在参議院において審議が行われています。みんなの党は衆議院の採決では反対をしましたが、本法案についての問題点を明らかにしたいと思います。

本法案は、来年4月と再来年10月の2度にわたる増税を実施した場合、商取引において立場の弱い中小事業者が取引先から増税分の値下げを迫られ、泣き寝入りしてしまうといった転嫁拒否の問題が集中して発生することが予想されることから、その対策を行うことを目的として、3年間限定の時限法として提出されたものです。

現在、取引上、優越的地位にある者が、取引先に対して不当に不利益を与える行為は「優越的地位の濫用」として独占禁止法で禁止されており、またこうしたことが下請取引において発生することが多いことから、下請代金支払遅延等防止法(下請法)が独占禁止法の補完法として存在しています。こうした法律があるのに、何故今回政府はわざわざ新しい法律を作ろうとしているのでしょうか。

政府はその理由として、転嫁拒否が集中的かつ多数生じることが懸念され、迅速かつ効率的な対応が要請される中、独禁法は排除命令や課徴金命令といった行政処分を課すものであるが、要件が抽象的で法適用に時間がかかること、課徴金の納付についても国庫に納付されることから被害者の直接的な救済につながらないこと、また下請法については、独禁法に比して迅速に対処することができるが、一定の委託取引のみを対象としているため、通常の売買取引には適用がないことを理由として説明しています。

実際に、1997年に消費税が3%から5%に引き上げられた際、買いたたきとして現行法で摘発された例は1件もありませんでした。実際には広く行われているそうした買いたたきが現行法で摘発できていない、それこそが問題の本質であるはずです。政府が独禁法や下請法の問題点を認識しているのであれば、本来やるべきことは、現行法の改正を行うことです。政府提出の期間限定の法案では、法案が失効する3年後には、政府が迅速性や効率性で問題があるといっている現行法に戻ることになってしまうだけです。

今回の法案では、実態として広く行われている買いたたきという違反行為をどうやって見つけ出していくのか、問題が発生しているということを立場の弱い中小事業者がどうすれば訴えることができるようになるのかといった根本的な対応は何もなされていません。

通常の商行為における価格交渉の結果なのか、買いたたきによるものなのかをどのように判断していくのかとの質問に対して、政府は「基本的には消費税率が引き上げられた場合には税率引き上げ後の取引価格は特段の事情がない限り税率引き上げ前の取引価格に税率引き上げ分を上乗せした額となると考えている。来年4月に3%値段が上がっていなければ、特段の事情がない限り問題となる」、すなわち来年4月にはその前よりも3%価格が上がるはずであり、それ以外は原材料費が安くなった等でない限りは問題となると答弁しています。

では、1%は自助努力によるコストカットを達成し、結果として2%しか価格を上げなかった場合にはどうやって判断するのでしょうか。競争相手の価格設定を横目で見ながら、一日の中でもしょっちゅう販売価格を変更する、値札を貼りかえることが行われている家電業界やスーパーマーケットにおいては、どうやって判断をするのでしょうか。本当にこうしたことを1つずつすべての商品でチェックしていこうと考えているのでしょうか。

広告表示についても、「消費税還元セール」という広告は禁止としながら、「3%割引セール」のように「消費税」という文言を使わなければ問題ないということになっていて、もはや何の歯止めも実質的にないといっても過言ではありません。

このように政府の法案は、その実効性において甚だ疑問と言わざるを得ない内容となっているのです。

適正に消費税増税を転嫁できるようにしていくための環境づくりという趣旨は理解できないでもありませんが、そもそもが民間の自由な商行為に関わる問題です。実効性のない法案を、ことさら「中小企業を守るため」と喧伝して正当化するのは、参議院選挙を前に、「与党は中小企業にも目配りをしていますよ」ということをアピールしたいだけのための法律だと揶揄されても仕方ないのではないでしょうか。

みんなの党は、我々が主張してきた金融政策を安倍政権が採用したことによるデフレ脱却、景気回復の兆しが見えてきたこのタイミングで、消費税増税を行うのは愚の骨頂であり、実施は凍結すべきとの考えですが、将来的な消費税の増税を完全に否定しているわけではありません。

だからこそ、引き上げのたびにこうした場当たり的で実効性の低い策を講じるのではなく、現行法の問題点はきちんと改善していくと同時に、例えば商品の値札には、総額表示とともに本体価格もあわせて表示するという方式にするとか、インボイス制度を導入したりということをきちんと制度で対応すべきだと考えています。こうした対応は中小事業者の負担が大きく対応できないと政府は言い訳をしますが、中小事業者対策と言いながら、中小事業者に対する負担を恐れてばかりいる結果、実効性の低い策しか行わないということでは本末転倒です。

 

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