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2013年04月08日 (月)

ボールは政府、国会の手に(Part 3)

これまでに2度(http://nakanishikenji.jp/blog/kinyuu/1014と http://nakanishikenji.jp/blog/9441)、私は「ボールは政府、国会の手に」と訴えてきました。白川時代の動きは遅々としたものではありましたが緩和姿勢を進めていたことは間違いなく、それに対応する政府側の成長戦略、財政戦略が不十分であったという点を忘れることはできません。

 

4月3日、4日の政策決定会合で、日銀は大胆な金融緩和政策を打ち出しました。マネタリーベース・コントロールの採用は以前の量的緩和と同じ枠組ですが、緩和のペースはかなり加速されています。購入する国債の年限長期化は私が以前から主張してきたもので、今回は40年債も含むというかなり踏み込んだ内容です。さらに、ETF、J-REITなどのリスク資産の購入も拡大することになっています。

 

時間軸、あるいはコミットメントの関連では、2%のインフレ率が安定的に持続できるまで緩和を継続するというものになっており、インフレが2%を超えても緩和継続するという可能性を示唆しています。基金と輪番枠の一体化や銀行券ルールの一時停止といったテクニカルな、しかし「見せ方」という点では重要な要素も盛り込まれています。

 

私が委員会で提案した「市場参加者との対話の強化」もしっかり盛り込まれています。私は今後の金融、財政政策でこれが極めて重要になってくると思っています。

 

今回の金融緩和策は大胆なものであり、非常に高く評価されるべきものです。しかし一方で、新聞などでも論評されているように「後戻りできなくなった」と見ることもでき、二の矢、三の矢というものが打ち出しにくいものかも知れません。これまでの白川体制では政策の「出し惜しみ」という感が強かったことを考えるとその正反対を行くもので、新体制の特色を強く打ち出したと言えるでしょう。日銀がここまで動き始めた以上、政府、国会がそれにぴったりとついていかないと、緩和策が有効にならないのみならず、非常に困難な経済情勢を招いてしまう可能性もあります。従って私は再度、「ボールは政府、国会の手に」と訴えたいのです。

 

これまで同様、日銀の政策、つまり金融政策は、少なくともゼロ金利制約の下では期待を通してしか実体経済に働きかけることができず、政府、国会はその期待が旨く醸成されるような施策を矢継ぎ早に打ち出していくことが必要です。経済、社会全体に、「なーんだ、これだけなのか」と思われてしまえば、大胆な金融緩和という「薬」の効果は薄れてしまい、次にはもっと強い薬が必要となるかも知れません。そんな事態に陥らないよう、金融がレジームチェンジをするのであれば、財政もレジームチェンジをするぐらいの心構えでのぞむ必要があります。その為には広い意味での成長戦略、規制改革という事になりますが、中でも私は労働市場の流動化、活性化を重要視しています。

 

今回の緩和策によって、もう一つ大きな財政の役割が生まれてきました。それは、債務管理政策のマクロ的な活用です。非常にざっくりとまとめて考えると、この超低金利のもと、借金をする主体としての政府は債務(日本国債)の年限長期化を図るべきです。つまり、2年債、5年債といった短期の債券で調達するよりも、30年債、40年債という長期での調達をする事に経済的な理があります。財務省理財局は徐々に調達平均年限の長期化を図ってきました。

 

一方で日銀が長期債の購入を増やし、年間50兆円のペースで買い入れる事になっています。マクロで考えても年間60~70兆円の資金供給をしてそのほとんどを国債購入で行うわけですから、年間国債純発行額40~45兆円の全てを日銀が吸い取り、更に市場からも買い入れる事になります。しかもそれが、長期債を中心にするということです。金融政策という観点からすると素晴らしいと思われる政策も、財務省と日銀という政府部門全体を併せて考えると首をかしげざるを得ない姿になります。つまり、この低金利化で債務の長期化が進まなくなるばかりか、政府債務がネットで現金化されていることになるのです。

 

今後、デフレが終息し、景気が上向き、金利が上昇し始める局面で、プライマリーバランスが改善していない限り、財務省による国債発行と日銀の引き締め(あるいは「出口政策」)による国債売り出しの二つが市場を直撃する可能性があります。こうした問題は一つ一つであれば対処可能であっても、複数が同時に起こると対処が困難になり、政策の可能性が極端に限られてきます。従って政府は、日銀の緩和姿勢が続いている間に何としてもプライマリーバランスを大幅に改善することが必要です。その為に必要な社会活性化は、先に申し上げた労働市場の流動性向上と、社会保障の抜本的改革です。

 

日銀は2年というターゲットを明確にしました。逆に言うと、政府がプライマリーバランスの改善にかけることのできる時間も、2年を目処に考えなければならないということです。これは大変なことです。現在の計画では2020年までに黒字化ということで、これは計画通りに行っても政府が2020年頃までは国債の純発行者であることを示します。政府が借金の増加をやめられるのは、計画通りに行っても2020年頃ということですが、日銀の緩和が予定通りに進めばこの頃は既に日銀バランスシートの縮小に転じている可能性があり、政府と日銀の双方が市場に対して国債を供給するということにもなりかねません。見方を変えると、政府の国債発行を邪魔しないようにするならば、日銀が引き締めたくても引き締められないという状況も考えられるわけです。

 

従って私は、政府がこれまで以上にプライマリーバランス改善に努めるのみならず、国債発行年限などの債務管理においてもマクロ経済的視点に立ち、日銀と綿密な協議を行って進める必要があると考えています。日銀は大きな一歩を踏み出しました。しかしこの一歩は、もう片足である財政がついてこない限りは無駄な一歩、あるいは危険な一歩になってしまいます。無意味なバラマキをしている余裕はありません。社会保障の抜本的改革をためらっている余裕もありません。次に危機感を持って行動すべきは、政府、国会であると強く感じています。

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